私と旦那様と祝福された純白の日々   作:カピバラ@番長

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サブタイ通り、今回はひさびさにあの人たちが出てきます。
ではでは、どうぞ。


第二十四話 再会の機会は突然に

「ほんっとうにごめん!」

 

「…バカ」

 

いつも食事をするテーブルに頭を擦り付けて謝るのは私の愛しい旦那様。

数日前に怖い話をしてから、未だにちょっとだけ怖い思いが拭いきれない中、彼は驚きのことを言った。

 

『…来週の、トロデーン城で開かれる百物語会に出て欲しいんだ…』

 

僅か数分前のお願い事が何時間も前のことのように思える。

だって、あれだけ言ったにも関わらずにまた怖い話をすると言うのだ。気が遠くなるのも仕方ないわよ。

 

「…それ、本当に私が行かなきゃダメ?」

 

「…絶対ってわけじゃ無い、けど…」

 

「………。

みんなも、来るのよね…」

 

力なく頷く彼は、見ているだけでこっちの力も抜けてしまうほどだ。

なんでも、ここ最近の暑さでトロデーン城内では兵士・大臣など、役職問わずに怪談話の話題で持ちきりだったらしい。

そんな中でミーティア姫が提案し、トロデ王が企画したのが[トロデーン百物語]というものだった。

城に勤める人達から選りすぐった怖い話を持つ人達を一堂に集め、ロウソクを立てて怪談話をするという企画。

一番怖い話をした人には賞金も出るということから、みんな本気になっているらしい。

それだけならまだよかった。私には関係のないところで怖い話だったりなんだったりをする分には何も構わない。

でも、ミーティア姫が提案してしまったのだ。

 

『折角ですから、世界を救った勇者様御一行も呼びませんか?』

 

もちろんそれを突っぱねた人はいない。

むしろ、みんな大喜びだったそうだ。

何せ世界中を飛び回った人達なのだから、身の毛もよだつような恐ろしい話を沢山知っているだろう、と。

決まってからの行動は異様なまでに早く、すぐさま彼にみんなに招集をかけるようにトロデ王が命令した。

若干渋った彼も『多分みんなは集まらないし、大丈夫だろう』と思い、取り敢えず各地に飛んだそう。

けれど彼の予想は外れてしまう。驚くことに、誰一人として断る人はいなかったのだ。

どころか、久々にみんなと会える、と言って喜んでいたのだとか。

結果として、私以外の全員が参加に丸を付けてしまっていた。

 

「………………。

ここまでみんな来るって言うなら断るのは…ちょっと無理よね…」

 

彼と同じように額をテーブルにつけて落ち込んでしまう。

話をよく聞いた結果、どこにも悪意はなく、それどころか善意の塊で組み上げられた私への罠。

仕方ない…のかなぁ…。

 

「いや、大丈夫。やっぱり断ろう!ゼシカだけじゃなく、僕も一緒に断れば、微妙な雰囲気にならないはず!

な、夏風邪とか言えば大丈夫…だと思う!」

 

決意を固めた表情でそう言うも、不安に傾いた私の考えでさえ穴があることにがついてしまう。

 

「無理よ。だってあなた、嘘つくのすごい下手だもの。

それに、勇者であるあなたがいないんじゃ始まるものも始まらないわ。

百物語会、なんて銘打ってはいるけど、今じゃもう、勇者様御一行が全員集まるスペシャルイベントの意味合いの方が強そうだし」

 

自分で言ってて逃げ場がどこにもないことに涙が出そうになる。

腹を決めるしかないわね。

 

「大丈夫。行くわ、私。開催まであと一週間くらいあるのよね?だったら、今のうちに沢山怖い話聞いて耐性つけておけばなんとかなるわよ!」

 

「…ごめん、ゼシカ。僕が不甲斐ないばかりに…」

 

「仕方ないわよ。あなただってわざと私をその会に連れて行こうとしたわけじゃないんだし。

大丈夫!この前の話より怖いのなんてそうそうないはずだもの!」

 

明るく言い切るも私の胸の内は暗雲が立ち込めるばかり。

それでも、その日から当日まで、彼と毎日怪談話をして特訓した。

 

 

ーーーー ーーーー ーーーー ーーーー ーーー

 

 

「よう、久し振りだな。二人とも。元気にいちゃついてるか?」

 

「久し振りねククール。ホント、あんたはいつも隣に誰かしら女の子を連れてるわね」

 

トロデーン城の入り口、石畳で出来た長い道の途中で出会ったのは生臭坊主のククール。

相変わらず、両脇にバニーちゃんを抱えての登場だ。

 

「まぁな。モテる男は辛いんだ。

どうだ?一人じゃ寂しいだろうから分けてやろうか?勇者様」

 

「いや〜ん。私はククールがいーいー」

 

「うっふ〜ん。私結構あの子タイプかも〜」

 

辟易する流れにため息も出ない。

彼は苦笑いして混乱するばかりだ。

 

「え、えっと、取り敢えずお城のホールでまた会おっか!

じゃ、また!」

 

「あーん、行っちゃうのねぇ〜ん」

 

「バイバーイ」

 

とにかくその場を離れなければと思ったのか、彼は私の手を取ると逃げる形で走り出した。

 

「ちょっと、何鼻の下伸ばしてるのよ」

 

「の、伸ばしてないよ。どう答えればいいか迷っただけだから…」

 

「普通に断ればいいのよ、全く。ま、良いわ。そのことは後で話しましょ。

それより、あそこにモリーさんっぽい人見えない?」

 

私の視線の先、図書館の外側で風もないのにマフラーをたなびかせている赤と緑のツートンカラーのおじさまがいた。

 

「おぉ!久しぶりだなボーイ&ガール!いや、レディ&ジェントルメンの方が正しいかな?はっはっは!」

 

ポーズを決め、どこからともなく燃え上がる背後の炎。今回は三人のバニーちゃんはいないけれど、バトルロードの会場でチームの名前を決めた時のようだ。

一体どこから炎は出ているのかしら…。

 

「…やっぱり、モリーさんて謎よね」

 

「んなぁ!?」

 

大袈裟に驚いてみせるモリーさん。

 

「あはは。モリーさんも相変わらずお元気そうでなによりです」

 

「む?と言うことは、道中誰かにあったのかねボーイ?」

 

「えぇ、多分そろそろ来るんじゃないかしら」

 

言いながら後ろを振り向き、石畳の方を見る。

そこに見えるのはついさっき会ったばかりのククールと二人のバニーちゃんだ。

 

「はっはっは、彼は相変わらずだな!」

 

「人のこと言えないわよ」

 

「む?そうだったか!はっはっは!」

 

やっぱり、この人は謎だ。モリーさんの高らかに笑う姿は見ているだけで楽しくなってくる。

なにか、魔法のような感じ。

 

「さて、そろそろ僕たちは中に行こうか」

 

「そうね」

 

「うむ。それではまた会おう!」

 

簡単に挨拶を済ませて別れた後、お城の門を叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、それでは今からルールを説明したいと思います」

 

真っ暗な中、たった一つのスポットライトに当たるのはバトルロードでいつも実況をしているあの人。

普段から人前で話しているからかとても慣れた雰囲気だ。

 

「まず最初に、百物語と称していますが時間の都合上流石に無理だと言うことなので、本日参加する十五名に一人一つずつ怪談話を披露していただきます。

制限時間は一人十五分。一つの話が終わる毎に投票を観客席に座っている方々とトロデ王、ミーティア姫にしていただきます。

最終的に最もポイントの高かった方には商品としてトロデーン城で使える商品券と、ミーティア姫と一日デート出来る権利が与えられます」

 

瞬間、それまで静かに聞いていた会場中が驚きの声で溢れかえる。

もちろん、例に漏れず私もだ。

 

「ミ、ミーティア!?いつの間にそんな話を…!」

 

「うふふ、この方が盛り上がりますもの。たまにはいいかと思って」

 

楽しそうに笑うミーティア姫と、今にも大会を中止にしそうな顔のトロデ王。

これがすでにホラーだと思ったのは私だけかしら。

 

「…中々、馬姫様…じゃねぇや、ミーティア姫様も思い切ったことをするでゲスなぁ」

 

「度胸だけならアンタよりあるんじゃないかい?」

 

向かいの席に座るヤンガスとゲルダさんの話し声が聞こえる。

正直、度胸に関しては私もミーティア姫に勝てる気がしない。

 

「…むぅ、まぁ良かろう!

それではこれより、第一回・トロデーン城百物語を開始するぞぃ!」

 

トロデ王の宣言により、とうとう始まってしまった百物語会。

隣に座る彼の手を握り、小さく深呼吸をした。

…大丈夫。彼と特訓したんだから、どうにかやれるはずよ!

 

 

 

 

 

 

To be next story.

 

 

 

 

 




という事で、前回に続いてもう少しの間怪談話を題材にしていこうかと思います。
次回からのお話は元ネタありきでそれっぽく変えていきます。

ではでは、また次回。
さよーならー
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