私と旦那様と祝福された純白の日々   作:カピバラ@番長

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さてさて、書くことは特にないのです。

では、どうぞ。


第四十六話 私と子供達と広くて狭い世界と

「ねぇおかーさーん。お父さんまだー?」

 

「まだよ。

あと一時間経ってもまだだから聞かないでね」

 

「ぶー」

 

ソファの上でうつ伏せになり、バタバタと脚を暴れさせるルイーサ。

今日だけでもう四度目で、彼が仕事の日のたびに繰り出されるルイーサの質問にも、いい加減慣れてしまった。

わかるわよ。そりゃあ、私だってあの人と一緒にいたいし…。

 

「ほら、ルイーサ。ウェーナーを見なさいよ。お父さんがいない時でも外で頑張ってるでしょ?

貴女も一緒にやって来なさいよ。一人より二人の方がずっと効率がいいんだし」

 

お茶を飲みながら窓の外を眺め、庭でひのきの棒を振り回しているウェーナーのところへ行ってみたら、と促してみるもどこ吹く風。

ルイーサは脚を暴れさせるのをやめはしたものの、相変わらずうつ伏せのままソファの肘置きを枕にしている。

 

「やーだ。

疲れるし、汗かくし、やりたいわけじゃ無いし」

 

「…はぁ。ならせめてお風呂とか洗ったりしたら?」

 

「お父さんが帰って来そうな頃になったらねー」

 

私に一瞥もせずひらひらと手を振られる。

とことんなめられてるっぽい。

…ウェーナーと同じように育ててるはずなんだけどなぁ…

 

「ま、いいわ。

それよりそろそろお昼にするから、ウェーナーに伝えてきてあげて」

 

「はーい」

 

私のお願いを聞いてくれたルイーサはソファから起き上がると、トタトタと可愛らしい足音を立てて庭へと向かっていった。

 

「さてと、作りましょうか」

 

コップに残っていたお茶を一気に飲み、昼食作りに取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇお母さん」

 

「ん?」

 

昼食に作った野菜炒めがまだ半分くらいしか減っていない時、ルイーサが少し深刻な感じで話しかけてきた。

 

「お母さんはさ、お父さんがいない時って何してたの?」

 

「えっと、それは結婚してから、ってことでいいの?」

 

聞き返すと、フォークを置いたルイーサが頷く。

 

「それは勿論、掃除とかじゃない?」

 

その隣で食べるウェーナーが私の代わりに答えた。

 

「そうね。

大体はお掃除、お洗濯、お買い物とか、まぁその辺よね」

 

補足して答えると、何故か睨むような困るような顔を向けてくるルイーサ。

 

「…寂しくなかったの?」

 

「そりゃ寂しいわよ」

 

「……即答なんだ」

 

「当然よ。だって、お父さんとずっといたくて結婚したのに、結婚してからの方が居られないなんて変だもの」

 

諦めにも似たため息をこぼしつつ食事を続ける。

目の前の二人はどこかポカンとした顔だ。

 

「じゃ、じゃあ、お仕事やめて欲しいって思ったことは?」

 

「ない…と言えばウソになるけど、お父さんに言ったことはないわね」

 

「それはどうしてなの?」

 

手に持っているフォークのことを忘れたように質問に夢中になるルイーサ。

本当は、ご飯食べなさい、って注意しなきゃいけないんでしょうけど…

 

「どうして…って、お仕事しないとゴールドは手元に来ないのよ?だから、お仕事してるの」

 

この際だから、少し話してもいいのかしらね。

 

「でも、アローザおばさんにお願いすれば良かったんじゃない?」

 

「ふふ、まぁそう思うわよね。

でもねウェーナー。誰かに頼っていいのは本当に大変になった時だけ。あなた達はまだ子供だから話は別だけど、そうそう誰かを頼っちゃいけないのよ。

どんな時でも頼れる人が側にいるとは限らないんだから」

 

「ふーん…?」

 

ルイーサと顔を見合わせて、二人して首をかしげる。

やっぱりまだわからないわよね。

 

「じゃあ、二人はお父さんのどんなところがカッコいいと思う?」

 

でも、ここでわからないままにしたらいけないわ。

私みたいに、気がついた時にはお礼も言えなかった、なんてことにはしたくないもの。

だから、少しアプローチを変えてみる。

 

「全部!」

 

「そう、全部よね。

…じゃなくて」

 

ルイーサの答えに思わず同調してしまう。

事実なんだから仕方ないけど、今聞きたいのはそういうことじゃない。

 

「…強くて、頼りになるところ、かな」

 

「私もー!」

 

私の聞きたかったことを妹の代わりに答えてくれたウェーナー。

それに激しく頷くルイーサだけど、多分、彼を褒めることを言えば全部便乗する。

 

「そう、そういうことよ。

じゃあ、どうすればお父さんみたいに頼りになる人になれると思う?」

 

二度目の質問に眉をひそめて考える二人。

…八つになる前の二人には、ちょっと難しいわよね。

 

「それは…」

 

もう少ししたら答えを言おうとした時、ウェーナーは何かに気がついたように顔を上げる。

 

「…たくさんの人を助けてあげたりすればいいのかな??」

 

「あ、そっか!」

 

ウェーナーの答えにルイーサは納得してひそめた眉を解く。

…流石私たちの子たちね。よく気づいてくれたわ。

 

「正解。

たくさんの人を助けるには、その人達のもつ問題を解決できるだけの力がないとダメなの。

その力をつけるには、知識と勇気と諦めない気持ちがないとダメ。それを身につけるのには、普段から頑張るしかないの。

そうすれば、いつかお父さんみたいにいろんな人に頼ってもらえて、助けられる人になれるわ。

でも、間違えないでね。自分でどんなに頑張っても解決できない時はたくさんある。だから、そんな時は迷わずお父さんやお母さん、ルイーサでも、ウェーナーでもいいわ。友達に頼るのだっていい。抱え込まずに教えてね。一人じゃできないことでも、みんなで力を合わせればできるんだから」

 

「…それが、旅をしていた時のおじさんたち?」

 

はっとして尋ねてくるウェーナーに優しく頷く。

 

「そうよ。

ふふ、本当に信頼できる仲間となら世界だって救えるのよ?あなた達にもそんな素敵な仲間が出来ると良いわね」

 

「「うん!!」」

 

大きく頷く二人。

…出来るなら、二度と世界が大変なことになって欲しくないけど…でも、もしまたなったとしたら、その時世界を救うのはきっとこの子たち。

ラプソーンに変わる魔王が現れた時、ウェーナーとルイーサが困らないようにせめて知恵と力くらいは身につけさせておかないとね…。

 

「よーし、お母さん気が変わったわ!

この後、座学のお勉強するわよ!」

 

「えっ!!」

 

「…剣術よりはいいかな…。

でもヤダァ!」

 

「ワガママ言わない!

ほら、早く食べちゃいなさい」

 

「「は〜い…」」

 

なんとも言えない表情でフォークを握り直した子供達。

今はまだわからなくてもいい。…ううん、叶うなら、わからないといけない時が来なくていい。

ただ、もしも来た時に役立つように、私と彼の全てを伝えなきゃね。

 

 

 

 

 

 

 

To be next story.

 





家庭教師ゼシカとか、いいですよね…絶対いい。
ポニテでメガネで[ゼシカの普段着]を着てるゼシカにすっごい丁寧にお勉強教えて欲しい。

ではまた次回。
さよーならー
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