私と旦那様と祝福された純白の日々   作:カピバラ@番長

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前回の続きでーす。
では、どうぞ。


第五十二話 私たちと港町と

リーザス像の塔のを出て大体十分。

初めて見る浜辺に興奮するウェーナーとルイーサが、おかあさんの手を離して岸辺へと駆ける。

目当ての物は、そう。

 

「すっごぉぉぉぉい!!!」

 

「本当に家が浮かんでる!!!」

 

白い帆で一心に風を受け大海原を突き進む巨大な乗り物。船だ。

タイミングの良いことに丁度定期船が戻ってくる時間帯だったらしく、ゆっくりと船着場へと入港していく姿を見ることができた。

 

「ねぇねぇ、アローザ叔母さん!!見にいっても良い!?!?」

 

「私も私も!!」

 

船がポルトリンクへと入港するのを見届けると、二人はすぐに駆け戻ってきておかあさんに言い寄った。

私や彼は見慣れたどころか一時期所有していたから今更感動もないけど、やっぱり、初めて見た時はあの位興奮するわよね。

 

「えぇ、もちろん構いません。

ただし、他の人の迷惑にならないように」

 

「「はーい!!」」

 

許可をもらうや否や駆け出した二人を微笑んで見送るおかあさん。

 

「ふふ。まるで昔の貴女のようね」

 

「えっ!私もあんな感じだったの?」

 

少し後ろからおかあさんと子供達を見ていた私たちに振り返り、懐かしむような顔を見せる。

 

「そうよ。

…いえ、私に確認もせず走り出した貴女に比べればまだまだあの子たちの方が大人ね」

 

なんて、おかあさんは意地悪く笑う。

 

「あはは。昔から変わってないんだね、ゼシカは。

旅の時も、気が付いたらどこか行ってたりしたもんね」

 

「ちょっと。それはお互い様でしょ?あなただって目を離した隙に他人の家に上がり込んで本とか読んでたじゃないの」

 

「うっ…

だ、だってそれは、家の人が『どうぞ』って言うから…」

 

「だとしても仲間を置いて先に行かないでよ。心配したんだから」

 

「…ごめんなさい」

 

聞き捨てならない言葉に思わず言い返してしまうと、それを見てたおかあさんが小さく咳払いをして。

 

「…ところで、いつまで手を繋いでいるんですか?子供たちに見られたらどうするつもり?」

 

「「あっ」」

 

言われてようやく思い出した。

塔からここに来るまでずっと手を繋いでたままだったのを忘れてたわ。

お互いに目配せをして、それとなく手を離す。

右手を包んでた温もりがゆっくり消えていくことに寂しさを覚えながらも、何度か手を閉じたり開いたりして感覚を確かめる。

…なんでかは分からないけど、手を繋いでる状態の方が自然な感じがするわね。

 

「さて、あまり二人を待たせるのもよくありませんから、そろそろ行きましょうか。

…互いを慕い会うのは構いませんが、子供の前では程々になさい」

 

「は、はい」

 

少しだけ睨んだような目をして私たちを見ると、おかあさんはウェーナーとルイーサの待っているだろう船着場へと向かって行った。

 

「…なによ、ケチ」

 

「ま、まぁまぁ。今回はお義母さんの言ってることが正しいよ」

 

おかあさんが、私の声が聞こえない所まで行ったのを確認してから悪態を吐く。

 

「分かってるわよ、そんなこと」

 

けど、一切知識を与えないで育てたら私みたいに、恋愛してもおかしくない年頃になってもそういうことを全然知らない大人になっちゃうもの。

それはそれで悲惨なのをおかあさんは分かってないわ。

 

「…やっぱりムカつく。

あなた?ん」

 

「…注意されたばっかりだよ?」

 

ぶっきらぼうに顔を彼の方に向けて目を閉じる。

瞼の先で困る彼の顔が眼に浮かんだけど、少しもしないで私の望むことが起きた。

 

「…ふふ、何よ。注意されたばっかりじゃないの?」

 

「…僕だってずっと手を握ってたかったし、このくらいならいいと思うんだ」

 

微かに残る彼の温もりを感じながら指先を唇に当てる。

浜辺の近くで、って言うのも、なかなか悪くないわね。

 

「それより、そろそろ行かないとまずいんじゃないかな」

 

「あ、そうね。行きましょうか」

 

頷いて、手を繋ぎ歩き出…さずに、自然と繋いでしまった手を離して、くっつき過ぎない程度に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうです坊ちゃん、嬢ちゃん!甲板から見る街並みは!」

 

「すごい!!沢山見える!」

 

「ちっちゃく見えるー!」

 

「久しぶりに乗りましたけど、良い眺めですね」

 

一際強い潮風に吹かれながら見上げるのは、積荷を下ろしている定期船の甲板に立つ三人の姿。

いつも住んでるところが高い場所だから、結構身を乗り出しててもあんまり怖くないのかな。

落ちそうで少し怖いけど、船頭さんも近くについてくれてるし、大丈夫よね。

 

「それにしても、まさかおかあさんまで乗ってるなんて思わなかったわ。あの子達に乗せさせられたのかしら」

 

私たちに気がついて両手を振り始めたウェーナーとルイーサに手を振り返す。

 

「かもね。でも、楽しそう」

 

彼の言葉でもう一度船の上の三人を見る。

相変わらず手を振りっぱなしのルイーサと、ルイーサが落ちないように身体を支えてるウェーナー。

その隣に立つおかあさんは、少しだけ不思議な顔をして、小さくこっちに手を振っていた。

 

「…ホントだ。

そうだ。もし大丈夫そうなら、今度私たちの船におかあさんたちを乗せてあげない?

定期船だと南の船着場にしか停められないけど、あの船ならどこにでもいけるし」

 

「いいね。海の向こうに何があるのかとか二人にも見せてあげたいし、今度トロデ王にお願いしてみるよ」

 

「そうなったら、またみんなで乗るのもいいかもしれないわね」

 

「うん。

今は魔物もいないだろうし、気ままに世界を渡れるだろうからきっと凄く楽しいと思うな」

 

広い海を眺めて口にする彼に頷く。

えぇ、きっとそう。誰にも縛られずに、広い広い大海原で最高の仲間たちと最愛の人たちで過ごせるなんて、想像するだけでワクワクしちゃう。

 

「ねー、おかあさん!今度は船に乗っていい!?」

 

思わず物思いに耽っていると、いつの間にかそばに駆け寄ってきていたルイーサがスカートの裾を引っ張ってる。

 

「僕も乗りたい!」

 

すぐ隣では彼がウェーナーから同じような事をされて少し戸惑ってた。

 

「おばあちゃんが、お父さんとお母さんに聞いてきなさいって!」

 

端的な説明に頷き、彼をみる。

ルイーサの声が聞こえたのか、彼もこっちを見ていて、アイコンタクトを取り合った。

 

「うん。勿論いいよ」

 

「「ホント!?」」

 

「ただし、私たちも一緒だからね?」

 

「「うん!」」

 

私たちの言葉に大喜びで答えた二人は、一呼吸も置かずに船の方へと走り出そうとすると。

 

「そう、良かったわね。ウェーナー、ルイーサ。

先ほど、私の方で許可は貰っておきましたから、後で日にちを教えてもらえれば伝えておきますよ」

 

 

「「やったー!!」」

 

静かに現れたおかあさんが子供達の近くに来て、乗船許可をもらえた事を教えにきてくれた。

 

「さ、お礼を言いに行きますよ」

 

「「はーい!」」

 

そうして二人の手を取り、船着場の方へと歩き出す。

 

「私たちも後でお礼に行かないとね」

 

私の言葉に彼が頷く。

本当は今行きたいけど、あんまり大勢で行っても向こうを困らせちゃうだけだから、乗る日にでも言えばいいわよね。

 

「さて、あの子達が戻ってきたらそこの宿屋でお昼でもいただきましょうか。

ここはお魚が美味しいのよねー」

 

「そう言えば、ゼシカはあんまり魚料理作らないね」

 

「…だって、こっち見てるんだもん…」

 

「あー…

あれ、結構怖いよね」

 

苦笑いして調理する時のことを想像する彼。

慣れれば平気なんだろうけど、つい思い出しちゃって捌けなくなっちゃうのよね…

 

「っと、三人とも戻って来るわね。

私、席空いてるか聞いて来るわ」

 

「ん、分かった。なら僕はみんなに伝えて来るよ」

 

軽く手を振ってから別れて宿屋へ向かう。

今はお昼の少し前くらいだから多分混んではないと思うけど、念のために聞いておいた方がいいわよね。

 

 

それから五分ほど待って昼食をとった。

家ではあんまり食べれないお刺身を食べてから実家へと戻った。

 

 

 

 

 

 

To be next story.

 





ポルトリンクは街の中でも結構好きな部類なんですよね。港町なだけあって海が見えるからテンションが上がりました。

それではまた次回。
さよーならー。
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