無課金なのが救いですね。
では、どうぞ。
彼がいつも通りトロデーン城へ仕事へ行った日のお昼過ぎ。
珍しくいつもの事が早く片付いて、新魔法開発の一つの目処が立った私は。
「……入るのは入るけど」
急に訪れた暇な時間を使って、旅をしていた頃の服を着たりしていた。
のだけど……
「若いって、偉大なのね…」
あまりにもあんまりな露出のレベルに激しい後悔を覚えていた。
「光のドレスとかローブ系はちょっと勘違いしてる感があるだけだし全然平気なんだけど、問題はこっちのやつらよね……」
ベッドの上にずらりと並べた衣類を眺めつつ、そのうちの一つを持ち上げる。
窓の光すら殆ど透けてきてしまうそれは[あぶないビスチェ]。
普通なら決して買ったり着たりしないシロモノだけど、ちいさなメダルの景品で貰ったり、宝箱で見つけた物で、しかもその後錬金釜で新しい装備を作り始めてしまったものだから、資金がカツカツだった私はこれを着るしかなかった。
………えぇ。状況は分かるの。一から十まで仕方ないなとは思えるんだけど。
「流石に、これは無いわよね……」
鏡の正面に立って、あぶないビスチェを体の前に重ねる。
………うん。刺激的なんてレベルじゃないわね。
「ていうか、よくこれ着て無事でいられたわよね、私。流石にこんなの来て出歩くような女の人は怖すぎて近づけないのかしら」
布切れと言って差し支えないもの同士を繋ぐ紐の隙間に指を通しながらあの時の幸運の正体に想いを馳せる。
いくら何でも、こんなの着てたら【襲ってください】って言ってるようなモノなのにホントに幸運よね。まぁ、殆ど一人行動しなかったし、その辺も理由ではありそうだけど。
……もしかして、あの頃いつも近くに彼がいたのはそれが理由だったりして。
「なんて、そんなわけないか。仕方なかったとは言え、着せたのは彼なんだし。きっと私に見惚れちゃってたのね」
なんて言いながらそれを畳んでベッドに戻す。
見惚れていたかどうかの確認は今度これを着て迫ってみればすぐに分かる。
……多分、元々はそのための服なんだし、『そんな恰好しないでよ、恥ずかしい』なんて言われないわよね?
「それで次は…っと。
あ~、これとかも中々…」
次に取り上げたのはバニースーツ。
さっきのに比べれば全然露出度は少ないけれど、それでも充分以上に肌が晒されてる。
何が憂鬱だったって、こんな見た目なのにそこそこ丈夫な素材だから装備としても優秀なところ。
基本お金がなかった私達にしてみれば、旅の合間の休憩も兼ねて参加してたバトルロードでの商品だったから、着ない理由が私の我儘以外なかったのよね。
……結構着心地良くてムカつくのよね。
「ま、私のバストサイズには準備されてたやつじゃ対応できてなかったらしいし、それで良しとしましょ」
そう言いつつ、思わずバニースーツに袖を通してしまう。
……うんやっぱり着心地良くてムカつくわね。こんな、着てるかどうかも分からない服なのに。
それでも思わず笑みがこぼれてしまうのは胸が結構きついから。
「ふふ。私に勝とうなんて甘いわ。もっとバツグンな伸縮素材になってから出直してきなさい」
悪口を口にしながら脱いだそれはきちんと畳む。
これはこれで彼に見せたらどんな反応するか楽しみだわ。
「それで、と。極めつけはこれかしらね」
他にもいくつかあるきわどい服の中でもダントツで大変な物。
……それは、しんぴのビスチェ。
さっきのビスチェに比べて服そのものの露出は抑えられていて、アームガード・ハイニーソックスとチョーカーを一緒に着用する事になってる一品。
ちょっと可愛いフリフリのスカートはついていても辛うじて前が隠れているだけで、ハイニーソックスとビスチェを繋ぐガーターベルトやお尻が殆ど隠せていない、ホントにワンポイントとしての意味しかなしていない、考案者を問い正したくなるシロモノだ。
にも関わらず。
「……相変わらず、凄い魔力を秘めてるわね」
触れるだけで分かるし神聖な魔力。最終的にはこれ以上に魔力を感じる装備はドラゴンローブくらいしかなかったけど、これは着ると驚くほど身体が軽くなってどんな攻撃でも致命傷を避けることが出来た。
ただ守りの硬い装備よりも、私の戦闘スタイル的にも、避けられる方がいいからずっとこれを着ていたけど。
「どう頑張っても、変態性の塊よね、これ」
チョーカーといい、見えるガーターベルトといい、きわどい上とアームガード&ハイニーソックスの組み合わせといい、何をどうしても
良い造ろう事の出来ない変態装備だ。
「オマケにこの羽。いっそ飛べそうなくらい大きければ【変な服】で終わったのに」
ため息を吐きつつビスチェの背面についている可愛らしい羽を指先で弾く。
「これで一気に変態っぽさが上がってる気がするわ」
しかもここが特に強い魔力の波動を放っている。
羽なだけあって身の軽さはこれのおかげなんだろうけど……
「なんていうか、勘違い感凄いわよね。【私可愛いです】みたいな」
この服自体が結構可愛い見た目もあってか余計にそう考えてしまう。
別に、自分の顔がこの服に見合ってないとは思わないけど、それとこれとは話は別。世界一の美女だって、あんまり露骨なのは着ないはずだわ。
「…………」
そう、分かってはいるけど……
「……うん。やっぱり、凄く落ち着く」
習慣だった記憶は恐ろしくて、あれだけの事を考えていたのにちゃんと着てしまった。
「このフィット感、身軽さ、動きやすさ、肌触り、そして着ているだけで感じられる神聖な魔力。
悔しいけど、いつもの服と同じくらい着やすいわ」
軽く動きながら魔法を放つ仕草をしてあの頃の感覚を思い出す。
…えぇ、そこはかとなく全身がきつい事を除けばあの頃と全く同じだわ。
元々、お腹周りはかなりキツめに絞ってある服だから、胸とかが少しでも大きくなるとそれが原因で全体的に小さくなっちゃうのよね。
バニースーツは別に胸以外きつくなかったし!
「…って、誰に言い訳してるのかしら。そろそろしまいましよ」
ふと我に返って顔が熱くなる。
もう、子供も産んでるのに何してるのかしら私。大きくなったルイーサに渡しても平気そうなのだけ選んで後はタンスの奥にでも封印しておいた方がいいわね。所謂、黒歴史になりかねないし。
……後、彼が喜びそうなのもいくつか確保しておいて。
「……あれ?」
そう思って、早々にしんぴのビスチェを脱ごうとして違和感を覚える。
「…なんだか、変にきつくなってないかしら。これ」
あの時と同じ方法で脱衣しようとしても、一向に服が脱げない。
なんていうか、きついと言うよりかたい……?
「え、え?うそでしょ?これもしかして、本格的にマズいんじゃ」
焦って色々試してみるも、何故か全く脱げない。
ちょっとまって?こんなに背中スカスカなのに何でこんなにびくともしないの!?!?
「う、うそ。もしかしてさっきの考えが服にバレて腹いせに……?の、呪いの装備品とかあったし、あり得ない事じゃないけど、何で今ごろ!?」
じょ、冗談じゃないわ!まだイケイケだったあの時ならともかく、そろそろおばさんって言われてもおかしくない今じゃ流石にこんな格好で出歩けないわよ!?
……と言うか、お風呂とかどうすればいいの!?!?
「あーーもう、どーしよ!」
天井を仰いで叫んでもこの服が脱げるわけも無く…
とにかく、彼が帰ってくるまではこの格好でいろんなことをしないとならなくなってしまった。
そうして、彼が帰宅して。
久しぶりに驚いた姿を見せてくれた彼に苦笑いを返しながら、どうにかこうにかしんぴのビスチェを脱ぐことが出来た。
……できればもう同じ目には合いたくないけれど、彼、あの格好の私を見てちょっと嬉しそうだったのよね。
事情を離したら直ぐに脱ぐの手伝ってくれたし、ちょっとダイエットでもしてみようかしら。
to be next story.
そりゃ死ぬほど可愛いゼシカですが、やはり寄る歳の波には抗えません。
まだまだ身体や見た目は若いですが、心の方が(経産婦ですし)既に…
でもね、現状を正しく把握しつつも昔に憧れを持ってその頃の衣服や行動に手を出してしまう女の人ってとっても良くないですか?私は良いと思います。だから良いと思え(暴論)。
今回のはそんな欲望が詰められたお話でした。
しんぴのビスチェは竜神王の連戦の際必須級の装備だと思ってます。好みによってブレス系を防げる装備をする方もいるかと思いますが、私はしんぴのビスチェ派でした。目の保養にもなりますしね!
にしても、ドラクエって全年齢対象の割に結構際どい服多いですよね。そのせいで性癖を開発されてしまった紳士淑女も多いのではないでしょうか。
実を言うと私もその一人ですが、よくよく考えてみると、ドラクエ のキャラが好みじゃなかったら開発なんてされないんですよね。
つまり、その開発された趣味は、イコール好みのキャラにされたと言っても過言ではないのでは?
そう、私のガーターベルト好きはゼシカによって作られたのだ!ありがとうッ!
………さて、それではまた次回。また気が向くか、ライバルズで新衣装が来れば投稿しようと思います。
さよーならー