私と旦那様と祝福された純白の日々   作:カピバラ@番長

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お久しぶりです!
最近はリアルでやることが増えて来て、あまり描けていませんでした。ごめんなさいです。

なんて前書きはこの辺にして、それでは、どうぞ!


第八話 私と旦那様と招待

「おはよう、ゼシカ」

 

ちょっと喉に重みがかかる声で、再び私は瞼を開く。

 

「ふぁ…ふぁぁ〜〜

…………おはよう、あな…た…うぐ…」

 

いつもと違う天井。

いつもと違う匂い。

いつもと違うベッドに、いつもと違う目覚め。

それを感じるのは旅の醍醐味と言えるのだろうけど、正直、今はそんなコトを気にしている余裕はないみたい。

 

「うぅぅ…頭がぁ……」

 

ガンガンと、まるで【コングヘッド】に叩かれているみたいに頭が痛い。

思わずベットの上で体を丸めてしまう。

 

「なんか…気持ちも悪い…うぅ…」

 

「あー…それ、完全に二日酔いの症状だね」

 

なんとも言えない表情を浮かべた彼がこっちを見ている。

のだけど、その顔もわからないくらいに頭が痛い。

 

「ちょっと待ってて、水持って来るから。

ゼシカは楽な格好しててね?」

 

「あ、ありがと…」

 

ぐらぐら歪む視界で、どうにか捉えていた彼の姿が消える。

多分、洗面所に行ったんだろう。

 

「くぅ…身体くらい起こさなきゃ…ね…うぷ…」

 

ほんのちょっとでも頭が揺れると吐きそうになる。

出来る限り揺らさないで、ゆっくりと慎重に両肘を伸ばす時の力を使って身体を起こす。

 

「く…ふぅ…はぁ。つらいわ…」

 

普段なら小鳥のさえずりは心地いいものだけれど、今日に限ってはそれの真反対。

次からはもっと少ない量でお酒を楽しむようにしよう…

 

「ただいま。はい、これ」

 

「ん…」

 

微妙に焦点の合わない中、どうにか映ったコップらしきものを彼から受け取る。

 

「ありがと〜…」

 

うぅ、だめ。

少し声を出すだけで吐きそう…

とにかく、早いところ水を飲んで気分を変えなきゃ。

 

手にしたコップを口元に運んで傾ける。

けれど、何故か口の中は満たされない。

 

……どうして?

 

「ゼ、ゼシカ?そこは口じゃなくてほっぺただよ?」

 

「へ?…うわわわ!」

 

気がつけば、口内に流していたはずの水は全て私の胸へと流れていた。

 

「うぅ、冷たい…」

 

「あはは、タオルと新しい水を持ってくるね」

 

彼はニコニコと笑うと私からコップを受け取って、再び洗面所の方へと消えた。

 

 

 

 

 

「うーーんっ!やっぱり、健康が一番ね!」

 

両手の指を絡めて掌を上に向けて出発て背伸びをする。

そうする事で全身の緩みが減って、気分がリフレッシュされるのだ。

 

「間違い無いね。

…それにしても、まさか【アモールの水】が2日酔いにここまで効くなんて、思いもしなかったよ」

 

「そうね。旅の時はどうしても水がない時に飲んだりしたくらいだったし。

後でヤンガス達にも教えて上げましょうか」

 

彼が洗面所から持って来た道具。

それは、伝説の滝の水から名付けられた物、【アモールの水】。

なんでもその滝の水は、飲めばたちどころに病気が治るとか治らないとか。

 

恐らく、フォーグかユッケかが二日酔いにも効く事を知っていて、サービスの一環として洗面所に置いていたんだろう。

 

「名は体を表す、って言うのは本当だったみたいね」

 

「だね。アモールの水はまだ後二つ残ってるから、今日も飲み過ぎても平気だよ?」

 

「あー…ううん、やめとく。寝起きが辛いし…」

 

「あはは。それが良いよ。

まぁ、見てる側としては可愛いから、また見たいけどね」

 

「へ?ご、ごめん。なんて言ったの?」

 

そう聞き返すと、わたしの隣に座る彼は急にほっぺたを紅くして。

 

「あ、いやなんでも!

そ、それより今日はどうしようか!?」

 

何故か慌てた様子で話題を変えた。

 

うーん、まだ頭がぼーっとしてるのかな?

時々彼の声が聞こえない時があるっほい。

 

「そうね〜、どうしようかしら…」

 

なんて、いつもならあり得ないくらいゆっくりとした朝を過ごしていると。

 

バタン!

 

という大きな音が部屋に響いた。

 

「おはよう!今日は君達にスタンプラリーに挑戦して貰おうか!」

 

「ちょ!何勝手に入って来てるの!フォーグ!?」

 

声高々に入って来たのは、ユッケの双子の兄(もしくは弟)のフォーグ。

 

「はっはっは!実験台にプライバシーなど無いのだ!」

 

「はぁ!?」

 

「はっは、流石に冗談だ。だから早くその掌で作り上げた凶悪な火球を消してくれ」

 

笑顔の引き攣るフォーグ。

視線の先は、いつのまにか唱えていたメラが。

 

「えっ、あ、ご、ごめんなさい!つい、癖で…」

 

「恐ろしいな…

勇者よ、これではおちおち浮気も出来んな!」

 

「「しないから(わよ)!!」」

 

「うむうむ。息ぴったりで実に良い。

では先ほどの続きと行こうか」

 

そういうとフォーグは私たちに、スライムの色と形をした厚紙を差し出して来た。

彼と互いに顔を見合わせつつ、それを受け取る。

 

「なにこれ?

…ちょっと可愛いのが妙に腹立つわね。ユッケが?」

 

「そうだ。

スライム型にしようと提案したのは私で、サンプル品を作り上げたのがユッケだ」

 

「ふーん。子供とか女の人にウケそうね」

 

「そうで無くては困るからな。

何しろこれの目的は、正しく女子供に楽しんでもらう…いわば家族やカップル向けの催しだからな」

 

「それがスタンプラリーってやつなのね?

…あ、これ二つ折りになってる」

 

開くと中には彼とヤンガスが倒したというザバンや、みんなで洞窟で倒したトラップボックス、王家の山のアルゴングレードなどなど。

私たちが旅の途中で倒した強い魔物達の、可愛らしくなった絵が描かれていた。

中間地点に当たる4つ目にはドルマゲス、一番最後となる7つ目にはラプソーンの絵が。

それもまた憎たらしい事に可愛く描かれている。

 

「うーん、倒して来た者としてはちょっと困るな、あはは…」

 

隣では彼が力無く笑っている。

 

「そこはすまないと思ってはいるが…しかし、これもまたお客様に楽しんでもらうための工夫というものだ。許してほしい」

 

と、珍しく頭を下げて素直に謝るフォーグ。

 

「せめてと思い、勇者の一行が倒した全ての強敵をそこに描かせたかったのだが…

『何体いると思ってるのよ、お兄ちゃん!』とユッケに言われてしまってな…

結果、選抜された七体となったわけだ」

 

「じ、事情は分かったからもう頭をあげなさいよ。…別に、そんなに気にして無いものね?あなた」

 

「そうだね。うん。これでみんなが楽しんでくれるなら、全然良いと思うよ」

 

微笑む彼の言葉を聞いたフォーグは、顔を上げると。

 

「そうか!ありがとう!では早速だが君達に、このスタンプラリーがどれほど面白いのかを検証してもらおうか!」

 

もの凄く元気に言われた。

 

こいつ、怒られまいと一芝居打ってたわね…!!

 

「ま、まぁ良いわ。あなた、どうする?」

 

「いいね、やろう。

追体験って言うのかな、こういうのって?」

 

「ん〜、どうなのかしら?」

 

なんて笑いながら話していると。

 

「ふむ、やはりイチャつくのは二人だけの時にしてほしいものだな…

では、《参加する》という事でいいのだな?」

 

どこか嫌々にフォーグは話した。

 

「開催時間は十四時〜十八時までの間だ。それまでに目的…つまり、スタンプ全ての取得だなーーが出来れば、ささやかながら賞品をお渡ししよう。

逆に達成できなかったとしてもそこにペナルティなどは無いから安心してくれていい。

…強いて言えば、『どうして達成できなかったのか』を根掘り葉掘り聞かせて貰うがな」

 

腕組みのまま口早に話すフォーグの目に冗談の色はない。

どうやら本気みたいだ。

 

…まぁ、経営に関わる事だし当たり前なのだけれど。

 

「めんどくさそうだから、意地でも達成して見せるわ」

 

「いい返事だ。

では、この後に昼食を取ってもらい少ししたらスタンプラリー開始、といった具合になるが…いいか?」

 

「構わないわ。

貴方もそれでいい?」

 

「うん。大丈夫だよ」

 

「わかった。では、時間までに宿屋の入り口に集まってくれ。

今日は少し早めに食堂を開けておくから、今から食べに行って、食休みを長く取るという事も可能だが…」

 

そう言うとフォーグは突然考え込み始め、ぶつぶつと呟きだした。

 

「(そうか、この時間に始めるとなると昼食や夕食の時間も変えなければならないのか…

いや、ここは敢えて組み込んでしまうという手も…)」

 

さみだれ突きのように次々と言葉を繋げるフォーグに、私たちは若干の恐怖を感じる。

 

「(なら、あそこはこうして、そこはああして…いや、アレはユッケに頼むべきか?…いや、しかしな…)」

 

止まることを知らないさみだれ突きに堪らず声をかけてしまった。

 

「ど、どうしたのかしらフォーグ…?急に独り言を始めたりして…」

 

「………?

おっと!すまなかった。つい考え事に夢中になってしまった。

それでは私は他にやることがあるのでな」

 

フォーグは言い切るや否や、すぐさまドアを開けて部屋を後にした。

 

「なん…だったのかしら…?」

 

「さ、さぁ?

それより、そろそろ支度でもしようか。

ゼシカ、髪縛って無いしね」

 

「ん、ありがと。

じゃあ、用意してくるわね」

 

彼から髪留めを受け取った私は、身支度を整えるために洗面所へと向かった。

 

 

 

 

 

「わぁ、今朝もまた豪華な食事!

フォーグの言う事もたまには信じられるのね」

 

「あははは。

他の人もまだそんなに来てないみたいだし、これならゆっくり出来るかも」

 

身の回りの事を終えた私たちは早速食堂の席に着き、長テーブルに並べられている重過ぎず軽過ぎない、まさに丁度良い料理にプロの凄さを感じていた。

 

…また、あのコック帽のおじさんが作ったのかな。

失礼な事言っちゃったし、見かけたら謝ろうかしら?

 

「どうしたの?ゼシカ」

 

「うぅん、なんでも…って!わわわわ!」

 

いつの間にか目を瞑っていた私が瞼を開くと、そこには心配そうにする彼の顔が!

 

「な、ど、急になに!?」

 

「あはは、そんなに驚くとは思わなかった。

何か、困ったような顔をして俯いてたからどうしたのかな、って」

 

「…ホント?」

 

「ホント、ホント」

 

て、事は、頭で理解しているよりも昨日の事を悪いと感じてるのかもしれない。

…それなら、ちゃんと言わなくちゃね。

 

「そう。…なら、昨日のコックさん見つけたら教えてね。

失礼な事言っちゃったから、謝りたいの」

 

「あぁ、うん、わかった。気にかけておくね」

 

彼は頷くと席を立ち。

 

「少しずつ他の人達も来たみたいだし、取りに行こっか」

 

と言って、私を促した。

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜!やっぱり、とっても美味しかったわね!」

 

「だね。夕飯も楽しみだ」

 

「あはは。ちょっと、気が早いんじゃない?」

 

食事を終えて部屋に戻った私達はコックさんを見つけられなかった事に心残りを感じながらも、食休みをしつつ開始時間になるまでの時間をソファに座って過ごしていた。

 

「それにしても、今日はどんな手を使ってくるのかしらね。あの二人。

出来る事なら対策の一つでも立てておきたいところだけど…」

 

「そうだね。でも、どうだろう?流石に町の人もいる中であそこまでの事はしないだろうけど…」

 

思い出すように彼はベッドに視線を向ける。

 

ベットに乗れば最後、パートナーと一定時間抱き合わなければ降りる事は叶わない。

という無理矢理にでも相手とくっつけされる、嬉し…恐ろしい寝具。

 

確かに、公衆の面前ならあそこまで強引な手を使ってはくっつけようとしないはず。

だって、万が一にでも私達以外の人がそれにかかってしまったら、大変な事になるもの。

なら、他に考えられるとしたら…

 

「荒くれ者を雇って、私達にけしかけてくる…とか?」

 

「あぁ、前にククールが言ってたやつだね。

予め用意していた荒くれ者に女性を襲わせて、男性がそれから庇う。そうする事で、女性は男性の勇敢さに惚れ直して愛が深まる…とかって」

 

「そうそう。小ずるいけど、確かに効果的よね。私だってキュンと来ちゃうかもだし。

…でも、それは有り得ないか。

いくらお金を積まれても、世界を救った勇者様にケンカを売るような真似、自殺行為と変わらないし」

 

「自分で言うのもアレだけど、そうだよね。

うーーん……。こればっかりは考えても仕方ないのかな」

 

腕組みをして顔を顰める彼。

 

「かもしれないわね…って、もうこんな時間!?

あなた、開始時間まで後三分も無いわよ!そろそろ行きましょう!」

 

「だ、だね!」

 

慌ててソファから立ち上がった私たちは、部屋のちょっとした所に肘をぶつけながらも、部屋を出て行った。

 

その先で起きる斜め上の事態に、混乱させられるとも知らずに。

 

 

 

 

To be next story.

 




はい、次回まで引っ張ります。(クズ)
今回はあんまり二人をいちゃつかせられなかったので、次回はもうちょっとだけラブラブな感じにしたいと思いますゾ!

それでは、次回の更新までさようなら。
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