カンピオーネ! 魔刃の王の物語   作:一日

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第四話 魔王様たちの日常

【立花榊に関する報告書から抜粋】

 

 身長:187センチ 体重:95キロ前後 

 

 両親は彼が幼い頃に交通事故で死亡しており、唯一の肉親であった祖父も昨年死去している。

 

 大学卒業(同時期に祖父も死去)を機に、旅を始めた。その旅先で神と遭遇、カンピオーネとなった模様。その後は、日本を飛び出て世界各地を旅し、その先々で神との戦いを繰り広げた。

 

 祖父は日本古武術の達人級の使い手で、彼自身も幼少の頃から武術を嗜んでいる。高校時代には道場の師範代として護身術の指導をしていた。ただ、彼自身は日本古武術に限らず中国拳法なども習得している。

 

 高校卒業後は地元の大学へ進学し、民俗学を専攻していた。そのため呪術的な知識には乏しいが、神話に関しては魔術師並の知識を有する。

 

 他のカンピオーネほど好戦的な性格ではないが、敵と判断した相手には容赦なく武を振るう苛烈さを持つ。また悪戯好きな性格であるため、騒乱を巻き起こすという意味では他のカンピオーネと変わらない。

 

 現在は祖父の道場を受け継ぎ、師範として護身術を指導する傍ら、日本のもう一人のカンピオーネ━草薙護堂の通う城楠学院の教師もしている。

 

 

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 口に咥えた煙草から紫煙を肺に取り込む。彼にとって数少ない至福の時間だ。自ら望んで就いた職業だが、唯一好きに煙草を吸えないのというのはヘビースモーカーである彼にとっては極めて重大な問題だ。

 

 口から吐いた煙が青空に消えていく。ここは城楠学院高等部校舎の屋上。分煙が叫ばれる昨今、貴重になりつつある喫煙可能な場所だ。

 

 それにここは秘密の話をするのに適した場所だ、と彼━立花榊は思う。自分の予想が正しければ、そろそろあいつが自分のところにやってくるはずだ。そのためにわざわざ人払いの結界まで用意したのだ。これで来なかったら、貴重な休み時間を浪費している自分が馬鹿らしい。

 

 「見つけたぞ兄さん!」 

 

 屋上への入り口が勢いよく開くと共に、そこから大きな声が聞こえる。榊の待ち人━護堂の声だ。名前と違ってちゃんと来たようだ。

 

 「おいおい護堂君、学校内ぐらいでは先生と呼んでほしいな。一応俺はお前の担任だぞ?」

 

 「なんで俺たちの担任になってるんだよ!?」

 

 榊の声は護堂に届いていないようだった。相変わらずからかいがいのある奴だ。

 

 「ここの校長とは古い知り合いでね、一人欠員が出るからと声をかけられたのさ」

 

 にこやかに見えるだろう笑顔で護堂に答える。

 

 「イタリアであった時は、しばらく旅を続けるとか言ってたじゃないか!」

 

 「せっかくだから護堂を驚かせてやろうかと思ってね」

 

 駄目押しでウィンクしてみる。

 

 護堂が歯を食いしばって、唸っている。そろそろ怒りのボルテージがMAXになりそうだ。

 

 「……まさか、ここの教師になるためにカンピオーネとして命令したりとかしてないよな? そもそも、教員免許もってるのか?」

 

 先ほどまでの違ってボソリと呟くような声。しかし中々鋭い奴だ。

 

 「……」

 

 「図星かよ!!」

 

 十分からかったらそろそろ真面目に話をしてやるとしよう。

 

 「そういきりたつなよ。旅行しすぎて金が無くなったから就職する必要があったんだよ」

 

 「そんなことのために権力を使うな!」

 

 くそ! これだからカンピオーネの連中は! と護堂の顔に書いてあるが、十分こいつも傍迷惑な変人だと思う。

 

 ひとしきり叫んでから護堂がため息を吐いた。

 

 「もういいや……ゴルゴネイオンの封印はどうなったんですか?」

 

 「あああれか……ほれ」

 

 懐から布に包んだゴルゴネイオンを無造作に投げる。流石は元野球少年。護堂は危なげなくキャッチする。

 

 「痛っ!?」

 

 「言い忘れてたが、今そいつは『(スリサズ)』で覆ってあるから下手に触ると刺さるぞ」

 

 『(スリサズ)』のルーンは妨害の魔力を持つ。他にも、『束縛(ナウシズ)』や『停止(イーサ)』、『秘密(パース)』などのルーンを刻んだ鎖で封印をかけてある。大丈夫……と言いたいところだが、俺自身にもどれだけの効果があるか分からない。『(スリサズ)』や『秘密(パース)は護堂から正体を隠す際に使用したので神にも通じるとは思うのだが……

 

 「言うのが遅いよ!?」

 

 護堂から抗議が飛んでくる。

 

 「一応封印はしてみたが、どの程度効果があるかは分からん。最悪、ここを突き止められるかもしれんがその時は力を貸せよ」

 

 実際ここに教員に成ったのもいざというとき、護堂を巻き込みやすいからだ。口だけ平和主義の護堂を戦わせるにはそれなりにお膳立てをしてやる必要がある。ここに神が現れれば十分理由になるだろう。決して悪戯のためだけにここの教員になったわけではない。

 

 「そんなの学校に持ってくるなよ! ここで戦う羽目になったらどうするんだよ!」

 

 「そんときはグラウンドに人払いの結界を張るまでさ。もう仕込みはしてあるからな。1分もあれば避難までなんとかできる。そしたら、俺たちやそこの彼女みたいな魔術師しか近づくことはできんさ」

 

 護堂が後ろを振り向く。そこには、一人の女子生徒が立っていた。

 

 彼女の顔は、今にも倒れそうなほど青ざめていた。

 




自分の文章力の無さに泣けてくる今日このごろ
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