ダンジョンに念能力者がいるのは間違っているだろうか?   作:気まぐれな暇人

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9/17 『その3 ロキ・ファミリアと念能力者』の内容の一部を変更しました。

内容
【一方通行の家】の能力説明文
・出口の設定箇所の数を3→1へ変更

作者の勝手な都合による突然の変更、申し訳ありません。

お気に入り登録、評価をして下さった皆様ありがとうございます。
突然申し訳ありませんが、この作品は『チラシの裏』に投稿することになりました。ご了承ください。

今回はリヴェリア視点でお贈りします


その5 告白

「クラムの、能力の秘密を教えてくれるって!?」

 

 いつもは騒々しく感じるティオナの大声も、今日は何処か遠くに感じる。

 あれほど情報の開示を拒んでいたクラムが、あっさりと私達に教えると言うのだ。

 これ程驚くこともないだろう。

 

「クラム、どういう風の吹き回しだ?」

 

 私の問いに、いつもと違う少し困ったような顔をこちらに向けるクラム。

 この男がこういう顔をするのは珍しいな。

 

「どういう風の吹き回し、ですかリヴェリアさん。

 まぁ簡単に言えば、昨日皆さんに呼ばれたあと一人で考えまして、今日ギルドの担当受付のラムさんに、「ファミリアの仲間を信じてやれ」、と言われまして」

 

「…それは我々の事を信用出来なかった、ということか?」

 

 だとしたら私の目も随分曇ったものだ。

 少なくとも、私はこの男をファミリアの一員として信頼していたというのに。

 

「あー、言ったら面倒事に発展しそうな予感がありまして…。

 あと、なんというか…」

 

「なんや、ハッキリせぇな」

 

 ロキの言葉に促されるように放たれた言葉は、またも信じ難い言葉だった。

 

「…言ったら失望されるような気がしまして」

 

 なるほど、本当に我々は信用されていなかった、という訳か。

 

 いや仕方がないのかもしれない。

 入団当初こそ、アイズやティオナ達と一緒にダンジョンへ潜り、私やフィンが指導を行っていた。

 だがいつしかクラムは一人でダンジョンへ潜るようになってしまった。

 

 理由としては、クラムのレベルに見合わない力が、他の団員に悪影響を及ぼさないよう、クラムの指導は我々との1対1になっていったのだ。

 そして彼の力を見てきた我々が、一人でも問題ないだろうと単独行動を黙認していたことも原因の一つだろう。

 

 簡単に言ってしまえば、クラムはロキ・ファミリアの中で浮いた存在になってしまっていた。

 

(あぁ、信頼といいながら、実際は私達が恐れていたのではないだろうか)

 

 ――クラムの異質なチカラを

 

 なるほど、これで信頼してもらおうなどと、笑わせるな、と自身の考えを嘲笑う。

 

「失望なんてしないよぉ!

 クラムは私達がそんなに信用出来ないの!?」

 

「あ、いや、そういう訳じゃ…」

 

 ティオナに攻め寄られ、しどろもどろになっているクラムを慌てて救出し、話の続きを促す。

 反省するのは、またあとでもできる。

 

「それではまず、俺の能力の総称から。俺がいつも使っている能力は、念能力と言います」

 

 そしてクラムの口から語られたのは驚くべき内容だった。

 魔法とは別の法則をもつ力の存在。

 そしてその力の優良性。

 私の知らないことが、こんなに近くに転がっているとは…。

 

「それで君の『秘剣』もその能力の一つというわけかい?」

 

「えぇ、俺の能力は自分のオーラ、魔法で言う魔力を固形にする力があります。

 魔力はリヴェリアさんのような特殊な人にしか感知できませんよね?

 それと同じで、オーラは俺にしか感知できない存在なんです。

 ただこの場合、感知出来ずとも俺の力で固めたオーラはそこにあるので…」

 

「剣の形をしたオーラは不可視の剣になりうる、か。凄まじいね」

 

 確かに凄まじい。

 そして何より凡庸性も高いと見える。

 恐らくオーラとは、魔力のように熟練になれば操作可能なのだろう。

 つまり形を作れればどのようなものでも創り出せるはず。

 

「強度はどの程度なんじゃ」

 

 それまで黙っていたガレスが声を上げる。

 

「そうですね、これは込めたオーラの量に比例します。

 魔法でも、込めた魔力量で威力が増減するでしょ?

 それと同じで、これもガラス位の強度から、全力で込めれば原石の状態の

 最硬精製金属(オリハルコン)も傷つけられます」

 

 オリハルコンだと!?

 あれはその名の通り、最高硬度を誇る金属だぞ!?

 

「とはいえ、それだけオーラを込めたら、ほぼすっからかんになってしまいますけどね」

 

 流石にそれだけの力を使えば代償は大きいということか。

 

「ねぇねぇ、他にはないの!?」

 

「落ち着いて、ティオナ。もう一つあるので、これから説明しますから」

 

「ホント!?」

 

 やれやれ、まだ残っているのか。

 本当にびっくり箱のような奴だな。

 

「では俺の家に案内します」

 

「「「家?」」」

 

 思わず声を上げた私達に、悪戯っぽく笑いながら…

 

『なっ!』

 

 今度こそ本当に驚いた。

 クラムの背後に、黒塗りの重量感のある大きな扉が突然現れたのだ。

 

「では皆さん、これを付けてください」

 

 そう言って渡されたのは、銀色のチェーンが付けられたネックレス。

 

「…これは何?」

 

「いい質問です、アイズ。この扉に入るには、俺以外はこのネックレスを付けないと入れないんです。

 試しにこの扉を開けようとして見てください」

 

「わかった」

 

 そう言って、鈍い金属光沢を放つドアノブを捻るアイズ。

 だが、

 

「…あれ?」

 

 ガチャガチャ音を立てるだけで開く気配がしない。

 Lv.5の彼女が開かないとなれば相当の強度なのだろう。

 

「だけど、扉が開いていた場合は別なんじゃないかい?」

 

「そうですね、その場合も…、ってアイズ!そんなにムキにならないで!壊れちゃうから!」

 

 …あの扉は壊れるのか。

 その場合もどうなるのか後で聞かねばな。

 ムキに開けようとするアイズを下がらせ、今度はクラムが扉を開いた状態で試す。

 今回はベートだ。

 

「こん中に入ればいいのか?」

 

「うん、入ってみて」

 

 面白そうにベートを見ながら場所を開けるクラムに、ベートは憮然とした表情で扉へ突き進む。

 だが案の定…

 

「あ?なんか此処に壁があんぞ。クラム、てめぇなんかしてねぇだろうな?」

 

「してないよ。これがこの能力の誓約だからね。これは俺でも破ることは出来ないよ」

 

 誓約、か。

 たしか能力の使用条件を厳しくすればするほど強力な能力を発動できる、だったか。

 つまり入れる人数を制限することでそれを達成しているのか。

 

「ならこのネックレスに付けられている虎?は何か意味があるの?」

 

「あぁ、それは極東に伝わる神話の十二支の動物を模してるんだよ。数もちょうど良かったしね」

 

「これはミスリル製か?」

 

「お、流石ガレスさん。そうです。この扉の能力と結び付けてるんですけど、誓約の一つでそれが一つ壊れる度に三ヶ月間この能力が発動出来なくなっちゃうんです。ですから出来るだけ硬い金属で作りたかったんです」

 

 なるほど、それなら納得だ。

 だが、それ以上の硬度を誇るアダマンタイトなんかを使おうとすると、高くつく。

 それにあの金属は細工には向かない。

 だからミスリル、という訳か。

 手元にある小さな龍の細工を、しげしげと眺める。

 

「なるほどのぉ。それで、そろそろその中を見せてくれるのかの?」

 

「えぇ、ではそろそろ中を案内し…、って!ベート!蹴っちゃダメ!それシャレにならないからー!」

 

 なんだかな…。

 こういうのはデジャブ、と言うんだったか。

 

「ハァ…ハァ…。で、では、中を案内させてもらいます。どうぞこちらに」

 

 はぁ…、やっとか。

 全員ネックレスを付けたことを確認した後、扉の内、黒く塗りつぶされたようになった空間に、私たちは進んでいった。

 

 ◇◇◇

 

「わぁー!何これぇー!!」

 

 黒い幕をくぐった先は、本が詰まった本棚がそびえ立っていたり、重量感のある机が置かれていたりといった、古風な一室が広がっていた。

 天井までは3メートルと言ったところだろうか。

 材質はよく分からないが、周囲の白い壁が自ら発光しているようで、特に照明などなくとも充分明るい。

 

「クラムー、これなぁーにぃー!?」

 

「ちょっ!ティオナ!それ触っちゃダメ!どれがどれだか分からなくなっちゃうから!」

 

「…興味深い」

 

「へぇ、面白そうなモノがいっぱいあるじゃない」

 

「お、階段があるやん。下には何が……、おぉ!酒があるやん!しかも高いヤツ!ちょいと拝借…」

 

「ロキーッ!それ俺が苦労して集めたヤツ!触んなぁーッ!」

 

 …だんだん収取がつかなくなってきたな。

 というかクラム、いつもと大分感じが違うが、これが素か?

 

「リヴェリア」

 

「ん?なんだ、フィン?」

 

「僕はやっと、彼と家族になれた気がするよ」

 

「…私もだ」

 

 家族にだって、隠し事の一つや二つはあるだろう。

 だがこうして、偽りのない顔で向き合えるのが、私は家族だと、そう思う。




変更した点ですが、あのままだとやり方次第では遠征の時、大きく近道出来てしまうという点が引っかかりました。
勿論、書いた当初から分かっていたことであり、その時は遠征の時に何かしらの理由で使わなければいい、と考えていました。
が、考えていくうちに別段複数の箇所に転移できるようにする意味ってそんなに無いのかな、と思い直し書き直しに踏み切った訳です。

それと今回、主人公が念能力についての説明をしていますが、誓約に引っかかるのは、あくまで習得方法だけなので今回の話はセーフです。
そして今後も主人公以外にその情報が漏れることはありません。私が管理しきれないので…。

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