ダンジョンに念能力者がいるのは間違っているだろうか? 作:気まぐれな暇人
読んでくださっている皆様に心より感謝を
今回は解説会となります
9/22 一部加筆しました
め、めっちゃ疲れた。
何がって、まずティオナさん。
彼女、好き放題触りまくるもんだから、部屋がしっちゃかめっちゃかになっちゃって…。
しかも隠しておいた、ちょっと危ないアイテムとか見つけてくるし…。
次にロキ。
あの
あれ、世界各地から流れ着いた名品を見つけるたびに、密かに確保してきたモノなのだ。
無論お値段も相応にした。
あと、油断ならないのがアイズさん。
俺が目を離したスキにチョロチョロ動き回り、隠しておいた丸秘書物を見つけそうになったのだ。
まったくもって油断ならない。
「えー、とりあえず説明させてもらいます。
まずこの扉が四方にある部屋を1階とし、2階と地下室があります。
主に俺が普段使いしているのがこの部屋で、2階が研究室、地下が倉庫になってます」
「研究室、というのはポーション等か?」
「えぇ、そういったものです」
「なるほど、お前の発展アビリティにある薬師は、どうして付いたのかと思ったが、こういう理由だったか」
そう、俺には発動アビリティの一つに、薬師がある。
これは、オラリオへ行けば、魔法が使えるようになるかも!と思って来たが、結局魔法は発現せず。
(当時の話であって、現在は一つ使えるようになった)
なら魔法薬と呼ばれるポーションならどうだ!と、独学で勉強するうちにのめり込み、たまたま知り合った薬師の神様に教えて貰っていたら、できるようになっちゃったのである。
勿論その神様には、お礼として定期的に深層でとれる薬の材料をお裾分けしたり、街の外で材料調達する時のお手伝いなどをしている。
なんでも今は眷属が女の子一人しかいないらしく、しかもとても貧乏。
そのためその少女からは、割と本気で改宗を持ちかけられている。
ナァーザちゃん、それやると多分ウチと戦争になるよ?
それと、他にも神字の研究も少しやっている。
初めに持っていた知識に、その事も少しだけ入っていたのだ。
なので自分なりに研究を進めている。
あまり進んでいないが…。
「先程入ってきた扉ですが、あそこは俺が具現化した扉がある内しか、出入りすることはできません。
残る扉は、俺があらかじめ設定した場所に出られますが、一度出るとその扉から入り直すことはできません。
完全に一方通行です」
「出口の設定している場所を聞いてもいいかな?」
「一つは18層、セーフティエリアの端の方の見つかりづらい場所に。
いつもは一人で深層に行った時の行き帰りに使用してます」
「なるほど、了解した」
「フィンさんは言わなくてもわかると思いますが、ここを使って遠征の近道にする、みたいな事は出来なくはないですが正直難しいですし、出来ればやめてください」
最大でも、俺入れて13人までしか運べないからね。
「まぁそうだね。
でも難しいというのは?やはり、あの扉を出すのは大変なのかい?」
「えぇまぁ、それなりに。
それにこの扉は、俺が具現化したドアは消さなければ出入り自由ですが、あっちの指定した方は、このドアを一度消さないと開かないようになってるんです」
「また面倒な仕様にしたのぉ」
「ははは、すいません。幾つも制約を定めないと、俺はこの能力を発動出来なかったので」
これは事実ではあるが、この理由の他にも、俺の生活スペースを、団員とはいえ不特定多数の人に晒したくないのもある。
え?ならこんな能力にしなければ良かったって?
うるさいな!秘密基地感が欲しかったんだよ!
というか、そっちにこだわり過ぎて出入口の制約が難しくなっちゃったんだよ!
本末転倒だよ!悪い!?(逆切れ)
「それに設定するアイテムも破損したりすると、三ヶ月間使えなくなっちゃうんですよね」
「…なるほど、中層程度のモンスターなら破壊できないそれも、深層に行くと破壊されてしまうかもしれないからね」
そう、アイテムを起点にするというのは、地味にキツい縛りなのだ。
でも、あんまり簡単すぎるのもつまらないと思うけどね。
仮にノブさんと同じ能力が使えたら…、多分80層くらいまで行けるんじゃない?(適当)
あ、ちなみにドアが破壊された場合は、再度具現化できるようになるまで1日かかる。
以前実際に壊れたので間違いない。
「ふむ、ならクラム。遠征の際は、ここを物資の備蓄所として使わせてもらえないかな?」
「えぇ、俺もそのつもりで能力を教えたので、構いませんよ」
物置にするくらいなら問題ない。
終わったあとの掃除が大変そうだが、それくらいは甘んじて受け入れよう。
「クラム!私ここに住んじゃダメかな!?」
「あー、残念ながらティオナ。それは不可能なんだ」
「え?何で?それも制約?」
制約ではない。
だが、ここで暮らそうと思う場合、制約として機能するのではないかと思うほど、厳しい縛りが一つ。
「ここ、トイレが無いんだ」
そう、それが理由である。
ちなみに、俺が研究室としてここに籠る場合は、トイレに18層を利用している。(ダンジョン内ではごく普通のことだ)
自室にドアを具現化したままだと、万一、人が入ってきた場合不自然に思われるので解除して、出る時は出口専用の方から出たりと、地味に苦労している。
ドアは具現化したモノなので、『隠』で隠すことも出来るが、研究に集中してしまうとそれが解けてしまうのだ。
その言葉に、思わず顔を青くするティオナ。
「…欠陥住宅ね」
ティオネさん!それは言わないで欲しかった!
いやこれは完全に俺のミスだけども!
「ま、まぁとにかく、これで遠征の懸念材料である、物資の問題が解決したんだ。喜ばしい話だよ」
フィンさんの無理に明るくしたような声が、撃沈した俺の耳に響く。
皆さんも、建物の設計をされる時は、トイレなどの水周りと、聖火台の設置をお忘れなく。
――――――
「クラム、教えてくれてありがとう」
「ん?あぁ、どういたしまして。アイズ」
「それでね…」
「ん?」
何処か、いつもより物腰が柔らかくなったように感じる彼に、いきなりこんな事を頼むのはどうかとは思うが、どうしても頼んでみたいことが、私にはあった。
「私と、闘ってくれない?」
やっとこの事で絞り出したその言葉に、彼は少し唖然とした表情をした。
「アイズ?それは俺の能力を知った上で言ってるんだよね?」
「うん、勿論」
「…正直、自分で言うのもなんだけど、この能力はかなり
その通りだ。
これまでクラムは、団員同士での訓練や、模擬戦では『秘剣』は一切使用してこなかった。
例え、フィンにお願いされても、ベートに挑発されても。
彼がそれを抜く時は、いつも誰かを庇った時だけ。
「知ってる。だからお願い。
――私と本気で闘って」
私は最近、自分の力に行き詰まりを感じている。
だから、今度の遠征では何かを掴めないかと期待していた。
だがしかし、こんなにも近くに、その壁を壊し、導いてくれそうな人がいるならば、わざわざ待っている理由は、ない。
私の目に本気の色を感じ取ったのだろうか、彼はついに、
「あぁ、わかった」
承諾の返事をくれた。
模擬戦の日は明日。
手は抜かないし、抜けない。
――本気でやる
――――――
……どうしてこうなった
ご拝読ありがとうございます。
次回、初戦闘シーンです。頑張ってみました。