ダンジョンに念能力者がいるのは間違っているだろうか?   作:気まぐれな暇人

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ご拝読して下さっている皆様、いつもありがとうございます。暇人です。

UAが5000突破致しました。
これも皆様のおかげです。ありがとうございます。

今回、初めて戦闘描写を書いてみましたが、想像以上に難しかったです。
なのでクオリティには期待しないでください。

最初は三人称視点、途中からアイズ視点でお贈りします。

9/25 一部編集


その7 初めての戦闘

 その日、ロキ・ファミリアでは激震が走った。

 

 あの【剣姫】と【秘剣】が本気で戦うというのだ。

 しかも、模擬戦では一度も見せてこなかった【秘剣】の代名詞の力も使うという。

 

 そのため彼らは、ホームの室内訓練場に集まっていた。

 

「それにしても、本当に彼が承諾してくれるなんてね」

 

「あぁ、しかも他の団員達にも公開するとは、あやつも随分気前が良くなったではないか」

 

「そういってやるな、ガレス。クラムもクラムで、我々に配慮しての行動だったんだ。責めるのは筋違いだぞ」

 

 場内の浮き足立ったような雰囲気の中。

 中心に一人、そんな空気に流されず、戦意の刃を研いでいる少女がいる。

 

 相手となる男は、まだ現れない。

 

「…アイズも一段と張り切ってるね」

 

「これまで何度頼んでも、断られ続けてたからのぉ。昂るのも仕方なかろうて」

 

「ねぇねぇ、フィンはどっちが勝つと思う?」

 

「うーん、ティオナ。今回はそういうのは辞めておこう。純粋に勝負を楽しみたいからね」

 

「はーい」

 

 やがて、アイズの待ち焦がれた相手が姿を現す。

 だが彼女の顔に浮かぶのは、喜色ではく、戦意。

 

「来てくれてありがとう。クラム」

 

「礼を言われるほどのことでもないよ。

 いずれは、やらなきゃいけない事だったろうしね。

 

 だけど、アイズ。手加減は出来ないよ?」

 

「大丈夫、私も手加減しない」

 

 そう言って抜き放たれる彼女の愛剣«デスぺレート»からは、恐れや遠慮の文字は見受けられない。

 

「そう。なら俺も本気でいこうか」

 

 ――その瞬間吹き上がったのは、圧倒的な威圧感。

 まるで上位存在であるかのような気配を、周囲の全てに叩きつける。

 

「――さぁ、始めようか」

 

 その言葉に、一瞬飲まれそうになっていたアイズは、すぐに戦意を持ち直し、魔法を発動させる。

 

「『風よ』」

 

 荒れ狂う風が、彼女を守護するように取り囲む。

 これが彼女の魔法、『エアリアル』

 

 

 

 ――まずは小手調べ

 

 

 そんな言葉と共に、クラムは腰を落とし、何も入っていないはずの鞘を手にかけ、構える。

 この動作を虚仮威(こけおど)しだと判断する者は、この空間には誰もいない。

 

 それこそが彼の代名詞なのだから。

 

 

 

 

 言葉もなく、先に仕掛けたのは――アイズだった。

 

 地面を踏みしめ、風の後押しを受け一気に距離を詰める彼女に、クラムはなんの迷いもなく右腕を振り抜く!

 

 不可視の剣は、一直線に彼女の首筋に伸びて―――

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

(――ッ!今っ!!)

 

 ――弾かれた。

 それは一瞬の風を斬る音。

 たったそれだけあれば充分。

 風は私の味方であり、領域だから。

 不可視の剣は、見る事は出来なくても、感知することは出来る。

 

 必殺の一撃を防がれ、大きなスキを見せるクラム。

 それを見逃してあげるほど、私もお人好しではない。

 

 一息に懐に潜り込み、渾身の突きを放った。

 

 だが、この程度でやられるようであれば、第一級冒険者の名前を背負うことは出来ない。

 クラムの目の前まで迫った剣先は、まるで壁にぶつかったかのように止まり、その勢いのまま、彼は後方へ吹き飛んだ。

 否、威力を利用して距離をとった、という方が正しいか。

 

 怪我もなく着地した彼の表情からは、余裕の色が透けて見える。

 

(今のは一体?)

 

 まるで金属の盾を叩いたような感覚。

 彼の能力は…、

 

(オーラを固める事!)

 

 それは魔力を固めて盾にするようなものだろう。

 つまり、完全に不意をつくか、オーラが枯渇するまで、

 

(一切攻撃は通らないかも)

 

 だが同時に思い出すのは、固めたオーラの強度は、込めたオーラの量に比例する、という彼の言葉。

 ならつまり、それ以上の攻撃を仕掛ければ、防御を抜くことが出来る?

 

 何事もやって見なければわからない。

 まずは試してみてから考える。

 

「流石だね、アイズ。

 まさか初撃から受け流されるとは思ってなかった。

 最初は避けてくると思ったんだけど」

 

「…昨日教えてもらったから、対処法も考えてきた」

 

「はは、確かにそうだ。

 ちょっと見くびっていたよ。反省反省」

 

 そう言って、腰に差していた刀を抜く。

 今度は見えるから、と言っても油断は出来ない。

 なぜならあれも、私の剣と同じく一級品。

 彼が愛刀にするに相応しいだけの代物なのだから。

 

「巷では、まるで秘剣の前座のように言われてるコイツだけど、舐めてると痛い目みるよ?」

 

 当然よく理解している。

 だがそれは言葉ではなく、行動で示そう。

 

 今度はクラムの方から仕掛けてきた。

 今回は何の小細工もなしに、正面から切合う。

 

 最初下段に構えられた刀からは、鋭い突きが放たれた。

 お互いの武器のリーチは、彼のソレが幾らか長い分、私は距離をとるのは不利だ。

 

 そのままアウトレイジから細かな攻撃を仕掛けてくるのかと思いきや、彼は唐突に、そして大胆に前へ出る。

 

 秘剣が注目されているクラムだが、彼の剣術は、決してレベルの低いものではない。

 むしろその練度はかなり高く、実際こうして戦えば、そのスキのない攻防に驚かされる。

 流れるような太刀筋は、こんな状況出なければ見惚れていたかもしれないほど美しい。

 

 しかし、そう易易と負けてしまう訳にも行かない。

 私は、まだまだ戦い足りていない。

 

「『目覚めよ(テンペスト)!』」

 

 纏っていた風を更に強化し、クラムに無理やりスキをつくらせる。

 

 ――攻防が逆転した

 

 そのまま一気に流れを持ち込み、畳み掛ける。

 それまでとは全く違う風の流れに、クラムは苦戦している様子。

 このまま大技で、盾ごと貫く!

 

 

 

「――『(きた)れ』」

 

 

 ――ッ!?しまっ―――!

 

 

「『鳴雷(なるかみ)!』」

 

 

 

 それは白い閃光。

 私を狙った彼の左腕から、眩い光線が放たれ、焼けるような電撃となって私の体の中を暴れ回る。

 

 

 一瞬の硬直。

 そのスキを見逃さず、見事なまでの一撃が、私の首を狙って襲いかかる。

 が、何とかデスペレートを滑り込ませることに成功した。

 今のは完全に運が良かっただけだ。

 

 そしてそのまま吹き飛ばされた私は、追撃してくるクラムを、何とか風の力で押し返した。

 

 これでまた振り出し。

 だが状況は、まだ体に痺れが残るこちらが圧倒的に不利。

 

 

「俺の魔法、忘れてた?」

 

「…うん、正直」

 

魔導書(グリモア)を買ってまで発現させた、俺のお気に入りなんだから忘れないでよ」

 

「ごめん」

 

 確かあの魔法は、彼がLv.4の頃、自分の貯蓄で買ってきた魔導書を使い、発現させたものだった。

 それまで魔法の無かった彼のはしゃぎ様は珍しく、よく記憶に残っている。

 

 だがこれまで見る機会も少なく、昨日の説明で明かされた彼の能力の方が印象が大き過ぎて、忘れてしまっていたのだ。

 その代償はあまりに大きかったが。

 

「さてと、そろそろ終わらせようと思うんだが、どうだろう?」

 

「…私はまだまだやれる」

 

「へぇ〜?ならやってみようか!」

 

 武器を1度鞘へと戻し、20mほどあった互いの距離を、一瞬で詰め寄ってくる。

 片腕がそのまま鞘を握りしめていることから、恐らく居合で勝負を決めるつもりに違いない。

 そんなクラムを向かい打とうと足を踏み出し、前へと駆ける。

 

 

 その時、私は不思議な体験をした。

 

 まるで世界の流れが緩やかになったかのようになり、自分を含めた周りのすべてが遅く感じる。

 僅かな距離しかないクラムとの間など、あっという間に詰まってしまうと思っていたのに…。

 

 だがそんなことには構わず前へと進む。

 攻撃の間合いは彼の方が長い。

 つまり先に攻撃してくる彼のソレを受け流せれば、私の勝ち。

 ならばこの状況は好都合!

 

 

 

 クラムの刀の間合いまで、あと3歩。

 彼が鍔と鞘を離すのが見える。

 彼の居合の軌道は先程も見た、ならば迎撃も難しい話ではない。

 そう思っていた。

 

 ―――ッ!?

 

 次の一歩は、延びた。

 後から考えてみても、何が起きたのかよく分からない。

 だがこれで私の目論見がズレたのは確かだった。

 

 彼が移動したのは、私が予想していた場所よりも左、そして間合いも圧倒的に詰まっている。

 

 必殺の剣閃が放たれたのを確認するよりも早く、私の身体は思考より先に動く。

 死をなんとか逸らそうと愛剣を奮う!

 

 しかし不完全な体勢で振るった剣が、万全な状態で振るったそれを防ぎきれるはずもなく、

 

僅かに弾き、軌道を逸らすことに成功したものの、デスぺレートは視界の彼方に吹き飛ばされた。

 

 クラムの返す太刀が私の首元に振り下ろされ、止まる。

 

「…参りました」

 

 こうして、私、アイズ・ヴァレンシュタインとクラム・アルベルトの模擬試合は、クラムの勝利で幕を閉じた。




如何だったでしょうか?
正直、あまり場の緊張感というか、臨場感を表現できたとは思えません、がこれが限界なのでご勘弁を。

最初は、勝負の終盤に、アイズの足を能力で拘束して勝負を決めるって手も考え、書いては見たんですが、あまりに呆気なく味気ない話になってしまったので、書き直しました。

クラムの能力としてはそれが本来の使い方なんですがねー。
本日は二話投稿。
主人公視点での解説があります。
裏話みたいになってますけどね、そちらもどうぞ。
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