ダンジョンに念能力者がいるのは間違っているだろうか? 作:気まぐれな暇人
最近、話のストックが少なくなってまいりました。
せっせと蓄えているところです。
終わらせる時は、必ず後書きにでも何か入れますので、それが無ければ作者が突然死でもしない限り続きます。
今回、アナキティというキャラを登場させたのですが、このキャラは他の作品にもほぼ登場していないので、ほぼオリキャラ化しています。ご注意ください。
(原作知らないから情報がないんじゃ)
今回は三人称視点です。
ではどうぞ
アイズとクラムの試合から数日後、団長のフィンからファミリア全体での遠征の計画が発表された。
そしてクラムの能力も
「クラムさん、なんで教えてくれなかったんすかー」
「ははは、ごめんねラウルさん。言うと周りがうるさそうだったからさぁ」
「それにしたってこんなに便利な力を一人で独占していたのは、如何なものかと思いますがね」
「そう言わないでよ、レフィーヤちゃん」
「ちゃん付けして呼ばないでください!」
現在彼ら3人は、クラムの『家』に物資を貯蔵しているメンバーの一部だ。
当初、その部屋の光景に口も塞がらないような有様だったが、仕事をしていくうちに慣れてきたようである。
「例の秘剣もこの力の産物なんでしたっけ?」
「
「そりゃそうっすよ。
何も無い所から武器が作れて、しかも相手からは見えないなんて。
かなり卑怯じゃないっすか?」
「デスヨネー。俺も自分で使ってて、初見殺しだと思ってますよ」
「でも、そのお陰で私とラウルは助かったんだから、感謝しないとね」
ふと声の主を見れば、大きな荷物を持って部屋に入ってきた猫人の女性の姿が。
彼女はアナキティ・オータム。
ラウルと同期で、クラムたち一軍を支える、二軍の中核メンバーである。
「そうっすね。あの時はもうダメだと思いましたもん」
「あぁー、32層での闇派閥の残党とおぼしき連中との戦闘、でしたっけ」
懐かしそうに目を細めるクラムの横で、当時を思い出したのか身震いするラウル。
彼にとってあまり思い出したい記憶ではないらしい。
「そうです。怪物進呈を受けて、こっちがボロボロになった所に攻撃を仕掛けてくるような卑怯な輩です」
その時を思い出したのか、鬱憤とした様子のアナキティ。
その時助けられたからか、彼女は年下のクラムにも敬語で話すようになった。
クラムは、年上には基本敬語である。
「あの時武器が折れたラウルに、クラムさんが刀を持たせてくれなかったら、絶対あの場で誰か死んでましたから」
「困った時はお互い様ですしね。
それに使い慣れていない刀で、十分戦えていたラウルさんが、あの日の一番の貢献者でしょう」
「お、俺っすか!?」
「まぁそのお陰で、俺の武器ボロボロになっちゃいましたけど」
「うわー、ラウル、サイテー(棒」
「その事は、あの後メチャクチャ謝って許してくれたじゃないっすか!
今頃蒸し返すのは酷いっす!」
そんな、その場にいた人にしか分からない昔話をされていて、面白くないのは除け者にされる人物であり、今回の場合レフィーヤが該当した。
「…皆さん、昔話に花を咲かせるのはたいへん結構ですが、お仕事を忘れてもらっては困りますよ」
ジト目で睨まれ、慌てて荷物を運び始める3人組。
見事に息ぴったり。
「そういえばクラムさん、先日のアイズさんとの試合、どうだったんですか?」
質問するラウルにクラムは答える
「アイズねー。ヤバいですねあの子。
こっちがレベルも総合的な能力も上なのに、かなり追い詰められましたよ。
次戦ったら、ちょっと結果は分からないですね」
「ふふん!そうでしょう、そうでしょう!
流石はアイズさんです!」
と、レフィーヤ。
いや何でお前が偉ぶるんだよ。と周りの全員が思ったが、ツッコミは入れない。絶対面倒なことになるから
これが、安心と信頼のレフィーヤクオリティーである。
「やっぱりアイズ、強かったんですか?」
アナキティは、荷物の整理する手を止めず質問を重ねる。
「強かったですね。
アイツは剣においては天才ですから。
魔法もエゲつない程バランスいいし。
嗚呼…、次はなんか対策考えとかないとなぁ」
若干遠い目になるクラム。
アイズに若干戦闘狂の毛があることは周知の事実であるし、そんな彼女に目をつけられたということは、恐らく今後も勝負を申し込まれるだろう。
(早めに対策取らないと死ぬかも)
クラムは、内心ヒヤヒヤしながら生活している。
最近では基礎修行がサボりがちになっていたことを思い出し、一度基礎から鍛え直そうと決心する。
「クラムさん、俺にも稽古つけてくれって言ったら、やってくれるんっすか?」
「いいですよー?」
「やっぱりダメで…、イイんスか!?」
ダメ元で頼んだことが、さらっとOKされビビってしまう。
これまで、のらりくらりと訓練や模擬戦をすることを避けてきたクラムが、あっさりと申し出を受けたのが余程驚きだったのだろう。
「なんですか。言い出したのはラウルさんでしょう」
「いや、そうっすけど」
「な、なら!私もお願いします!」
その話に便乗するアナキティ。
こういう所は流石女性と言うべきか、しっかりしている。
「じゃあ、これ運び終わったら模擬戦しましょうか」
◇ ◇ ◇
「フッ!」
「ハァッ!」
左右から頭部を挟み込むように迫る刃。
クラムはそれを見ることもなく、背を反らし避ける。
目の前を通り過ぎていく金属の塊は、模擬戦用として刃が潰された物ではあるが、第二級冒険者の彼、彼女の振るうソレに当たればタダでは済むまい。
更に攻撃を続けようとする二人だが、クラムの方が一歩早く、ブリッジの様な体勢から、素早く宙に浮かせた両足を振り回す様に蹴りを放ち、強制的に相手に距離を取らせる。
慌てて跳び下がったアナキティとラウルだったが、ラウルの方が避けきれず体勢を崩してしまう。
その一瞬を見逃すクラムではなく、両足が地に着いた途端、滑るような動きでラウルに肉薄する。
「なっ!?」
その不可解な挙動に驚き、剣を振るったがそんな適当な攻撃が当たるはずもなく、あっさり受け流された。
体が流れてしまったラウルに、クラムの木刀が突き刺さる。
「ガフッ」
「ラウル!」
吹き飛ばされた相方を咄嗟に目で追ってしまったアナキティだったが、その一瞬が命取りとなるは実戦でも模擬戦でも変わらない。
「余所見ですか?」
「ッ!?」
その声にバッとそちらを見れば、体勢を低くしつつ、自身の懐に潜り込んでいる男と目が合った。
(いつの間に!?)
そんな当然の疑問が浮かぶが、その答え合わせをしている暇はない。
相手の攻撃の軌道を予測し、胸の前に双剣を構えなんとか防御の姿勢をとる。
――ガキンッ
木刀と鉄剣をぶつけたとは思えないような鈍い音を響かせ、女性の身体が中へ舞う。
急いで体勢を立て直すが…、
「はい、チェックメイト」
顔をあげた先には、目の前に木刀の剣先を突きつけるクラムの姿が。
これは誰が見ても結果は明白だ。
「参りました」
そう言って、クラムから差し出された手を取り、立ち上がるアナキティ。
「お疲れ様でした。なかなか良かったですよ」
「…二人がかりで、かすらせる事すら出来ないかったのに、それは嫌味っぽいですよ」
「そんなことありません。結構ヒヤヒヤした場面もありましたよ?」
「…お二人共、俺を無視して話を進めるのは酷いっす」
仲良さげに話していた二人に近づく、ボロボロの影。
先ほど吹き飛ばされたラウルである。
「あー、ラウルさん、大丈夫でした?」
「大丈夫じゃないっす。お昼ご飯リバースするところだったっす」
「その程度なら問題ないわね」
「ラウルさん、意外と丈夫ですからね」
「二人ともどうして俺にだけそんなに冷たいんすか!?
なんか嫌われるようなことしましたっけ!?」
「あ、先程の模擬戦なんですが、『無視!?』クラムさんの存在感?が薄かったような気がするんですけど、あれはなんだったんですか?」
扱いに一言物申したいラウルであるが、アナキティが聞いたことは自分も気になっていたので黙って話を聞くことにする。
「それはですね、念能力の技術の一つ、気配を消す『絶』というものを使っていたからです」
「ゼツ?」
「えぇ、この技術は気配を感じ取りにくくする技術なんですが、この状態では念能力の燃料であるオーラがほぼ外に出ない状態になるんです」
模擬戦でわざわざそんなことをしていたのは、オーラの扱いについてもう一度見直してみようと、クラムは考えたからであった。
なにより『絶』の状態だと全体的な能力値が下がる。
その状態でどこまで戦えるかという訓練も兼ねていた。
「ならあの横滑りみたいな動きは?」
「あれは足から、進行方向とは逆向きにオーラを放出することで、滑るように動く技術です」
絶で戦った理由の一つはここにもあり、必要な場面で、必要な場所に、必要な量のオーラを一瞬で集められるかの訓練も兼ねていた。
例えば、打ち合う瞬間だけ木刀に『周』を施したり、際ほど言った移動法の時だけ足にオーラを集中させたり。
「とはいえ、俺はこの技術があまり得意ではなくてですね。せいぜい4,5m移動するのが精一杯。しかもオーラの燃費も良くないんですよね。
とはいえ苦手なことから逃げていたらいつまで経っても成長はないので、少し使ってみたんですが…。
まぁ俺の今後の課題ですね」
その言葉に、もっと努力せねばと感化されるラウルとアナキティ。
その後も3人は、暗くなるまで訓練と反省会を繰り返していた。
訓練風景を入れてみました。
こうやって少しずつ戦闘描写を練習していきます。
次回、クラムのステータスが明らかに!
あと恩恵と念の関係性にも触れていきます。
つまり解説会です。
退屈でしょうが、お付き合い下さい。
ではまた次回