ギラティナになったら箱庭に招待された…   作:反骨竜

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四話に引き続き連続投稿です。



挑戦、そして…

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は白き夜の魔王── 太陽と白夜の星霊、白夜叉。おんしらが望むのは、試練への挑戦か? それとも対等な決闘か?」

 

白夜の世界。

夜明けのように空は白澄み、地平の先には険しい山々が聳え並んでいる。

 

そして、それはまさしく一つの世界だった。通常世界の裏側に存在する反転世界よりは明らかに規模は小さいが、景色いう意味ではこっちの方が壮大と言えるだろう。まあ、破れた世界とも言われるあそこは混沌としすぎているから仕方ない。

 

十六夜達は如何やら白夜叉の空気に呑まれているようだ。格の違いを見たからだろう。

 

「水平に廻る太陽と・・・・・・そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現しているってことか」

 

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」

 

「おんしらの返答は?"挑戦"であるならば、手慰み程度に遊んでやる。───だがしかし"決闘"を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り戦おうではないか」

 

「・・・・・・・・・っ」

 

我は決闘を選ぶつもりだ。なぜって?ワクワクするから。

転生する時にあの戦闘民族並みの成長能力を貰ったからだと思うが、如何やら強い相手と戦いたいという思いも貰ってしまったんだと思う。

 

勿論それだけでなく他の理由もある。レベル上げだ。

ギラティナに転生して疑人化を覚えてから何度か喧嘩して人を蹴散らしたことがあったのだが、その時に一回だけ頭の中でこういう声が聞こえたのだ。『ギラティナはレベル2になった!!』と……

 

まあ要するに我のレベルは2という事だ。

あの時は本当に驚いた。てっきりプラチナの初登場と同じレベル50かと思っていたんだが……まあ、あの時は伸びしろがあると思って納得した。

 

なんとなくであるが、白夜叉と戦うとレベル20近くにはなりそうな気がするのだ。

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

 

「ふむ?それは決闘ではなく試練を受けるという事かの?」

 

「ああ。これだけのゲーム盤を用意出来るんだからな。アンタには資格がある。────いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

 

彼は試練を選ぶらしい。世界を幾つも持っているというのは流石に予想外だったのだろう。

 

「く、くく・・・・・・して、他の童達も同じか?」

 

「・・・・・・ええ。私も、試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じ」

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!”階層支配者”に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う”階層支配者”なんて、冗談にしても寒すぎます!それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

 

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさて、どうだったかな?」

 

飛鳥と、耀はも試練を選んだようだ。あと、もしかして我は言い出すタイミング逃してないか?はぁ、耀が『右に同じ』と言ったときに言い出せばよかった。

 

「……して、竜の娘よ。おんしは如何するつもりじゃ?」

 

いや、タイミングは白夜叉が作ってくれた。

それにしても、白夜叉は我が竜であることを知ってたのか。道理でちょくちょく視線を向けられていたわけだ。

 

「それが私の事なら私は決闘を選ぶよ」

 

「「「「っな!?」」」」

 

我と白夜叉以外はかなり驚いている。特に十六夜と黒うさぎ。そういえばこの二人の前では特に何もしていなかったな。

 

「ほ、本気ですか!?」

 

「うん。勝率はゼロではない」

 

我は白夜叉に全力で戦うつもりだ。最悪の場合反物質でのごり押しも考える位には。

 

「そうか決闘を選ぶか!だがその前に試練を先の終わらせるとするかの」

 

その時、何処からか何かの鳴き声が聞こえた。その声に一早く反応したのは耀だった。

 

「何。今の鳴き声。初めて聞いた」

 

「ふむ。・・・あやつか。おんしら三人を試すには打って付けかもしれんの」

 

そう言って白夜叉は何か手招きをすると巨大な獣が翼を広げ飛んでくる。

 

「グリフォン・・・嘘、本物!?」

 

「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。”力””知恵””勇気”の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

するとグリフォンはすぐ近くに降りてきた。かなり大きく、我くらいの人間なら一飲み出来そうだ。

 

「さて、肝心の試練だがの。おんしら三人とこのグリフォンで”力””知恵””勇気”の何れかを比べ合い、背に跨って湖畔を舞うことが出来ればクリア、ということにしようか」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

試練の結果を言うと勝利する事が出来た。耀が勇気を選んで、飛ぶグリフォンの背に乗り振り落とされないように耐えるという内容で、最後に耀が落ちた時はサイコキネシスで助けようと思ったが、その前に耀はまるで空気を蹴るように飛んで帰ってきたのだ。

 

それを出来るようにする耀のギフトを見て白夜叉がかなり興奮していたが専門的な物は分からなかった。

 

系統樹が彫られているようだが、そもそもアルセウスにより創り出されたギラティナにとって進化とは無縁とも言えるので、はっきり言って興味は無い。

 

 

「さて、遅くなってしまったが竜の娘よ。本当に決闘でいいんじゃな?」

 

「うん。 構わない」

 

「では……こんなかんじかの?」

 

『ギフトゲーム名 "竜と星霊の対決"

 

・プレイヤー一覧 世逆 反永

 

・ホスト側ゲームマスター 白夜叉

 

・プレイヤー勝利条件 ゲームマスターに認められる。又はゲームマスターを戦闘不能にする。

・プレイヤー敗北条件 降参する。又は上記の勝利条件が満たせなくなった場合。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

"サウザンドアイズ"印』

 

「……解った」

 

「では、黒うさぎよ。開始の合図を頼む」

 

「はぁ、解りました。ただ命にかかわる事にはしないでください!!」

 

「「わかっておる(了解)」」

 

お互いに距離を取り睨み合う。そして我はプレッシャーとテレパシーを白夜叉に集中して発動する。これにより白夜叉の考えていることが解るようになる。

若干ずるい様な気もしなくもないが、使えるものは使わないと相手に失礼だろう。……反物質は除いて。

 

(っ!この威圧感…こんな強いものを受けたのは何千年ぶりかの?)

 

うん、やっぱりプレッシャーは効くんだね。ゲームではレベルの差なんて関係なく発動してたから効くだろうとは思っていたけど。

 

「では……始め!!」

 

お互いに動き出さない。何をしてくるか分からないのでまずは様子見が良いだろう。勿論いつでも『守る』を使えるようにしているが、連続して使うのは危ないため出来れば残しておきたい。

色々試した結果、1ターンは一分となるらしい。反動のある技などで分かったが、サポート系の技や『空を飛ぶ』といった技は途中でキャンセルすることが出来るらしい。

 

(……このままじゃ埒が明かないの)

 

「ふむ、先手を譲ろう。このままじゃあ埒が明かぬ」

 

「そう、わかった」

 

白夜叉が先手を譲ってくれたがどうしよう?『どくどく』や『鬼火』も考えてみたが命中率がな・・・ゲームで言う命中率は相手が全く動かない時の命中率であって、相手が木でも当たらないことがあるのに、白夜叉相手にこの距離では初手に使うのはどうかと思ってしまう。

 

取り敢えず様子見として一番最初に覚える技にしてみようか。

 

「竜の息吹」

 

威力60、命中100、30%の確率でまひさせることが出来る技だがタイプ一致なので威力は90になる。

ドラゴンタイプの技ははがねタイプとフェアリータイプのポケモン以外に威力を落されないので、この技の効き具合でどれほどの実力か知ることが出来るだろう。

出来れば追加効果の麻痺も狙いたい。

 

口を開け攻撃する。因みにアニメ仕様で派手な攻撃になっている。

 

「ほう」

(なかなかの攻撃じゃの。じゃが)

 

え~。持ってる扇子で払われたんだが。

でも、一見して何事も無いように見える白夜叉だが効果はあったらしい。

 

「ふむ、見た目通りそれなりの威力じゃの。少しばかり腕が痺れてしまった」

 

「そう」

 

それは追加効果なのか威力の御蔭なのかは知らないが、当たったという事はフェアリータイプではないという事だ。

 

「それじゃあ今度はこちらからいこうかの」

 

そう言うと白夜叉は直径一mくらいの火の玉を出して飛ばしてくる。が、そこまで早くは飛んでこないので横に避けた。

 

「隙ありじゃ」

 

「ッ!」

 

避けたとたん白夜叉が目の前に居た。ついでに言うと拳も。

だが私はゴーストタイプだ。ノーマル、かくとうタイプの技は当たらない。

 

顔を殴られるが効果は無いので攻撃に入る。

 

(ストーンエッジ)

 

命中80と心許無い技だが攻撃してすぐだ。すぐに動くことは…

 

「…今のは少しばかり危なかったのう」

 

動けたよ!何だかんだ言って一撃もまともに攻撃できてないじゃないか。

 

(それにしても今のはなんじゃ?まるで手ごたえが無い。あやつのギフトか?)

 

また距離が開いた。兎に角白夜叉が炎を使うことが解ったので、対策をしよう。

 

(神秘の守り)

 

5ターンの間、つまり五分間状態異常にならなくなる技だ。火傷は後になるほどきつくなるからね。

 

(雨乞い)

 

5ターンの間雨状態にしてみずタイプの技が威力1.5倍にあがり、ほのおタイプの技の威力が二分の一にさせる事が出来る。

ただ、普通の雨とは違ってどんな小さい火でも消えずに二分の一になるという謎の現象が起きるんだが。

 

「…雨か?」

 

「ですが此処は白夜叉様の世界。日を隠す雨なんて降るはずは…」

 

ん?さっきまで黙っていた十六夜達が話し出した。

 

「うん。それに何も前兆が無いのに雲が出た」

 

「ってことは世逆のやつがやったのか?」

 

「…今度は雨を降らせたか。なかなか奇妙な技を使うのぉ」

(じゃが雨程度なら焼け石に水じゃぞ?それだけではないのか?)

 

「…そろそろ行くよ。かみなり」

 

これまた命中が低めの技だが雨の時は必中技だ。威力も百越えの高威力である。

 

「っ!成程、このための雨か!」

 

見事命中。いくら白夜叉でも上空から急に来れれたら対応できなかったんだろう。

これを機に畳みかける。

 

「シャドーボーr…っ!」

 

「そう易々と攻撃はさせぬぞ!」

 

火の玉を飛ばしてくるがさっきより火力が低い気がする。雨の効果を受けてるんだろう。

避けると同時に雷を落す。が、

 

白夜叉の頭上に盾の様なものが現れ雷を防いだ。ギフトって奴だろう。

 

「流石に鬱陶しいのぉ」

 

そう言うと、直径十mはありそうなほどの炎の玉を作り出して…雨雲を吹き飛ばした。

二分の一であの威力となると、本来なら町一つ消し去れそうなんだが……

 

底が知れないとはこういう事なのだろうか?勘であるがこの世界ぐらいなら消し去る事が出来そうだ。

 

「思ったより時間が掛かってしまったの。そろそろ決着をつけるとしようか」

 

―――だが、それにしてもまだワクワクするのは絶対に戦闘民族の影響をうけてるよな……

 

「…うん、じゃあ()()()()()

 

兎にも角にも、全力を出すのは思いのほか楽しい。

…は~、本当は使うつもりはなかったんだが。

 

白夜叉は先の炎の玉より少し小さい物を作り出す、こっちの命も配慮してくれたんだろう。

対して私は無手、だがこれからする行動は決まっている。

 

「いくぞ!」

 

炎が目の前に迫ってくる。そして、

 

「シャドーダイブ」

 

シャドーダイブは特性ノーガード持ちのポケモンがいなければどんな攻撃も避ける事が出来る。更に防御技の効果を打ち消す事も出来るギラティナの専用技であり最高威力のゴーストタイプ技だ。

だがこの技で攻撃はしない。

 

(フォルムチェンジ、竜化、アナザーフォルム)

 

だれからも見えない状態でフォルムチェンジする。そして白夜叉の背後に回り、

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

姿を現す。だが、何故か広がるアナザーフォルム特有の羽で白夜叉を覆った状態で、だが。

驚いた声がするが白夜叉からすれば急に真っ暗に、他から見れば約7mの六足歩行の竜が出てきたから無理もない。

 

(守る)

 

これにより我の体の周りに青い光が出てくる。羽で覆った白夜叉が羽を攻撃するが全て無効化される。

これを使うと、我もただでは済まないだろう。『守る』もZ技を受けた時は守り切れず、本来の4分の1のダメージを受けるから。

でもこれが一番ダメージを負わせられる方法だから。迷わない。

 

(反物質!)

 

その時、大爆発が起きたのは言うまでもないだろう。


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