ジリリとなる目覚まし。
俺は起き上がるとすかさず目覚ましを止める。
現在は朝の2時だ。
いや、夜中と言った方が正しいかもな。
最近はこの時間に起きることがあたりまえになってしまい目覚まし時計よりも早く起きる始末だ。
「・・・ふぅ・・・」
洗面台で顔を洗い、残っている若干の眠気を洗い流す。
ふと目の前にある鏡に視線を向ける。
目元まで伸びた長い黒髪。
近づくなと言わんばかりの拒絶のオーラ。
時折髪の毛の間から見える光の灯っていない目。
まさに【不気味】という言葉がピッタリなその風貌は、とてもじゃないが友達が多そうには見えない。
夏場ならば幽霊だと言われそうだ。
しかし俺はそんな自分の姿が気に入っている。
この外見のおかげで他の人は俺に関わろうとしない。
勿論陰口を言われるがそんなのは日常茶飯事だ。
俺自身に危害を加えなければ別に構わない。
「・・・はは、何言ってんだろう。アホらし」
寂しく響く乾いた笑い。
その笑い声には何の感情も感じられなかった。
歯を磨き、コーヒーを淹れると椅子に座り一息つく。
目の前には先程淹れたコーヒー。
ふと窓に視線を移すと外はまだ薄暗い。
まだ時間は朝の3時前。
まぁ当然か。
「・・・まだバイトまで少し時間があるな」
中学の頃から行っている新聞配達のバイト。
とはいっても高校に上がると同時に引っ越したため同じ職場ではないが今となっては何の苦もなくこなせてる。
本当に慣れって怖いね。
コトッ
コーヒーを一口飲み、部屋をぐるりと見渡す。
必要最低限のものしかない殺風景なワンルーム。
お世辞にも住みやすいとは言えないが、暮らせればなんでもいい。
一人暮らしだし。
一応俺もまだ学生。
家賃や光熱費、水道代は勿論、他にも出費は当然ある。
新聞配達のバイトの他に、学校が終われば小さいレストランの厨房のバイト。
この2つのバイトをほとんど休みなしでこなしているが、それでも生活ギリギリだ。
だが無駄遣いをしなければ問題はないのでとりあえずは2つのバイトで良しとしている。
もう一つぐらい増やしてもいいけど。
「・・・そろそろ出るか」
残ったコーヒーを一気に飲み干すと、コップを流しに下げバイトに行く支度をする。
「確か今日は始業式か」
カレンダーを見て静かに呟く。
今日から晴れて高校2年生になるわけだが、心境は何も変わらない。
「ま、いつも通りバイトをこなすだけだな」
大して中身の入っていないリュックを背負い、玄関を開ける。
まだ外は薄暗いが、少し空が明るくなっているがわかる。
「・・・もしかしたら日の出見れるかもな。ちょっとゆっくり行くか」
愛用の自転車に乗り、ゆっくりとペダルを漕ぐ。
【この一年が、何事もなく終わりますように】
そう願いながら俺、氷月 冬夜(ひつきとうや)のいつも通りの1日が始まった。
巡る運命。少しずつ動き出した歯車。
そしてそれは新たな出会いを生む。
~次回ラブライブ~
【第1話 始まり】
お楽しみに。