ラブライブ!~太陽と月~   作:ドラしん

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さぁいよいよまきりんぱな回を・・・

と思ったんですけど、原作と大幅に変えようと思います。

今回は完全オリジナル回ですが、次回から始まる1年生の加入回に関しましては、一人ずつスポットを当てていこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。

それでは第9話始まります。


第9話【勧誘大作戦】

俺と太陽が正式にμ'sに加入して数日。

 

新メンバーが増える兆しはなく、体力作りとダンス、歌の向上を図るべくがむしゃらに練習に取り組んでいた。

 

とはいっても俺はバイトでほとんど練習に顔を出す事が出来ずμ'sについては太陽に任せっきりである。

 

俺がマネージャーになった意味・・・

 

「よし、一旦休憩だ」

 

「うー・・・もうダメ・・・」

 

「朝日君厳しすぎるよ!」

 

練習が一旦区切りを迎え、それぞれ休憩に入る。

 

南さんは体力の限界を迎えておりその場に座り込む。

 

高坂さんは太陽に対しクレームをつけていた。

 

「だらしないですね。これくらいの練習で」

 

一方の園田さんはまだ余裕の表情。

 

これは最近知ったことだが、園田さんはスクールアイドル以外にも弓道部に入っており、二足のわらじで取り組んでいるとの事だ。

 

それなら体力があるのにも納得だ。

 

「海未ちゃんは元々体力があるからいいよ!そして氷月君!氷月君だけずっと休んでてズルい!」

 

おっと高坂さんの矛先が俺に向いたな。これはめんどくさい。

 

「こら穂乃果!氷月さんはいつもバイトで大忙しなんですよ?貴方には休ませてあげるという気持ちがないのですか!?」

 

「海未ちゃんは氷月君に甘いの!」

 

園田さんの優しさが身に沁みるな・・・

 

「何を言ってるんですか!折角の休みにも関わらず私達の練習を見に来てくれてるんですよ?むしろ私達は感謝すべきなのです!」

 

・・・俺はいつの間にか凄い良い身分になっていたみたいだな。

 

そういえばまだ言ってなかったが、今日は珍しくバイトが休みの日だ。

 

まぁほぼ強制的に休みを取らされたんだけど・・・

 

俺としてはもっと働いて1円でも多く稼ぎたかったんだがあの店長「休まなきゃクビだ」と言い出した。

 

そのため俺は休まざるを得なくなった。

 

あの店長め・・・

 

「氷月君は神様かなんかなの!?」

 

「限りなく仏に近い存在かと」

 

マズイマズイ、これ以上ほっとくと俺の身分が理不尽に上がっていく・・・

 

急いで止めねば。

 

・・・ていうか俺園田さんにそんな持ち上げられるような事したか?

 

どうなってんだ園田さんの中の俺は。

 

「ストップストップ!なぜそんなに俺が持ち上げられているのかはわからないが落ち着け!特に園田さん」

 

「む、大丈夫です氷月さん!ここは私が」

 

「うん一回黙ろうね」

 

・・・園田さんってこんなキャラだっけ?

 

 

 

 

 

「氷月君の役割って何?」

 

それからしばらくしてようやく全員が落ち着いた時、高坂さんが口を開いた。

 

ちなみに南さんはもう復活している。

 

「役割ですか?」

 

「うん。朝日君は練習の監督をしてくれてるコーチっていうのはわかるけど、氷月君はなんだろうと思って」

 

まぁ当然の疑問だな。俺μ'sに入ってから何もしてないし。

 

「マネージャーじゃないの穂乃果ちゃん?」

 

「でも、マネージャーって何するの?」

 

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

あーあ、黙っちゃったよ。

 

とはいっても難しい質問だな。

 

幅広く言うならサポートだけど今の俺はサポートには全くなっていない。

 

「でも、冬夜だしさ」

 

なんだそれ答えになってねぇよ。

 

とりあえずしばらく喋らないでもらっていいかな?

 

「まぁその内わかるよ」

 

「・・・その内?」

 

「そう。その内」

 

一応俺だって全く働いてないわけじゃない。

 

まさに明日行動に起こそうと思ってたとこだし。

 

「後、一つ言っとくけど俺は君達の練習を見ているわけじゃないよ」

 

「・・・え?」

 

「俺が見てるのは君達の心だ」

 

練習を見た所でアドバイスは出来ないし何もしてあげられない。

 

だから俺は3人の内面を見る事しか出来ない。

 

悩みを抱えてないか、隠し事はしてないか、メンバー間の人間関係は問題ないか。

 

俺が出来ることはこれらにいち早く気付く事ぐらい。

 

でも今はあまり必要ないし実質何もしてないに等しいんだけどね。

 

「ま、明日からは俺も動くよ。でも君達の力も借りるつもりだからよろしくね」

 

全員の顔を見ながら言う俺。

 

しかし俺以外の全員は頭の上にハテナマークを浮かべていた。

 

うん。まぁ伝わらないよな。

 

 

 

 

 

次の日

 

「よし、これで終わりだな」

 

いつもより早く登校した俺は、壁にとあるポスターを貼っていた。

 

内容はメンバー募集を呼び掛けるもの。

 

枚数は僅か6枚で、貼った場所は1年2年3年の教室の前のみ。

 

校内全体に貼るのは主張が激しいからな。

 

「これで何人の人が見てくれるか・・・」

 

このポスターを見ただけで新メンバーが加入するとは考えていない。

 

大事なのはμ'sの存在と現状を知ってもらう事だ。

 

これで少しでも興味を持ってもらえるといいんだがな。

 

「・・・まぁあの子なら望みはあるか」

 

脳裏に浮かぶのはファーストライブの時に居た眼鏡をかけた少女。確か名前は小泉さんだったな。

 

ライブを見ていた時の表情、姿勢、反応。

 

どれを取ってもあの場にいた誰よりも良く、惹かれていた。

 

他の子達も興味を持ってなかった訳ではないが新メンバーとして迎え入れるには時間が掛かりそうだ。

 

その半面小泉さんは後少しのキッカケがあれば加入してくれそうだ。

 

「ま、チャンスを待つしかないか」

 

ポスターは貼った。

 

しばらくは様子見だな。

 

ポスターを貼り終わった俺は教室に戻るべく背を向け歩き出した。

 

その時だった。

 

 

 

 

「どういうつもり?」

 

 

 

 

「・・・生徒会長」

 

背後から発せられた声に振り向くと、そこには冷徹な生徒会長 絢瀬絵里が立っていた。

 

・・・こりゃまためんどくさいのが来たな。

 

「さすがは生徒会長。朝早いんですね」

 

「私の質問に答えて」

 

おっとこりゃ手厳しい。

 

冗談は通じなさそうだな。

 

「貴方の質問は確か、どういうつもり?でしたね。その質問に答えるとすれば、廃校阻止への一歩。ですかね」

 

「ふざけないで」

 

こっちは真面目なんですけどねー・・・

 

「スクールアイドル?そんなので廃校を止められると思ってるの?」

 

「・・・やっぱり無理がありますかね?」

 

「当たり前よ!スクールアイドルなんて一歩間違えれば学校の評判を落としかねない。ましてやあの子達はただの素人。成功なんてするはずない」

 

「なるほど。確かに貴方の言う通りかもしれないですね。スクールアイドルも0どころかマイナスから始めたレベルですし圧倒的に時間が足りなすぎる。到底1年でどうにかなるレベルじゃないですね」

 

「だったらこんな事今すぐにやめなさい。ポスターも全て剥がしてスクールアイドルもやめて勉学に励む。このまま続けても学校生活を無駄にするだけ。それに貴方は他校の生徒でしょう?期間限定で通っているだけの貴方に何も出来ないわ」

 

おー言うね。

 

そこまで言われるとさすがにちょっとイラッてくるな。

 

「確かに何も出来ないかもしれないです。それでも【僕】は廃校を止めたいんです!高坂さん達だって本気で取り組んでいる。今更やめるなんて事出来ません!」

 

「あれで本気?笑えてくるわね。あの程度のダンスのレベルで?あの程度の出来で?ライブは見たけど私には何も伝わってこなかった。あのダンスでは貴方達の熱意も思いも何もかも。貴方があの現状を本気だと言い張るなら、何をしても無駄よ。はっきり言うわ、迷惑なのよ!」

 

「・・・!・・・貴方に何がわかるんですか!あの子達の努力も知らないのによくそんな事言えますね!貴方だって何も出来てないのに自分の事を棚に上げて・・・何も出来ないふんぞり返っているだけの貴方にそんな事言われたくありません!」

 

 

 

バシン!

 

 

 

「・・・」

 

その瞬間、頬に衝撃が走った。

 

ヒリヒリと痛む感覚。ビンタされたのだと瞬時に悟った。

 

「貴方こそ・・・私の何がわかるのよ!!私だって努力してる!廃校を止めるために毎日模索し続けて・・・毎日動き回って・・・何も出来ないふんぞり返っているだけですって?貴方こそ何も知らないくせによくそこまで言えるわね!」

 

「・・・」

 

「何も苦労した事のない貴方にはわからないでしょうね。私の苦労が、私の苦しみが」

 

・・・さて、そろそろかな?

 

大体わかってきたしもういいだろ。

 

「・・・これ以上は時間の無駄ね」

 

俺に背を向け歩き出そうとする絢瀬会長。

 

だがまだ行かせるわけにはいかない。何の為に俺が演技してたと思ってるんだ。

 

このまま帰らせると思うなよ?

 

「絢瀬会長」

 

「・・・まだ何かあるの?もうこれ以上話す事は何もないわ」

 

「貴方には無くても・・・

 

 

 

 

 

【俺】にはあるんですよ」

 

 

 

 

 

「・・・!・・・」

 

その瞬間、周りの空気が変わった。

 

一人称が変わり、絢瀬絵里は瞬時に悟った。

 

今までのは演技だったのだと。

 

「とは言っても俺の一方通行になりそうですね。俺の言葉に反応するかは貴方の自由ですが、とりあえず言いたい事を言わせてもらいます」

 

「・・・」

 

「まずは絢瀬会長。貴方明らかに焦ってますね?まるで、スクールアイドルを貴方が認めないように貴方も誰かから認めてもらえないような」

 

「・・・!・・・」

 

「貴方は廃校を阻止する事だけを考えて動いてる。それは全く悪い事じゃないしむしろ当然です。生徒会長としてはね」

 

「・・・何が言いたいの?」

 

「まぁ最後まで聞いてくださいよ。でもあくまでも生徒会長としての正解であって絢瀬絵里としての正解ではない。きっと、貴方が認められない原因はそこなんじゃないんですか?わかりやすく言うと、やりたい事をやってるか」

 

「やりたい・・・事・・・」

 

「でもきっとこの答えはまだ出せないでしょう。貴方自身、自分が何をしたいのかわかってないでしょう」

 

「そ、そんなこと!」

 

「じゃあ貴方は今自分がやっている事を心から胸はってやりたい事だって思えますか?」

 

「・・・思えるわよ!」

 

「・・・そうですか。だったらいいです。でも、一つだけ言うと自分自身に嘘をつく程虚しい事はないですね」

 

「・・・」

 

「とりあえず今現在が貴方のやりたい事だったみたいなのでこの話は終わります。続いては、単刀直入にお聞きしますが・・・

 

 

 

 

絢瀬会長って昔何かダンスやってました?」

 

「・・・!・・・」

 

「その様子だと図星みたいですね。ダンスの部分を執拗に指摘してるのが気になったんですよ。歌でも無くライブそのものでも無くアイドルとしての姿勢でも無く貴方が着眼していたのはダンスのみ。スクールアイドルを認めないのは、最初は貴方がスクールアイドル経験者だと思っていたんですがスクールアイドル経験者ならダンスだけではなくもっといろんな方向から指摘するはず。でもそれが無かった。でもダンスの経験者なら他はまだしもダンスの指摘は出来ますよね。そして見た所絢瀬会長はロシアとのハーフ…またはクォーターですよね?これは俺のイメージですけど、絢瀬会長がやっていたダンスってバレエですか?」

 

「・・・なんで・・・」

 

「また図星みたいですね。バレエってダンスの中でも表現力がより要求されるじゃないですか?ダンスを見て何も伝わらなかったというのはそうゆう事かなって」

 

「貴方・・・何者?」

 

「何者って人間観察が好きで少し察しの良いただの男子生徒ですよ」

 

絢瀬絵里はただただ困惑していた。

 

自分の事を全て言い当てられて、この短時間で全てを知られた冬夜に恐怖を感じていた。

 

先程まで強気だった彼女も今では冬夜に圧倒されるのみ。

 

もはや反論する気力も残っていなかった。

 

「それでは最後に一言だけ」

 

冬夜は絵里に歩み寄ると、耳元で淡々と放った。

 

「敵にする相手は、選んだ方がいいですよ?」

 

「・・・!・・・」

 

その瞬間、絵里の背筋は凍り付いた。

 

まるで蛇に睨まれた蛙のように、その場から動く事が出来なかった。

 

瞬時に絵里は悟った。

 

【勝てない】

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

急いで振り返るがそこには冬夜の姿は既に無かった。

 

絵里は初めて思い知った。

 

氷月冬夜の恐ろしさを。

 

 

 

 

 

「君って本当に不思議な子やね」

 

「また覗き見ですか。悪趣味ですね」

 

絵里の元を離れた冬夜。

 

その先に待ち受けていたのは冬夜が苦手とする相手である東條希だった。

 

「それにしてもえりちの事をあそこまで見抜くとはさすがやね」

 

「えりち?ああ絢瀬会長の事ですか。別に大した事ありませんよ」

 

「いやいや普通あんな的確に見抜けんて」

 

微笑みながら淡々と話す希に相変わらず読みづらい人だと感じる冬夜。

 

「で、一つ聞いてもええ?」

 

しかしそんな表情から一転して真面目な表情になった希は冬夜に一つの質問をぶつけた。

 

「君の目的はなんなん?」

 

真っ直ぐな瞳で冬夜を見つめる希。

 

珍しく不安の感情が混じった視線に、冬夜は希の横を通りすぎながら答えた。

 

「わかりますよ。その内」

 

意味深な発言を残し去っていく冬夜。

 

そんな冬夜の背中を見つめながら、希は小さく呟くのだった。

 

「氷月君。君は味方か敵か・・・どっちなんや?」

 

 

 

 

 

 

場所は変わり1年生の教室前。

 

眼鏡を掛けた一人の少女が1枚のポスターをじっと見つめていた。

 

【皆と一緒なら輝ける】

 

「・・・よし」

 

ポスターに書かれていた言葉を黙読した彼女は少しの期待を膨らませながら、教室に入っていった。

 

4つめのピースが今、動き出した。




自分の夢の為。

自分が輝く為。

弱い自分を捨てる為。

一人の少女は走り出す。

「やりたいな・・・アイドル・・・」

「でも、私なんて・・・」

やりたい思いと止まらせる思い。

「小泉花陽。君は今、何がやりたい?」

混じりあった先に彼女が出した決断とは・・・




~次回ラブライブ~

【第10話 少しの勇気を君に】

お楽しみに。
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