ラブライブ!~太陽と月~   作:ドラしん

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先に謝ります。

すいません打ってて途中で迷走しました。

どうゆう方向に進めば良いか分からなくなり無理矢理打ち込みました。

なので変な所やキャラ崩壊あると思います。

そして当初6000字くらいで終わる予定が付け足し付け足しの悪い癖で気付けば文字数倍になっていました。

なので皆様心してご覧下さい。

それでは第21話始まります。


第21話【冬夜、王者を知る】

夏休み終了まで後数日。

 

絵里からキスされた事がまだ頭から離れない俺は、ボケーッと町を彷徨いていた。

 

今日は珍しくバイトが休みの日。

 

本当はバイトを入れたかったのだが、店長から強制的に休みを取らされた。

 

疲れが顔に出ていたのだろうか。

 

という訳で暇になった俺は、やる事が無いためたまには散歩するかと思い立ち、町に繰り出した。

 

ちなみにμ'sは練習中であるが、距離を置きたい為顔を出すつもりはない。

 

「賑やかだな…」

 

町は夏休みという事もあり若い男女で溢れかえっていた。

 

デートしている者、友達と遊びに出掛けている者。それは様々だった。

 

「う…人酔い起こしそうだ…離れた方が良いな」

 

一先ず人混みが苦手な俺は足早にその場から立ち去ろうとする。

 

そんな時、その瞬間は訪れた。

 

「綺羅ツバサがいるぞー!!!」

 

突如聞こえる男性の叫ぶ様な声。

 

その声に他の人達も反応していた。

 

…あれ?その名前どっかで聞いたことあるな。

 

「本当に!?あのA-RISEの!?」

 

…ああ、今ので思い出したわ。

 

そういえば太陽がスクールアイドルの話をしてた時に動画見せられたっけ。

 

A-RISE。

 

男女問わず様々な世代から絶大な人気を誇る綺羅ツバサ、優木あんじゅ、統堂英玲奈のエリート校、UTX学院に通う3年生3人から形成されたスクールアイドル。

 

スクールアイドルの王者と呼ばれるに相応しい程の高いレベルと大きな魅力を兼ね備えた彼女達は将来芸能界入りを約束されている。

 

…と太陽が熱く語っていたな。

 

とりあえずそれ程までの有名人が今ここにいる訳だ。

 

そりゃ騒ぎにもなるな。

 

「行こうぜ行こうぜ!」

 

「サイン貰おう!」

 

「私写真撮る!」

 

次々と声の方へと向かう人々。

 

人混みごと移動するのは中々見れないレアな光景だ。

 

皆よっぽど綺羅ツバサの姿を見たいらしい。

 

まぁ俺は興味無いが。

 

そして人混みが移動して少しすると、人混みを掻き分けてこちらに走ってくる3つの人影が見える。

 

それを追い、人混みも段々こちらに近づいて来ている。

 

…何これどうゆう状況?

 

「とりあえず…離れるか…」

 

俺はチラチラと後ろの様子を伺いながら小走りで距離を取ろうと試みる。

 

しかし、人影と人混みは次第に全力疾走になり距離はどんどん縮まっていた。

 

「…!…いやいや何でこっち来るの!?」

 

それに吊られ俺も走るスピードを上げる。

 

やがて、こちらに向かってくる人影の姿が露わになる。

 

そこにいたのは…

 

「…いやいや勢揃いかよ!」

 

太陽から見せて貰ったA-RISEの動画に出ていた少女3人。

 

もとい、綺羅ツバサだけでは無く優木あんじゅや統堂英玲奈を含めたA-RISEの3人がこちらに走って来ていた。

 

「ごめんなさい!この後用事があって今は無理なの!」

 

「本当に皆ごめんね!」

 

「すまない…時間が無いんだ!」

 

追ってくる人混みに向かって謝罪する3人。

 

そして気付けば俺とA-RISE3人は合流していた。

 

「いや何でこうなってんの?」

 

何故か俺まで追われる様な形になってしまい、A-RISEと共に逃げる羽目に。

 

ちなみにA-RISEはまだ俺に気付いていない。

 

てか俺無関係なんだし別に逃げなくて良いじゃん。

 

俺は走るスピードを緩める。

 

「おいあの男誰だ!」

 

「まさか誰かの彼氏…?…」

 

「許さねぇぞこらぁぁぁ!!」

 

ヤバいヤバいヤバい!!凄い勘違いされてる!?

 

でも誤解解いてる暇なんてないしあいつらに捕まったら殺される!

 

何で俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ!

 

くそ…こうなったらあいつらを撒くしか無い。

 

となれば…

 

俺は考える間もなくA-RISEの3人に言った。

 

「こっちです」

 

「あなたは…」

 

「いいから走って」

 

俺は路地裏へと入り込む。

 

A-RISEの3人も半信半疑ではあったが、俺に続いて路地裏へと入っていく。

 

そして次々と路地裏を転々とし、なるべく追手の視界に入らない様に曲がり角を駆使していく。

 

捕まったらまず無事では済まない事が分かってる俺は必死。対するA-RISEは…

 

「へぇー、こんな道あるのね」

 

「この子凄い道詳しいねー」

 

「こうゆうの楽しいな」

 

と緊張感が全く無い。

 

どうやらこの人達は俺の命が懸かってるという事を知らないらしい。

 

こっちはこんなに切羽詰まってるのに…

 

無我夢中で走る俺と楽しそうについてくるA-RISE。

 

気付けば追手はもう来ていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…ここまで来れば…」

 

振り切る事だけを考えて走りまくった結果、何故かUTX学院の近くまで来ていた。

 

あんだけ走ったのは久しぶりだ…

 

「ゴホッ…あぁ…しんどい…」

 

現在俺は絶賛息切れ中です。

 

くそ…バイトあんだけこなせば体力ついただろと高を括ってたけど全然別問題じゃねぇか…

 

「凄ーい!ここUTXの近くだ!」

 

「なるほど…これは使えそうね」

 

「今まで知らなかったな。いい近道だ」

 

そしてA-RISEの3人はあれだけ走ったにも関わらず息切れすら起こしていなかった。

 

…化け物め。

 

こっちはこんなに苦しいのに余裕かよ。

 

「それはそうと、ありがとね。私達を逃げさせてくれて」

 

そう言い前に出るのはA-RISEのリーダーである綺羅ツバサ。

 

ちょっと出たおでこがチャームポイントらしい。

 

「ありがとう〜!道詳しいのね」

 

続いて話掛けてきたのは優木あんじゅ。

 

一見ふわふわしている様だがA-RISEの中では小悪魔的な立ち位置で天然に見せかけてちょっと腹黒というギャップが人気らしい。

 

「とても助かった。ありがとう」

 

そして最後に話掛けてきたのが統堂英玲奈。

 

少々硬い言葉遣いが特徴的で左目の泣きぼくろがチャームポイントだ。

 

…あ、これ全部太陽からの情報な。

 

「そういえば、あなた名前は?」

 

そっか。何か成り行きでここまで連れてきちゃったけど初対面だよな俺達。

 

ツバサさんの言葉で気付く。

 

「氷月冬夜です」

 

「氷月冬夜…随分変わった名前ね」

 

ほっとけ。

 

「私は綺羅ツバサ。UTX学院の3年生よ。知ってるかもしれないけど、A-RISEというスクールアイドルのリーダーをしてるわ。ツバサって呼んでね。敬語もいらないわ、冬夜君」

 

いきなり下の名前で呼び捨てときたか…

 

ましてや相手はスクールアイドルの頂点と呼ばれているA-RISE。

 

…呼び辛い。

 

「私は優木あんじゅ。よろしくね?」

 

ウインクしながら自己紹介をする彼女は、まさに小悪魔という言葉が似合う程様になっていた。

 

μ'sの小悪魔担当と全然違うな。

 

「あ、私の事もあんじゅで良いから」

 

…あなたもですか。

 

「最後は私だな。私は統堂英玲奈。私の事も英玲奈で構わない。気に食わなければお姉様でもかまわな…」

「英玲奈調子乗らない」

「いたっ…ちょっとしたジョークなのに…」

 

ツバサさんに頭を叩かれ涙目になる英玲奈さん。

 

ていうか一番ボケ無さそうな人がボケてきたからちょっと困惑するんだけど。

 

まさかのイジられキャラなのか?

 

「じゃあ俺はこれで」

 

とりあえず撒く事が出来て一段落。

 

後はあの人混みにまた見つからない様に注意しながら帰るだけ。

 

この場にいる必要は無いと思い立ち去ろうとしたその時、A-RISEはとんでもない提案をしてきた。

 

「そうだ!助けてくれたお礼に私達の練習見せてあげる」

 

「…え?」

 

ツバサさんの提案にキョトンとした表情を浮かべる俺とA-RISE二人。

 

今ツバサさんは何て言った?

 

練習を見せるって言った?

 

え、誰に?もしかして…俺?

 

「いやいやいや!そんないいですよわざわざ」

 

俺はすぐさま断った。

 

ぶっちゃけ俺はそこまでA-RISEに思い入れは無いし詳しく無い俺が見てもしょうがない。

 

「丁度これからUTXで練習なのよ。大丈夫後悔はさせないわ」

 

「いや、大丈夫です」

 

「そう言わずに」

 

え?何この人全然引き下がる様子無いんですけど。

 

もう!この人もこうゆうタイプかよ!そうゆう知り合いは1人で充分だよ…

 

こうなったら残りの二人に助けを求めるしか…

 

「いいアイデアね。確かに最近練習に緊張感が足りないなって思ってたの。私も見に来てほしい!」

 

「そうだな。だらけてしまう事もあるくらいだしこれは良い刺激になるかもしれない。私からも頼む」

 

全滅っ!

 

ていうかそれもはやそっちからのお願いじゃん!

 

お礼の話どこいったんだよ!

 

「という訳でこちらは大歓迎。冬夜君、どうかしら?」

 

勝ち誇ったかのような笑みを浮かべながら俺に再び聞いてくるツバサさん。

 

「自分で言うのもなんだけど、私達の練習見る機会なんて滅多に無いのよ?」

 

確かにライブのチケットが速攻で無くなる程の人気っぷり。

 

そんなトップスクールアイドルの練習を間近で見れるのであれば普通の人なら泣いて喜ぶ最大のチャンスだろう。

 

なんでそのチャンスがよりによって俺に回ってくるかな…

 

どうやらこれははっきりと言うしかないみたいだな。

 

俺は期待の眼差しでこちらを見る3人に向かって、はっきりと言った

 

「あの…遠慮してると思われたら嫌なんでもうはっきり言いますね?俺、A-RISEの事…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「毛ほども興味無いんですが」

 

「「「!?」」」

 

その瞬間、空気が凍り付いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…」」」

 

きっとこんな事初めて言われたのだろう。3人は放心状態になっていた。

 

まぁ面と向かって言われたらショックだろうな。

 

「…」

 

暫く続く沈黙。

 

一番最初にその沈黙を破ったのはツバサさんだった。

 

「ふふ…ふふふふっ…」

 

な、何だ?急に笑い出したぞ?

 

ショックすぎて頭ショートしたか?

 

「気に入ったわ!」

 

「…?」

 

「ふふ。ツバサに気に入られてしまったみたいだな」

 

「でも、ツバサちゃんの気持ちも分かるわ。私も気になるものあの子」

 

えーっと…話が見えないんですが?

 

「まさかそんな事言われる日が来るなんて思ってもいなかったわ。ふふ、毛ほども興味が無い…ね。こうなったら何が何でも私達の練習を見てもらうわよ!」

 

何でそうなるんだよ!?

 

好感度が下がるどころかこの反応は上がってるじゃないか…

 

「すまないが、ツバサがこうなってしまった以上私達には止められない。私達の練習を見てくれないだろうか?」

 

「私も【君に】見て欲しいな」

 

なんで【君に】を強調して言うんですかねあんじゅさん…

 

「いや、だから…」

グイッ

「!?」

 

「だから、何?」

 

再び断ろうとした瞬間、突然ツバサさんに腕を捕まれ引き寄せられる。

 

そして気付けばすぐ目の前にはツバサさんの顔が迫っていた。

 

スクールアイドルのトップに君臨するA-RISEのリーダーからこんな事をされるなんて思ってもいない…

 

やばい…平常心を保ってるけどドキドキが…

 

絵里といいツバサさんといいなんで女優でもないのにこんな妖艶な表情出来るんだよ!

 

「ち、近いです…」

 

「じゃあ、私達の練習見て」

 

そう言うとがっしりと腕を掴む手に一層力が入る。

 

くっ…何がじゃあなのかは分からないがこれは練習を見るまで解放してくれなさそうだ…

 

どうやら俺は練習を見るしかないらしい。

 

折れてしまった俺は嫌々ツバサさんに言った。

 

「わ、分かりました…見ます」

 

「本当?」

 

「はい」

 

「よし、言ったわね?あんじゅ!」

 

「りょーかい!」

 

ツバサさんとあんじゅさんがそう言うと、ガシッと俺の両脇を抱える。

 

「…へ?」

 

「じゃあ部室までしゅっぱーつ!」

 

「おー!」

 

ちょいちょいちょい!!

 

何で連行される形になってるの!?

 

「ちょっと待って!見るって言ったんだから離して!」

 

「ん?別に私は離すとは言ってないわよ」

 

イタズラっぽく舌を出しながら笑うツバサさん。

 

今ので分かった。この人苦手だ。

 

「自分で歩けるから!」

 

「ふふ。今日の練習が楽しみね」

 

ダメだあんじゅさんに至っては俺の話すら聞いてない。

 

くそ!こうなったら英玲奈さんしかいない!

 

俺は英玲奈さんに助けを求める視線を送る。

 

「…お」

 

少しして俺の視線に気付いた英玲奈さんはニヤニヤしながら言った。

 

「諦めろ少年。にしても両手に花だな」

 

あぁ…もうA-RISE嫌い…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが私達の練習スタジオよ」

 

それから軽く学院紹介が始まり、一つ一つ説明を聞きながら部室へと向かった。

 

勿論両脇は抱えられたまま。

 

…にしてもさすがエリート校というだけあって設備が充実している。

 

広さも楠木坂の倍はあるじゃないかというくらいの広さ。

 

これ毎年迷子になる人絶対出てくるだろ。

 

「スタジオなんてあるんですね」

 

「ええ。学院長が直々に用意してくれた私達専用のスタジオなのよ」

 

それは凄いな…

 

まぁ長きに渡ってその人気をキープしていれば学院長からのお墨付きも貰えるか。

 

学院内に無数に貼ってあったA-RISEのポスターや様々なパンフレットがそこかしらに置いてある所を見るとA-RISEはこの学院の象徴となる存在になってるみたいだし。

 

「それは凄いな。いつもここで練習を?」

 

「ええ。じゃあここの椅子に座って見ててね」

 

そう言うと用意された椅子に案内される。

 

…ってステージの目の前じゃねぇか!

 

普通もっと端っこの方なんじゃないの?

 

「今日は新曲の振り付けの練習をするのよ」

 

俺の疑問を尻目に話は進んでいく。

 

俺の耳元であんじゅさんが練習内容を教えてくれる。

 

…それって俺見ても良いものなのか?

 

A-RISEの新曲を一番早くしかも練習段階から見れるなんて…

 

俺にはもったいない。

 

「何か気になった所やダメな所があったら遠慮無く言ってほしい」

 

「…無いとは思いますが分かりました」

 

ていうか絶対無い。

 

「じゃあ早速始めるわよ」

 

「うん」

 

「ああ」

 

そして3人はステージに上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ツバサ、そこの振り付け少し小さい」

 

「そうね。ありがとう。英玲奈そこの振り付け間違えてるわよ」

 

「おっと私とした事が。ありがとう」

 

「ねぇ、ここの歌詞なんだけどこっちにしてみない?歌ってて思ったんだけどあまりしっくりこなくて」

 

「ふむ…確かにこっちの方が纏まりは良いな。そうだ、衣装について相談があるんだが…」

 

「うーん…やっぱりもう少し明るい曲調にした方がいいかしら」

 

練習が始まって数時間。

 

結論、μ'sとは次元が違った。

 

コーチもマネージャーも存在しない3人だけの練習。

 

一人一人のスペックが高く、無数にステップアップへの意見が飛び交っている。

 

これが…王者の練習…

 

俺はただただ圧倒していた。

 

「ツバサ。あまり進みすぎは禁物だぞ?」

 

「そうね。ごめんなさい。あんじゅは?少し疲れてきた?」

 

「え?あ、ううん。全然大丈夫だよ?」

 

「嘘。ちょっと表情が強張ってるわ。少し休憩にしましょう」

 

更にはメンバーの些細な変化も見逃さない。

 

それは常にメンバーに気を配っている証拠。

 

そして、メンバーからの指摘を素直に飲み込めるのも互いを信頼し合っているからこそ。

 

これは今のμ'sには無い。

 

…ただツバサさんが少し右足を気にする様子があったのは気のせいだろうか?

 

「…ふぅ…後休憩してから1回通しの練習したら大体の練習はおしまいなんだけど、ここまでどう?」

 

俺の隣にツバサさんがやってくる。

 

どう?って言われてもな…

 

「…単純に凄いなって思ったよ」

 

「本当?どんな所?」

 

「是非聞きたい」

 

続いてあんじゅさんと英玲奈さんもやってくる。

 

俺の意見が気になるらしい。

 

「そうだな…パフォーマンス面の意見は詳しくないからあんまり言えないけど、凄いと思ったのはメンバー間のやり取りかな」

 

「…メンバー間のやり取り?」

 

「そう。互いに信頼し合っているのが凄い伝わってるし、コーチやマネージャーでも専門家に頼る訳でも無く3人だけで完結している。ダンスと歌も全く無駄がない。A-RISEが何故ここまで人気なのか分かったよ」

 

今まで動画でしかA-RISEを見た事が無かった。しかもそれもパフォーマンスのごく一部。だからA-RISEの凄さが良く分からなかった。

 

だが、今回こうして間近で練習を見てA-RISEの凄さを感じる事が出来た。

 

そして、これが練習なら本番はどうなるんだろうと思う程に興味を少しだけ持ってしまった。

 

「そっか。ありがとね!」

 

俺の言葉を聞いたツバサさんは満面の笑みを浮かべる。

 

「嬉しいわ。ありがとう」

 

「そんな事言われたの初めてだな」

 

あんじゅさんと英玲奈さんも続く様に笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ!ねぇ、ライブしない?」

 

それから休憩も終わり練習も最後のストレッチに差し掛かった時、思い付いた様にツバサさんが言う。

 

「ライブ?いつやるの?」

 

「今」

 

「「今!?」」

 

ツバサさんの急な提案に驚いた様な表情をするあんじゅさんと英玲奈さん。

 

そりゃそうだ。散々練習した後ようやく終わり掛けの時に今ライブをしようと言い出したんだから。

 

…一体何を考えているんだ?

 

「ほら、今度ライブやるじゃない?その通し練習もしたいなーって思って」

 

「突然だな」

 

「ツバサちゃんは相変わらずね」

 

呆れた様にツバサさんを見つめる二人。

 

にしてもこの突発的な提案と行動力は穂乃果と通ずるものがあるな。

 

何はともあれライブの通し練習が始まれば当然もっと時間が掛かるわけだ。

 

俺としても最初の様な抵抗は無いが、早く帰れるに越した事は無い。

 

まぁこの様子ならあんじゅさんと英玲奈さんが止めるだろ。

 

「でも、面白そうだな」

 

「うん!やろっか」

 

いや乗り気なんかいっ!

 

「い、いやさすがに疲れてるだろうし別に無理しなくても…」

 

「「「やる」」」

 

「はい」

 

目が止めるなと言っていた。

 

あれは無理。俺には手が負えん。

 

「ちょっと待ってね」

 

ツバサさんはそう言うとどこかに電話を掛け始める。 

 

「もしもし?私。今からライブの通し練習をする事になったの。だから、…うん。うん。そう、音響とか…うん。ありがとう。じゃあお願いね」

 

電話を切るツバサさん。

 

どうやら話は纏まったらしい。

 

…ていうか今音響がどうとか言って無かったか?

 

通し練習ってそんな本格的にやるのか?

 

「20分後に開始よ」

 

「おっけー」

 

「分かった」

 

ライブの通し練習は20分後に行われるみたいだ。

 

てかこれ本格的にやるなら実質俺だけのライブみたいになるんだな…

 

にこと花陽が知ったらどうなるだろうか…

 

「…はぁ…暇だな…」

 

「じゃあお話しましょう」

 

「うわっ!」

 

ぽつりと呟いた瞬間、耳元でツバサさんの声が聞こえた。

 

柄にも無く驚いてしまった俺は軽く体が飛び上がった。

 

「あら?意外とこうゆうの苦手?」

 

…苦手とかじゃなくて急に耳元で話し掛けられたら誰でも驚くだろ。

 

「別に…で、お話とは?」

 

このままだとただただ俺が弄られる未来しか見えないので急いで話題を変える。

 

「あ、そうね…あなたまず学校はどこ?楠木坂かしら?」

 

「そうだよ。楠木坂2年」

 

「そう。じゃああなた頭良いのね?あそこ男子校の中でもトップクラスに偏差値高いんだから」

 

確かに楠木坂は毎年全国のガリ勉が受験に来る程偏差値が高い。

 

更には学費免除も相まって毎年多数の入学希望者が現れる。

 

「何何?冬夜君とお話してるの?」

 

「私達も混ぜてもらおうか」

 

ここであんじゅさんと英玲奈さんも合流。

 

A-RISEから質問攻めに遭うという不思議な状況が出来上がった。

 

「そういえば楠木坂といえば今音乃木坂に二人程男の子のいる生活に慣れる為に通ってるんじゃなかった?」

 

げっ、あんじゅさんその事情知ってるのかよ。

 

明かす事無いと思ってたのに…

 

「そうなの?だとしたらもしかして冬夜君が?」

 

3人の視線が俺に集まる。

 

え、これ別に言わなくても良くない?

 

「いや、違います」

 

俺はすぐさま誤魔化した。

 

しかしあんじゅさんはすぐさま言った。

 

「嘘ね」

 

いや何でバレたし。

 

「何で?」

 

「だって今楠木坂って夏期講習中でしょ?全校生徒強制参加の。でもあなたそこに行ってないって事は音乃木坂のテスト生しかないわ。それともサボりか」

 

は?何だよそれ知らないよ!てかあそこ今そんな事やってんの?去年はそんなの無かったじゃんか!

 

てかそれを何であんじゅさんが知ってるんだよ。

 

「…」

 

「その沈黙はテスト生と認めたとみなすわよ?」

 

「…そうです。テスト生です」

 

「やっぱり!」

 

くそ…A-RISE手強い…

 

「ちょっと待って!何であんじゅさんがそれを知ってるの?」

 

「それは企業秘密でーす」

 

自分の唇に人差し指を当てながらウインクして言うあんじゅさん。

 

希以上の謎キャラかもしれない…全く掴めない。

 

「後…」

 

するとあんじゅさんは妖艶な笑みを浮かべながら俺に近寄る。

 

「え…な、何?」

 

そして俺に密着すると、耳元で囁くように言った。

 

「あんじゅ。でしょ?」

 

こっちは前の絵里の一件からまだ立ち直れてないんだよ!そっち路線はもう勘弁してくれ…

 

「…あんじゅ…」

 

「よろしい」

 

小さくあんじゅの名前を呼ぶとふふっと微笑みながら俺から離れた。

 

はぁ…やっと解放された…

 

「ねぇ!音乃木坂のテスト生って事はμ'sってグループ知ってる?」

 

キラキラとした目をしながらツバサさんが口を開く。

 

…あ、別に綺羅とキラキラを掛けたわけではないからな。

 

「…あぁ、知ってるよ」

 

だってμ'sのマネージャーだし。

 

でもまさかツバサさんの口からμ'sの名前が出てくるとは思わなかったな。

 

「実は私、ずっと前からμ'sに注目してたの。まだ3人だった頃から」

 

これは驚いた。

 

まさかA-RISEがμ'sを多少たりとも意識してたなんて。

 

これ聞いたらあいつら喜ぶだろうな。しかも3人ってμ's結成当初だし。

 

「そこから少しずつメンバーが増えるにつれ、私…いや私達は確信したの」

 

「あぁ、μ'sは近い内必ず私達のライバルになる」

 

断言する英玲奈さん。

 

確かにμ'sの成長は早いしそれぞれ素質がある。

 

でも天下のA-RISEにここまで言わせるなんてな。

 

「μ'sの様子はどうなの?見てるでしょ?」

 

「…あんまり関わりないから詳しくはないけど、普段の練習から全力なのは間違いないかな」

 

「そう」

 

μ'sのマネージャーである事は明かさない。

 

明かしてもただ会話が膨らむばかりだし第一俺がμ'sのマネージャーで居れる日はもう短い。

 

ここはあまり知らない程でいこう。

 

「関わらないのね?同じ学校なのに」

 

「只でさえ女子高に急に通わさせられて身が持たないのにμ'sを気にしてる余裕ないよ」

 

半分事実。身が持たないのはその通りだ。

 

それに多分俺がテスト生になる以前にμ'sと出会っていなければ、μ'sと関わりを持つ事も無かっただろう。

 

俺の言葉に対しツバサさんは、

 

「ふふ。それもそうね」

 

と楽しそうに笑っていた。

 

そしてその時、不意にスタジオの扉が開かれる。

 

「ツバサ、来たよ」

 

「あら。早かったわね。ごめんなさいね突然」

 

入ってきたのはツバサさん達と同学年だと思われる女子生徒数名だった。

 

「ツバサの頼みならなんてことないよ。丁度暇してたし」

 

「それなら良かったわ。これ音源ね?で、これが流れよ。これに沿っていれば大丈夫だから」

 

「…うん分かった。で、この子は?」

 

「あぁ、さっき私達を助けてくれた氷月冬夜君。音乃木坂のテスト生」

 

「へぇーこの子がね」

 

どんどん話が進んでいく。

 

途中俺の話題がチラッと上がったみたいだがお手伝いで来た女の子達は興味が無さそうだった。

 

まぁその反応が本来は正しいんだけど。

 

「じゃあ私達、衣装に着替えてくるからもうちょっと待っててね」

 

「え、衣装?」

 

ツバサさんがそう言うと、A-RISEの3人は別室へと移動した。

 

ていうか衣装着てやるのかよ。

 

いよいよ本当のライブじゃねぇか。

 

本当に俺だけなのが申し訳ない。

 

「はぁ…今日は凄い1日だな…」

 

ただ町中を彷徨いていただけなのに気付けばスクールアイドルの天下A-RISEの練習だけではなくライブまで間近で見ている。しかも一人で。

 

非現実すぎて気持ちが全くついていけない。

 

「とりあえず待つか…」

 

誰もいなくなったスタジオに俺ただ一人。

 

シーンという効果音が聞こえそうな静寂の中、俺はひたすらA-RISEの登場を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしたわね!さぁ、早速始めるわよ!」

 

それから数分後。

 

可愛らしくセクシーな衣装を着こなしたA-RISEがステージに現れる。

 

そしてツバサさんが一歩前に出ると、俺を見つめながら言った

 

「これから披露するのはライブで行う予定の5曲よ」

 

5曲!?結構多いな…

 

いやA-RISEは単独ライブをしているくらいだから5曲じゃ少ないくらいなのか?

 

にしても俺には多く感じるが…

 

「じゃあ…いくわよ!」

 

「ええ」

 

「ああ!」

 

A-RISE3人がそれぞれ向き合うと、右手をピースにし重ねていく。

 

そして、そこから一斉にピースを上に上げると、高らかに叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「Let'…Party!!」」」

 

王者のステージが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

それから30分弱。

 

A-RISEによる、ライブの通し練習が終了した。

 

ライブを見た感想だが結論、A-RISEのステージは圧巻だった。

 

ダンス、歌、表情。全てがトップクラス。μ'sと比べてもA-RISEの方がレベルが高いのは明白だった。

 

それに散々練習した後にこのクオリティ。

 

笑顔を決して解くことは無く、最後まで踊り切ってみせた。

 

本当にこいつらの体力化け物すぎ…

 

「すご…」

 

そして俺は気づけば無意識の内にそう呟いていた。

 

「そんなに凄かった?ふふ、ありがとうね」

 

俺の呟きが耳に入ったツバサさんは微笑みながら俺に近付く。

 

「どうだったかしら?」

 

「良かったよ。これならライブは成功するんじゃないか?」

 

厳し目で見ても素人の俺からは減点無し。

 

全てが完璧に見えた。

 

…ただ一つを除いては。

 

「歌もダンスも全然問題無かったよ?でも、一つだけ気になる事があるから言っても良いかな?」

 

俺がそう言うと、3人は真剣な表情になる。

 

そして俺はツバサさんを見つめながら言った。

 

「ツバサさん。右足どうしたんだ?」

 

「!」

 

俺がそう言うと、ツバサさんは驚いた様な表情に変わる。

 

どうやら俺が感じた違和感は正しかったらしい。

 

「…ツバサ?」

 

「どうゆう事ツバサちゃん?」

 

あんじゅと英玲奈さんもすぐさまツバサさんに目を向ける。

 

「練習の時から違和感は感じてたんだけど、今のライブを見て確信した。ツバサさん、隠れて右足何度か擦ってたよね?後チラチラ右足を見たりもしてた」

 

「…」

 

「後は表情。4曲目の最後のサビにほんの少しだけ顔歪めたよね?殆ど隠れてたから分かり辛かったけど」

 

「…はあ…」

 

俺の言葉を聞いたツバサさんは、観念したようにため息をつく。

 

それは認めたでいいんだな?

 

「あなた。凄いわね。良く見てるわね」

 

「表情とか見るの癖でさ」

 

「にしてもよ。自分では結構隠せてたと思ってんだけど甘かったわね」

 

確かに他の人なら気付けない本当に些細な変化。

 

しかもあんじゅや英玲奈さんが気付かない程の。

 

「ツバサ…隠してたって…」

 

「違うのよ。練習が終わったら言おうと思ってたの」

 

「だとしてもそうゆうのは早めに言って欲しい。何かあってからでは遅いんだ」

 

英玲奈さんの心配と怒りを含んだ言葉。

 

それに対しツバサさんは、

 

「ごめんなさい。英玲奈、あんじゅ」

 

素直に頭を下げて謝った。

 

「…まぁ今に始まった事じゃないし、ツバサちゃんが反省してるなら私は許すわ。で、どうなのよ右足」

 

あんじゅと英玲奈さんの視線がツバサさんの右足に移る。

 

「あ、右足ね。実は練習始まる前に足挫いちゃって…痛みは無かったから大丈夫かなって思ったんだけど練習中に少し右足に痛みが出たの。ライブ中もそうね。途中で痛みが出た。今は無いけど」

 

「…大丈夫なのかそれ?一回病院に行った方がいいんじゃないか?」

 

英玲奈さんが心配そうにツバサさんを見つめる。

 

多分軽い捻挫だとは思うが、もしもの時があれば危険だ。

 

ここは素直に英玲奈さんの言葉に従った方が良いだろう。

 

「分かったわ。明日行ってくる」

 

ツバサさんがそう言い、この話は終息した。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、またね冬夜君」

 

練習全てが終わり、A-RISEに見送られる様な形で別れる俺。

 

「はい…まぁまた会えるか分からないけど」

 

「会えるよ。連絡先も交換したし」

 

そう。あの後成り行きで連絡先を交換してしまった。

 

3人から直々にお願いされ、とても断われる状況じゃ無かった。

 

まさか天下のA-RISE全員と連絡先を交換する日が来るなんて思ってもいなかった。

 

本当に今日初対面?

 

「いつでも連絡して良いからね!」

 

にっこりとツバサさんが微笑みながら言う。

 

うーん…まぁ俺から連絡する事は無いと思うけど。

 

「…まぁあまり期待しないで下さいね。ツバサさん」

 

「…」

 

俺がそう言うと、不機嫌そうな表情に変わるツバサさん。

 

期待しないでっていうフレーズはまずかったかな?

 

「さっきから気になってるんだけど、ツバサさんっていうのやめて」

 

いやそっちかい。

 

「自己紹介の時に言ったわよね?私の事はツバサで良いって」

 

…確かに言ってた。

 

でもさすがに異性で初対面でトップスクールアイドル相手にいきなり呼び捨てはハードル高い。

 

あんじゅの時は呼ばざるを得なかった状態だったけど今回はまだいけるか?

 

「いやでもツバサさん…」

「ツバサ」

 

「でもさすがに…」

「ツバサ」

 

「ちょっと…」

「ツバサ」

 

「話を…」

「ツバサ」

 

「…」

「ツバサ」

「いや何も言ってないし」

 

全然俺の話聞く気ないじゃん!

 

何なの?どんだけ俺に名前で呼んでほしいんだよ。

 

「だから、俺の話を…」

ガシッ!

「ツ・バ・サ!!」

 

がっしりと両肩を捕まれ顔を近付けられながら言われる。

 

だからμ'sといいA-RISEといい皆ちょいちょい顔近いって!

 

流行ってんのそれ!?

 

「…ツバサ」

 

「よろしい」

 

結局ツバサの圧に負けた俺は名前を呼び捨てで呼ぶ事を余儀なくされた。

 

「ふふふ。面白いな君は」

 

「英玲奈も笑ってないで助けてよ」

 

「いや、ああなったツバサは誰にも止められない。…あれ?今は英玲奈って…」

 

「…あ、もう別にいいかなって」

 

ツバサあんじゅと呼び捨てで呼んだら英玲奈だけ呼ばない訳にはいかない。

 

仲間外れみたいになるしな。

 

…あれ、なんか英玲奈落ち込みだしたぞ?

 

「私も、ツバサやあんじゅみたいにその件やりたかった…」

 

…それは何かごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ一つ聞いても良いか?」

 

帰路につく直前。俺はA-RISEの方を向くと、3人に質問をした。

 

「ん?何かしら?」

 

「A-RISEって今まで解散しかけた事はあるのか?」

 

「解散?」

 

そう。俺が質問したのはA-RISEの解散の危機の有無だ。

 

「あるわよ。何回か」

 

「そっか。ちなみにどうやって復活した?」

 

ツバサが直ぐ様答える。

 

「そうね…まぁ大体は私が強引に引っ張った形ね。無理矢理活動再開に持っていく事が殆どかしら。私が原因だった事も多かったから」

 

「確かにツバサちゃん凄い強引だったわね。大きな喧嘩した時は突然私達を呼び出して仲直りの歌を自作して歌いだしたり」

 

「私も一度転校しかける事があったんだが、ツバサが直々に私の両親を説得しに来た事があったな」

 

「なるほど。」

 

予想の斜め上を行く解決方法だな…

 

直々に友達の両親に説得しに行くなんてなんつう行動力よ。

 

…いや俺も真姫をμ'sに入れる為に似たような事したけどさ。

 

「…何でそんな質問を?」

 

「いや、なんとなく気になって」

 

実際はちゃんと意味はある。

 

というのもこれはただの推測の一部でしか無いが、近い将来μ'sが解散の危機に陥る可能性がある。

 

脳裏に過るのはことりの家に届いた海外のエアメール。

 

μ'sの衣装担当であることりは、小さい頃から衣装や装飾作りに興味があったようで衣装担当も自ら立候補したらしい。

 

確かに衣装の話をすることりは楽しそうだし実際に作ってる時はイキイキしている。

 

ことりの作る衣装のクオリティが高い事も確かで、もしことりが将来デザイナー等の道に進みたいと考えているなら、あのエアメールは留学の可能性がある。

 

そうなれば必然的にμ'sから脱退という形になり、当然存続の危機に陥る。

 

しかし俺から行動を起こすつもりは無い。

 

だが、一応スクールアイドルのトップであるA-RISEから体験談を聞き出そうと思った訳だ。

 

まぁこれはあくまでも推測に過ぎないがな。

 

「じゃあ、私からも質問いいかしら」

 

続いてツバサが口を開く。

 

「今日、私達の練習を見てみて少しは興味持ってくれたかしら?」

 

自信ありげに笑みを浮かべながら聞くツバサ。

 

正直全く興味が無いと言えば嘘になる。

 

練習の時に感じてしまった本番へのちょっとした興味は本物で、そう感じてしまった時点でA-RISEの思惑にまんまとハマってしまったのだろう。

 

何だかんだ終始A-RISEのペースだった今回。

 

最後くらいは、主導権握っても良いよな?

 

俺は少しだけ口角を上げると、ほんの少しだけ強がりを言った。

 

 

 

 

 

 

 

「いいや、全然」

 

 

 

 

 

 

 

去っていく冬夜の背中を3人の少女がじーっと見つめる。

 

彼女達は今日1日の出来事を振り返っていた。

 

「本当に不思議な少年だな」

 

「ええ。あんな子初めて」

 

その視線に混ざる興味とほんの少しの好意。

 

氷月冬夜との出会いは間違い無く3人に変化をもたらしていた。

 

「でもまさかツバサが連絡先まで交換するとはね」

 

「正直自分でも驚いてるわ。でも、しょうがないじゃない。気に入っちゃったんだもん」

 

「確かにツバサの気持ちも分かる。あの少年の事をもっと知りたいと思ってしまった」

 

「だって私達をA-RISEと知っていながら毛ほども興味が無いって言ったのよ?この時点で思ったわ。他の子と違うって」

 

「ツバサちゃんの右足もすぐ見抜いたもんね。あれは凄かったな〜」

 

「確かに」

 

感心したように英玲奈が頷く。

 

「反応も可愛いのよね〜。顔近づけた時の反応見た?」

 

「見た見た!すっごく可愛かった!」

 

弾む冬夜の話題。

 

それ程3人にとって冬夜との出会いは魅力的なものだったようだ。

 

「そして最後のあの言葉」

 

「そうね。あれでちょっと火がついちゃった」

 

冬夜の行った言動はまさに裏目。

 

スクールアイドルのトップに火を付けてしまったようだ。

 

そして、3人の少女は決意する。

 

「こうなったら絶対に私達に興味持ってもらうわよ」

 

「ええ!」

 

「やってやろうじゃないか!」

 

この日を境に、A-RISEの3人から頻繁に連絡が来るようになる事を冬夜はまだ知らない。

 

氷月冬夜はこの日、王者を知った。




「…は?」

夏休み最終日。

突然の来客を告げるインターホン。

そこにいたのは…

「冬夜君!来ちゃった」

「どうやって来た」

「ごめん。教えちった」

「教えちったじゃねぇよぉぉぉ!!?」

なんと太陽とμ's全員だった!?

夏休み最後の日に迎えたまさかのイベント。

彼女達の目的とは…

そして…

「冬夜君。今日、泊まってもいい?」

冬夜の思いとは裏腹に、μ'sとの距離は縮まっていく。






〜次回ラブライブ〜

【第22話 大ピンチ?μ'sの家庭訪問!】

お楽しみに。
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