涼宮ハルヒの憂鬱vsテレパシー少女蘭   作:Dr.JD

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どうも皆さんおはこんばんにちは。
作者のDr.JDと申します。

この2つの作品が個人的に好きで、この2つが混ざった小説ないかなーと考えた矢先、ならば自身でクロス小説として書けば良いのでは?
と思い、投稿しました。
正直に言って、地の分が多めです(白目
あと素人感が半端ないです。

この作品の他にも小説をアップロードしております。もしよろしければそちらもどうぞ。

では始めます。



エピローグ
第1話 THE SUN OF ALL FEARS


[THE SUN OF ALL FEARS]

2012年、7月13日、7;35;15

高校2年生 SОS団

キョン

自室 ベッド

 

朝日が俺の顔面を焦がしやがった。

最近睡眠不足だと思い、昨日の夜は早めにベッドの世話になったと言うのに、実のところほとんど効果がなかったんだ。

意識は沈みつつあるのだが、同時に何かしらのストッパーが掛かっていて、良い感じに眠りを妨げている。

でだ、よーやく床に入れたと思ったら、拝みたくもない朝日が上ってるんだぜ?

そりゃ眠気MAXよ。

一向に目が覚めない俺を睡眠からの脱走計画を企てたのは、我が妹のボディプレスだった。

 

キョン妹

「キョン君、朝だよ。遅刻するよっ」

 

妹は俺にとっては毎朝迫りくる数少ない刺客であり、シャミセンをベッドから引きずりおろし俺を布団の上からプロ顔負けぐらいのレベルの出来でボディアタックを連打する。

おい、起きるからやめてくれ。

 

キョン妹

「朝ごはん出来たみたいだから早く来てね」

 

そう言い残すと妹は素早くベッドから降り、部屋を後にする。

俺はまだ寝たりない全身を叩き起こすようにベッドから降りると、急いで身支度を済ませる。

衣替えはもう既に過ぎているので着やすい半袖のワイシャツと夏場用のズボンを履く。

忘れ物がないか確認すると、俺は部屋から出て下の階へと向かった。

 

キョン

「行ってきまーす」

 

玄関から素早く家を後にし、いつものように駐輪場に自転車を置いてくと、毎朝上る長い心臓破りの坂道をいつも通りに上っていく。

俺と同じく通う高校生たちは皆、北高生の制服を着用している。

新しく入った新1年生どもは夏休みを前に残り少ない学校生活をウキウキに満喫している者もいれば、先週行った期末試験の結果が今日あたりに返却されるテストの答案が気になって顔面から冴えない形容詞付の表情をさらけ出している野郎どもの面が拝めた。

俺は………まあ、赤点取ってなきゃ問題ない。たぶん。

 

谷口

「よお、キョーン」

 

背後から呑気な口調が俺の脳髄を後ろに向かせた。

クラスメイトであり、定期テストと言う戦連日に共に戦い抜き、赤点と言う名の最終関門であるレーザー光線から見事突破してきた唯一無二の戦友である谷口の姿がそこにあった。

 

谷口

「何ぶつくさ言ってんだ?そんなことより、俺の貸したゲーム、全クリしたか?」

 

俺の横に並ぶと世間話を繰り広げた。

適当に相槌を打ちながら欠伸する。

 

キョン

「まだだ。そんな4,5日でクリアできるもんじゃねぇだえろ?」

谷口

「おめぇがまだ涼宮のお守りを続けてるからだろっ」

キョン

「何の活動もしてないお前に言われたくない」

谷口

「そりゃねぇぜ、キョン。俺だって先週の試験だって赤点とらねぇように必死こいて頑張ったんだぜ?」

 

そういえばそうだ。

こいつにしては珍しいなとは思っていたが。

明日はテ◯ドンが空から振ってくるか?

 

谷口

「容赦ねぇな。まぁんなことはどうでも良い。実はよ、俺は試験そっちのけでそのゲームしてたんだ。親に見つかりそうになって今度の試験の出来が悪かったら、半年ゲームは一切禁止だって、言われてよぉ」

 

後半あたり話している部分から気落ちしたような表情を作る。

 

谷口

「それで試験勉強したんだけどよ、やっぱりそのゲームの続きが気になっちまって」

 

それで、俺にそのゲーム貸してくれて自分は勉強に励んでた訳だ。

そうすりゃ、ゲームは俺の手持ちにあるから結局は出来ない。

こいつにしては上出来だが、試験期間の最中にそんなもん渡されては、こっちの方が赤点地獄に真っ逆さまだ。

 

谷口

「良いじゃねぇかキョン。お前は涼宮から教卓の上で何やらコソコソ家庭教師やってたみてえじゃねぇか」

 

ああ、そう言えば。

試験の期間に入ると、ハルヒは決まって俺に短期型家庭教師になってくれる。

暴虐夫人で身勝手なハルヒはその半面、勉強面やスポーツなどと言った部分では学年で1位、2位を争うまでの実力だ。

百人力ってレベルじゃないくらい心強いぜ。

本人には絶対に言わないがな。

 

谷口

「その涼宮に教わってんだ。赤点なんざ俺が認めねぇ」

キョン

「だったらお前も、ハルヒの試験講座を受ければいいじゃねぇか。それだったら今後苦しまずに済むぞ」

谷口

「冗談よしてくれ。俺が涼宮と、あんまり関わり合いたくないのは、おめぇが一番知ってるだろ?」

 

谷口はセリフの終わり際に俺の肩を叩くと走り出した。

 

谷口

「悪りぃ、今日俺が当番なんだ。先行ってるぜ」

 

それから一度も振り返らず、走り去っていく戦友の後姿を眺めた。

相変わらずボケーッとしながら。

 

2012年、7月13日、8;16;12

高校2年生 SОS団

キョン

県立北高校 正面昇降口

 

やっとの思いで我が北高校の昇降口に到着した。

この季節が夏だけのことはあり、俺の制服の中がすっかりキャットアンドドッグの跡地みたく変貌してしまっているのを仕方がなく受け止めると。

 

キョン

「ん?」

 

昇降口を目の前にして、1人の見知らぬ女性が俺の下駄箱あたりをキョロキョロと忙しなく働いている。

黒の長い髪をしており、見たことのない黒の制服を身にまとっており、身長は俺の肩ぐらいしかない。

俺の脳がフル回転して大急ぎでその正体の究明にあたっている。

少なくとも朝比奈さん(大)ではない。

服装がそうだし、顔も見たことがない。

はっきり言ってしまえば、一言で言えば、文化人形みたいだった。

ただ茫然と眺めていた俺だが、このまま声を掛けようかと迷っているうちに向こうが俺の方に気づく。

その時の目が鋭く、俺の心臓が遥か彼方まで飛んでいきそうなのを何とか食い止めるうちに、彼女が俺の目の前まで来ていた。

 

??????

「あなた、キョンですねっ?」

 

初言がそれだった。いきなり俺のことが出てきて脳細胞がマグニチュード10.0強を観測していると警告音を発している。

頭がくらくらしていたのだが女性は気にも留めずに続ける。

 

??????

「ならば、これを受け取って下さい」

 

彼女の懐から一通の手紙が、俺の両手に握られた。混乱は尚も続く。

 

??????

「渡せと言われました。中はご自分で確認してください」

キョン

「あ、ちょっと」

??????

「はい?」

 

俺はとうとう、理解が出来なくなってしまっていた。ある1つの事項を除いては。

 

キョン

「あんた、何もんだ?」

 

こういう時には決まって頭にある言葉が思いつく。

 

??????

「名前を言えばいいのでしょうか?」

 

この後どうしようもない大問題が発生して、その度にその言葉を発している。

 

キョン

「いや、そうじゃなくて」

 

名前だけ言われても困る、と言おうとしたのだが。

まぁ相手は聞く筈なんてなく。

 

??????

「私は急いでいるので、失礼します」

 

制止を気にも留めず走り去っていった。

俺は数々の厄介ごとに直面し、回避する能力においてかつ、受け止める自信は目の前の出来事で一瞬のうちに崩落していった。

取り残された俺は、今思っている現状を一言で言いたい。

 

キョン

「まったく、やれやれだ」

 

2012年、7月13日、7;35;15

中学2年生 超能力者

磯埼 蘭 (いそさきらん)

自宅 リビング

 

磯崎 蘭

「おはよ~、お兄ちゃん」

磯崎 凛

「おはよう、蘭」

 

朝起きて1階のリビングに足を運ぶと、お兄ちゃん――――磯埼凛(いそざきりん)が家族全員分の朝食を作ってくれていた。

いい香りが部屋いっぱいに広がっている。

 

磯崎 蘭

「ママったら、また徹夜したのかな」

 

リビングのソファーで机に向かって突っ伏して、気持ちよさそうに寝ているのは磯埼玲奈(れいな)。

私達の兄妹の母である。

小説家であり、日々締切の電話地獄に追われている苦労人なのだ。

 

磯崎 凛

「昨日の夜、電話ひどかったんだぜ、編集部から掛かりっぱなしでさ」

磯崎 蘭

「ママも大変だね」

 

机の上にはパソコンがスリープモードのまま画面は暗いまま。

辺りには原稿だの企画書などで散らばっていた。

 

磯崎 凛

「蘭、急がないと学校に遅刻するぞ。留衣と待ち合わせしてんだろ?」

磯崎 蘭

「あ、そうだったっ」

 

今日の登校時に私の幼馴染、綾瀬留衣と待ち合わせをしていることを思い出して、大急ぎで朝食を口に詰め込んでいく。

喉に詰まりそうだったけど、何とか耐えてカバンを持った。

 

磯崎 蘭

「行ってきまーす」

 

玄関から勢いよく飛び出し、近所の人に挨拶を交わしていく。

待ち合わせまで、――――あと1分30秒!!

腕時計をチラリと見て秒読みを開始する。今は夏服、半袖に余計な上着を着ていないので、陸

上部で日々鍛えられた脚力がフルに活かせることができる。

――――角の向こうに、留衣がいる!!

 

磯崎 蘭

「お待たせ!」

 

民家の壁に寄りかかっている幼馴染を見つけると、駆け寄っていく。

 

綾瀬 留衣

「おはよう、蘭………ずいぶんと息が荒れてるけど大丈夫?」

磯崎 蘭

「うん、大丈夫っ」

 

と言いつつも長距離をもうダッシュしてきたせいで体力が限界にきていた。

肩を揺らしながらも、別に歩けない訳ではないので、歩きながら雑談を楽しんでいた。

昨日の夜何してたとか、今日返却されるテストの出来はどうとか。

適当なことを話しているうちに、私達の方に近づいてくる人物に目をやる。

 

名波 翠

「なんや二人とも、朝からいちゃつきおって」

綾瀬 留衣

「おはよう、名波さん」

名波 翠

「おはよう、留衣君」

 

留衣と挨拶しているのは、去年の春に転校してきた少女、名波翠(なはみどり)は私とそっちのけで話している。

 

磯崎 蘭

「何よ翠、待ってたんなら待ってるって連絡くれればいいのに」

綾瀬 留衣

「何言うとんねんっ、二人がこんなにいちゃついてんのにこの翠様が空気を汚すことなんて、許されるわけないやろ?」

磯崎 蘭

「おお、珍しく空気を読んでらっしゃる」

名波 翠

「なんやとっ」

綾瀬 留衣

「あはははは、二人を見ていると、1年の最初の頃とは大違いだよ」

 

留衣は二人のやり取りを見ながら思った。

去年の1年間の出来事、色々あった。中途半端な時期に転校してきていきなり敵意剥き出しだったり、お兄ちゃんと一緒に旅館に行って殺人事件を解決したり、神様みたいなの拾って一躍買うし、世界を変えてしまうことの出来事もあったっけ。

そんな思い出が脳裏にフラッシュバッグされていく。長かったようであっという間の1年だったような気がする。

 

名波 翠

「そんな思い出話、学校に着いてからしようや」

磯崎 蘭

「そうだねって、留衣とは違うクラスになっちゃったから話が出来ないよう~」

綾瀬 留衣

「昼休みになったら、どこか待ち合わせして、そこで3人で話そうよ」

 

留衣の提案に同意した3人は、学校方面へと歩きはじめる――――

 

学校に着いたのは8時20分よりも前。

今日の朝練は休みであったために蘭は留衣の2人で待ち合わせしようと言い出した。

夏休みに入る1週間前になったばかりで、私たちの周りの生徒はウキウキ反面、元気のないのに分かれていた。

先週に行われた期末テストが今日になって返却される。私の出来は良かったのかな?

何てことのないことを考えるうちに昇降口の下駄箱前に着いた。

靴を脱ぎ、下駄箱に手を掛ける――――

 

磯崎 蘭

「あれ?」

 

靴をしまおうとして中から何か封筒みたいなのがひらりと落ちてゆく。

 

磯崎 蘭

「何かな?」

 

手に取ってみると宛先人が書いておらず、裏には『磯埼蘭様へ』しか表記されていなかった。

中身は何か分からないが、ここでいくつかの疑問が浮き上がる。

これは誰がいつ、何のためにここに入れてきたのか?

誰か、と言いつつ考えてみる。――――誰も思いつかない。

いつ、――――昨日入ってなかったから、私が来る前か昨日帰った後に入れたか。

何のため――――これこそ分からない。

 

名波 翠

『蘭、何してるの?早くしないと置いてくよっ』

 

翠の呼び声で私の思考がシャットダウンされる。

磯崎 蘭

「うん、ごめん。今行く~」

 

封筒をバッグの中に入れて、素早く上履きを履くと、留衣と翠の方へ走っていく。

 

2012年、7月13日、12;45;33

高校2年生 SОS団 

キョン

県立北高校 2年5組 教室

 

窓の景色を一望する。

空のど真ん中で太陽が地上を明るく照っていやがる。

水蒸気のせいか、周りの景色はぼやけて見える。

昼休みは4時間目と5時間目をつなぐ魔境から脱出できる短い時間である。

今手元にある封筒を今朝トイレで確認したところだった。俺にとってのトイレは、要をたすか秘密文書を読み上げるという重要で奇妙な習慣に囚われつつあった。

中身を確認したところ、これがまた冗談にすぎないかと思った。

中身は4枚の内3枚が白紙で納入されていた。文章が書かれた1枚の手紙を読んでみる。

 

??????

『今日の午後5時に体育館裏に来てください。出来れば自分の荷物も持って来てください』

 

この1文が書かれているだけだった。

これを読み終わったとき、1年生になって初めの頃の手紙を思い出す。

その手紙の主は今現在どこに潜伏しているかどうか分からずじまいの朝倉涼子であった。

あの時は自分の命を危険にさらされてこんな手紙はもう御免だと思っている矢先に2通目の手紙が連日、しかも同じ下駄箱から出てきたときにはもう心臓がバクバクして頭が痛くなるくら

いの状態に陥ったこともあった。

それでだ、相変わらず訳の分からない事に巻き込まれたかと痛感しているうちにクラスメイトの国木田が弁当を持って俺の前の席に座る。

 

国木田

「一緒に食べていいかな?」

 

大急ぎで手に持っていた封筒を机の中に隠す。

色々詮索されたら面倒だからな。

 

キョン

「ああ、別にいいんじゃないか。誰もいないみたいだし」

国木田

「うん、それじゃあ、ちょっと失礼」

 

国木田は誰も居ない席に座ると、弁当を食べ始める。

俺もそれに続いた。

そう言えばハルヒの奴の姿が見当たらない。

またいつかの時期のように学校を歩き回ってるのか?

 

国木田

「ところでキョンさー」

キョン

「ん?」

国木田

「今朝、昇降口に知らない女の人と話してたよね」

キョン

「んー?ああ」

 

俺はとぼけたふりをし、曖昧な返答をする。

内心では、どこから見ていたんだと疑問を投げだすところだったが。

 

国木田

「驚いたよー、下駄箱に忘れ物しちゃって取りに行ったらキョンと知らない少女と話してたんだもん。涼宮さん以外に彼女作って良いの?」

キョン

「ぶっ」

 

国木田の突然の発言に口の中に入っていたものを変なところに入れてしまってではないか。

おい国木田。

勘違いもいい加減にしろ。

 

国木田

「だって見た感じかなり仲のいいカップルに見えたんだもの。そりゃ誰だってそう思うよ」

涼宮 ハルヒ

「ふーん、そうなのキョン」

 

背後からの殺意を感じながら恐る恐る振り返る。

 

涼宮 ハルヒ

「国木田、今の話詳しく聞かせてくれないかしら?」

国木田

「う、うん、でも遠目で見たからあんまりはっきりとしたことは」

 

バンッ。

ハルヒは国木田に最後まで言わせないような勢いで机を叩いて顔を目の前まで近づける。

 

涼宮 ハルヒ

「国木田、分かってるだろうけど、嘘の証言や絵空事をぬかしたら、有無を言わさず処刑台送りの刑に処すわよ。いいわね?」

国木田

「うんうん、わかったよ」

 

とうとう観念した容疑者のように縮こまった国木田は、裁判所で証言台に立つ証人のように黙々と語り始める。

当の俺はと言うとハルヒのやつ、俺の席の横に立ちやがるから見事に俺の退路は八方ふさがりになってしまったではないか。

かと言ってハルヒの反対側は窓側であり、そこからスカイダイビングして逃走できなくもないが、ここは2階であり、ここで飛び降りようなら自殺願望者の気持ちが何となくわかってしまう気分を味わいながら下の地面にのたうちまわるくらいなら、ハルヒお手製の罰ゲームの方が何ぼかマシのように思えてきた。

外の景色に目をやると、そういった俺の現状をあざけ笑うかのようにセミたちがやかましい鳴き声を堪能する羽目となってしまった。

 

2012年、7月13日、12;45;33

中学2年生 超能力者

磯埼 蘭

蔦野私立第2中学校 中庭

 

午前の授業を終えて昼食を中庭で食おうと約束した私は今朝、下駄箱に入っていた封筒の中をチェックする。中には4枚の白紙の手紙が入っていた。

他に何も入ってなかった。

 

磯崎 蘭

「おかしいな」

 

再度チェックするが何も出てこない。

落胆しているうちに、手紙がどういった経由でここにあるのか、私自身の能力で検知してみようと試みる。

 

磯崎 蘭

「………」

 

何も出てこない。

こういうときは大抵ガードがすごく硬い人間が持ち込んだ方がいいと思って間違いはない。

 

綾瀬 留衣

「蘭、どうしたの?」

 

いつも聞きなれた幼馴染の声が耳に入る。

片手に弁当、片手に水筒とまるでサラリーマンのようなスタイルに思わず笑ってしまう。

 

綾瀬 留衣

「どうしたの?」

磯崎 蘭

「うんん、何でもない」

 

封筒をかばんに仕舞い込み、弁当をテーブルの上に置く。そんな時だった。

 

名波 翠

「蘭、留衣君、相変わらずラブラブやね」

 

挑発するような口調で翠が弁当を持って2人の席に着く。

 

名波 翠

「2人で何の話しとったんや?」

綾瀬 留衣

「いや、俺は何も」

磯崎 蘭

「別に話なんてしたわけじゃないよ」

名波 翠

「じゃあなんで笑ってたんや?」

磯崎 蘭

「ひみつ」

名波 翠

「ヒミツ、じゃないわ!白状せい!」

綾瀬 留衣

「まあまあ、2人とも落ち着いて」

 

蘭と翠の応酬に留衣が仲裁する。

――――こんな時間が、ずっと続くと思っていた。

あとお兄ちゃんも混じって、4人で笑いあって、どこかに出かけたり、また変な事件に巻き込まれたり。

こんな時間がずっと続くかもしれないって思ってた。

この後起きる、人生最悪の日々を迎えるのだとしたら、この時がどれほど幸せだったのかを。

 

2012年、7月13日、15;58;59

高校2年生 SОS団

キョン

県立北高校 旧部室棟 文芸部室

 

午後の授業もとい、テスト返却を済ませた俺はハルヒが掃除当番でしばらくいないことを察知し、危機を感じた野ネズミかのごとく文芸部室に急行した。

部室のドアを目の前にしてノックする。

コンコンッ。

 

朝比奈 みくる

「はあ~い」

 

愛らしいエンジェルボイスを脳内にインプットした俺は、ドアノブに手を掛けて中に入る。

 

朝比奈 みくる

「こんにちはキョン君。さっそくお茶淹れますね」

 

どうぞお構いなく。

部室に入ると、いつもの3人がそれぞれ別のことをしている。

朝比奈さんはお茶をわざわざ淹れて下さるし、古泉はオセロを一人で仮想対決しているし、長門は相変わらず分厚いハードカバー付の本と睨めっこしている。

 

古泉 一樹

「おや、いつの間に来ていたのですか、どうです?僕とオセロ勝負いたしませんか?」

 

前者の答えは俺はさっき来たばかりなんだ。後者は望むところだ。

 

古泉 一樹

「今度こそ、僕が勝ってみせましょう」

 

そう言いつつもお前、前回と言うよりも今まで俺に勝ったことないだろ?

お前本当はわざと負けているだろ?

 

古泉 一樹

「まあまあそう言わずに」

 

古泉がボードの真ん中にオセロチップを白黒2つずつ配置し、俺はその間に傍のパイプ椅子に腰かけた――――

はい、これで4勝目。

自分のオセロ黒チップを何枚かを数え終わった俺は古泉に向かう。

 

古泉 一樹

「おや、こんな筈では」

 

………前々から思ってたんだがお前、こういった勝負するとき、手抜いてるだろ。

 

古泉 一樹

「そんなことはありませんよ?僕は僕なりのやり方で駒を進めるだけですよ?今回はオセロですが」

 

バンッ。

古泉が言い終わると同時に扉がものすごい速さで開く。

もうそろそろ金具が壊れるんじゃないか?そん時の修理が誰がやるかなんて想像できるが。

 

涼宮 ハルヒ

「みんな、お待たせ!」

 

やけに上機嫌な声が部室に響き渡る。昼ごろに国木田の余計なひと言のせいで危うくスカイダイビングをやらずに済んだのは幸いなことだが、それ以降が大変だった。

残りの授業がすべて終わるまでにハルヒの視線が中性子線並みの光線を帯びており、見事俺の体を貫通しそうにな

るのをどうにか抑えた浅い記録が俺の脳裏に焼き付いている。

だがそんなハルヒをよそに。

 

涼宮 ハルヒ

「なあハルヒ、どうしたんだ。そんな上機嫌で?」

 

俺はハルヒに視線を送ったが、ハルヒはあまり気にも留めずに、

 

涼宮 ハルヒ

「別に、何でもないわ。大したことないし」

 

台詞と表情が一致してないのは俺の気のせいではなさそうだが、こんな面をしている時のこいつはまた何やら問題ごとを引っ張り出してくるに違いない。

 

涼宮 ハルヒ

「どうしたのよ、キョン。まあいいわ。今日はあたし用事があるから、これで帰るから。それじゃ、また明日ね」

 

ハルヒを見上げていた俺をあいつは何のこともないような感じで部室をあとにした。

何なんだ、いったい?

 

古泉 一樹

「何かいいことがあったのではないでしょうか?」

キョン

「おい古泉、またお前の方で何か仕組んでいるのか?」

古泉 一樹

「そんなことは致しません。それにここ最近の涼宮さんの精神状態が非常に不可解でして」

 

困ったような顔をしているのかスマイル顔なのかはっきりしてくれ。

 

古泉 一樹

「それが、不安定な時と安定している時がまばらで、どうにも」

 

そう言い残すと、古泉は顎に手を当て考え始める。

 

キョン

「朝比奈さん」

 

そんな古泉を放置して朝比奈さんを指定する。

突然呼ばれたことに動揺しているのか、体を小刻みに震えている。

 

朝比奈 みくる

「なんでしょうか?」

キョン

「これに見覚えはありませんか?」

 

かばんの中から封筒を取り出す。

朝比奈さんは手に取って米神を抑える。

 

朝比奈 みくる

「これには、見覚えはありません。また何かの指令所でしょうか?」

キョン

「それはまだ分かりません」

 

俺は念のため、朝比奈さんにはこの後のことは黙っておいた。そもそもこの会話自体、俺と朝比奈さんしか聞こえないようにしているから、古泉や長門に聞かれてないはず。

もっとも、長門には無意味なきがするが。

 

朝比奈 みくる

「とにかく、こっちの方で聞いてみるからまた明日ね、キョン君」

キョン

「ええ、ではまた明日」

 

この時、長門が本を閉じたとのはほぼ同時だった。

俺は待ち合わせに出向くために全員に挨拶してさっさと部室から出る。

と、昇降口に走って行ったのは良いが、果たして俺はこのまま待ち合わせの場所に召されてもいいのだろうか?

ここ最近になって、と言っても高校入学当時からだが、こう言った手紙を寄こすってことは大抵のことはろくでもない行事だったりする。

しかし、すっぽかして後で倍返しだ、っと言われてまた宇宙人もどきにナイフで刺されるのはいささか腑に落ちない。

さてはて、ここで俺が出した結論は――――

[α]待ち合わせ場所に行く。

[β]危険を感じてこのまま家に帰宅。

 

2012年、7月13日、17;02;11

中学2年生 超能力者

磯埼 蘭 (いそさきらん)

近所 帰宅途中

 

磯崎 蘭

「あーあー」

 

私は思いっきり肩を落として気分が沈む。

テストの点が悪かったわけではないが目標点よりも下回っているためだった。

留衣の方は良かったんだろうな………翠の方も。

あの2人は頭がいいから何の問題もなく問いに答えていったんだろうな~。

今私は帰宅途中である。留衣は部活があって、翠も用事があると言って先に帰ってしまった。

そしていつもの通学路で通っている川へたどり着いた。

ふと、ここで家へまっすぐ帰ろうか川を眺めようか悩んだ。

試験の出来が悪いから自然の安らぎを満喫するか、それともお兄ちゃんの手料理を頂いて気分を晴らすか。

さて、どうするか――――

[α]川を眺めて気を紛らわす。

[β]そのまま家に帰って、料理を食べる。

 

[α]待ち合わせの場所に行く。

2012年、7月13日、17;02;11

高校2年生 SОS団

キョン

県立北高校 体育館裏

 

約束の時間通りに俺は体育館の裏へと足を運ぶ。

3人と別れた後、俺は1人で約束場所へ向かった。

しかし、当の本人の姿はなく、あの黒い制服を着た少女もいなかった。

やはり今までの経験上、手紙を放っておいたためしがないため、嫌々半分で行くことにした。

ただの悪戯?

いや、そう思った時に大抵は後からどんどん問題が。

 

キョン

「く、る?」

 

反射的に間抜けな声を出してしまう。

心臓が高鳴っていくのを感じる。背筋に冷たい汗が流れ、顔にもこびりついてうっとうしい。

一言でこの現状を表すとしたらこれだ。

待ち伏せだーーーー!

心の何処かで木霊する。

なぜなら、周りには黒ずくめでサングラスの男たちが俺を見事に囲んでいた。

これはまるで敵に四方を囲まれて籠城しようにもその城さえもない指揮官のような気分だった。

不意に背後にいた男の一人が俺に布見たいので口を塞がれていくのが分かった。

俺は判断ミスをした。

見知らぬ少女。

同じ状況、場面。

校内で体育館裏。

これらの条件があれば十分に怪しいと思えたのではないか?

たぶん俺はこれからどこかへ連れて行かれる。

俺はまた、みんなに迷惑をかけることになるんだろうなぁ。

十分に分かっていただろうに。

だがそんな後悔もむなしく、俺の意識とともに深い深海へ沈むのであった――――。

 

[α]川を眺めて気を紛らわす。

2012年、7月13日、17;05;11

中学2年生 超能力者

磯埼 蘭 (いそさきらん)

近所(帰宅途中)

 

――――気晴らしに川でも眺めるか。

この川辺には散歩する人やジョギングする人たちで賑わっていたのだが、この時間帯になるとさすがに人の姿はあまりお目にはかかれない。

階段を下りて、下の草原に腰を降ろす。

夏風が吹き心地よい気分にさせてくれる。

しばらくして、気分もだいぶ落ち着いたところ、それは突然やって来た。

 

磯崎 蘭

「………えっ」

 

体格のいい黒服たちがいつの間にか私を囲んでいる。

 

磯崎 蘭

「な、何ですか?あなたたち」

 

もちろん、この問いに答えてくれるはずもなく、沈黙を保ったままだった。

不意に背後にいた男の一人が私に布見たいので口を塞がれていくのが分かった。

薬品か何かだろう。嗅がされた瞬間、意識が深い闇へと誘われるのが本能的に把握する。

 

磯崎 蘭

『翠、助けてっ翠っ!!』

 

超能力を使ってメッセージを残すので精いっぱいだった。

そんな友の返答を待ちきれず、私は闇の中へ引きずり込まれた。

 

[β]危険を感じてこのまま家に帰宅。

2012年、7月13日、17;02;11

高校2年生 SОS団

キョン

帰宅道中

 

キョン

「やめだ止めだ。あんなあからさまに怪しい手紙を送りつけられて良いことなんてなかったから、さっさと帰った方が無難だ」

独り言をぶつぶつ言いながら帰路についている。

俺の今までの経験上、これが下駄箱に手紙を置かれている状況だったら行っていたかもしれないが、見知らぬ女に渡されたいじょう、何か裏があって仕方がない。

言っておくが、俺は自ら進んで危険に飛び込むような真似はしません。

それに朝倉が復活したままどこけへ潜伏している可能性だって否定できない。

どこかでまた俺の命を狙ってるかもしれん。

このまま家に帰ろう。

そう判断したのだ。

 

キョン

「それに明日だって、学校があるんだ。こんなことに付き合ってられるほど俺はあいにく、ヒマじゃないんでね」

 

自転車置き場についてさっさと我が家と言う要塞へまっしぐらにペダルを漕いだのは言うまでもあるまい。

やれやれだ。

 

[β]そのまま家に帰って、料理を食べる。

2012年、7月13日、17;05;11

中学2年生 超能力者

磯埼 蘭 (いそさきらん)

近所(帰宅途中)

 

――――お兄ちゃんの手料理でも食べて気分を変えよっと。

私は一度足を止めたが、再び歩き始めた。

川の流れる音を満喫しながらその場を離れていく。

普段と変わらぬ帰路に沿っていく。

そう、何も変わらない。

何も。

それに今朝下駄箱に入れられていた封筒が気になった。

帰ったら、翠も留衣もいるだろうしちょっと相談してみよう。

いくつか考え事をして、家の前に着いた。

そしてドアノブを引く。

 

磯崎 蘭

「ただいま~」

 

いつもの我が家へようやく着くことが出来た。




小説って書くの難しいですよね。
今はまだストックがあるのですが、何時までもつのやら………。

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