涼宮ハルヒの憂鬱vsテレパシー少女蘭   作:Dr.JD

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――――愛国心は常にあなたの国を支える。もちろん政府も支援するが、それは支持するだけの価値がある時に限る――――マーク・トウェイン

どうも皆様、おはこんばんにちは。
Dr.JDです。

前回の投降から1年近く空いてしまいました。
他の作品の仕上げや、リアルがハードであったため、なかなかあげれませんでした。
申し訳なかです。

では待望の続編を、どうぞ。


第8話 開幕

[開幕]

2012年、7月16日、12;18;52

中学2年生 超能力者

磯埼 蘭 (いそさきらん)

尾阿嵯(おあさ)町 ホテル尾阿嵯 『508号室』

 

一晩が、明けた。

その事実に気づけたのは、携帯によるアラームからであった。

なぜ携帯からだと分かったか、朝起きる時に設定しておいたメロディだったからだ。

 

磯崎 蘭

「う、ううん………」

 

横たわっていたようですぐに起き上がると、ぼやけている視界が徐々に回復していく。

私の隣には留衣が横たわっていて、お兄ちゃんや翠は重なる様にしてベッドにして気絶していた。

………あれ?

何でみんなが気絶してるって、思ったんだろう?

疑問が頭の中に湧き上がり、昨夜の出来事が瞬時にフラッシュバックするように蘇った。

そうだ!私はあの時電話を取って、朝聞いたあの男の人と話して、それからみんなが気絶しちゃったんだ!

それで、昨日聞いたあの電話の内容は………!

 

磯崎 蘭

「そうだ、こうしちゃいられない!みんな起きて!大変なの!」

 

隣で横たわっている留衣と翠、お兄ちゃんに近寄って肩を激しく揺さぶった。

このまま時間を取られたら、あのオーナーさんは!

 

綾瀬 留衣

「うっ、どうしたの、蘭?そんなに血相変えて?」

 

その願いが通じたのか、留衣がすぐに目を覚ましてくれた。

 

磯崎 蘭

「あ、留衣!良かった、すぐに目を覚まして」

 

不安だった気持ちが渦巻いていたのか、私はつい留衣に抱き着いてしまった。

でも呑気に構えてるヒマはない。

 

綾瀬 留衣

「わっ、蘭?一体どうしたんだい?」

 

抱き着かれた留衣は一瞬だけ戸惑ったけど、すぐに昨夜の出来事を思い出した様だった。

 

綾瀬 留衣

「あっ、そうか。俺達は、急に眠気が襲って」

磯崎 蘭

「そうなんだよ留衣!翠とお兄ちゃんも早く起こして!そうじゃないと、オーナーさんが!」

綾瀬 留衣

「えっ?オーナーさんって?」

 

留衣が訳が分からずオウム返しに聞いてきた。

そうだった。

私がみんなにこの事を知らせる前に、睡魔に襲われちゃったせいで、打ち明けることが出来なかったのだ。

 

磯崎 蘭

「訳は後で話すよ!今は翠とお兄ちゃんを起こすのが先!」

綾瀬 留衣

「うんっ、分かった」

 

頷いてくれた留衣は、未だに眠りこけてる2人に近づいて肩を揺さぶった。

そして数秒もしない内に2人も何とか起きてくれた。

 

名波 翠

「う、うーん。どないしたの留衣君?」

磯崎 凛

「ふあーあ。よく寝た」

 

相変わらずマイペースな2人に私はホッとすると、改めて事情を説明することにした。

それから数分後。

 

磯崎 凛

「なにっ!?電話であのオーナーが殺害されるだって!?」

 

内容を知ったお兄ちゃんは、大きな声で叫んでしまっていた。

ここが客室だから良かったけど、人前でそんなに叫ばないでね?

 

磯崎 凛

「あ、ああ。悪い」

名波 翠

「だとしたら早く郷土資料館に行った方が良いわね。あのオーナーさんには色々と聞きたいことがあるしね」

磯崎 蘭

「あれ?昨日はあんなに疑ってたのに、オーナーさんの疑いが晴れたの?」

名波 翠

「逆だよ、蘭。あの人は疑われてるから、早くその疑いを晴らしたいから色々と話を聞きに行くんだよ」

 

あ、なるほど。

 

磯崎 凛

「よっしゃ!なら早く資料館へ行こう!こんな所でぐずぐずしてる余裕なんてないからな!」

 

お兄ちゃんの掛け声に私たちは頷いた――――

そして身支度を済ませて部屋を飛び出して、階段を使って1階のロビーに出た。

エレベーターを待っている余裕なんて、今の私たちにはなかった。

その勢いを使って、ホテルの外へ飛び出した。

昨日と同じく、今日も熱気が一気に私たちを襲ったけど、気にしている余裕はない。

 

磯崎 凛

「タクシーを拾おう!あの資料館に行くには徒歩じゃかなり時間が掛かる!」

磯崎 蘭

「でもお兄ちゃんっ、タクシー乗り場にはあんなに人が大勢いるよ!」

 

そう。

タクシー乗り場にはなぜか大勢の客が犇めき合っていて、とてもじゃないけどタクシーなんて乗れる状況ではなかった。

 

磯崎 凛

「くそっ、何でこんなに人が多いんだ!」

磯崎 蘭

「とにかく、こんなに人が居るのに、待ってなんていられないよ!私は走ってでも行くよ!」

 

とうとう待ちきれずに、私は横断歩道を渡ってしまった。

周囲の状況確認もせず。

だから信号が赤だったにも関わらず、私は脇目もそらずに渡ってしまうから、一台のワゴン車が私に向かってくるなんて、間近に迫って来てようやく気付いたのだ。

やばい!?車に轢かれる!?

車の運転手もブレーキを今、ようやく掛けているようで、ブレーキ音が辺りに木霊した。

 

綾瀬 留衣

「危ない!」

 

だけど、危機は突然去って行った。

突然手を引かれて反対側の横断歩道へ渡れたのだ。

留衣が走って来て私の手を引いてくれたのだ。

そして――――

 

激しい音と共にワゴン車が急ブレーキを掛け、スピンしてしまった。

そのスピンが止まらず、反対車線に飛び出して走っていたトラックに追突してしまった。

 

だけどそのトラックも急ブレーキをしていたおかげか、軽く接触しただけですんだが。

それがきっかけで、後続車両が次々と追突しそうになって、ブレーキ音が連鎖する。

幸いにもぶつかった車両は最初のトラックとワゴン車だけのようだった。

 

磯崎 凛

「蘭!大丈夫か!?」

名波 翠

「蘭!?」

 

ブレーキで止まった車両の間から、お兄ちゃんと翠が駆け寄ってきた。

 

磯崎 蘭

「私は大丈夫っ。それより、車の人たちが………」

磯崎 凛

「まったく、何してるんだお前は!いくら急いでるからって、お前が轢かれたら意味ないだろうが!!」

磯崎 蘭

「っ、ご、ごめんなさい………」

 

お兄ちゃんの罵声に思わずたじろいでしまったけど、お兄ちゃんはすぐに元の顔に戻った。

 

磯崎 凛

「オーナーの事が心配なのは分かるけどさ。そんなに慌てていって、怪我でもしたら余計に時間を食っちまうだろ?それにあの人、何だか蘭の事を気にかけてた節もあるし、そんな時にお前の怪我をした姿なんて見たら、あの人たぶんガッカリすると思うぜ」

磯崎 蘭

「お兄ちゃん………うん、ありがとう。でも」

 

私は今、道路が混雑している道路を見て、すぐに携帯を取り出したけど、お兄ちゃんがそれを手で制した。

 

磯崎 凛

「ここは俺が通報しておく。蘭と翠ちゃんと留衣は、資料館の方へ先に行っててくれ!後から追いかける!」

 

代わりにお兄ちゃんが携帯電話を取り出してすぐに電話を掛けた。

 

綾瀬 留衣

「蘭、行こう!」

磯崎 蘭

「うん!」

 

私は留衣と翠に頷いて、その場から離れる。

だけど私は後で知ることになる。

これからが今日と言う名の本当に長い一日になろうなんて、誰もが予想なんてつかなかった。

 

 

2012年、7月16日、12;18;52

高校2年生 SOS団雑用

キョン

尾阿嵯(おあさ)町 オルソラ教会 婚姻聖堂の中

 

キョン

「朝比奈さん!」

 

急いで朝比奈さんと古泉が待機している婚姻聖堂へ戻ってきた俺は、相変わらず長椅子に横たわってすっかり弱りきった子犬のような表情を浮かべている朝比奈さんの元へ駆け寄った。

 

朝比奈 みくる

「うう、キョン君………」

古泉 一樹

「お疲れ様です。わざわざ」

キョン

「そんな事より、早くこれを朝比奈さんにっ」

古泉 一樹

「拝借します」

 

古泉に飲み物を渡して、朝比奈さんにそっと飲ませるように少量ずつ、口の中へ流し込んでいく。

 

朝比奈 みくる

「んくっ、んくっ………ふはぁー、助かりました、キョン君。古泉君も」

 

何をおっしゃいますか朝比奈さんっ。

俺は朝比奈さんのためなら火の中、水の中、人の中でも潜りますよ。

 

古泉 一樹

「では朝比奈さんはしばらくお休みを。ところで、涼宮さんたちは?」

キョン

「ハルヒと長門は何だか修道服着たせいで、客共から間違ってオーダーを受けてるらしい。今本物のシスター達に混じって飲み物、食い物運びやらされてるぜ」

 

今頃、こんな暑い中汗にまみれてウェイトレスをやらされてるんだろうさ。

 

古泉 一樹

「それはっ、困りましたね。この猛暑の中、団長である涼宮さんにこのようなハードな仕事を続けさせて良いものでしょうか?」

 

あいつもそれなりには成長してるんだ、嫌だったら嫌って言うだろうし、そんな事を言わずにもしかしたら、団員全員に手伝えとか言いそうな感じだけどな。

 

古泉 一樹

「それもありそうですね。しかしあなたの今の一言で確信が持てました。恐らく、涼宮さんは特に億劫に思っておらず、楽しんでいるかもしれません」

 

そうか?

俺から見れば、いきなり仕事を押し付けられて、飽きてる頃なんじゃないか?

 

古泉 一樹

「でしたら、あなたにあの場で出会った時にそう言ってるはずです。なのにそれがない事から十中八九、彼女は楽しんでいますね」

 

そうかい。

今のところ、お前の仲間が閉鎖空間の発生の知らせがなさそうだから、その言葉を信じてやってもいいぞ。

 

古泉 一樹

「は、はは………そうなることを願うばかりです」

 

古泉にしては珍しく、苦笑してその場の空気を濁した。

さて、と。

再び俺はあの戦場へ戻るとしますかね。

 

古泉 一樹

「おや?またどこかへ行かれるのですか?」

キョン

「ハルヒから頼まれていて、飯を確保しておいてほしいって言われた。あいつ、俺たちと別れた直後から手伝わされたみたいだから、何も食っていなんでそれを今から取りに行くんだ」

古泉 一樹

「僕たちと別れた直後、ですか?だとしたらかなりの長時間、外で作業に勤しんでいたことになりますね」

キョン

「そうだ。だから、飯を取りに行かないと俺がとっちめられる。お前は引き続き朝比奈さんの事を頼む。見ていてくれ」

古泉 一樹

「分かりました。宜しくお願いします」

キョン

「そっちも朝比奈さんの事を頼む!」

 

俺は再びあの戦場へと向かった。

この真夏の太陽の下に身をさらけ出した俺は、また人ごみの中を突っ切っていた。

相変わらず横幅が大きい人がいて、正直に困る。

だがふと、俺は人気のないある一角でオルソラとハルヒ、長門の3人が談笑している姿を目撃した。

はて。

ハルヒはウェイトレスの仕事から解放されたのだろうか?

ならちょうどいい。

あいつに声を掛けて、今の状況を聞き出そう。

仕事が終わったのなら、あいつの分の飯をわざわざ取りに行く必要もなくなるだろうしな。

正直に言って、もうこの人ごみの中に繰り出すのはもうお役御免だ。

 

キョン

「ようハルヒ、どうしたんだ?こんなところでオルソラとヒソヒソ話して」

 

近づいてきた俺に気付いたのか、ハルヒは普段通り両腕を組んで、何やら小難しそうな顔のまま俺に振り返った。

 

涼宮 ハルヒ

「あ、キョン。みくるちゃんにちゃんと飲み物渡せた?」

 

俺の質問には答えず、仏教面を俺に向けてきたハルヒが質問を返してきた。

 

キョン

「ああ。今古泉が付き添っているから大丈夫だ。そんで今から俺はお前のために飯を取りに行くところだ」

涼宮 ハルヒ

「その件だけどさ、別に後ででもいいわ。それよりもキョン、今オルソラさんから話を聞いてたんだけど、あたし達も参加するわよ!」

キョン

「待て待て。話が見えん。何に参加するんだ?大会でもあるのか?」

オルソラ・アクィナス

「いえ、そうではございません。実は」

涼宮 ハルヒ

「実はこの後、午後1時から広場にて演奏会があるらしいのよ」

キョン

「そうなのか?そいつは知らなかったな」

涼宮 ハルヒ

「入口付近でパンフレット、配ってたでしょ?それくらい目を通しときなさいよ」

キョン

「悪かったな。んで、その演奏会がどうした?」

涼宮 ハルヒ

「その演奏会をするにあたって、楽器を奏でる人が昨日の会場設営中に怪我しちゃったらしいのよ。それでね、代役の人を呼んでるんだけど、それならあたし達も参加しても良いかって話になったのよ」

オルソラ・アクィナス

「つい先程、事故の影響により到着されたばかりでして、時間的にもかなり厳しい状況でございます」

キョン

「事故って、おいおい、そいつらは大丈夫なのか?」

オルソラ・アクィナス

「特に怪我はないと」

涼宮 ハルヒ

「だからね、キョン。あたしとしては最初に演奏しちゃって、次にその子達に繋げるために時間稼ぎをしようと思うんだけど、あんたも協力しなさい!」

 

ふむふむ、なるほど。

状況は理解した。

状況は理解したが故に、思った感想を述べてやろう。

 

えぇ………。

こんな暑い中で演奏するの?

 

涼宮 ハルヒ

「なによそのやる気のない顔は?見なさい、あのステージを!あそこであたし達を待ってくれてる人が大勢居るのよ!そんでもって多くの人に知って貰えて、尚且つ会場は大盛り上がり間違いなし!!何でそれを理解しようとしないの?」

 

そうは言いますがね。

だって俺ら、お客さんの立場よ?

いくら多くの人に、SOS団の存在を知らしめたいと言っても、それは変わらない。

なのにそこまで仰々しく出しゃばっちまって、良いのかね、オルソラさんよ?

 

オルソラ・アクィナス

「全く問題ないのでございますよ。むしろ、地元の方々との地域交流が活発化して、とても素晴らしいかと」

 

おいマジかよ。

最高責任者がそこまで力強く頷かれちゃあ、俺だって反対できねぇよ。

あれ?

俺って基本的には上からの圧力に弱い?

 

涼宮 ハルヒ

「やったあぁ!!オルソラさん、ありがとう!ならあたし達が先に演奏するわね!!」

オルソラ・アクィナス

「ええ、よろしくお願いします」

 

パンっと両手を叩いては、嬉しそうな顔でそう言った。

嬉しそうな表情でぴょんぴょん飛び跳ねるハルヒをほっといて、俺はオルソラへ歩み寄った。

 

キョン

「オルソラよ、大丈夫なのか?急な変更をしちまってよ」

オルソラ・アクィナス

「問題があれば、あのような事は言わないのでございますよ………それに、彼らもやる気のようです」

古泉 一樹

「話は聞かせてもらいました」

 

と、いつの間にかやって来ていた古泉と朝比奈さん、そして長門。

なんだ、なら事情は分かってるな。

 

古泉 一樹

「要するに、お客様の大歓声を引き出すほどの演奏をすれば良いのでしょう?涼宮さん」

涼宮 ハルヒ

「さすがは副団長、古泉君!その通りよ!そんでもって、あたし達、SOS団の存在を世に知らしめるための足がかりにするのよ!!」

 

ババーンっと登場シーンを連想させるようなポーズを繰り出す。

と、ここで背後から女性の声が降ってきた。

 

??????

「オルソラさん!」

オルソラ

「あら、琴吹様。それと皆様も。準備の方はよろしいのでしょうか?」

??????

「ええ、もちろん。今は気分転換に外へ出てみました」

 

やって来たのは、ハルヒ達と同じような修道服を着た女性達だった。

よく見ると俺達とはそんなに年齢は変わらなさそうだ。

 

キョン

「オルソラ、この人達ってもしかして」

 

ふと、疑問に思ったことを口にしようとする。

なに、あくまで確認さ。

 

キョン

「この人達が例の代役として呼んだ人たちなのか?」

オルソラ

「はい。こちらが本日の演奏会にて、代役を頼んだ桜ヶ丘高等学校の軽音部の方達でございますよ」

 

オルソラに簡単に紹介されて、視線を彼女達に移した。

………しっかし、誰もが修道服が似合っているな。

目の保養になるぜ。

まぁ、絶対に口に出して言わないけどな。

 

??????

「は、初めまして!私は中野梓(なかのあずさ)と言います。えと、このあと私達が演奏するので、良かったら見に来て下しゃい!」

古泉 一樹

「そうでしたか。それは楽しみですね。ああ、申し遅れました。僕は古泉一樹と申します。以後お見知りおきを」

 

相手方の内の一人が、緊張していたせいか、舌を噛んでしまった。

一番小柄な彼女は、恥ずかしさのあまりにますます小さくなっていく。

それと古泉、お前のその爽やかスマイルは向こうにそれなりに受けているようだぞ、良かったな。

 

??????

「あずにゃん、緊張してて舌噛んじゃってるよ~。でもでも、演奏会は楽しみにしててね~」

??????

「私は琴吹紬(ことぶきつむぎ)。キーボードを担当していて、それでこっちは平沢唯(ひらさわゆい)ちゃんです」

平沢 唯

「ふふふ、ギター・ボーカルの平沢唯だよ!!よろしくね!」

??????

「そんであたしは才色兼備で学校一の美少女軽音楽部部長、田井中律(たいなかりつ)様だ!!よろしくぅ!!あとベースの澪って奴がいるんだけど、今はトイレに行ってるから紹介は勘弁な。それで、そっちの人達は?」

 

おふっ。

最後の奴はけ、結構インパクトのある自己紹介だったな。

うむ、ここで変な自己紹介と言わなかった俺を褒めてほしいぜ。

にしても、よくこんな人混みの中で自分を美少女、だなんて言えたな。

もしかしてハルヒと意気投合できるかもしれない。

 

それにしても、と思う。

見た感じだと本当にどこか怪我をしている様子はない。

息切れとかもしていないから、このまま演奏しても問題はなさそうだ。

 

涼宮 ハルヒ

「あたしはSOS団団長の涼宮ハルヒ!!先に自己紹介しちゃったけど、こっちの男は副団長の古泉君!それでオドオドしてるのが」

朝比奈 みくる

「あ、朝比奈みくると言います!えと、お茶を淹れるのが得意です!!今度飲みに来てくださぁい!」

涼宮 ハルヒ

「良い挨拶ねみくるちゃん!それで、こっちで本を読んでる子が」

長門 有希

「長門有希」

涼宮 ハルヒ

「そんでこいつが雑用係のキョンよ!これがあたし達SOS団のメンバー達よ!」

キョン

「おい待てハルヒ!俺の自己紹介ぐらいちゃんとやれよ!てかさせろよ!」

涼宮 ハルヒ

「あんたの紹介なんて、こんなもんでいいでしょ。他に特記する事もないでしょ?」

 

うぐっ。

真正面からド正論を叩き付けられてしまい、沈黙を出してしまった以上、俺の紹介はあっけなく終わりを迎えることとなった。

くそ、後で個人的にちゃんと紹介しておこう。

 

涼宮 ハルヒ

「それで軽音部だっけ?あなた達も演奏するんでしょう?」

平沢 唯

「そうだよー。午後1時からだっけ?ムギちゃん」

琴吹 紬

「ええ。でもさっきのあなた方の話を聞いていると、SOS団も演奏されると聞きましたが?」

 

あ、やばい。

この質問が来るってのは分かってたのに、対策をしてなかった!

俺は慌てて答えようとしたが――――

 

涼宮 ハルヒ

「一番最初に演奏することになったの!だから悪いけど、あんた達はあたし達の後に演奏するんだけど、それで良いかしら?」

 

止めようとしたが、間に合わなかった。

すると案の定、軽音部の面子が僅かに動揺が走ったようだ。

 

田井中 律

「おいおいちょっと待ってくれよ。あたしらは何日も前に練習して、こんな暑い中を必死の思いでやって来たんだぞ?それをいきなり差し置いて最初に演奏するけどって、どういうことだよ?」

琴吹 紬

「ちょっと落ち着いて、りっちゃん」

 

ワナワナと震えていた田井中を琴吹が制止させる。

これはマズイと思った俺は、彼女達の前に出て行く。

身体が勝手に動くような感覚に戸惑いつつも、表情に出さずに頭を下げた。

 

キョン

「皆さんの努力を知らずに一方的に言いたいことだけを言い、嫌な気持ちにさせました。すみません。ただ、皆さんは事故に遭われて到着が遅れてしまったと伺いまして、皆さんの調子が元に戻るまでこちらでタイムスケジュールを勝手に変更してしまったんです」

 

ここまで言って、俺はハルヒに振り返る。

バツが悪そうになりつつも、俺の言葉に耳を傾けている。

 

キョン

「ハルヒ、やっぱり先に彼女達を最初に演奏させるべきだ。いくら時間稼ぎとは言え、ぱっと出の俺達が割り込んじゃマズイ」

涼宮 ハルヒ

「うーん、そうね。何日も練習して、演奏会に出られると思ってたらあたし達が入り込んだんじゃ、確かに面白くはないわね。仕方ないわ、今回はこの子達に」

田井中 律

「ちょっと待ちなよ」

 

そこで平沢さん?を退けて俺らの前に立ち塞がる。

その顔には、先ほどの怒気は含まれていなかったが、俺の中の不安がどんどん風船の様に膨らんでいった。

………中身が熱湯でないことを祈ろう。

 

田井中 律

「演奏出来るってことは、楽器を使えるってことだろ?」

涼宮 ハルヒ

「もちろんよ。でなければ、演奏しようだなんて考えないわよ」

 

僅かに不機嫌になるハルヒとは対照的に、田井中はニヒルに笑みを浮かべる。

そして俺の嫌な予感は、当たってほしくない時に当たってしまった。

 

田井中 律

「ならよ。どうだ?演奏対決としゃれ込もうぜ?」

涼宮 ハルヒ

「演奏対決?」

琴吹 紬

「ちょっと、りっちゃん!」

田井中 律

「そうさ。どっちが多くのお客さんを楽しませることが出来るか。それを競うんだ。どうだ、面白そうだろ?」

涼宮 ハルヒ

「いいじゃない!その勝負乗った!それで?」

田井中 律

「あん?それでって?」

涼宮 ハルヒ

「負けた方は何をしてくれるのかしら?さすがに演奏だけの勝負じゃ面白くないわ!」

田井中 律

「へっ、そうこなくっちゃな!なら、そうだな。あたしらはしばらくはここで合宿するから、負けた方は勝った方の言うことをできる限り聞くってのはどうだ?」

中野 梓

「律先輩!?何言ってるんですか!?私達はバンドの練習するために合宿に来たんですよ!?それを――――」

涼宮 ハルヒ

「決まりね!あたしらの演奏を聴いて、途中で逃げ出したりしないでよ?」

田井中 律

「へっ、あたしらの演奏聴いて弟子入り志願しても聞かないからな?………みんな、行こうぜ」

平沢 唯

「あ、待ってよりっちゃーん!」

 

田井中がそう言い残すと、他のメンバーを引き連れてこの場を去って行った。

………あの野郎、やりやがった。

さっき性格が似てると思ってたが、こうも似てると逆に妙な安心感がある。

にしても、演奏対決ね。

………………………

………………

………

ん?

ちょっと待てよ。

 

キョン

「演奏するなら、曲が必要だよな。なんの曲を歌うんだ?」

涼宮 ハルヒ

「去年の文化祭の時に歌った2曲があるでしょ?あれを演奏するわ。でもキョン、それだけじゃあの曲は歌えないわ。だから他にベースとドラムも必要よ」

 

ハルヒも例の曲を披露する際に人員も必要な事を言っているが。

 

キョン

「なら長門がベースで古泉がドラムをやってもらおう」

涼宮 ハルヒ

「そうね。あんたが出るとややこしくなるから、あんたはあたしが持ってきたビデオカメラであたし達の有志をきっちり撮っといてね!」

キョン

「分かったよ。俺と朝比奈さんは留守番でもしてるよ」

涼宮 ハルヒ

「何言ってるのよ?みくるちゃんにもエアギターをやってもらう」

キョン

「………は?」

涼宮 ハルヒ

「だから、エアギターよ。客も別にギターの手の動きなんて見てる訳じゃないんだし、みくるちゃんにも出てもらうわ」

キョン

「さっき演奏対決するって言ってなかったか?そんな相手にエアギターなんて失礼だろうが」

涼宮 ハルヒ

「さーて、勝負に勝ったら何をお願いしようかしら」

キョン

「聞いてねぇし………はぁ、お前の言い分は分かった、もう好きにしろ。でも一つだけ問題がある」

涼宮 ハルヒ

「何よ?」

キョン

「あの曲の楽譜、俺持ってないぞ。歌詞は覚えてるんだけど」

涼宮 ハルヒ

「私が覚えている」

 

と、今まで会話の中に入らなかった長門がハルヒと目を合わせる。

 

涼宮 ハルヒ

「でも有希。それはギターをやってたあたしの分しか補えないわ。ベースやドラムの楽譜まで覚えてる事は」

長門 有希

「その分もちゃんと覚えている」

 

おお、さすが万能少女長門だ。

 

涼宮 ハルヒ

「ホント有希!?」

長門 有希

「嘘は言わない」

キョン

「それなら長門。早速で悪いんだが、その楽譜を適当な紙とかに書いてくれ」

長門 有希

「分かった」

古泉 一樹

「オルソラさん、ご安心を。涼宮さん自らやると言ったからには、必ずやり遂げる方です。僕も朝比奈さんも」

朝比奈 みくる

「えっと、エアギター、ですか。ほ、本当にそれだけで良いんですか?」

 

朝比奈さんに関しては長門にまた頼んでギターが勝手に演奏してもらえるようにしてもらおうか。

そっちの方が怪しまれそうにないし。

 

涼宮 ハルヒ

「そうよみくるちゃん!今こそあなたの有志を、世界中の人々に轟かせる時が来たのよ!」

 

などと言って、この場の空気は最初よりも和らいでいた。

それで肝心の楽器だが、この教会の端に倉庫があって、そこに中古の楽器類が残っていたので、渋々それを使うことになった。

 

オルソラ・アクィナス

「皆様、本当に、ありがとうございます!このお礼は何をしたらいいか」

 

オルソラは目元に涙腺を浮かばせ、すっかり泣き出しそうになっていた。

 

涼宮 ハルヒ

「お礼なんていらないわ!このパーティに招待してくれたこそがあなたからのお礼よ!有希、楽譜はどう?」

長門 有希

「もう書き終わった」

涼宮 ハルヒ

「さすがよ有希!!それじゃみんな、ほとんどぶっつけ本番になっちゃうかもしれないけど、各自楽譜を確認して。ちょっとだけ練習しましょう!」

朝比奈 みくる

「はい」

古泉 一樹

「分かりました」

長門 有希

「了解」

涼宮 ハルヒ

「そんでキョン!あんたはちゃんと客席からあたし達の有志を、バッチリ撮影するのよ!分かった!?」

キョン

「分かりましたよ。団長様」

涼宮 ハルヒ

「よろしい!なら早速通すわよ!ワン、ツー。ワン、ツー、スリー、フォー!!」

 

………現在時刻、午後0時50分49秒。

SOS団初の演奏会まで、あと9分11秒。

 

 

2012年、7月16日、12;50;49

中学2年生 超能力者

磯埼 蘭 (いそさきらん)

尾阿嵯(おあさ)町 郷土資料館前

 

磯埼 蘭

「はぁ、はぁ。やっと着いた」

 

朝から長距離を走っていたせいで体に疲労が酷使するのを感じる。

陸上部で日頃から走っているから体力には自信があったのだが準備体操をしてないうえ、朝から何も食べずに来てしまった事が災いして、力が入らないのも要因になっていた。

遅れて翠と留衣もバテバテの状態で後から追いついた。

 

綾瀬 留衣

「はぁ、はぁ、蘭、相変わらず速いね」

名波 翠

「ホンマやで、はぁ、さすがサルの生まれ変わりや………」

 

どさくさに紛れて翠が私をサル呼ばわりした。

 

磯埼 蘭

「ちょっと翠、後で何か奢ってよね………誰も、居ないみたいだね」

 

辺りをちょっと警戒して門をそっと通り抜ける。

敷地内には誰もおらず、昨日と同じく寂しく私たちを出迎えるだけだった。

 

綾瀬 留衣

「それしても、隣の教会からすごい人の声なん聞こえるね」

 

対して壁の向こう側から聞こえる大勢の声は、こちらと比べて何かざわついている音が頻繁に耳に入り込む。

パーティでも開かれているのだろうか?

 

名波 翠

「その詮索はこの際後や、蘭。今はあのおっちゃんの救助が先やで」

 

翠の指摘に私は改めて目的を思い出した。

 

磯埼 蘭

「それで、どうする?お兄ちゃん来るのを待ってる?もしこの中に怪しい人が居たら私一人じゃ対抗できないよ」

綾瀬 留衣

「蘭が無理に前に出ようとしなくていいよ。俺達は自分の身はちゃんと守れるようにするからさ」

名波 翠

「でも待ってる余裕はないと思うで。もしあの男の言い分が本当だとしたら、もうすぐその1時になってまうで」

綾瀬 留衣

「………その事で気になってたことがあるんだけど、良いかな?」

 

入り口辺りまで慎重に歩いて行って不意に、留衣がこう切り出した。

 

磯埼 蘭

「どうしたの、留衣?」

綾瀬 留衣

「蘭と話した男、今日の午後1時頃にこの資料館へ来いって言ったんだよね?それで、オーナーの命を守れって、それで電話が切れた」

磯埼 蘭

「うん。そんな内容だったよ」

綾瀬 留衣

「でもさ。その男、どうやってその情報を入手したんだろうってずっと考えた。前もってその事を知っていたなら、何でわざわざ俺達の泊まってるホテルに、蘭の所へ電話して知らせてきたんだろうなって」

名波 翠

「それは私も考えたんや。あのおっさん守りたいなら何でその事を私らに、蘭に言ったのか。守りたいなら男本人で守れば言いのにって」

 

そう言えばそうだ。

あの男の人が回りくどいやり方をしてきたってことは?

 

磯埼 蘭

「うーん。何でかは分からないけど、その人ってどこか体調が悪いから、自分じゃ守れない。だから私に連絡してきた、こうなんじゃないかな?」

 

私はいつもの自分の直感をそのまま伝えることにした。

 

名波 翠

「体調が悪い、ね。あの電話の内容がウソかホントか分からん。でもどちらにせよ、あのおっさんの安否は気になるところや。蘭、留衣君、行こうか」

 

昨日と同じく正面玄関から中へ入ろうと入口に近づいて、ガラス戸を手前に引こうと思ったけど、予想に反して鍵が掛っていたせいで中へ入ることは出来なかった。

 

磯埼 蘭

「あれ?今日は休みなのかな?」

名波 翠

「いや、違う。今日は休館日なんて知らせ、どこにもない」

 

何度もガラス戸を押しては引くが、やはり鍵が掛っていて中へ入れそうになかった。

 

名波 翠

「ちゅうことは、いつも通りに開業しているのに、誰かがわざと外からの出入りを制限させたってことやろな。………怪しい臭いがプンプンするで」

磯埼 蘭

「それにしても久住さん、今日は来てないのかな?あの人が中に居れば、簡単に開けられたのにっ」

綾瀬 留衣

「うっ、時間がない!何とかして建物に入る方法を探すんだ!」

 

私たちは手分けしてそれぞれ屋内に入るための手段を探し始めた。

あのオーナーさんの命が掛っているので、あまり悠長な事をしていられない。

でもそれは、私が裏口となる扉を数分もしない内に発見したことで解決した。

 

磯埼 蘭

「翠ー、留衣ー、裏口見つけたよー!早く来てー!」

 

私が大声を上げて叫んだその時、その裏口の扉を押したら、あっさり開いてしまったのだ。

 

磯埼 蘭

「………え?」

 

正面玄関が鍵が掛っているだけに、ここも鍵が掛っているものだとばかり考えていたのだが、

徐々に開く角度が増して中の様子が伺えた。

中は暗く、物が多く置かれていると言う事は、ここは倉庫か何かなのだろうか?

そしてこの薄暗い倉庫の中から、一瞬だけ光が現れて、そのシルエットには誰かが走り去っていくのが見えた。

 

磯埼 蘭

「っ!?誰!?」

 

走り去っていく影に向かって私は怒鳴ってしまった。

 

綾瀬 留衣

「蘭っ?」

名波 翠

「どないしたんや?誰かおったんか?」

 

その声に釣られてようやく留衣と翠がこの裏口までやって来てくれた。

 

磯埼 蘭

「うんっ、確か今誰かが通ったような気がする!もしかして!」

 

気が付くと私は、2人を置いて中に向かって走っていた。

後ろから2人の声が聞こえて来たけど、どうしてもあのオーナーさんの安否が気になった。

中は薄暗かったけど、入ってきた裏口が開いていたおかげで、少しだけ陽が照っていて様子が伺えた。

置かれてあるガラクタをどうにか避けながら、向こう側へ消えて行って閉まった扉を勢いよく開け放った。

今日も普段と変わらず営業中のようで、明かりが点いていたりクーラーが点いていた。

でもそこには、誰もいなかった。

後から室内へ来た留衣は、正面玄関へ向かってガラス戸を引いた。

 

磯埼 蘭

「うっ、やっぱり駄目だ!鍵が掛かってて外へは出られないよ!」

名波 翠

「オーナーがどこにいるか手分けして探すんや!」

綾瀬 留衣

「でも一人は危険じゃないか?罠ってこともあるだろうし」

名波 翠

「それでも向こうの情報を得るためや!蘭は留衣君と行ってや!私はここで凛さんを」

 

ドンドンドンッ。

ガラス戸を叩く音がした。

振り返ると、遅れてやって来たお兄ちゃんがガラス戸を叩いて、口をパクパクと動かしながら

何かを訴えていた。

 

磯埼 蘭

「なんて言ってるんだろ?」

綾瀬 留衣

「どこから入ってきたって言ってるんじゃないかな?口の動きで大体わかるよ。俺は凛さんを裏口から中へ案内するから、2人はここで待っていてほしいんだ」

磯埼 蘭

「分かったよ留衣」

 

本当は今すぐにでもオーナーさんを探しに行きたいけど、バラバラで探すよりも固まって探した方が安全。

その事を考えてそう言ったのだ。

 

名波 翠

「ホンマにもう。あんたの彼氏、蘭のこと気使い過ぎやで」

磯埼 蘭

「えー。それは留衣の配慮してるからだよ。何も翠が拗ねることないじゃん」

名波 翠

「ま、それはええ。うちには凛さんがおる。もう近くにの」

 

翠はどうやら、近くに私と留衣のカップルがいるのに自分の近くにはお兄ちゃんの姿がないことに納得がいかなかったようだ。

 

磯埼 凛

「おーい、2人とも!」

 

そんな時だった。留衣がお兄ちゃんを連れて、ようやく資料館へ入ってきた姿を見たのは。

 

名波 翠

「凛さ~ん!」

 

お兄ちゃんの姿を見て駆け出して、傍へ来た翠が相変わらずキラキラ眩しい視線を向けた。

 

名波 翠

「凛さんっ、お怪我はありませんか?」

磯埼 凛

「翠ちゃん。走って来て疲れはしたけど、怪我なんてしてないよ。それよりも蘭、この中へ入っていく人影って言うのは?」

 

ここへ向かっている最中に留衣から話を聞いたみたいで、疑問に思ったお兄ちゃんが私にそう聞いてきた。

 

磯埼 蘭

「はっきりと見た訳じゃないけど、視界の端に一瞬だけその影が中へ入って来くのを見たの。その正体が人か、ただの物だったのかは分からないけど」

磯埼 凛

「ふむ、よし分かった。この建物に誰がいるか分からない以上、慎重に行った方がいいな。どうしようか?ここは2手に別れてオーナーを探すのと並行して怪しい奴が居たら即確保にするか、やっぱり安全を考えて固まって行動するか。蘭、お前が決めてくれ」

 

お兄ちゃんの突然の提案に思わず、目を剥いでしまった。

 

磯埼 蘭

「えっ!何で私が?」

綾瀬 留衣

「オーナーさんの事を、一番に気に掛けていたのは蘭でしょ?それに俺は蘭のいつもの直感を信じて行動したいんだよ」

 

だけど答えたのはお兄ちゃんではなく留衣だった。

彼の目はいつもの、信頼とも呼べる視線が合った。

 

名波 翠

「そうよ蘭。私も凛さんと留衣君の意見に賛成。私も蘭を信じたい………だから蘭、どっちにするか決めて」

 

翠も間を置かずに、留衣とお兄ちゃんと同じ目を向けてくる。

自然と私も同じ目で3人をそれぞれ見つめていることに気が付いた。

だから私はこの後、どう行動すれば一番ベストなのかを考えた。いや、やっぱり自分の直感を信じて動こう。

私は頭を働かせるタイプではない。

そして、私は――――

 

磯埼 蘭

「オーナーさんがやっぱり心配だよ。早く見つけるためにも2手に別れて探した方が良いと思うんだ………これで、良いかな?」

 

私は正直言って誰かに指示とかを出すのはあまりなかった。

自信がないけれど、私は直感を信じてこの提案を出した。

 

磯埼 凛

「おっしゃ!それならさっそく行動開始だ!それで、誰と誰がペアを組む?」

名波 翠

「私は凛さんとお供しますわ!」

 

翠がこの時を待ってましたと言わんばかりに手を勢いよく上げる。

 

綾瀬 留衣

「それなら俺は蘭と一緒に行きます。これならパワーバランスも保ててちょうど良いと思います」

磯埼 凛

「よし!なら俺と翠ちゃんは3階を調べる!留衣と蘭は2階を頼む!ここからは慎重に行動するようにしよう。怪しい奴がいても、自分達でどうにかしようと考えないこと。あと、それぞれ連絡出来るように常に携帯電話を気にしてること!それじゃ、行こう!」

 

 

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