NARUTOーIF STORYー『四龍宿す人柱力』 作:ネヘモス
ジリリリリ!!
けたたましく目覚まし時計が鳴り響き、起きた少年がいた。
『起きたか、ナルト』
「んー、九喇嘛か。おはようだってばよ」
金髪のツンツン頭に青い瞳、猫ヒゲのような模様を顔に描いたような少年ーうずまきナルトは自分の中の存在「九喇嘛」に話しかけた。
『お前、今日が何の日か覚えてるか』
「ああ、忘れもしねえ」
今から5年前の10月10日、木ノ葉隠れの里に九尾が解き放たれて里を壊滅に追いやった事件。それを封印したのが今は亡き四代目火影、波風ミナトと先代の九尾の人柱力・うずまきクシナ。そして、自分が今代の九尾の人柱力だということ。
「お前が俺の両親を殺そうとした事、忘れてねえからな?」
『確かに、儂はあの時お前と両親を殺して自由になるつもりでいた。だが、
そう、確かに俺の両親は死んだことになっている。だが、実際は違う。俺はそれを人々が九尾と呼んで忌み嫌っている存在「九喇嘛」から聞いた。ちなみに、俺は3歳の時に九喇嘛を認識してから特に喧嘩もすること無く、和解した。その時に九喇嘛から色々な忍術の基礎を教わった。
九喇嘛が言うには母さんに施された封印を解いたのは面を付けた男。面の隙間から写輪眼が垣間見えたため、死んだはずのうちはマダラと思われた。そして、俺の父親が九喇嘛を封印するための八卦封印を行おうとして、その隙を付いて俺を殺すつもりだった。
だが、ここで予定外の事が起こる。
突然、九喇嘛が動きを止めたのだ。俺を庇おうとした両親も何事かと思い振り返ると、
「全く、久々に来てみればとんだ事になってるな、四代目火影殿?」
まるで龍を模した様な甲冑を着込んだ人物が立っていた。ミナトはこの人物を知っていた。
「あなたは、
志龍イッセイーミナトが火影に就任した時に突然現れた謎の人物。木ノ葉隠れの里の前の門で行き倒れていた謎が多い人物。詳細はおいおい。
九喇嘛はこの人物を見た瞬間死を覚悟したそうだ。本人(本獣?)曰く、
『アイツは絶対に敵に回してはいけない。下手したら儂が殺されてたかもしれん』
とのこと。とにかく、志龍イッセイなる人物の存在によりミナトとクシナは九死に一生を得た。そして、ミナト、クシナ、九喇嘛、イッセイの話し合いの末、「九喇嘛に貫かれたミナトとクシナがナルトに九喇嘛を封印した」という幻術を半径1キロに及ぶ広範囲にかけることにした。実際に九喇嘛はナルトの中に封印されて、ミナトとクシナ(超高度な影分身の)は里の為に死んだ。
これが、5年前の九尾事件の真相。自分の両親が何処にいるかは分からない。何でも、志龍イッセイなる人物が時空間忍術の様な謎の術を使ってどこかに匿っているらしい。
『で、今日は何について修行する?』
「うーん、九喇嘛。俺ってば、血継限界みたいな物は無いわけ?日向一族の白眼やうちは一族の写輪眼みたいな」
すると、中の九喇嘛が急に黙り込んだ。そして、重い口を開いた。
『結論を言えば、お前は血継限界を持っている。だが、これは現状お前にしか使えない力だ。その血継限界の名前は「宿龍」、まあ、習うより慣れろだ。お前、儂の精神世界の奥底に来い』
言われるがまま精神世界の奥底に入り込む。そして、俺はとんでもない物を見てしまった。
そこには俺と九喇嘛、そして、4体の龍がいた。
「何がどうなってるんだってばよ!?こんな龍見た事ねえぞ!?」
ナルトが驚くのも無理はない。そこに居たのは両眼の色が異なる赤い龍、鋭い顎に細い体躯の黒い龍、緑色の綺麗な翼の白い龍、そして紫色の蛇のような細い体躯の龍。
「儂もコイツらの事はよくは知らん。知ってるのは赤いヤツだけだ」
すると、突然赤い龍がナルトに話しかけてきた。
「君がナルト?俺の名前は、長すぎるから省略するね?
なんか、九喇嘛よりもとっつきやすい性格なのはよく分かった。
「よろしく、紅。他は、何て呼んだらいい?」
「まあ、とりあえずそれぞれの色にちなんで
おお、なんかすげえ仲良くなれそうだ。
「九喇嘛、俺の血継限界ってこれの事?」
「そうだ、儂をお前に封印する時にイッセイが八卦封印のチャクラに混ぜ込んでやがった。コイツらのせいで儂は封印に近づくことすら出来なかった」
「まあ、俺らの主が九喇嘛を抑えるためにって、ついでにナルトの力になれるようにって」
そうだったのか。まだ顔を知らないイッセイさん、ありがとうございます。
「ちなみに、お前は陰陽以外のチャクラ性質を全て持ってるが、風以外はコイツらのせいだから」
諸々準備をして、うずまきナルトは里に出る。すると、
『あの子よ。九尾を封印された子』
『三代目も何でコイツみたいな妖狐を匿ってるんだ』
『とっとと里から出ていけよ』
ナルトはこれを華麗にスルーした。すると、
ポスッ
「キャッ」
「おっとゴメン。大丈夫か?」
前方不注意で誰かにぶつかってしまった。とりあえず倒れていたので立たせる。それは自分と歳があまり変わらないだろう黒髪の少女だった。それだけならまだ良かった。だが、少女の眼を見て顔が青くなった。
「白眼…、日向一族の人ですか!?」
「は、はい…。そうですけど…」
「ご、ごめん!俺ってば、修行あるから失礼するってばよ!!」
俺は親からの報復を恐れてその場を離れることにした。
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「ヒナタ!無事か!?」
「お、お父様…」
少女ー日向ヒナタは父ー日向ヒアシに自分の無事を伝えた。そして、先程ぶつかった少年の事も。
「先程の少年は?」
「わ、私の眼を見るなり逃げちゃって…。確か修行があるからって…」
先程の少年、恐らく九尾の人柱力だろう。可哀想に。三代目が箝口令を敷いたばかりにこんな事態になって、しかも差別を受けてるなんて。ヒアシは何となく察していた。先程の少年の容姿はまるで今は亡き四代目火影を彷彿とさせていたからだ。それともう一つ、彼の中から彼自身と九尾以外の何かの存在を視てしまった。
そして、うずまきナルトと日向一族がこの数時間後に接触することを当人達はまだ知らない。
オリキャラ?紹介
・志龍イッセイ
ミナトが四代目火影に就任した際に現れた謎の人物。九喇嘛封印の時にナルト一家が殺されそうになるのを阻止した。だが、表向きはミナトとクシナを死なせた事にしてる。使用忍術は不明。判明してるのは龍を模した様な甲冑と時空間忍術に似た何か。
・紅、黒、白、紫
九喇嘛封印の際にイッセイが八卦封印のチャクラに組み込んだ謎の龍。唯一紅だけがナルトと話をしている。
原作との相違点
・ミナトとクシナは別世界で生存。
・ナルトが九喇嘛と和解済みで九喇嘛から忍術を教わってる。
・ナルト、チャクラ性質が火、水、風、雷、土の五つになる。
・ナルトの中にいる九喇嘛以外の存在はぶっちゃけ尾獣よりヤバイ。