其れは咲いてはならない花だった。
其れは咲かせてはならない花だった。
其れは咲くはずも無い花だった。
其れは―――――――――咲いた。
見てはならない。
匂ってはならない。
それは、許されざる花。
花が咲いた。
其れは咲いてはならない花だった。
其れは咲かせてはならない花だった。
其れは咲くはずも無い花だった。
其れは―――――――――咲いた。
「リツカ、良い空気デスね♪」
彼女はあらゆる特異点で存在した。
緑色のドレス、それに紅い瞳と妖精の様な透き通るような白い肌と美しい容姿、
そして毎回変わる髪の色。
彼女は、あらゆる特異点で現れては散って逝った。
何時も必ずその特異点の終着点で死んでいった。
冬木で、フランスで、ローマで、大海で、ロンドンで、アメリカで、彼女は現れた。そして死んだ。
そして、次の特異点では何事も無かったように現れた。
第6の特異点の時、獅子王が僕に尋ねた。
「ところで、お前は誰に話しかけている?」
その言葉に僕は戸惑った。
目の前にいる彼女が認識できていないのだろうか?
僕は驚いてマシュに同意を求めると、マシュは気の毒そうに目を逸らした。
他の英雄たちも同様だった。
…何という事だ、僕以外には彼女が認識できていなかった。
そこで僕は彼女の姿をこと細かく話した。
彼女の紅い瞳、花の髪飾り、白い肌、美しい曲線を描く躰、蠱惑的で純粋な笑顔。
その姿を説明し続けた。
次第に、英雄たちの様子が変わってきた。
「…彼女か?」
「僕もあった事があるかもしれない」
「私の知る彼女は向日葵の様な明るい金髪だった」
「俺の知る彼女は白百合の様な純白の髪だった」
「だったら別人であろう。余が知る女性は薔薇の様な情熱的な赤髪だった」
「髪の色以外は、私はその条件に合う女性を知っている」
多くの英雄がその姿を知っていた――――――生前に。
「ヴールゥと名乗っていた」
「ラ・ヴォルモースと呼んで欲しいって言っていたかしら?」
「モーソルヴという名前だったわ」
「あの異国の少女は、かせはなと名乗っていた」
その名前は食い違うが、彼女はそれを聞いて嬉しそうにしていた。
第7の特異点でも彼女は現れた。
マーリンが原初の泥を花に咲かせようとしたとき、彼女はこれまでに無く淫靡に凄惨に嗤った。
マーリンが咲かせようとした花は咲く事も無く、代わりに巨大な球根植物がそこに在った。
マーリンは熱に浮かされる様に、悪夢にうなされる様にその球根を抱きしめた。
其れと同時に根の無い球根は急速に成長し、その幹から幾重にも分かれた宝石のような金属質の根を生やした。
成長したその植物の枝はティアマトに絡み付き、其処から根が生えて絡み付いた。
そしてティアマトを液体を
何よりも美しい幻想的な夢色の花。
気が付けばそこに彼女はいた。
そして良く解らないまま僕は特異点を解決してゲーティアの待つ神殿へ向かった。
そして、やはりそこにも彼女は咲いていた――――
この後は、各サーヴァントのオリ主に改変された過去を綴る予定です。
オリ主の正体は解る人にはモロバレですよね(笑)