花が咲いた。
其れは咲いてはならない花だった。
其れは咲かせてはならない花だった。
其れは咲くはずも無い花だった。
其れは―――――――――咲いた。

1 / 1
触れてはならない。
見てはならない。
匂ってはならない。

それは、許されざる花。


夢幻に香る花

 花が咲いた。

其れは咲いてはならない花だった。

其れは咲かせてはならない花だった。

其れは咲くはずも無い花だった。

其れは―――――――――咲いた。

 

 

 

 

 

 

「リツカ、良い空気デスね♪」

 

彼女はあらゆる特異点で存在した。

緑色のドレス、それに紅い瞳と妖精の様な透き通るような白い肌と美しい容姿、

そして毎回変わる髪の色。

花が咲く様に(・・・・・・)可愛らしく嗤う彼女に僕は何時の間にか引き込まれていった。

 

 

彼女は、あらゆる特異点で現れては散って逝った。

何時も必ずその特異点の終着点で死んでいった。

冬木で、フランスで、ローマで、大海で、ロンドンで、アメリカで、彼女は現れた。そして死んだ。

 

そして、次の特異点では何事も無かったように現れた。

 

 

第6の特異点の時、獅子王が僕に尋ねた。

 

「ところで、お前は誰に話しかけている?」

 

その言葉に僕は戸惑った。

目の前にいる彼女が認識できていないのだろうか?

 

僕は驚いてマシュに同意を求めると、マシュは気の毒そうに目を逸らした。

他の英雄たちも同様だった。

…何という事だ、僕以外には彼女が認識できていなかった。

 

そこで僕は彼女の姿をこと細かく話した。

彼女の紅い瞳、花の髪飾り、白い肌、美しい曲線を描く躰、蠱惑的で純粋な笑顔。

その姿を説明し続けた。

 

次第に、英雄たちの様子が変わってきた。

 

 

 

「…彼女か?」

 

「僕もあった事があるかもしれない」

 

「私の知る彼女は向日葵の様な明るい金髪だった」

 

「俺の知る彼女は白百合の様な純白の髪だった」

 

「だったら別人であろう。余が知る女性は薔薇の様な情熱的な赤髪だった」

 

「髪の色以外は、私はその条件に合う女性を知っている」

 

 

多くの英雄がその姿を知っていた――――――生前に。

 

 

「ヴールゥと名乗っていた」

 

「ラ・ヴォルモースと呼んで欲しいって言っていたかしら?」

 

「モーソルヴという名前だったわ」

 

「あの異国の少女は、かせはなと名乗っていた」

 

その名前は食い違うが、彼女はそれを聞いて嬉しそうにしていた。

 

第7の特異点でも彼女は現れた。

マーリンが原初の泥を花に咲かせようとしたとき、彼女はこれまでに無く淫靡に凄惨に嗤った。

 

マーリンが咲かせようとした花は咲く事も無く、代わりに巨大な球根植物がそこに在った。

マーリンは熱に浮かされる様に、悪夢にうなされる様にその球根を抱きしめた。

其れと同時に根の無い球根は急速に成長し、その幹から幾重にも分かれた宝石のような金属質の根を生やした。

 

成長したその植物の枝はティアマトに絡み付き、其処から根が生えて絡み付いた。

そしてティアマトを液体を吸う(・・)様に喰らい、幻惑的で蠱惑的な花を咲かせた。

何よりも美しい幻想的な夢色の花。

 

気が付けばそこに彼女はいた。

 

そして良く解らないまま僕は特異点を解決してゲーティアの待つ神殿へ向かった。

 

 

 

そして、やはりそこにも彼女は咲いていた――――




この後は、各サーヴァントのオリ主に改変された過去を綴る予定です。
オリ主の正体は解る人にはモロバレですよね(笑)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。