Infinite Days~獅子の姫達とその勇者~   作:のんびり日和

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10話

門前での騒動から暫し経ち、一夏とレオそしてビオレは城の裏手にあるセルクルの厩舎へと来ていた。

 

「此処には色々なセルクルが居る。一夏、この中からお主の相棒になりそうなセルクルを見つけるがいいぞ」

 

レオにそう言われ一夏は厩舎の中を進んでいくと、一体だけ周りから離されているセルクルが居た。

 

「こいつは?」

 

「そやつは止めておけ。気性が荒くてのぉ、幾人の者がこやつに乗ろうとしたが全員振り落とされておる」

 

レオの説明を受けながら一夏はふぅ~ん。と零しながらセルクルを見つめる。離されているセルクルは右目に眼帯をしており開いている左目を鋭くさせ一夏を見つめていた。

 

「……」

 

暫しじっと見つめ合っていると

 

「こいつにするわ」

 

「なっ!? お主、儂の話を聞いておったのか?」

 

「あぁ聞いていたさ。けど、こいつでいい」

 

そう言って一夏はセルクルに手を差し出す。レオとビオレは噛まれると思い身構える。

だが2人の予想は反し、セルクルはそっと額を一夏の手に当てた。

その行動に二人は驚きを隠せなかった。今まで誰も懐かなかったセルクルが一夏に懐いた。すなわち主として認めたという事になるのだ。

 

「お、驚いたのぉ。まさかこやつがお主を認めるとは…」

 

「一体、何をされたんですか?」

 

「ん? いや、ただ何となくこいつの目を見つめていた。それだけだが?」

 

そう言われ2人は何とも言えない表情を浮かべる。

 

「さて、お前に名前を付けないとな」

 

そう言い一夏は腕を組み目を瞑りながら考え込む。そして暫くして目を開けた。

 

「よし、お前は今日からサーペント()だ」

 

そう言うと、サーペントは首を縦に振った。

 

そしてセルクル用の鞍をサーペントに装着させ一夏は城の出口へと向かう。

 

「では一夏様、かならず夕刻までにはお戻りください。夜になりますと、盗賊が現れる危険がありますので」

 

「了解了解。それじゃあ行ってくる」

 

ビオレの忠告を聞き一夏は城門を抜けビスコッティへと向け出発した。サーペントの背に乗って揺られる事数時間後、ガレットにある城とは違い白いレンガ造りの城が現れた。

 

「此処がビスコッティの城か?」

 

そう呟くと一人の人物が近付いてきた。

 

「おや、ガレット獅子団の勇者様ではありませんか。何か御用でしょうか?」

 

「ん? あぁ、シンクに少し用があってな。ところでアンタは?」

 

「おっと、ご挨拶が遅れて申し訳ない。私はロラン・マルティロッジ、本日あなたと剣を交えたエクレールの兄で、騎士団長を務めております。以後お見知りおきを」

 

「土方一夏だ。それで、シンクは今いるのか?」

 

「いえ、今エクレとリコッタと言う我がビスコッティに所属している研究者と共に召喚台の方に向かいました」

 

召喚台?と一夏は聞いた事が無い単語に首を傾げる。一夏の仕草を見たロランは同じく怪訝そうな顔を浮かべていた。

 

「おや、ご存知ではありませんか? あなたも召喚台から召喚されたのではないのですか?」

 

「俺が目を開けたのは城だった。しかもなんか書物を読みながら儀式的な物を使って召還したみたいだが…」

 

一夏の説明にロランは顎に手を当てながら、そうですか。と難しい表情を浮かべる。

 

「で、シンクはその召喚台って所に行ったんだよな?」

 

「え、えぇ。先ほど来た道の途中にある別れ道を左に曲がって頂き、真っ直ぐ行ったらあります」

 

「そうか、ありがとう」

 

ロランに礼を述べ一夏はサーペントに指示を出して元来た道へと戻って行った。

 

「……シンク殿とは違う方法。ご帰還できる手掛かりになるかもしれませんね」

 

ロランは遠ざかっていく一夏の背を見ながらそう呟くのだった。

 

 

ロランの説明通りに道を進んでいくと台座の様な大きなものが見えて来る。

 

「此処か」

 

台座へと近づきながら辺りを見渡すと、台座の上から声が聞こえ一夏はサーペントから降り台の上へと昇っていく。

 

「お。居た、居た」

 

「あれ、一夏さん。どうして此処に?」

 

「やっぱりお前も帰れなくなった感じか?」

 

「まぁ、そんな感じだ。ところで、そっちに居る子は?」

 

そう言いシンク達の背後にいた背の小さい白衣を着た少女に目を向ける。

 

「初めまして、リコッタ・エルマールと言います! ビスコッティ国立研究学院の主席研究士であります!」

 

「はぁ? 君が主席研究士?」

 

エッヘンと胸を張るリコッタという少女に一夏は怪訝そうな顔を浮かべていた。

 

「えっと、リコは本当に凄い子ですよ。今日やっていた放送もリコが作った装置で放送されていたらしいですよ。それに、僕も元の世界に居る幼馴染に電話することが出来る装置も用意してくれましたし」

 

「ふぅ~ん」

 

一夏は半信半疑ながら自身のスマホを取り出す。

 

「俺も電話を掛けたら繋がるか?」

 

「はい、出来るであります。それにしても、えっと一夏様でよろしかったでありますか?」

 

「そうだが、なんだ?」

 

「勇者様の持っている携帯となんだか形が違うのでありますが、何故でありますか?」

 

「ん? シンク、お前の持ってる携帯ってどんな奴だ?」

 

「えっとこれですけど」

 

そう言ってシンクが一夏に見せたのは折り畳み式の携帯だった。

 

「…マジかよ。未だにガラケー使っている奴が居るなんて珍しいな」

 

「えっ!? 僕の周りは殆んどこの携帯ですよ?」

 

そう言われ一夏はえっ!?と驚いた表情を浮かべる。

 

「……どういう事だ?」

 

「ん~。‼ なるほど、分かったであります!」

 

そう叫びリコがビシッとシンクと一夏に指で指す。

 

「恐らくお二人は、それぞれ別の世界から来た。だからお二人の携帯の形状に違いがあるんだと思うであります!」

 

リコの説明にシンクとイチカは、あぁ~。なるほど。と納得した表情を浮かべた。

 

「それだったら説明が行くか。……一応確認で聞くが、シンクが居た世界では何年だ?」

 

「僕が居た世界は、西暦2011年です」

 

「……俺の所は西暦2065年だ」

 

お互いの世界の西暦を確認し、本当に全然違うんだな。と改めて異世界に驚く2人。

 

 

互いが別々の世界から来たというカルチャーショックを受けつつ、一夏はリコに頼み周波数をスマホに合わせてもらい電話を掛けた。相手は

 

「もしも『いっくん! 今何処にるのぉ!!!!!!』大声で叫ぶな!」

 

相手は束であった。電話の向こうからは荒い鼻息がフンスーフンスーと零れていた。

 

『叫ばずにはいられないよ! ちーちゃんから[クソ政府が一夏を誘拐された事を黙っていやがった。こっちは私が処理しておくから、一夏を頼む]って言われて直ぐにいっくんが監禁されている場所に行ったらいっくんを誘拐した馬鹿共だけで、肝心のいっくんが居なくてもう、束さん気が狂いそうだったんだからねぇ!』

 

「そりゃあ申し訳ないっす。で、姉貴は?」

 

『黙っていた奴ら全員を犬〇家が真っ青になるほどの状態にしたってさぁ』

 

「OK。大体想像できた」

 

コンクリートの床にダイコン畑の様な光景を想像しながら返事を返す一夏。

 

『それでいっくん今何処? 逆探してもエラーが出て見つからないんだけど?』

 

「あぁ~、御免。俺もちょっとよく分かってなくてさぁ。けど無事なのは確か」

 

『ん~? それ本当に大丈夫なのぉ?』

 

「大丈夫、大丈夫。あ、それとちょっと帰りが遅くなるかもしれない」

 

『そう? それと帰りが遅くなるって具体的にどれくらい?』

 

「大体1週間か、2週間くらい?」

 

『分かったぁ。ちーちゃんには暫く私の所で匿っておく。って言っておくよ。けど、ご両親には何て言うの?』

 

「同じ感じかな。姉の友達のところで暫く剣術修行してから帰るって」

 

『分かったぁ。ご両親にはちーちゃんから言っておくよう頼んどくよ』

 

「ありがとう。帰ったら、束姉の好きな人参料理定食作ってやるから」

 

『おっひょぉおおお、そりゃあ楽しみィ! それじゃあまた電話して来てねぇ! ばいびぃ~~!』

 

電話が切れたのを確認した一夏はふぅ~。と息を吐く。

 

「えっと、なんか凄い人と会話されてましたね」

 

「あぁ。あの人ある意味色々凄い人だよ。あぁ~、リコッタだったか? 悪いな、周波数を変更やらなんやらやってくれて」

 

「いえ、私も貴重なデータ収集が出来たので満足であります!」

 

笑顔を浮かべるリコッタに一夏はそうか。と苦笑いを浮かべながら台座の階段を降りて行きサーペントの元に行く。

 

「それじゃあシンク。多分、明日も戦が行われると思うしお前と戦えるの楽しみにしておくぜ」

 

「はい、僕も全力で行きます!」

 

シンクの返答を聞き笑みを浮かべながら一夏はじゃあなと言って召喚台から去って行った。

 

 

 

召喚台から去って暫くすると既に日は傾き始めていた。城へと到着し中へと入るとビオレが一礼して一夏を出迎えた。

 

「お帰りなさいませ、勇者様」

 

「あぁ。……その勇者様、止めてくれないか?」

 

「何故でしょうか?」

 

「勇者って気が俺には無いからな。一夏って普通に呼んでくれ」

 

苦笑い気味にそう告げると、ビオレは首を縦に振った。

 

「分かりました、一夏様」

 

「様も如何にかならないか?」

 

「それは無理な相談です」

 

ビオレに笑顔で拒否された事に、諦めた表情を浮かべそうかい。と返事をしてサーペントを厩舎へと連れて行こうとするとガウル達が何処かへ出掛ける様子だった。

 

「ん? 何処か行くのか?」

 

「おう、ちょっとイベントをな。あ、一夏は休んでていいぜ。俺とこいつらとでやるつもりでいるからよ!」

 

そう言ってガウルはノワ達とガタイの良い鎧の男と共に城を発って行った。

 

「ちぇっ。俺も参加しようかなと思ってたのに」

 

そうブツクサ文句を零しながらサーペントを厩舎へと連れて行った。

 

 

 

厩舎にサーペントを入れた後、城内を歩いているとレオが一人廊下の窓から夜空を眺めていた。

 

「何やってんだ、姫さん」

 

「ムッ、姫と呼ぶなと言っておろうが」

 

「はいはい、すいませんでしたと」

 

そう軽い感じで謝罪を口にする一夏。レオははぁ。と重い息を吐きまた夜空を眺めた。

 

「ただの黄昏ておっただけじゃ。お主に酷いことしたと「ぷっ!」 なっ、お主何が可笑しいんじゃ!」

 

レオの落ち込んだ感じで話そうとしたことが、一夏が元の世界に帰れないと言う事に一夏は思わず吹き出してしまった。

 

「そりゃあ、お前がいきなりそんな話をすれば噴き出すだろ。まぁ、俺くらいだけだと思うけどな」

 

そう言い壁を背にもたれる一夏。

 

「別にお前に怒っちゃいねぇよ。ただ準備をちゃんと出来ていなかった事に対して怒っていただけだ。気にする必要はねぇよ。むしろ感謝してるんだぞ」

 

「感謝じゃと?」

 

レオは突然感謝していると言った一夏に怪訝そうな顔を浮かべながら首を傾げた。

 

「俺が居た世界じゃあ剣術を使った、それも真剣を使った対戦なんて出来なかったから。この世界に来てそれが出来るんだ、俺は嬉しいんだよ」

 

「…そうか」

 

レオは一夏の説明に若干心の中にあった罪悪感が和らいだ感じがした。

 

「そういや、今日の夜イベントがあるんだな」

 

「イベント? いや、もう今日はイベントは無いぞ」

 

一夏が突然思い出したかのように呟いた事にレオは首を傾げながら答えた。

 

「ん? ガウルが今からイベントの準備をしてくるって言って出て行ったんだが。アイツの日にちの間違いか?」

 

そう言うとレオは暫し思案にふけると、何か気付いたのか大きく目を見開き耳をピンと立てた。

 

「ま、まさか、あやつら!」

 

そう言ってレオは一夏を置いてバッと走り出した。一夏は何か面白い事が起きたのか。と思いながらレオの後を追う。

 

「どうしたんだよ? いきなり走り出して」

 

「今日ビスコッティでイベントがあるのを知らんのか!」

 

「お~い。いきなり何の話だぁ?」

 

「兎に角について来い! 説明は行きながら説明する!」

 

「せめていく場所だけ言え!」

 

「ミオン砦じゃ! さっさと行くぞ!」

 

そう言いレオと一夏はセルクルの厩舎へと向かった。その途中突如放送が流れた。

 

『皆様ぁ! 今先程、ガウル様の宣戦布告を勇者シンクが受けましたぁ! 今から行われるイベント、それは<要人誘拐奪還戦!>です! さぁ、勇者シンクは無事にミルヒオーレ様を救出できるのでしょうかぁ!!』

 

その放送を聞いたレオはわなわなと肩を震わせそして

 

「あのぉ、阿呆共がぁ!!!」

 

と大声で叫んだ。




次回予告
一夏だ。何かガウル達が起こした緊急イベントなんだが、どうやら間が悪かったらしい。
まぁ、面白そうだから俺も行くけど。さて、砦に着いたけどなんかすげぇ強そうな剣豪が居るな。姫さん、悪いけどアイツは俺がやらせてもらうぜ!

次回
激戦ミオン砦! 大陸最強の剣豪とくノ一!? ~いざ、参るでござる‼~

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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