Infinite Days~獅子の姫達とその勇者~   作:のんびり日和

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11話

足音を立てながら先を歩きレオの後を追う一夏。

 

「それで、そのミオン砦は此処から遠いのか?」

 

「少しばかりな。兎に角にセルクルで向かうぞ」

 

そう言い厩舎からそれぞれの愛騎を連れ出す。そして城から飛び出し、ミオン砦に向けて走り出した。

 

道中、一夏はレオの方をチラ見すると、レオの表情には怒りの表情を浮かべていた。だがその怒りとは違う感情も若干感じ取っていた。

 

(焦り、か? まぁ、向こうさんの予定も考えずにこんなことしたからかもな。だが、それにしても変な違和感を感じるな)

 

そう思いつつ一夏は試しにとレオに話をかけた。

 

「おい、姫さん。今日、向こうで何かイベントがあったのか?」

 

「ビスコッティは今日は久しぶりの勝利を勝ち取ったのじゃ。だからミルヒの祝勝コンサートが行われるはずだった。だが、阿呆共がそれを知らずに緊急イベントなんぞやりおってからにぃ!」

 

怒りの形相を更にむき出すレオに、一夏はガウル、ご愁傷様。と心の中で静かに合唱するのだった。そして結局その違和感は分からずじまいだった。

 

そうこうしている内に2人はミオン砦に到着し中へと入って行った。そして砦の中央にある広場へと到着した。

 

「さて一夏。儂はあの馬鹿共を探してくる。お主は侵入してくる奴を足止めを頼む」

 

「一緒に探した方が早くないか?」

 

「直ぐに見つかる。だからッ!?」

 

レオは何かを察知し顔をそちらの方に向けると、そこには2人の人物がいた。

 

「……チッ。まさかお主達が出てくるとはな」

 

「えぇ、まぁ。拙者達も客将とはいえ、姫様にお仕えしている為出てくるでござるよ、殿下」

 

月明かりに照らされながら出たのは背の高い、和をイメージした装備をした犬耳の女性と、くノ一の様な恰好をした金髪の狐耳の少女だった。

 

「……姫さん、あの二人は?」

 

「背の高い方はビスコッティに籍を置く自由騎士であり、大陸最強と言われておるブリオッシュ・ダルキアン。そしてもう片方は同じ自由騎士で奴の部下の忍、ユキカゼ・パネトーネじゃ」

 

「へぇ、大陸最強ねぇ」

 

一夏はそう思いながらブリオッシュの方を見る。

 

(確かに、大陸最強って言われるだけはあるな。全然隙が見えねぇや)

 

一夏はブリオッシュを見て父親と同等、いやそれ以上の実力者と思い自然と右手が刀の柄を握っていた。

 

「……よせ、一夏」

 

「なんでだ?」

 

「お主では相手にならん。儂が奴の相手を「いや、俺がやる。俺はこの砦の構造に詳しくない。アンタの方が早く探せる」じゃが!」

 

一夏の実力は今日見た戦闘で少なからず分かったレオでも、相手が悪すぎると思い食い下がる。だがそのレオに向け一夏はニッと笑みを向ける。

 

「それに少しやってみたいんだよ」

 

「何をじゃ?」

 

「自分の今の実力と、大陸最強との間にどれほどの差があるのかをな」

 

そう言い、早く行け。と促す一夏に、レオは呆れたため息を吐く。

 

「…分かった。じゃが、無様は負け方は儂が許さんからな?」

 

「あぁ、本気でいくさ」

 

そう返されレオは後ろ髪を引かれる思い出その場から離れた。

 

「申し訳ないなが、貴女の相手は俺がやらせてもらう。実力不足かもしれないが、お手合わせ願おう」

 

そう言いながら刀を構える一夏。その姿にブリオッシュも笑みを浮かべる。

 

「いやいや、実力不足とは謙遜な。イチカ殿の力は拙者でも肌で感じる程強いでござるよ」

 

そう言いながら自身の大太刀を構えるブリオッシュ。

 

「ユキカゼ、手出し無用でござるよ?」

 

「御意でござる」

 

そう言うと、ユキカゼは後ろに一歩下がる。

 

「では、尋常に」

 

「「勝負!」」

 

その叫びと共に互いの刀がぶつかり合った。火花を散らし合いながらが剣をぶつけあう二人。

 

(すげなぁ、流石大陸最強と謳われるだけの事はある! だが、負けん!)

 

(凄いで御座るな。拙者よりも歳は下にも拘らず、攻めの視線を全く落とさないでござるな。気を抜くととられるでござるな)

 

二人の激しいせめぎ合いにユキカゼは息を呑む表情で見ていた。

 

「す、凄いでござる。初めての相手に、御屋形様が少しばかり本気を出されている!」

 

ユキカゼは長年共に一緒に居るブリオッシュが本気を出して相手にしたのは魔物や禍太刀などがほとんどだ。相手が名のある剣豪であれば本気を出すことはあるが、まだ初めて会った、それも今日この世界に召喚された勇者相手に少しばかりの本気を見せるとは思いもしなかったからだ。

 

暫し互いの剣技をぶつけ合い間を開ける二人。ブリオッシュは息は上がっていないが、一夏は若干息は上がっているが、深呼吸を混ぜながら息を整える。

 

「流石大陸最強と言われるだけの事はありますね。全然決め手となる一手が討てませんでしたよ」

 

「いやはや、それは此方も同じでござる。少しばかり本気でやっていたのに決め手が定められなかったでござるよ」

 

そう言いブリオッシュは若干身に纏っている気を、更に鋭くさせた。

 

「次は更に本気を交えながら行くでござるよ?」

 

「……はっはっは、マジですか。なら、俺ももう少し本気を上げますか」

 

そう言いブリオッシュ程とは行かないが、通常の人が出せるとは思えない気を纏う一夏。

 

(ついでだ。沖田さんがやっていた技、やってみるか)

 

一夏は沖田が2,3度だけ見せてもらった技。それを思い出しながら、頭の中でシュミュレ―ションし、そして構えた。その構え方にブリオッシュは若干目を鋭くさせる。

 

そして一気に間合いを詰めかかる。

 

「ッ!」

 

「一歩音を越え」

「二歩無間」

「三歩絶刀!」

 

「無明3段突き!」

 

そう言い刀を突くが、ブリオッシュは咄嗟に体を逸らすし、服が若干斬れるだけですんだ。だが一夏はスピードを殺しきれずそのまま地面に思いっきり転んでしまう。

 

「……」

 

突然の技にブリオッシュは呆けた顔を浮かべ、一夏はごろんと仰向けになる。

 

「はぁ~~、メッチャ足痛てぇ~‼ 沖田さん良くこの技使えるな。俺はちょっと無理かも」

 

そう一人呟く一夏。その姿にブリオッシュはクスリと笑みを浮かべた。初めて会った者に自分が驚かせることになるとは思いもしなかったからだ。

 

「一夏殿。起き上がれるでござるか?」

 

「ん? おぉ、大丈夫。ありがとさん」

 

ユキカゼが傍に行き仰向けになっている一夏を起き上がらせた。一夏は顔をブリオッシュの方に向け頭を下げた。

 

「ブリオッシュさん、ありがとうございます。お陰でいい経験になりました」

 

「いやいや、拙者も色々驚かせてもらったからありがたいでござるよ」

 

「そうっすか」

 

笑みを浮かべる一夏。すると傍に居たユキカゼが若干興奮した様子で話しかける。

 

「一夏殿! 素晴らしい剣技だったでござだった! さ、最後にやったあの技は一体何なんでござるか? あのような剣技初めて見たでござるよ!」

 

「ん? あぁ、あの技? あれは俺の知り合いが身に付けている技で、俺も2,3回くらいしか見た事が無いんだ。で、若干本気で来るブリオッシュさんに対抗しようと思って試しにやってみたんだ。が、見ての通り失敗だ」

 

そう言いながら笑う一夏に、ブリオッシュとユキカゼは驚いた表情を浮かべていた。たった2,3回しかその技を見ていないのにも関わらず、あそこまで凄い技を繰り出した。それが事実であれば、彼は何れ自身を超える様な剣豪になるのでは。ブリオッシュはそう感じてしまい、ユキカゼも同じような考えを浮かべていた。

 

「はぁ~、そう言えば姫さん。あの二人見つけたのか?」

 

一夏はそう零すと、2人は我に返る。

 

「え? あぁ、そう言えばどうで御座ろうか? そろそろ、むっ?」

 

ブリオッシュはふと何か音が聞こえ見上げると、何かが通り過ぎて行くのが見えイチカもそれに気付いたのか顔を向ける。その何かはシンクと、シンクに背負われたミルヒだった。

 

「あ、ミルヒ様」

 

「あ、ダルキアン卿。私先に戻ってますねぇ!」

 

「あ、一夏さん! すいませんが今日は急ぎなんで、勝負はまた次の日でお願いします! それじゃあ!」

 

そう言いながら遠ざかっていく2人。その姿に一夏は思わず笑い声を零す。

 

「クックック。やっぱり面白い奴だな、アイツ」

 

そう言いながら立ち上がる一夏。

 

「全くでござる。ユキカゼ、2人の護衛に」

 

「御意! では一夏殿、またでござる!」

 

「おう、またな。ユキカゼ」

 

そう言いユキカゼ足早に二人の後を追った。

 

「さて、ブリオッシュさんはどうする? ビスコッティに帰ります?」

 

「そうでござるな。実はと言うともうしばし一夏殿とお話が「何をしておる、一夏。帰るぞ」…おや、閣下」

 

しばし談笑しようと誘うとした瞬間レオが不機嫌顔で現れた。

 

「ん? あぁ、俺は後で帰るから先に「いいから、さっさと帰るぞ!」お、おい何で引っ張るんだ?」

 

不機嫌顔でこの場から去ろうとするレオに一夏は、引き摺られそうになりる。

 

「閣下、一つ質問よろしいか?」

 

「……何じゃ?」

 

「何故、ビスコッティに対し戦を仕掛けるのでざるか?」

 

「……何が言いたい?」

 

「いえ、ただ何か焦っている様な、そんな雰囲気を感じ取っただけでござるよ」

 

そう言われ、レオは何か思い当たる節があるのか顔僅かばかり歪める。

 

「……貴様には関係無い事じゃ。行くぞ、一夏」

 

「だ、だから自分で歩くって言ってるだろうが! それじゃあなブリオッシュさん!」

 

一夏を引っ張りながら立ち去るレオ。

ブリオッシュは遠ざかっていく一夏に手を振りながらその姿を見送った。そして僅かばかり物寂しい感じを浮かべるも、直ぐに踵を返してその場から去って行った。

 

「また、でござるよ。一夏殿」

 

 

その後城へと帰って来た一夏達。終始無言だったガウル達の頭にはデカデカと積み重なったタンコブが出来ていたとさ。




次回予告
ガウルだ。あぁ~、酷い目にあったぜ。まぁ、こっちの不手際だから仕方ないが拳骨は無いだろ、マジで。でも、最近の姉貴は本当に変わった。一体何があったんだ。まぁ考えても仕方がねぇ、訓練でもするか。
次回
訓練~儂が相手になろう、一夏!~

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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