Infinite Days~獅子の姫達とその勇者~   作:のんびり日和

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今回は


13話

医務室にレオを運んだ一夏は用意してもらった部屋へと一度戻りシャワーで汗を流し替えの服に着替えていた。

 

「はぁ~、さっぱりした。それにしても〈グゥ~〉腹減ったな」

 

そう言いながら時計を見るが、まだ夕飯には時間があった。

 

「仕方ない。軽くつまめるものでも探すか」

 

そう言い食堂へと向け歩き出す一夏。

 

暫く城内を歩くと食堂へと到着し、中へと入ろうとドアノブに手を掛けた瞬間何やら焦げた様な匂いが中から漂い出ている事に気付く。

 

「なんだ?」

 

そう言いながら一夏は扉を開け中へと入り、奥の厨房へと向かう。其処には

 

「ビオレ様、それはお酢です!?」

 

「あ、あれぇ? そ、それじゃあ「そ、そっちはみりんです!?」ふえぇ~~!?」

 

と、ビオレとルージュがアタフタしながら料理をしていた。

 

「何してんの?」

 

一夏は怪訝そうな顔で問うと、2人は驚いた顔で一斉に一夏の方に顔を向ける。

 

「い、一夏様!? ど、どうされたのですか?」

 

「いや、小腹が空いたから何か軽く食べられるものが無いかなと思って来たんだが…」

 

そう言いながら2人に近付く一夏。そして調理台の上に置かれている書物に目を向けるが

 

「えっと~。なんて書いてるの?」

 

「そ、それはハンバーグです」

 

一夏はルージュの説明を受け、ふぅ~ん。と零す。書物の言語は現地の言語、フロニャ文字が使われている為、一夏には読み解くことが出来ないのだ。

 

「で、なんでビオレはハンバーグを作ろうとしているんだ?」

 

「そ、それはぁ…」

 

言いづらそうな表情で顔を逸らすビオレ。すると隣にいたルージュが訳を話す。

 

「実はビオレ様は、料理が苦手でして仕事などは完璧にこなせるのですが、料理だけはどうしても…」

 

「ふぅ~ん、なるほどねぇ」

 

ルージュの説明にビオレは真っ赤になりながら俯く。

 

「まぁ、料理が苦手という奴は俺にも心当たりがあるが、練習すれば次第に上手くなる」

 

そう言い一夏はシンクの蛇口で手を洗う。

 

「ほれ、ちょっと退いて」

 

そう言いビオレを退いてもらい包丁を手に取る一夏。

 

「えっ? も、もしかして一夏様はお料理が?」

 

「あぁ、得意だぜ」

 

そう言いながら包丁で野菜を切ろうとした瞬間その手が止まる。

 

「そうだ。2人も見てるだけじゃなくて実際にやるのは?」

 

「「えっ?」」

 

「いや、見てるだけじゃ上手くなるわけないからな。俺のやり方を見つつ真似をすればいい。そうすれば上手くなる」

 

そう言われ2人はしばし考えた後

 

「分かりました。それじゃあ宜しくお願いします」

 

「私も今後の参考の為に、ご一緒させていただきます」

 

そう言い二人もまな板と包丁を用意する。

 

「よし、それじゃあまずは人参とキノコを細かく刻む。こうすれば噛んだ際の触感があっていい」

 

一夏の指示に2人は人参とキノコを切り始める。ルージュは問題なく切っていくが、ビオレの方は危なっかしくプルプルと震えていた。

 

「ビオレ、震えてるぞ」

 

「だ、大丈夫です。やれます」

 

そう言いながら切っていくが、何時自分の指を切ってもおかしくない状況だった。その光景に流石の一夏も見てられず

 

「その切り方じゃあ指を切るぞ。左の手を猫の様にして抑えるんだ」

 

「こ、こうですか?」

 

ビオレが猫の様に指を曲げ野菜を抑える。だが、包丁の方が握り方が可笑しかった。

 

「野菜の方はそうだが、包丁はそうじゃないぞ」

 

そう言い握り方を見せる一夏。ビオレは真似て包丁を握り、切り始めるがまだ震えている様子だった。

 

「はぁ、ちょっと失礼するぞ」

 

「へっ、一夏様何を?」

 

ビオレは一夏が言った言葉に首を傾げていると、ビオレの背後に周り野菜と包丁を握っている手を重ねるようにおく。

 

「ふぇ!? い、一夏様何をぉ!」

 

「こっちじゃなくてまな板の方に顔向けろ」

 

ジト目でまな板に顔を向ける様に告げる一夏。ビオレは顔を真っ赤にしながら顔をまな板の方へと戻す。

 

「脇を締める。それで左手は猫の手、右手の包丁はしっかりと握る。切り方は、まず人参を輪切りにしろ。切って行ったら少しずつ後ろに下げていく。全部切れたら輪切りにした物を数枚重ねて拍子切りの様に細く切る。切ったら今度は横にして切る。そしたらみじん切りになる」

 

後ろからビオレの手を握りながら教える一夏。ビオレは終始真っ赤に染まっていたが何とかやり遂げた。

 

「よし、それじゃあ次はこの肉の塊をミンチにする。包丁で小さく切っていく。切り終えたら、今度は叩くように叩いて行く。無論まな板を叩き切るような力で切るなよ」

 

そう注意をしつつ調理をすすめる。

 

「出来ました」

 

「わ、私も出来ました」

 

「それじゃあ肉と切った野菜をボウルに入れろ。入れたらよく混ぜる」

 

一夏の説明とその作っている姿を見つつ二人も同じように材料をこねる。そしてこね終えた3人はタネをつくり、熱したフライパンで焼き始めた。

 

「えっと、どの位まで焼くんですか?」

 

「軽く焦げ目がつくくらいだ。ほら、そろそろひっくり返すぞ」

 

そう言いながら一夏はフライ返しでハンバーグをひっくり返す。香ばしい肉の焼ける匂いが漂う。ビオレとルージュも同じようにひっくり返そうとする。ルージュは旨く出来たが、ビオレは若干形が崩れてしまった。

 

「あぁぁ、崩れてしまいました」

 

「まぁ、初心者だから仕方がないな」

 

一夏はそう言って励ます。そして3人は焼けたハンバーグを皿へと盛り付ける。

無論添え付けの野菜などは無い為、ハンバーグ一個がポツンと盛り付けられているだけだ。

 

「ほい、完成」

 

「はぁ、大変でしたぁ」

 

「ビオレ様、お疲れ様です」

 

疲れ切った表情を見せるビオレに、一夏はフッと笑みを零す。

 

「さてとお腹空いたし、この形が崩れたハンバーグ貰うぞ」

 

そう言いビオレが作ったハンバーグを口にする一夏。

 

「えっ!? ど、どうして私のを食べるんですか?」

 

「ん? だって、丁度いいサイズのハンバーグがこれだったからな。どれも大きめに作ってしまったからな。食ったら夕飯が食えん」

 

そう言われビオレは自分のハンバーグとルージュや一夏の作ったハンバーグを見ると確かに自分のは大きさが他より小さかった。

 

「あっと、その、お味は?」

 

「味? まぁ、良いじゃない?」

 

そう言いながらモグモグと食い続ける一夏。すると一夏は残りのハンバーグを箸で掴みビオレの口元に運ぶ。

 

「気になるなら、自分で食ってみ」

 

「えっと、その、自分で食べられますから「あ、俺が使った箸だからな。そりゃ嫌だよな」い、いえ、別にそうではありません! その、あの、だ、大丈夫です!」

 

そう言いビオレは恥ずかしがりながら差し出されたハンバーグを口にする。モグモグと口を動かし、自然と頬が緩む。

 

「こ、これ。私が、作ったんですか?」

 

「お前が作ったに決まってるだろ。なぁ?」

 

「はい、確かにビオレ様が作られましたよ」

 

一緒に居たルージュにも言われビオレは笑顔を浮かべた。

 

「さて、小腹も満たされたし俺は行くわ。あ、俺が作ったハンバーグは好きに食べていいからな」

 

そう言い一夏は洗い物を手早く済ませ、キッチンから出て行った。残ったルージュとビオレは一夏が作ったハンバーグに目を向ける。

 

「どうしましょう?」

 

「う~ん。あ、それじゃあビオレ様が食べるのはどうでしょうか?」

 

「わ、私が?」

 

「はい。ビオレ様のは一夏様が食べてしまわれていますし、一夏様も好きにしていいとおっしゃっていましたし」

 

そう言われビオレ少し躊躇いの表情を見せるが、そっと皿を持ち上げる。

 

「分かりました。それじゃあこのハンバーグは、私が貰いますね」

 

「はい。私はまだ他の仕事がありますので、私のハンバーグは置いておいてください」

 

「えぇ、分かりました」

 

ルージュはそう言い部屋から出て行く。残ったビオレは一夏が作ったハンバーグを口にする。食べた瞬間自分が作ったものよりも歯応え等が違う事に驚きつつも心が満たされるような気持ちを浮かべる。

 

(美味しいです。これが、一夏様が作ったハンバーグですか。何だか、心が温まるような味です)

(それにしても、一夏様に後ろから抱きしめられながら料理を教えてもらった時はドキドキしてしまいました。けど、何でしょう? 離れた瞬間、悲しいというかそんな気持ちになってしまいました。どうしてでしょう?)

 

そんな思いを抱きつつビオレは一夏が作ったハンバーグを食べ続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

因みに

 

「……のう、ビオレよ」

 

「は、はい、何でしょう閣下?」

 

夕飯を取っていたレオはふとある事が気になりビオレを呼ぶ。

 

「お主、何やら香ばしい匂いがするが何故じゃ?」

 

「は、はい? お料理の匂いでは?」

 

「いや、この料理の匂いではない。もっと旨そうな匂いじゃ。お主、何処かで飯処で食事してきたのか?」

 

そう問われ、ビオレは一夏(あとルージュ)と料理していた際の匂いが服に付いて、そのままだった。と思い出す。

 

「は、はい。最近出来たお店があるとのことで、お昼時間に行って参りました」

 

「ふぅ~ん」

 

レオは疑いの眼差しを向けながら皿に盛られている肉料理を口にする。

 

(い、言えるわけないじゃないですかぁ。まさか一夏様に料理を教えてもらった上に、作られたハンバーグを食べたなんてぇ)

 

と心の中で叫ぶビオレであった。




次回予告
ユキカゼでござる! このところ我がビスコッティ側の勝利が続いているでござる。今日の戦興業も、勝ったでござるがもう既に日が暮れ始めているでござる。おや、一夏殿が城に帰れずじまいでいるでござる。
御屋形様ぁ! 今日は一夏殿を我が風月庵にご招待でござる!

次回
のんびりお泊り~のんびりする事はいい事でござる~

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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