Infinite Days~獅子の姫達とその勇者~ 作:のんびり日和
魔物騒動によって結局戦興業は中止となった。
突然の魔物出現に多くの国民は不安と恐怖に陥っていたが、ミルヒが臨時の特別ライブを開く事を宣言したことで暗く落ち込んでいた国民は明るさを取り戻しつつあった。
~ライブ会場裏~
ライブ会場裏の控室でレオはミルヒと会っていた。
「――本当に済まなかった」
「いえ、レオ様も大変に悩まれた事は今の説明だけで十分伝わりました。もし私も同じような状況になったら言い出せないと思いますから」
そう言いレオの思いを聞いたミルヒはレオの謝罪を受け入れていた。そして互いに心の距離が離れて話せなかった間の事を話し合う二人。するとレオと話していてある事に気付いたミルヒは思わず笑みを零す。
「フフッ」
「どうしたのじゃミルヒ?」
「すいません。レオ様のお話を聞いている限り一夏様の事よく見ておられるんだなぁと思ってしまって」
そう言いクスクスと笑うミルヒ。レオは思わず顔を真っ赤に染めながらアタフタとなる。
「そ、そんな訳…うぅ」
「クスクス、すいません。でも一夏様がレオ様のお傍に居て下さったのは本当に良かったと思います」
「な、何故じゃ?」
「もし一夏様が居なければ、レオ様の心はもっと早く壊れていたのではと考えが過てしまって恐怖してしまったのです。一夏様がレオ様の心を繋ぎ止めて下さったことでまた私たちの仲を取り戻してくれたと思えたのです」
ミルヒの説明にレオは改めて一夏がこの世界に来てからの事を思い返した。
幾ら言っても自分の事を姫さんと呼び、自分の方が立場が上なのに言葉遣いは荒い。
思い返しても本来なら酷いと言う言葉で片付く様なものだが、一夏だと自身の素の心を出せる。そう思えることもあった。
そして今日の事もそうだ。
スリーズ砦に行くように指示した時、胸に鋭利な刃物で斬られたような痛みが走った。隠し事をして申し訳ないと言う重圧もあった。だが何かを隠している事を気にして砦に戻って来た事に、レオは心の隅に嬉しさもあった。
そして自分の間違いも怒鳴ってくれたことに救われる感覚もあった。
「そう、じゃな。アイツのお陰で色々と助かっていたのかもしれん」
そう零すレオの表情にミルヒは笑顔を浮かべる。レオの表情は女性らしく可愛らしい笑みを浮かべながら頬を染めていたのだ。
―――そう、恋する乙女の様な表情を。
「なんじゃ、その笑みは?」
「レオ様。もしかして一夏様の事す――」
ミルヒが続けて言おうとした所、控室と廊下を繋ぐ扉が開かれた。
「ミルヒ様、そろそろスタンバイを」
「あ、はい。今行きます」
スタッフからの言葉に応えミルヒは立ち上がる。
「ミルヒ、今何を言おうとしたのじゃ?」
「えっと、また今度言いますね」
そう笑顔で言いミルヒはステージへと向かって行った。一人残ったレオはミルヒが言おうとした事に大体察しがついていた。自身も此処最近になってようやく気付いた思いに。
「そうじゃな。儂は彼奴の事を…」
そう零してレオは控室から出て行った。
それから暫く時間が経った頃、一夏はステージが見える小高い丘の上に来ていた。
「ふぅ~、アイツらと一緒に見るのはいいけどやっぱりあぁもごちゃごちゃしているところは苦手だな」
そう言いながら地面に腰を下ろそうとしたところで背後に気配を感じ振り向く。
「なんだ、姫さんか。こんな所にいてもいいのか?」
「それを言うなら貴様もそうであろうが。ビスコッティの勇者を救ったガレットの勇者が一人此処で見ようなどと」
そう言いながら一夏の傍に寄るレオ。
「フッ。俺は称賛を受ける様な事はしてねぇよ」
そう言いながら腰を下ろす一夏。それに続く様にレオも一夏の傍に座る。
「おいおい、服が汚れるぞ」
「構わん。……そ、それより」
そう言いレオはチラチラと一夏の方を見る。レオの行動に一夏は首を傾げながらも見守る。
「今日は、ありがとう」
「ん? 別に姫さんに感謝されるようなことはしてないと思うが?」
「お主はそう思うかもしれんが、儂はお主のお陰で色々と目が覚めたのじゃ」
「あのビンタでか?」
「そうじゃな、あれは物凄く痛かった」
そう言いレオはビンタされた頬を手で当てながら答える。
俯きながら頬に手を当てるレオに一夏はやり過ぎたか。と思いながら明後日の方向に顔を向けながら口を開く。
「あぁ~。その、すまん」
「構わん。あれのお陰で目が覚めたのじゃ」
そう言いながら頬に当てた手を降ろし一夏に優しい笑みを浮かべ見せるレオ。
「お主のお陰で、儂はいろいろ助かったっておった。ミルヒの事で心にゆとりが無かった儂に、お主の存在が儂の心を救ってくれておった」
「別に助ける様な事はしてねぇだろ」
「いや、お主の儂に対する接し方が良かったのじゃ。周りに壁をつくって接していた儂に、躊躇いも無く壁を壊してくるお主に感謝しかなかったのじゃ」
「そうか。まぁ、感謝の言葉は素直に受け取っておくよ。それよりそろそろ「それと」まだなんかあるのか?」
ライブがそろそろ始まるから会話を切ろうとした一夏に遮るように言葉を重ねるレオ。その顔は先程までとは違い頬を染めていた。
「お主が儂の心を救ってくれたと同時に、お主に対する気持ちに儂はある気持ちに気付けたのじゃ」
潤んだ瞳で一夏を見つめるレオに一夏はえっ!?と胸を高鳴らせる。
「わ、儂はお主の事が「おぉ~、一夏殿此処でござったか」はぁっ?」
突然の第3者の声にレオは思いっきり声を上げその方に顔を向ける。一夏もそっちに顔を向けると其処には
「あれ、ブリオッシュさんにユキカゼ? 何で此処に?」
一夏達の背後に居たのはブリオッシュとユキカゼの二人であった。
「いやぁ~、一夏殿姿が見えなかったのでお館様と一緒に探していたんでござるよ」
「そしたら丘の方に行ったと聞いたので来てみたのでござるよ」
ユキカゼとブリオッシュの説明に一夏はへぇ~と答えている中、レオだけは怒り顔であった。
「お、お主ら! 今出てくるタイミングではないと分かるであろうが!」
「いやぁ、あのまま告白されては拙者達も面白くないと思いましてな」
「お館様と同意見でござる!」
ブリオッシュとユキカゼの言葉に一夏達ははぁ?と疑問符を浮かべる。
「それと、拙者達だけではないでござるよ。其処にいるんでござろう、
ブリオッシュの言葉に一夏達は驚きの表情を浮かべながら言葉を投げられた方に顔を向けると申し訳なさそうな表情で現れるビオレが林から現れた。
「び、ビオレ!? な、何故此処におるんじゃ!」
「も、申し訳ありません。で、ですが…」
そう言い謝罪するビオレ。言い淀むビオレにブリオッシュが背を押す。
「ビオレ殿。今この場にいる皆、同じ気持ちを抱いているんでござる。正直に言うべきでござるよ」
ブリオッシュの言葉に一夏は首を傾げ、レオは驚愕の表情を浮かべる。
「ま、まさか!?」
「うむ。拙者、ブリオッシュ・ダルキアンと」
「ユキカゼ・パネトーネは一夏殿、貴方様のことを」
「「お慕い申し上げております」」
「はいぃい!??!」
頬を染めながらブリオッシュとユキカゼは一夏に対し古風な言い方で告白する。そして
「い、一夏様!」
「え、あ、はい」
「わ、私も、あ、貴方様のことを愛しております!」
「えぇっ!?」
顔を茹蛸の様に真っ赤に染めながら告白するビオレ。
「な、何なんじゃお主らぁ! わ、儂が先にしようと思った事をするでは無いわぁ!」
「え? 儂が…先に?」
隣のレオが怒鳴りながら言った言葉に一夏はレオの方に顔を向ける。一夏の視線に気付いたレオは真っ赤な顔を浮かべながら一夏の方に顔を向ける。
「うぅううぅ。そ、そうじゃ! 儂も! 儂もお主の事を好いておる! 彼奴等以上にお主の事を愛しておる!」
怒った表情であるが真っ赤な顔で告白するレオに一夏は何とも言えない表情を浮かべる。
彼の中で今一番最初に思い浮かんだ言葉は
(俺、よく気を失わずに4人の告白聞けたな…)
「えっと、なんで俺なんだ? 俺みたいな剣術しか能が無い男なんかよりいい男が居ると思うが…」
一夏は4人が何故自分なんかにと思い聞く。
「一夏殿と1日だけとは言え、暮らした時とても楽しかったでござる。それに櫛で拙者の尻尾を梳いて下さったときとても幸せに感じられたからでござる」
「拙者は初めて剣を交えた時からでござる。何者にも負けない気迫とその剣技に惹かれたのでござる」
「私は、初めて一夏様に料理を教えてもらった時から胸の高鳴りを感じ、時が経つにつれてその高鳴りは高まっていきました。そしてその高鳴りが恋によるものだと気付きました」
「わ、儂は、さっき言った通りじゃ。あとは、お主は儂に初めての敗北を与えた」
「えっと、3人は何と言うか分かるが、最後の意味が分からんぞ姫さん」
「その、儂は1対1のタイマンで勝利した者を伴侶として迎えると、決めておったのじゃ」
「ちょっと待て。俺、姫さんと1対1の対決なんかしてないぞ」
一夏は思い返した限りレオと1対1の真剣勝負などした覚えがなくそう言うと
「あるじゃろうが。ガウルと模擬戦をした時に」
「……あぁ、あれか。てか、あれは模擬戦だろ」
「模擬戦とはいえ1対1の勝負じゃ。それに、あの時からお主に意識をするようになったのじゃからな」
ジト目で言われ一夏は何とも言えない表情を浮かべながらどうしたものか。と思い悩む。
「因みに、諦めると言う選択肢は「「「「「無い/無いでござる/無いです」」」」……マジですか」
真剣な表情で諦める気は無いと宣言する4人に本気で悩む一夏。
すると突然一夏達は周囲の空気が若干変化したことに気付き周囲を見渡す。
「感じたか?」
「うむ、空気が若干変化しおったな」
「魔物、ではござらんな」
「はい、周囲にその様な気配など感じられませんでした」
「では、一体?」
それぞれが周囲の空気の変化に警戒していると突如足元が宙に浮いた様な感覚に襲われ下を見た瞬間何時出来ていたのか黒い穴がぽっかりと開いていた。
「な、何ッ!?」
「こ、これは!?」
「お、落ちるでござるぅ!?」
「何時の間に!?」
「きゃぁああ!?」
5人が黒い穴へと落ちていくと黒い穴はスッと何も無かったように塞がった。
~とある島にある秘密研究所~
「ふ~んふんふふ~ん♪」
鼻歌を歌いながら機械のうさ耳をした女性、篠ノ之束は目の前にある機械をいじっていた。
其処へ銀髪の少女がオレンジ色の液体の入ったコップをお盆に載せながらやって来た。
「束様、人参ジュースをお持ちしました」
「おぉ、クーちゃんありがとうぉ!」
そう言いながら束は道具を手早く仕舞いコップを受け取るとゴクゴクと飲み始める。
「ぷはぁーー! やっぱり一仕事終えた後の人参ジュースは旨い!」
「それは良かったです。ところで束様。此方の機械は一体何なんですか?」
そう言いクーちゃんと呼ばれた少女は束がいじっていた機械を見つめる。束がいじっていた機械は部屋の天井に届きそうなほどの大きさの機械で中央には階段と踊り場があり、その奥には円形のゲートがあった。
「これ? これはね物体を移動させる転送装置の試験機だよ! ISの拡張領域に物を入れておけるのと同じ様に、物を量子変換して他の場所にあるこれと同じゲートに送れるようになるって物だよ!」
「それは凄い装置ですね。ですが、上手く行くのですか?」
「理論的には上手く行くと思う! まぁ、物は試しだ!」
そう言い束はクーちゃんと共に機械から少し離れ、機械に電源を入れる。
「そう言えばこれと同じ装置は何処に?」
「もう一つ? 日本のとある山奥にある研究所だよ。因みに向こうには既に荷物を置いて準備してあるから後は此処から遠距離始動スイッチを押せば送られてくるはず!」
「そうですか。上手く行くといいですね」
クーちゃんからの声援を受けながら束は始動!と叫びながら遠距離始動のスイッチを押す。機械はゴウィンゴウィンと唸りながらゲートには真っ白なウェーブ上の白い何かが広がっていた。
今か今かとワクワクしながら待つ束。すると真っ白だったゲートは突如黒く染まりる。
「あれ? どうしたんだろう?」
束は突如変化したことに首を傾げていると
「束様、何か聞こえませんか?」
「え?『―――!!』 あ、確かになんか聞こえるね」
何処からともなく聞こえる声らしきものに束達が首を傾げていると、突如真っ黒だったゲートから何かが飛び出してきて来る。それと同時にバスン!と大きな音と共に照明が落ちる。
「ほわぁっ!? 何か出たぁ!」
「た、束様! それより電気がぁ!?」
「おぉッと‼ そっちの方が先かぁ!」
そう叫びながら束は真っ暗な部屋にも関わらず軽い足取りで部屋の照明用の配電盤を開けてブレーカーを戻す。
そして部屋の電気が付き辺りが明るくなる。
「さぁて、ちゃんと送られたかなって、あれ?」
束は配電盤から機械の方に目を向けると、其処には5人の人物がおりその内の一人に見覚えがあった。
「い、いっくん!?」
「え? あれ、束さん?」
勇者服を着た一夏と
「ど、何処じゃ此処は?」
「閣下ご無事ですか?」
「お、お館様、此処は一体?」
「うむ、さっぱりでござるな」
「あと誰っ!?」
レオ達に束は驚きの声を上げるのであった。
次回予告
やっほぉ~、天才の篠ノ之束さんだよぉ!
いやぁ~、まさかこの束さんが造った転送装置からいっくんが飛び出てくるとは驚きだよ。あとあの4人の子達も驚きだね。特になにあのリアル耳! マジの動物耳とか羨ましいんだけど!
と、話がそれたや。取り合えずいっくんの帰国したようにデータ改ざんやらあの子達の偽造身分データとか作成で大変だったよぉ。…あとちーちゃんの対応も。
次回
久々の帰還とようこそ異世界へ~いぢがぁ~~。無事でよがっだぞぉ~~!~
次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)
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①IS×ウォーシップガンナー2
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②IS×メタルギア
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③IS×オリジナルストーリー①
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④IS×オリジナルストーリー②
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⑤IS×クロスアンジュ
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⑥IS×タイムクライシス
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⑦IS×オリジナルストーリー③
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⑧IS×人狼 JIN-ROH
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⑨IS×東方project
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⑩IS×オリストーリー④
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⑪IS×R-type
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⑫俺ガイル×IS