Infinite Days~獅子の姫達とその勇者~   作:のんびり日和

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14話

鈴の告白から数日が経ったある日、遂に大勢の生徒達が待ち望んでいたクラス代表戦が始まった。

アリーナの観客席には大勢の生徒達が集まっており、試合が始まるのを今か今かと待っていた。

観客席の熱気が徐々に上がっている中、アリーナのピットルームでは一夏が自身のIS、大和の調整を行っていた。

その傍ではレオやダルキアン、ユキカゼとビオレがいた。

 

「さてと、特に問題はなさそうだな」

 

「む? 終わったのか一夏よ?」

 

「あぁ」

 

そう言いながら調整用に使っていたタブレットを仕舞う。

 

「一夏様、どうぞ」

 

そう言いビオレが飲み物を差しだす。

 

「お、サンキュー」

 

差し出された飲み物を受け取ると、一夏は乾いていた喉を潤そうと飲み物をごくごくと飲み始める。

 

「ふぅ。さて、そろそろ対戦相手が発表されているかな?」

 

そう言い一夏はモニターを確認する。そして対戦相手が表示された。

 

「ふむ、初戦から中々面白い奴と当たったな一夏よ」

 

「そうですね。一夏様ご武運を」

 

「いつも通りの気持ちで行くでござるよ一夏殿」

 

「ファイト―でござるよ、一夏殿!」

 

4人からの声援に一夏は

 

「おう」

 

と短く返しつつ笑みを浮かべる。対戦相手は

 

《1組土方一夏対2組鳳鈴音》

 

と書かれていた。

 

反対のピットに居た鈴もモニターに表示された対戦相手に挑戦的な笑みを浮かべていた。

 

「まさか初っ端からあいつとやり合うなんてね。腕が鳴るわね」

 

そう呟きつつ、ピットに置かれている自身のISに手を置く。

 

「全力で行くわよ、甲龍」

 

 

そして開始時刻となり一夏と鈴はそれぞれのISに乗ってアリーナへと現れた。

 

「まさかこんなにも早くアンタとIS勝負が出来るとは思わなかったわ」

 

「俺もさ。さて」

 

「えぇ」

 

そう互いに呟きながらそれぞれの得物を構える。一夏は刀を。鈴は大きな柳葉刀を両手に持って。

 

『試合開始!』

 

そう合図が出たと同時に、2人はイグニッションブーストで間合いを詰めて互いの武器を振るう。激しい火花を散らせながら激しい斬撃を続ける2人。

 

「流石一夏ね。結構本気の斬撃だったんだけどね」

 

「確かに早かった。だが、あれくらいの斬撃なら見切れるぜ」

 

「やっぱりアンタのその力厄介ね。けど、まだ終わってないわよ!」

 

そう叫びながら鈴は両肩付近に浮いているユニットを変形させ自身の肩に装備させた。

その光景に怪訝そうな顔を浮かべる一夏。すると鈴はニヤリと笑みを浮かべながら構える。

その姿に一夏は何か嫌な感じを感じ取り直ぐに防御の構えを取ろうとする。

 

「行くわよ!」

 

その叫びと同時に突如ものすごい勢いで一夏へと突貫してくる鈴。だがそのスピードはイグニッションブーストをも超える程のスピードだった。

 

「此処ぉ!」

 

そう叫ぶと同時に双天牙月を振り下ろす鈴。

 

「「「「一夏!」様!」殿!!」」

 

4人の叫びと同時にガキ―ン!金属音が鳴り響く。

 

「……」

 

「……やっぱり、強いわね一夏!」

 

そうニヤリと笑みを浮かべる鈴。その視線の先に居たのは振り下ろされてきた双天牙月を刀と短刀で防ぐ一夏の姿だった。

 

「流石に今のは生身の時以上にヤバいと感じたぜ」

 

「でしょうね。けど、一夏。まだ終わりじゃないからね」

 

そう言い鈴は距離をとり斬撃を繰り出す。そのスピードは先程まで以上の物で一夏を追い詰めていく。

観客席にいたレオ達は一夏が押され始めている事に驚いていた。

 

「一夏の奴が押され始めよったぞ!」

 

「そ、そんな一体何が?」

 

「ふむ、動きは先程まで以上に上がっておる。先ほど鈴殿の肩に装着されたものが何かからくりがあるかもしれん」

 

「はい、そう思います」

 

そう言っているとレオ達と一緒に見ていたセシリアがまさか。と零しながらある事を話し始めた。

 

「恐らくあれは中国が開発した龍咆と呼ばれるものかもしれません」

 

「龍砲? なんだそれは?」

 

「私も詳しくは聞いた事がありませんが、SEを消費せずに大気中の空気で砲弾と大砲を形成し、圧縮した空気で攻撃する物とか。しかし、あのように肩に装着できるとは聞いた事がありませんわ」

 

「なるほど。つまり、あの龍砲とやらが空気の圧縮を放ち、勢いをつけている。その為先程以上の斬撃を繰り出せると言う訳でござるな」

 

「そ、それでは一夏様がジリ貧では?」

 

「そうでござる! これでは一夏殿が…」

 

そう呟く中、レオとダルキアンは笑みを浮かべていた。

 

「確かにぱっと見ではジリ貧かもしれ」

 

「確かに。しかし、一夏殿は恐らく楽しんでいるでござるよ」

 

「「え?」」

 

「楽しんでいるですか?」

 

セシリアの問いにダルキアンは笑みを浮かべ頷く。

 

「壁となる困難が目の前に現れると、一夏殿は笑みを浮かべるのでござるよ。そしてその壁を越えようと己の力を振るう。その壁がどれ程高かろうと、どれほど厚かろうと一夏殿はそれを今まで突破してきたのでござるよ」

 

「奴は一度たりとも諦めようとはせん。足掻きに足搔きまくる、それが奴じゃよ」

 

そう言いながらダルキアンとレオは一夏の試合を見つめた。

 

アリーナに居る一夏はダルキアンとレオの言う通り、笑みを浮かべながら考えを巡らせる。

 

(さっき鈴の肩に乗っかったユニットがスピードアップした理由だろうな。おまけにスピードが上がったと同時に攻撃にも力が乗ってやがる。スピードに乗せて武器を振っているから遠心力が通常の倍以上なっているから重いんだろうな)

 

冷静に鈴の攻撃力が上がった訳を考える一夏。

 

「色々とアタシの攻撃について分析してるんでしょ?」

 

「あぁ。お前のISに取り付いたユニットがスピードアップの理由だろ?」

 

「えぇ。龍砲、これがこのユニットの正式名よ。本来は圧縮した空気を飛ばして相手を吹き飛ばしたり、怯ませて一気に攻撃するっていう物よ。でも、アンタと戦う場合そんなもの飛ばした所で直ぐに見極められてやられると思ったから、機体に装着して放出した空気の力で速力を上げる様出来ないか開発部の人達にお願いして改良してもらったのよ」

 

「なるほど。それでIS学園に来るのが遅れたって言う訳か?」

 

「そう言う事よッ!」

 

一夏の問いに返しながら鈴は溜めていた空気を放出し、一夏に襲い掛かる。

スピードの乗った攻撃に一夏は受け流しながらどうするか考える。

そして妙案を思いついたのかバックステップで鈴と距離を開ける一夏。そして居合の構えをして更には目を閉じたのだ。

 

一夏の行動に観客席の生徒達は一夏が試合を放棄したのかと驚き騒ぐが、レオ達は一夏の構えにほう。と声を漏らし笑みを浮かべる。

 

「一夏の奴め、静の型を出しおったか」

 

「その様でござるな。これで鈴殿は迂闊に一夏殿近付きにくくなったでござるな」

 

「あのダルキアンさん、レオさん。その静の型とは?」

 

レオとダルキアンの口から出た静の型と言う物が気になったセシリアは2人に問う。

 

「静の型とは一夏が身に付けている構えの一種だ」

 

「あの型は居合の構えをして一切物音を立てず、ジッとし意識を周囲に集中する型なのでござるよ」

 

「なるほど。しかし一夏さんは目を閉じておりますわよ? あれでは相手の動きが読めないのでは?」

 

「いや、あの構えは目を閉じるのが正しいのでござるよ」

 

「どう言う事ですの?」

 

「周囲が見えない程の暗闇の状態だった場合頼りになるのは何でござるか?」

 

「え? 目が見えないのでしたら耳しか…。ッ! そう言う事ですのね」

 

「フッ。分かったようだな?」

 

「はい。鈴さんが攻撃しようとする際の僅かな音を聴き取り、その前に攻撃しようとされているのですね?」

 

「その通りでござる」

 

「しかし、一夏さんと鈴さんの間には距離がありますわ。あの間では一夏さんが斬る動作を取る前に鈴さんが一夏さんの元に到着して斬られますわよ?」

 

「確かに。だが、それだったら何故鈴はあそこから動かん?」

 

そう言われセシリアはアリーナの方へと顔を向ける。其処には居合の構えを取る一夏に対し、鈴も双天牙月を構えながら動いていなかった。

 

「どうしてですの? 何故鈴さんは一夏さんに攻撃をしませんの?」

 

「あの構えだからだ」

 

「居合の構えが出すか?」

 

「居合は初撃で相手を倒す、もしくは突発的な戦闘であっても相手を制する構えでござる。その為一夏殿の間合いに一歩でも踏み込めば…」

 

「手痛いしっぺ返しを喰らう恐れがある。と言う訳ですのね」

 

レオとダルキアンの説明に、セシリアは日本の剣術の奥深さに感心を示し、何時か一夏と再び対峙した場合に備え、その構えの分析を始めた。

 

その頃アリーナでは一夏の居合の構えに動けずにどう動くべきか頭を働かせる鈴。

 

(厄介な構えを取ったわね。不用意に近付けばアタシが斬る前に一夏が私を斬り捨てる。そうなると今のSEだと一発で逆転されてしまう。皆の期待を背負っている以上は勝ちに行きたいもの。考えなさいアタシ!)

 

暫し膠着状態が続いた後、先に動いたのは鈴だった。自身の頭の中で手早くシミュレーションし、一夏が取るであろう手を考え、その裏を取ると言った作戦を考えたからだ。

鈴は龍砲の圧縮空気を放ち、高速で一夏との間合いを詰める。そして一夏が斬る動作を取ろうとする。

 

(此処だぁ!)

 

そう思った瞬間、鈴は地面を思いっ切り蹴り上げバク転のような体制を取る。そして地面に向かって溜めていた小規模の空気の圧縮弾を撃ち込む。

地面に当った圧縮弾によって地面が抉られ土煙と小石や土がパラパラと舞い上がり落ちる。

 

(フェイントをかけて一夏の集中を切らせた。その上周囲に土煙で目くらましも出来た。仕掛けるなら此処しかない!)

 

鈴はイグニッションブーストでジグザグ移動しながら一夏に何処からくるのかわかなくなるようフェイントしつつ接近し、そして土煙間近まで迫ったところで飛び上がり一夏の斜め上から高速で斬り捨てようと圧縮空気を放ち、トップスピードの状態で構える。

だが此処で予想外の事が起きた。

 

 

それは、

 

突如一夏が土煙から鈴に向かって飛び出てきたのだ。

しかもその構えは居合の構えであった。

 

(なっ!? 居合のまま突っ込んできた!?)

 

突然の事に鈴は驚くも、既に構えの状態で更に圧縮空気を放ってスピードに乗っている状態の為回避が出来ない。

 

(もうこのまま斬るしかない!)

 

そう思いながら鈴は一夏を斬ろうとする。

すると一夏はなんとイグニッションブーストを使って鈴との間を一気に詰めてきたのだ。

これには流石に不味いと感じ双天牙月を振るう鈴。だがその前に

 

 

「しゃあぁあぁぁああ!!!」

 

一夏がそう叫びながら鈴を斬った。

 

『ビィーーー! 甲龍、SEエンプティ―! 勝者1組!』

 

そのアナウンスが流れたと同時に観客席がわぁああ!と歓声が湧き上がった。

 

「はぁーー、やれたわ。まさか突っ込んでくるとは思わなかったわ」

 

「俺の居合の構えは相手が近付いてくるのを待ってから斬るのじゃなくて、俺の間合いに入った瞬間に距離を詰めて斬る奴なんだよ」

 

「なるほど、そう言う構えだったのね」

 

そう言いはぁーと息を吐き、一夏に向かって挑戦的な笑みを浮かべる。

 

「今回は良い勉強になったわ。次はその構えを攻略するために色々勉強しましょうかね」

 

「はっ。そう簡単に攻略されて堪るかよ」

 

「言ってなさい。近日中にアンタを倒してやるんだからね!」

 

そう宣誓する鈴。

 

「だったら首を長くして待っててやるよ」

 

「えぇ。首をしっかりと洗っときなさい!」

 

そう言いながら2人は観客からの拍手を背に受けながらピットへと引っ込んでいった。

 

そしてその後、一夏は他のクラス代表達を難なく倒していき、優勝となった。




次回予告
一夏だ。クラス代表戦は無事に1組の優勝で終わったぜ。
さてゴールデンウィークだが、何かレオ達がそれぞれ1日デートしろと言われたんだが…。

で、最初の一日目が姫様だと。何処行くんだ?

次回
ゴールデンウイークはデート週間~レオ編~
「一夏よ、早う行くぞ!」




次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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