Infinite Days~獅子の姫達とその勇者~   作:のんびり日和

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5話

一夏が土方姓を名乗る様になってからはや数日が経ったある日、一夏は友人と共に帰宅していた。

 

「それでさぁ「おい、一夏!」 ん? なんだ篠ノ之か。なんか用か?」

 

道を塞ぐように剣道着を着た箒が立っており、一夏と友人は怪訝そうな顔を浮かべながら首を傾げていた。

 

「お前、なんで千冬さんと同じ篠ノ之流を習いに来ん! 千冬さんの弟なら篠ノ之流を学ぶべきだろうが!」

 

そう怒鳴り出す箒。それを聞いた一夏と友人は何を言ってるんだコイツと言った、表情を浮かべていると一夏達の後ろから千冬がやって来た。

 

「おぉ、一夏。何をやっているんだこんなところで?」

 

「あ、姉ちゃんおひさ。あれが邪魔して帰れないんだ」

 

そう言い箒に指さす一夏に千冬は鋭い視線を箒へと向ける。

 

「箒、私の弟に一体何の用だ?」

 

「千冬さん! 貴女からも言ってください! こいつには篠ノ之流が「流派を決めるのは本人だ。私でもないし、お前でもない」で、ですが一夏は千冬さんの―――」

 

「箒」

 

箒が一夏は千冬の弟と言おうとした瞬間、千冬は殺気を出し箒を睨む。睨まれた箒は蛇に睨まれたカエルの様に恐怖から体が硬直し、黙り込む。

 

「こいつは確かに私の弟だ。だが私の弟だからと、そんな理由で篠ノ之流に引き込もうとするな!」

 

千冬がそう怒鳴ると箒は項垂れ、拳を震わす。

 

「じゃあ、俺達帰るわ」

 

「千冬さん、失礼します」

 

一夏は流石、姉ちゃんと思いながら帰路へと着こうとする一夏と友人。

 

「ん。だったら私も一緒に帰ろう。どうせ途中まで一緒だからな」

 

そう言い千冬は一夏達に混ざって歩き出す。残された箒は「何故だ…。何故なんだ…一夏」と呟きながら佇んでいた。

 

 

それから暫くして箒は、表向きは家庭の事情で実際は政府の要人保護プログラムによって転校を余儀なくされた。

 

 

箒が引っ越して暫くして一人の転入生がやって来た。

 

「凰鈴音です。お父さんの仕事で、日本来ました。日本語、まだ上手じゃないです。よ、よろしくお願いします」

 

そう言ってツインテールの小柄な少女、鈴はお辞儀をする。

 

「はい、では皆さん。今日から新しく入られた凰さんと仲良くしてあげて下さいね」

 

担任はそう言うと、クラスの生徒達ははぁーいと答えた。

 

新しく転入してきた鈴は慣れない日本語に四苦八苦しながらも女子友達などから慕わられて、困ると言ったことは無かったが、ある日隣クラスの男子3人組がやって来た。その3人は学校の中でもちょっと有名な虐めグループだった。

3人は真っ直ぐ鈴の元へ来た。

 

「おい、お前か最近入って来た転校生って?」

 

「え? う、うん。わ、私です」

 

鈴は少し怯えた表情で言うと3人はニンマリとした表情を浮かべる。

 

「へぇ~、お前か。中国から来たパンダって」

 

「ぱ、パンダじゃない…」

 

「パンダだろ? だってリンリンってパンダの名前じゃん」

 

3人はそう言い鈴を苛めだした。周りにいたクラスメイト達は助けたくても、虐めグループの一人が空手を習っているのだ。その為報復が怖くてなかなか言い出せなかったのだ。

すると、教室の後ろから鞄を背負った一夏が入って来た。

 

「おはよぉ~」

 

そう言いながら教室に入って来た一夏はそのまま自分の席へと座ろうと向かう。だが、運悪く一夏の席は鈴の隣だった。

向かう途中、鈴の周りにいた虐めグループが邪魔で一夏は席に座れず、一人に声を掛けた。

 

「あのさ、其処邪魔なんだけど」

 

「あ? 知らねぇよ。 向こうでチャイムが鳴るまで立ってたら?」

 

と、嘲笑いながら言われ一夏は不機嫌な顔を浮かべる。それを見た空手を習っている虐めグループのリーダーが一夏に詰め寄った。

 

「おい、何だよその顔は?」

 

「別に。さっさと退かねぇから、うぜぇと思っただけだ」

 

そう淡々と一夏が言うと、リーダーの男子が生意気な奴だと拳を振り上げた。

 

「生意気な野郎だなぁ、おい!」

 

そう言い振り上げた拳を振り下ろす男子。だが、その拳は空振り、逆に一夏の拳が男子の腹に一発入れられリーダー格は「ぐうぇ!??」と、蛙の潰れた様な声をあげ膝から崩れ落ちた。

 

「殴り掛かってくるという事は、殴られる覚悟があるからやったんだろ? どうなの?」

 

と、一夏は蹲っている男子に聞くが男子はお腹に入れられたパンチが痛く、まともに声を出せずにいた。

そして一夏は蹲っている男子から目線を外し、残りの2人に目を向ける。

 

「…そっちはどうする? こいつの仇討でもする?」

 

そう聞くと、2人は顔を青くしながら首を激しく横に振る。

 

「じゃあさぁ、さっさと自分達のクラスに帰ってくんない? 俺ワイワイと楽しい喧騒なら好きだけど、お前等みたいな奴らが騒いでいるのだけは嫌いなんだ」

 

そう言うと、2人は「ご、ごめんなさぁい!」と謝りながら、蹲っている男子を引き摺って教室から出て行った。3人が出て行った後、一夏は自分の席に座り鞄から教科書からノートを取り出し机の中へと仕舞う。クラスメイト達は、先ほどの光景に唖然となっていたがすぐに我に返り何人かは談笑に戻り、何人かは「さすが、一夏!」と肩を叩き、褒めていた。

そして教師がやって来て朝礼が行われた。朝礼が終わり、授業が始まるまでのトイレ休憩の時間、一夏は自分の席で本を読んでいると、隣の席の鈴が照れた表情で「あ、あの!」と声を掛けてきた。

 

「なに?」

 

「あの、さっき助けてくれて、ありがとう」

 

「別にお礼を言われるような事はしてないぞ」

 

「で、でもお礼、言いたい。あ、ありがとう」

 

鈴は慣れない日本語で、お礼を述べると一夏は「…どういたしまして」と言って顔を本へと戻した。

 

 

それから月日は経ち、鈴は四苦八苦していた日本語に慣れ始めた。そして友達が多く出来る中、特に親しかったのは、五反田弾と一夏の2人。そして中学に上がった頃同じく仲良くなった御手洗数馬だ。

4人は特に仲がよく、共に遊ぶことが多かった。だが、中学2年の頃突然別れが訪れた。

 

「引っ越し? 何でまた急に?」

 

一夏達は溜まり場の様になっている弾の部屋で、鈴が突如引っ越す話を聞かされた。

 

「……なんかお母さんのお父さん、つまり私のお爺ちゃんがなんか危篤だから帰るって事になったの。で、お母さんだけで良いと思ったんだけど、お爺ちゃんが営んでいる道場やら何やらがあるから、お父さんも一緒に帰る事になって結局家族全員で戻ることになったのよ」

 

「そうか……。出発は何時なんだ?」

 

「早くて2週間後だって」

 

鈴は落ち込んだ表情でそう伝え、一夏達も若干落ち込んだ表情を浮かべた。その後何もすることなくお開きとなった。それから日が経ち2週間後、一夏達は今空港のロビーに来ていた。3人の前にはキャリーケースを持った鈴が居た。

 

「それじゃあ、そろそろ行くね」

 

「おう。向こうでも頑張れよ」

 

「偶にはこっちに来て、遊ぼうな」

 

「元気でやれよ」

 

弾、数馬、一夏の三人からの言葉に鈴は涙をこらえながらうん,うん。と頷く。

そして飛行機の搭乗時間が差し迫った。

一夏達は飛行機がよく見える展望デッキへと行こうとすると、鈴は一夏だけを呼び止めた。

 

「なんだ?」

 

「あの、その、何時か、…私の『お知らせします。JOLカナダ行きの743便は第二ゲートになります。御早めの登場をお願いいたします』……」

 

「ん? わりぃけど、もう一回言ってくれないか?」

 

鈴が何かを言おうとした瞬間にアナウンスが入り、一夏は鈴が何を言っているのかよく聞こえなかった。

 

「……えっと、また私が日本に帰ってきたら遊ぼうねって言ったの」

 

「おう。また日本に来るときは連絡くれよ」

 

そう言って一夏は弾達が向かった展望デッキへと向かった。一人残った鈴は少し悲しそうな顔を浮かべるが、持ち前の明るさを振るい出し搭乗口へと向かった。

 

そして鈴は中国へと帰って行った。

 

 

鈴が中国に帰ってから一年が経った。一夏は中学最後の夏休みに道場で素振りで行っていた。

 

「……248、……249、……250!」

 

目標回数を振り終え、一夏は木刀を降ろしふぅ~、と息を吐き壁にもたれながら水分補給を行う。道場にはイチカ以外に人は居らず、皆夏休みを満喫しに休んでいるのだ。

すると道場の入り口に千冬が汗を拭きながらやって来た。

 

「久しぶりだな、一夏」

 

「ん? あ、姉ちゃん。彼氏が出来たから報告に来たの?」

 

そう言うと、千冬はザクッと胸に何かが刺さった感覚に襲われた。

 

「な、なんでそんなことを聞く?」

 

「だって、最近やっとまともな料理が出来るようになったんだろ? 母さんが褒めてたよ。最初の頃より結構成長しているって」

 

そう言われ千冬はよしっ!と心の中でガッツポーズを作っていた。

 

「そ、そうか。だがまだ出来とらん。って、本題はそれじゃない」

 

「ん、本題?」

 

一夏は千冬の口から出た本題と言う言葉に首を傾げる。

 

「実は今年のモンド・グロッソにまた出場が決まってな。それで、前回お前が来れなかったから今年はどうかと思って来たんだ」

 

「あ、もうそんな年なんだ」

 

一夏はそう言いながらお茶を口にする。前回、つまり第1回のモンド・グロッソでは一夏は小学校6年で、その時は学校の修学旅行の為行けなかったのだ。そして今年は夏休み期間に行われるという事で、一夏も行ける。

 

「で、どうだ? 来るか?」

 

「行くよ。道場に来ても誰も来ないしね」

 

「沖田はどうした?」

 

「沖田さんなら、今熱海でゆっくりしてるってさ」

 

そう言い一夏はスマホを取り出し、通話アプリ『LANE』の画面を見せる。其処には熱海だと思われる海辺の砂浜で寝っ転がりながら撮った写真と『熱海サイコぉー!』と書かれた文面が送られていた。

 

「……あいつ、まさか一人旅か?」

 

「一人? いや、4人くらいと行くって言ってたよ」

 

そう言うと千冬は4人!?と驚き、何故かショックを受けたような顔を浮かべた。

 

「そ、それは女性も入っているのか?」

 

「? いや、男だけの旅って言ってたよ」

 

「そ、そうか」

 

千冬は一夏からの返答に少し安堵した表情を浮かべた。

 

「どうしたん?」

 

「い、いや何でもないぞ! 明後日迎えに来るから2,3日分の服とか退屈しのぎ用の物を用意しておけよ」

 

「分かった」

 

それから2日後一夏はドイツへと飛び立った。




次回予告
モンド・グロッソへと来た一夏。姉を応援していると突如謎の組織に誘拐される。
そして小部屋へと監禁されると、突然足元に魔法陣が現れ一夏は全く知らない世界へと飛ばされた。

次回
異世界へ

次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)

  • ①IS×ウォーシップガンナー2
  • ②IS×メタルギア
  • ③IS×オリジナルストーリー①
  • ④IS×オリジナルストーリー②
  • ⑤IS×クロスアンジュ
  • ⑥IS×タイムクライシス
  • ⑦IS×オリジナルストーリー③
  • ⑧IS×人狼 JIN-ROH
  • ⑨IS×東方project
  • ⑩IS×オリストーリー④
  • ⑪IS×R-type
  • ⑫俺ガイル×IS
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