デスとハイエロファントの物語:REBOOT   作:桁石スミオ

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「マジカルドロップⅢ」ストレングスとガオガオ、「マジカルドロップⅢ」「マジカルドロップポケット」「マジカルドロップV」デスとハイエロファント主役。前作『主よ、人の望みの喜びよ』後日のエピソード。本編の外伝として執筆。ゲーム本編には登場しないキャラが出ております。
 登場人物:ストレングスとガオガオ、デスとハイエロファント、他
 注:台本形式読み物です。流血の表現アリ。
 このエピソードは、BUMP OF CHICKEN「ダンデライオン」にインスパイアされて物語を構築し、書き上げました。

 pixivにも、同一内容を投稿しております。
 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8481187


【挿絵表示】



ダンデライオン ― Episode of Strength ― 【第1話】(外伝)

デスとハイエロファントの物語:REBOOT

外伝【 ダンデライオン 】

 

― BUMP OF CHICKEN「ダンデライオン」よりインスパイアされた挿話 ―

 

 

★ 岩山・谷に掛かる吊り橋

 

 晴れの昼間。崖の多い険しい岩山。

 その山の中腹に造られた崖路を、並んで降っていくストレングスとガオガオ。

 進んだ先、道の途中、崖路に対して直角の横方向に架けられた吊り橋が見える。

 ふと、その吊り橋を誰かが渡ってくるのを見付けるストレングス。

 

ストレングス「(目を凝らして)あれ?・・・ガオガオ?・・・なワケないよね。ここにいるんだし」

ガオガオ「(頷いて)ガウアッ」

ストレングス「別のライオン? この辺にいたっけ?」

 

 吊り橋のたもとに着き、向こう側から渡ってくる姿を確認するストレングスとガオガオ。

 のそ、のそ、と緩慢な動作でこちらに歩いてくる、一頭の雄ライオン。

 歳は壮年と思われる。たてがみが黒ずんだ黄金色で、全身もかなり色褪せた茶色。

 眉間の皺が深く刻まれている。表情や雰囲気が、禍々しい。

 そのライオンを、じっ、と見詰めているストレングスとガオガオ。

 ハッ、と相手のライオンがこちらに気付く。

 数メートルの距離で足が停まり、急に据えた目線を投げてくる。

 

ストレングス「(明るく)こんにちわっ!」

ガオガオ「(明るく)ガオン!」

 

 何も返事をしない、相手のライオン。険しい表情。

 短い歩幅で、警戒感を全面に出し、段々と近付いてくる。

 対して、ストレングス、口元に笑みを湛えている。

 

ストレングス「アンタ、どっから来たの?」

 

 じり、じり、と距離を縮めてくる相手の壮年ライオン。

 橋を渡り切り、ストレングスとガオガオに1メートルくらいの間で立ち止まる。

 

壮年ライオン「(疑念を含め)・・・グ・・・グオァ・・・グォ・・・」

ストレングス「え? 何で? 全然平気だけど?」

壮年ライオン「(少し上目遣いに)・・・グァォ・・・」

ストレングス「(笑顔で)うん! ちっとも怖くないよ! 大丈夫!」

 

 顔を上げ、大きく息を飲み、目を丸く見開く壮年ライオン。

 沈黙。

 沈黙。

 沈黙。

 更に、間。

 突然、壮年ライオンの両目から、ポロ、と涙が落ちる。

 ポロ、ポロ、ポロ、と次々に連鎖する落涙。

 

ストレングス「え! ちょっと! どうしたの急に泣いて!」

 

 バッ、と顔を伏せ、右前足で涙を拭い、再び顔を上げる壮年ライオン。

 喉の奥を、グゥ、と鳴らし、少し長めに息を吐く。

 

壮年ライオン「(グッ、と息を堪えてから)グァ・・・グウァ・・・」

ストレングス「そっか、ならいいんだケド。(ハッ、と気付いて)あ、自己紹介がまだだったね。アタイはストレングス! こっちは相棒のガオガオ! アンタと同じライオンさ!」

ガオガオ「ガウォン! ガァォ!」

ストレングス「アンタ、名前は?」

壮年ライオン「(籠った声で)・・・グォアゥ・・・」

ストレングス「『キング』ってんだ。カッコいい名前だね! もっかい聞くケド、どっから来たの?」

壮年ライオン〔キング〕「(言いにくそうに)・・・グゥァグ・・・」

ストレングス「へーっ! サバンナから! ジャングルのずっと向こうだよね! すっごーい!」

 

 明るく楽し気な笑顔を、惜しみなく出すストレングス。

 壮年ライオン、彼女を、じっ、と見詰め続ける。

 暫く、そのまま。

 

ストレングス「(首を傾げ)何?」

 

 ハッ、と我に返り、視線を外して横を向く壮年ライオン。

 

壮年ライオン〔キング〕「・・・グアゥ・・・グォ・・・」

ストレングス「あ、うん、そっか、呼び止めてごめんね。じゃあ、今日はこれで」

 

 途端、前屈みになり、壮年ライオンの両眼を覗き込むように顔を近付けるストレングス。

 ビクッ、と反応して、驚いた顔で目を見開く壮年ライオン。

 

ストレングス「ねえキング、また来てよ。折角知り合えたんだもん、もっとアンタのこと、知りたいんだ。今度はアタイん家で遊ばない? 何なら明日でもいいよ!」

ガオガオ「(ニッ、と笑い)ガオッ、ガウォ」

壮年ライオン〔キング〕「(頷いて)・・・グァ・・・」

ストレングス「(身体を起こし)そんじゃ、明日、お昼頃にこの吊り橋辺りで待ち合わせ、でいいかな?」

 

 コクッ、と首を上下に振る壮年ライオン。

 それを確認し、互いに頷きあってから、崖路を再び下り始めるストレングスとガオガオ。

 数メートル進んだところで、クルリ、と振り向いて、右手を高々と挙げるストレングス。

 続いて振り向くガオガオ。

 

ストレングス「(明るい声で)キングーっ! また明日ねーっ!」

 

 掲げた右手を大きく左右に振るストレングス。

 それを眺めながら、ゆっくりと頷き返す壮年ライオン。

 ストレングスとガオガオ、身体を戻し、崖路を並んで歩き出す。

 

ストレングス「ガオガオ、おんなじライオンの友達が出来たね。(満面の笑みで)へへっ」

ガオガオ「(嬉しそうに)ガアゥオッ!」

 

 離れて小さくなっていくふたりの後ろ姿を、いつまでも見詰め続ける壮年ライオン。

 表情は、少し落ち着いた雰囲気。

 

 

★ (一週間後)森と草原の境・ストレングスの家

 

 白い雲が足早に流れる、晴れた昼のひととき。草原からの風が心地良い。

 丸太を組んで造られた、ストレングスとガオガオの家。そこに寄り添うように茂る、一本の広葉樹。

 木陰に車座になって座っている、ストレングス、ガオガオ、キング。

 ストレングス、胡坐をかき、虹色の輝きを放つ瑪瑙を右手に持って、しげしげと眺めている。

 

ストレングス「へーっ、珍しいね。この辺じゃ見掛けないよ、この石。またとーちゃんがびっくりするよ」

 

 目線より上に掲げ、改めて瑪瑙を見詰めるストレングス。

 それを膝の上に下ろし、キングに視線を移す。

 

ストレングス「キングったら、別にお土産なんていいのに。もう三つもくれたでしょ。遊びに来るたんびに持ってくるのって大変だろうし・・・アタイはアンタが来てくれるだけで楽しいよ」

ガオガオ「(笑顔で)ガウッ!」

キング「・・・グゥ・・・グォァ・・・」

ストレングス「でも、その気持ちが一番嬉しいよ!(満面の笑みで)ありがとね!」

 

 彼女の笑顔を間近で見て、一度目線を外すキング。

 すぐにストレングスを見詰め返し、それからガオガオを見る。

 何かを言おうとするが、言葉を飲み込んだような表情で俯く。

 ストレングス、両足を伸ばし、瑪瑙を両手で持って脚の上に置く。

 暫く、そのまま。

 少し遠くを見るような視線を、自分の足先に向けるストレングス。

 

ストレングス「(神妙な声で)キング、変な話だけど、アンタ、アタイの知ってる奴に何となく似てるんだ。姿とかじゃなくて、雰囲気がさ」

 

 訝し気な眼差しを、ストレングスに注ぐキング。

 

ストレングス「(キングを見て)デスってんだ。知ってる? マジカルランドの死神」

キング「(首を振り)グォ・・・」

ストレングス「そっか。まあ、アタイもそんなに会ったワケじゃないし、何回か見かけて、何回か話したくらいだけど」

 

 ふう、と短く息をつくストレングス。

 

ストレングス「キングさ、最初に逢った時『怖くないのか』って聞いたよね。アンタは実際怖くないけど、デスのこと、アタイの友達とか結構『怖い』とか言ってるんだ。死神だからね、そう言われちゃってるかも知んない」

 

 ストレングス、目線を正面、風に揺れる草に向け、遥か彼方を眺めるような目になる。

 

ストレングス「アタイはさ、デスに初めて会った時も、今も、怖いと思ったことないんだ。前にさ、デスの後ろ姿を遠くから見た時があって、すっごく感じたのは・・・(深い声色で)とっても寂しそうだなぁ、って」

 

 顔を伏せるストレングス。やや曇っている表情。

 ガオガオ、心配げに彼女に目線を送る。

 一方、キング、眉を寄せて俯き、目を閉じる。

 

ストレングス「どうしてそう思ったのか、今も解んない。ロクに話もしてないのにね。たださ、もしかしたら、だけど・・・こうしてアンタと話してるみたいに、デスとも話し出来れば、何か解っかも知んないなぁ・・・(顔を上げ、キングを見詰め)もしさ、どっかでデスに会ったら『ストレングスが言ってた』って伝えといてよ。デスはいっつも大きな鎌持ってるからさ、すぐに判るよ」

キング「(目を開け、頷いて)・・・グァ・・・」

 

 ニコッ、と笑顔を浮かべるストレングスとガオガオ。

 

 

★ (数週間後)岩山・吊り橋に通じる崖路

 

 雨天。大きい雨粒が、パラッ、パラッ、と岩山に落ちている。

 黒い雲が低く敷き詰められて、ゴロロロ・・・と、方々から聞こえる雷鳴。

 雲の中ほどに、稲光が走っている。

 やがて、降雨が勢いを増し、バラバラバラッ、と岩山と崖路を叩き始める。

 崖路の途中、吊り橋の見える場所、山肌側に横幅数メートルの窪みがある。

 その、天然の庇が突き出す下に、身体を寄せ合って並んで座り、雨宿りをしているストレングスとガオガオ。

 ザアアアアッ・・・と、夕立のように、更に降ってくる雨。

 目の前の崖路を、雨水が流れを成して下っていく。

 

ストレングス「(雨雲に目をやり)うっわー、余計降ってきた・・・まいったなぁ、そろそろキングが来る時間なのに・・・こんじゃ家に帰れないよ」

ガオガオ「ガウオォ・・・」

ストレングス「(ガオガオを見て)どうする? びしょびしょになってもいいから、走る?」

 

 突然。

 カッッッ!!!と、周囲が太陽に照らされたように、一瞬だけ明るくなる。

 直後。

 バリッ! ドオオオオッッッン!!!と、凄まじい大音響。揺れる足元。

 

ストレングス「(驚愕)うわあっ!」

 

 思わずガオガオにしがみ付くストレングス。

 ふたり、目を丸くして、窪みから見える崖路を見る。

 ズズズズズゥゥ・・・と、足元から地鳴りのような残響が耳に届き、空気が震えている。

 やがてそれは治まり、入れ替わりに激しい雨音が浮き上がって聞こえる。

 

ストレングス「(はぁ、と息を吐き)・・・近くに落ちたかもしんない。もの凄く揺れたね」

 

 様子を見ようと、窪みの庇から顔を出そうとするストレングス。

 雨の匂いに混じって、異臭を感じる。

 

ストレングス「ん?・・・(眉を顰め)焦げ臭い・・・」

 

 途端。

 グアアアアアアオオオオオッッッ!!!と、天を劈くような絶叫。

 崖路の向こう、谷底の方向から轟く。

 ビクゥッ!と、身体を跳ねさせるストレングスとガオガオ。

 

ストレングス「何っ? 今の声っ!」

 

 弾かれたように崖路に飛び出すふたり。

 激しい雨に打たれるが、気にせず、顔をあちこちに向けて辺りを見回す。

 向かいの崖、雨に煙る崖路の上方の道、更に反対の下った道の先。何者の姿もなし。

 ハッ、と何かに気が付くガオガオ。

 

ガオガオ「(驚いた表情で)ガウッ! ガオッ!」

ストレングス「え! 橋が!?」

 

 豪雨に霞む空中に、存在する筈の吊り橋がない。

 ストレングス、切り立った断崖の両側に目を凝らす。

 中央付近で千切られた吊り橋の残骸がぶら下がっている。方々が焦げ、小さな火が所々に確認出来る。

 

ストレングス「吊り橋が落ちてるっ! さっきの雷で落ちたんだ!」

ガオガオ「・・・ガオ! (ストレングスに顔を向け)ガオッ! ガウアッ!」

ストレングス「えっ!?」

 

 崖下、谷底を覗き込んでいたガオガオ。

 すぐにガオガオに続いて、遥かに深い谷を見下ろすストレングス。

 直後、ハッ、と息を飲み、目を見開く。

 雨が大量に降り注ぐ谷底に、一頭のライオンが倒れている。

 位置は、吊り橋のあった空間の真下。

 

ストレングス「(愕然として)・・・まさか・・・キング?」

 

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