モンスターハンターの世界に迷い込んだ我らがアーチャーの話です

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一話完結、処女作です。
文才が皆無なのでつまらないとは思いますが、すこしでも楽しんでいただければ嬉しいです。


正義の味方のモンスターハンター

「はぁっ!」

手にした双剣から無数の乱撃が繰り出される。

しかし目の前に立ちはだかる巨大な影はその乱撃を受けてもなにか手傷を負ったようには見えない。

「くっ…ここは1度引くしか…」

そう呟いてモドリ玉を取り出そうとポーチに手を伸ばす。

その時だった。

相対する影、覇竜アカムトルムが首を持ち上げ大きく息を吸い込んだのは。

「ソニックブラスト…!避けきれない…!!」

僕が死を覚悟したその時、右方から飛来した何かがアカムトルムを貫いた。

的確に弱点を射抜くそれはアカムトルムを怯ませることに成功する。

突然のことに呆然としつつも、すぐに意識を切り替えて急いでベースキャンプへ戻る。

するとそこには恐らく先ほどの光を放ったと思われる謎の男がベッドに座っていた。

赤いコートに黒いボディアーマー。

初めて見る防具だが、お世辞にも性能がよさそうには見えない。

僕がしばらく彼を観察していると、何も言わないことにしびれを切らしたのか彼が口を開いた。

「ふむ、筋は悪くないようだが、まだまだだな」

唐突な侮辱に苛立ちを感じつつも彼に名を尋ねる。

「私か?私のことはそうだな…アーチャーとでも呼んでくれ」

偽名なのは明白だが、これ以上の詮索は無駄だと僕の直感が告げていた。

彼の質問は続く

「キオといったか、君はまさかアレを1人で倒すつもりだったのか?」

「まさか、僕の受けた依頼はギルドの精鋭部隊が到着するまでここであのモンスターを足止めすることさ」

「そうか、ならばいいのだが…」

「どういう事だよ?」

「お前ではアレには勝てん、と言ったのだ」

「…なんでそんなことわかる、やってみなきゃわかんねぇだろ」

そう答えながらも、自身の力では敵わないのら自分が1番わかっていた。

「ふむ…剣の腕はまだまだだが自分の力量くらいはわかっているようだな」

彼はそう言って立ち上がった

「どこ行くんだよ?」

「なに、こんな世界に飛ばされたのも何かの縁だ、少し君の手伝いでもしてやろうと思ってな」

ベースキャンプの入口に向かって歩みを進めるアーチャー。

「待てよ!俺も行く」

「勝手にするといい」

「あぁ、そうさせてもらう」

僕はそう言うと、彼のあとを追って走り出した。

 

再び灼熱の世界に足を踏み入れ、その暑さを肌で感じながらもクーラードリンクを飲み、なんとか暑さを中和する。

その隣ではアーチャーが相変わらず無愛想な表情で溶岩の方を見つめている。

なぜ彼はこの暑さの中平然と立っていられるのだろうか。

そんなことを考えていると、

「来るぞ!」

彼が声を上げるのと同時に溶岩の中からアカムトルムが姿を現した。

「…投影、開始」

彼が呟くと今まで何も持っていなかったはずの彼の手に見たこともないふた振りの剣が握られていた。

ゴァァァァァ!!!

咆哮と共にアカムトルムがこちらに向け一直線に突進してくる。

間一髪それを避け、アーチャーの方を見る。

すると彼は既に攻撃を開始しており、自分とは比較にならないスピードで手に持ったふた振りの剣を振るっていた。

「す、すごい…じゃなかった!」

しばらく彼の剣戟に見惚れていたがすぐさま攻撃を開始する。

しかしその渾身の剣戟はいともたやすく弾かれてしまう。

先程からの戦闘で切れ味が鈍っていたのだろう。

本来ならば切れ味の確認はハンターとしての基礎も基礎。

しかしアーチャーというイレギュラーの発生でその事を失念していたのだ。

「くっ…」

1度体制を立て直そうと撤退を試みるが、そう易々と見逃してくれるモンスターではない。

僕の動きが止まったその一瞬をついて追撃を繰り出してくる。

一撃一撃が致命傷になりかねない攻撃を紙一重で躱していく。

だがそれにも限界が訪れる。

スタミナが尽き、体が完全に停止する。

アカムトルムの大木のような腕が振るわれようとした刹那、僕の前に赤い影が躍り出た。

その正体に気づいた僕は咄嗟に叫ぶ。

「逃げろアーチャー!」

しかし彼は不敵に笑みを浮かべ、

「なに、心配は不要だ。ところで一つ質問なのだが」

淡々と、告げた。

「…足止めするのはいいが、別にアレを倒してしまっても構わんのだろう?」

彼の体から立ち上る闘気に背筋が凍る。

彼は明確な殺意を持って目の前のモンスターを睨みつける。

それに反応したのかアカムトルムは少し後退すると、立ち上がって大きく息を吸い込み始めた。

「その攻撃はまずい…!」

ソニックブラストの威力を知っている僕は警告する。

「心配は不要だと言ったはずだ。それよりも君は自分の心配をしたまえ」

彼は警告を一蹴すると、片手をアカムトルムに向け、目を閉じた。

「何を…?」

「…I am the bone of my sword.」

何か呟いたと思うと、彼は目を見開き、叫ぶ。

それは、花。

花弁のごとき7枚の守り。

遠距離攻撃に対して絶対の防御力を誇り、かつてトロイア戦争で使われたという最強の盾。

その名はー

「熾天覆う七つの円環!!」

アーチャーの全面に7枚の花弁が出現する。

そのたった7枚はあのソニックブラストを防ぎきってしまった。

その花弁を1枚も損なうことなく。

「ふむ…こんなものか…もう少し張合いがあると思ったのだがな…」

そう呟いたアーチャーはさらに左手に黒い洋弓を出現させると、

「我が骨子は、捻れ、狂う」

再び呪文のような言葉を唱え、右手に出現した捻れた剣を矢のような形に変形させると(仕組みはわからないが)、限界まで弓を引き絞り、

「偽・螺旋剣II!!」

放った。

空気を裂くように放たれたそれは、一直線にアカムトルムを貫いた。

 

「すごい…」

僕はその光景をただ見つめることしか出来なかった。

数秒の間を置いてアーチャーに駆け寄ろうとするも、アーチャーの

「動くな!!」

という声に体を停止させる。

だが、場所が悪かった。

ゴアァァァァァ!!!

先程よりも大きなアカムトルムの咆哮。

それによって地面からはマグマが吹き上がる。

僕は、ちょうど噴出口の真上にいた。

避ける間もなく、一瞬で炎に包まれる

視界が紅く染まり、僕の意識はそこで途切れた。

 

「ちっ…」

地に倒れ伏しているキオをそのままにするわけにも行かず、すかさず彼を抱え上げ、撤退する。

そしてベースキャンプのベッドに彼を横たえると、そのまま一人でアカムトルムとの決戦に向かう。

 

再び会合するアカムトルム。

先程の一矢が効いたのだろうか、心做しか少し弱って見える。

これを勝機と見たのか、彼は一気に勝負を決めるべくある魔術を発動する。

それは大禁呪であり、下手をすれば封印指定スレスレの魔術。

彼にとっては最も使い慣れた、最強の魔術。

 

 

 

I am the bone of my sword.

――――体は剣で出来ている。

Steel is my body, and fire is my blood.

血潮は鉄で 心は硝子。

I have created over a thousand blades.

幾たびの戦場を越えて不敗。

Unknown to Death.

ただの一度も敗走はなく、

Nor known to Life.

ただの一度も理解されない。

Have withstood pain to create many weapons.

彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。

Yet, those hands will never hold anything.

故に、生涯に意味はなく。

So as I pray, unlimited blade works.

その体はきっと――――剣で出来ていた

 

 

固有結界。

そう呼ばれるこの魔術は、世界そのものを侵食し、塗り替える。

先程までの溶岩島の風景ではない。

歯車が当然のように浮いている。

ただただ広く、世界の果てまで何も無い大地に、数え切れない程の剣が刺さっていた。

この世界にはアーチャーとアカムトルムしかいない。

 

「ふむ、貴様に説明などしても仕方がないとは思うが…一応説明はしておこうか」

彼はひとりアカムトルムに話しかける。

「この世界は私の心象風景を具現化したものだ。私の心のなかと考えてもいい。そしてこの世界は無限に剣を内包した世界」

「ここにある剣は今までに私が作ってきたもの。全て、私の思うがままだ」

アカムトルムはそれを聞いて、首を傾げるような仕草をするが、恐らく理解してはいないだろう。

否、理解する暇さえなかったかもしれない。

彼が右手を掲げるのと同時にアカムトルムを囲むように出現した大小数百にも及ぶ大量の剣。

その全てが宝具とも呼べる威力を持つ。

そして彼は掲げた右手を振り下ろす。

瞬間、滞空していた剣たちが一斉にアカムトルム目掛けて放たれる。

あの巨体でさらに囲まれていれば避けることも叶わず、大量の剣は1本残らずアカムトルムを串刺しにする。

アカムトルムは断末魔を上げる余裕さえなく、肉片に姿を変えた。

それと同時に少しづつ世界が戻っていく。

「ふむ、この世界ではモンスターを倒した後はこうするのだったな…」

そう言って彼は少し大きめのナイフを投影すると、肉片となったアカムトルムから少し残った甲殻や鱗などを手際よく剥ぎ取っていく。

数分後、立ち上がりかなり多めに素材を集めた彼は、ベースキャンプに戻り未だ目を覚まさないキオの横に素材を置くと、音も立てずに立ち去っていった。

その後彼を見たものは誰もいない。

どこで何をしているのか、それは、誰にもわからないままだ。

 

キオはそれからというもの飽きもせず毎日その男の話をし続けた。

数年が経った今でも、人々は彼を『無銘の英霊』、『紅い弓兵』など、様々な呼び名で呼び、英雄だと讃えていた。

その中で最も多い呼び名、それは―――

 

『正義の味方』

 

fin




こんな駄文に付き合って頂きありがとうございます!
一話完結で続きを書くつもりは今のところありませんが要望が多ければ1から新しい作品としてアーチャーとモンハンの絡みを書いてみたいと思います!

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