マブラヴオルタネイティヴ The root of tree   作:ゲス猫1229

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 長らくお待たせしました、第二話になります。
今回は主人公である神楽 亞魏斗の視点のストーリー展開になっています。
特務部隊プラチナ・コード中隊の兄貴分とも言える存在の彼は、特殊な出自と過去を持っており、その謎が見えてきます。

相変わらずPCの調子が悪いので、誤字脱字が目立つかもしれませんが
どうぞ温かい目で見守ってください。


第2話「仮面の笑顔(side亞魏斗)」

(謎の研究施設・通路)

 

少年「やめろ・・・、連れて行くな・・・!」

 

 照明だけが存在する真っ白な通路、俺は二人の白衣を着た男に取り押さえられ、ただ叫んでいた。

 

少女「お兄ちゃん・・・!」

 

 少年の目の前には少女を奥へと連れて行く二人の研究医のような格好をした男と、こちらを振り返る少女の姿だけ、その瞳には涙が浮かび、不安そうな顔でこちらを見続ける。彼女が感じている不安がこれから自分の身に起こることなのか、それとも後ろで自分を必死に助けようとする少年の身を案じているのか・・・・・、おそらく両者なのだろう。

 

少年「くそ、はなせ!連れて行くなら俺にしろ!」

 

 少年を取り押さえている男の力は決して強いわけではないが、5歳の少年にとってその力は大きく、振り払おうとしてもびくともしない。ただ目の前で白衣を着た研究医らしき男に連れて行かれる少女を見て、叫ぶことしかできない。

 

研究医A「おとなしくしろ、この出来損ないが!おい、誰か鎮静剤をもってこい!」

 

少年「やめろ、妹に何をするきなんだ!?」

 

研究医B「失敗作のお前には関係ない!おい、早くしろ!」

 

少女「お兄ちゃん!やめて、お兄ちゃんに乱暴しないで!」

 

研究医C「黙れ、お前も静かにしていろ!」

 

 研究医の男は少女の首筋に注射器を当て、プシュッという注射音とともに打ち込まれた少女はすぐにぐったりとして動かなくなった。

 

少年「何をしたんだ!?くそ、はなせよ!」

 

研究医A「ええい、お前は黙っていろ!」

 

少年「ぐあ!?」

 

 研究医の男は少年の後頭部を殴り、床へと組み伏せる。腕を後ろで固定されているため完全に身動きが取れない状態だ。

それでもあきらめずに、少年は首だけを前へ向かせて必死に少女の姿を見る。

 

少年「くそ・・・、畜生・・・」

 

 そのまま通路の先にあるドアの奥へと消えていく少女を見続けることしかできない己の無力さに少年は再び叫ぶ。

 

少年「やめろ、やめてくれ、連れて行かないでくれ・・・・・・、やめろおおおおおおおおおお・・・・・・!!」

 

 手を伸ばすことすらできない、叫ぶことしかできな絶望だけが少年を満たしていく、やがてドアが閉まり、中から少女のものと思われる悲鳴が聞こえ始める。先ほどされた鎮静剤が何の意味も無いほどの苦痛が彼女を襲っているのが分かるほどの何かが扉の向こうで行われている。研究医の一人が少年の首筋にさきほどと同じものを打ち込む、少年は薄れていく意識の中で叫ぶ。

 

(国連軍横浜基地・特務部隊専用フロアー)

 

 

亞魏斗「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお・・・・・・・・・!!」

 

 ベッドから飛び起きて息を荒げ、心臓が耳元にあるかのように鼓動が反響する。寝汗でシャツがべったりと体に張り付いているが、そんなことも気にならないぐらいに混乱しているみたいだ、俺はシーツを強く握り締め、呼吸を整える。しばらくすると、肩が大きく上下するほどの激しい呼吸をしていたが、次第に落ち着いてくる。冷静になって周りを見渡すが、特に変わりないいつもの自分の部屋だった。

 

亞魏斗「はあ・・・はあ・・・、クソ・・・・・・・・、またあの時の夢を見るようになっちまった・・・・・・」

 

 再び部屋を見回す暗いが、もともと窓も存在しないので時計を見ないと時間がわからない、机の上にある時計はちょうど5時を指していた、どうやらいつもより1時間早く起きてしまったようだ。

 

亞魏斗「早く起きすぎたな・・・、このままだと汗で気持ち悪いし、シャワーでも浴びるか・・・」

 

 俺は着替えとタオルを持って部屋を出て、シャワールームへと向かった。いくら特務部隊所属で個室を与えられている高待遇といってもさすがにシャワーやトイレまではなく、共用になっている。

 

シャワールームの前室につくと、一つのロッカーだけが閉まっていた、どうやら先客がいるようだ。

こんな時間に物好きなやつもいるもんだと思いながら汗に濡れたシャツを脱ぎ、いつもしているサングラスをとる。視線の先にちょうどあった姿見で自分の顔を見るとひどい顔をしていた、ここに来る途中誰にも会わなくてよかったと改めて思う。

視線を落とすと、多くの訓練や実戦をへて鍛えられた体を映していたが、ひときわ目立つ大きな傷が胸の中心にある。昔別の部隊に居たときにできた傷だ、今の技術なら消すこともできるが、俺はこれを戒めとして残している。

タオルを持ち、シャワールームへと入ると水の音が聞こえた、やはり誰かいるようだ、特に考えることも無くそのまま誰かが使用している仕切りの隣のシャワーを利用する。

 

亞魏斗「ふう・・・・、あ~生き返るぜ~」

 

 蛇口をひねり、勢いよく暖かいシャワーを頭からかぶる。ふと、隣の人物と目が合った。

 

武「お、亞魏斗・・・・、だよな・・・?」

 

 武は渋い顔をしながら聞いてきたが、無理も無い、今の俺は会ったときに付けていたサングラスをしていない上に、一般のやつから見れば・・・・・・、俺の顔は気味が悪いだろう、夢でうなされていたことを除いてもだ・・・・・・・。

 

亞魏斗「ああ、そういや・・・、サングラスをはずした状態で会うのは初めてだな、・・・気持ち悪いだろ・・・俺の瞳は・・・」

 

 そう、俺の顔・・・・、もとい瞳は特殊なのだ、普通の人間と違い、黄金の瞳をしている。そのうえうっすらと光っているのだ。

これは武にさっそく気味悪がられるかな、と思い顔を伏せるが、帰ってきた言葉は意外なものだった。

 

武「いや、別に気持ち悪くはねえよ・・・、むしろ綺麗だしかっこいいだろ!」

 

亞魏斗「ははは・・・、初対面のやつにそんなこと言われたのはじめてだよ・・・」

 

 カラコンカ?と聞かれたが何のことか俺にはわからず、違うとだけ返しておいた、昨日の着任の後、部隊の皆で話はしたが、武はたまによくわからない言葉を使う、普通の日本人にしては違和感が大きかったが、外人というわけでもないんだろう。

他にも武からはこの瞳についてかなり聞かれたが、できればあまり話したくは無い・・・、俺の過去や出自にかかわる機密事項になっているからだ・・・。武は少し残念そうにしていたが、それなら仕方ないとあっさり引き下がってくれた。

 

武「それより、亞魏斗はなんでこんな時間にシャワーなんか使ってるんだ?もしかして日課?」

 

亞魏斗「いや・・・、まあ・・・、ちょっとな・・・・・・」

 

 さすがに悪い夢を見たなんてガキくさい事はいいにくいので、少し会話を露骨に濁しすぎたせいなのか、自分で墓穴を掘ってしまったようだ、武はニヤニヤしながらからかってきた。

 

武「なんだよ・・・、もしかして怖い夢でもみたのか?」

 

亞魏斗「いや・・・、別にそんなことは・・・・・・・・」

 

武「なんだよ~、頼れる隊長の俺にいってみ~、相談にのるぜ?」

 

 隊の皆ともすぐに打ち解けていたし、冗談でも部隊のメンバーのことを気にかけるぐらいの余裕が生まれているんだと感心する。

 

亞魏斗「はあ・・・、別にいいが・・・・・・・、面白い話じゃないぞ?」

 

武「・・・・・マジなやつか?」

 

 武は急にまじめな顔になり、こちらを見てきた。

 

亞魏斗「そうだな・・・、まあ、俺の独り言だと思って聞き流してくれるレベルでかまわないけどな・・・」

 

亞魏斗「昔・・・俺には妹が居てな・・・、もう何年も前の話さ、俺達はそこそこ仲の良い兄弟だったんだがな・・・、ベータの進行で俺達は離れ離れになっちまったんだ、俺だけ日本に飛ばされて・・・、妹は別の国に・・・、もう10年以上前の話さ、今じゃ生きているかどうかさえ分からないけどな・・・・・・・、そのときの・・・、離れ離れになった時の夢を見たんだよ・・・・・・・・。」

 

武「悪い・・・・・・・、気軽に聞いていい話じゃなかったな・・・・」

 

 せっかく気分をリフレッシュするためにシャワーに来たのに、自分で空気を悪くしてしまった。

だが、武はきにしてないと言い、こちらに背を向けた、やはり気に障ったかと思い、謝ろうとしたが、唐突に武も自分のことを話し始めた。

 

武「お詫びってわけじゃないけど、俺の話も少し聞いてくれよ、というか聞けや」

 

武「その・・・、俺には仲の良い?幼馴染が居てさ、名前は鑑 純夏っていうんだけど、ガキのころからずっと一緒でさ、毎日馬鹿みたいなこと言って皆で笑ってたんだ・・・・、けど、ある日横浜に進行してきたベータに何もかも潰されて、亜魏斗と同じように俺達は離れ離れになっちまった。別れ際も最悪でな、ベータに連れて行かれるあいつを俺は見ることしかできなかった。あのときほど自分の無力さをのろったことは無いし・・・、もう二度と会えないと・・・、馬鹿な話して笑い合えないと思ったよ・・・」

 

 武と俺の境遇は似ているらしい、武にとってその幼馴染は大切な人なんだろうとすぐにわかった、シャワーではっきりとは見えないが、うっすらと武が泣いているのが分かった。まったく、自分の過去を語って自分で泣くなんて・・・・・、と、からかってやりたかったが、俺も人のことは言えないな、と、何かをかき消すためかのように頭を思い切りワシャワシャと洗う。

 

 少し俯いていた武だが、顔を上げると話の続きをし始めた。

 

武「でも、頑張って生きてみるもんだよな!実は最近あいつが生きていたことを知ってさ、俺のテンションはもう有頂天に達したわけよ、なんとこの横浜基地でかなり大掛かりな治療を受けてるみたいでさ、今はまだ目が覚めてないから直接離せないんだけど・・・、近いうちにあいつが絶対目を覚ますって思ってるんだ、だから、俺は絶対死ねない・・・、目が覚めたときに知ってるやつが居ないとへこむだろうしな・・・・・・、それに亞魏斗も、妹さんはきっと生きてる。俺の幼馴染みたいに、だから、絶対死ぬんじゃねえぞ・・・」

 

 武からの思いもよらない言葉に、昨日着任したばかりとは思えないほどの仲間への強い思いを感じた。

 

亞魏斗「へいへい、そっちこそ、本当に幼馴染ちゃんが起きる前におっちんだりすんなよ?こういうの先に言うのってフラグって言うんだろ?昨日さんざん聞いたぜ」

 

 その後、武と全室でたわいも無い話をしていたが、せっかくシャワーを浴びたのに体が少し冷えてしまったみたいだ。

二人でくしゃみをしながら全室から出る。そのままお互い部屋に戻ろうとしたが、俺は昨日から気になっていたことを武に聞いてみることにした。

 

亞魏斗「なあ武、今日の作戦は本当にこの横浜基地を襲うことなのか?」

 

 俺達は昨日の夕方、武の着任の知らせとともに、部隊初の実戦任務を行うことを聞いた、詳細はまだブリーフィング前なので語られていないが、この基地を奇襲せよとの命令を副指令から受けている。自分たちの基地を奇襲するなんて馬鹿らしいことだが、あの天才の考えることだ、何か意図があるのは間違いない。

 

武「悪い、俺もまだ博士からなにも聞いてないんだ・・・・・、ただ・・・そうだな・・・・・、理由は大方予想がついてるよ」

 

 と、武は苦虫を噛み潰したような表情で言った、これが何を意味するのか、長いこと衛士をやっていると自然と察してしまう。

 

亞魏斗「まあ、自分たちの基地を襲うなんて正直常人の思いつくようなことじゃないけどな」

 

武「そうだな・・・、でも、これもある意味必要なことなのかもしれない、悲劇を繰り返さないためにも・・・・・・・・」

 

亞魏斗「・・・・・・・・・」

 

 武にはそれ以上何も聞かずに、俺達はそれぞれの部屋へと向かった、武と別れた後、冷えた体を温めようと、俺はPXへと向かうことにした、本来ならブリーフィングが開始するまでは基本自室待機になっているが、大きな作戦でもない限り、俺達特務部隊には一般兵にはない特別な待遇をされている。たとえば訓練は決まって午後のみ、日曜は休日、まあこれに限っては作戦がある場合はつぶれるんだが・・・、それでも自由な日を比較的多くもらえてるのは確かだ、なぜこんなにも優遇されているのか、それは、俺達それぞれが持つ事情にも関係してくるが・・・、今はまあ良いだろう・・・・。

 

 PXまでたどり着くと、そこにはいつものように京塚のおばちゃんと・・・、篁 唯依の姿があった、俺はいつものようにカウンターでおばちゃんに声をかける。

 

亞魏斗「今日も綺麗だねぇおばちゃん、あ、合成抹茶一つ」

 

京塚軍曹「なんだい亞魏斗かい、まあ、あんな冗談言うなんておまえさんしか居ないけどね・・・、しかし珍しいこともあるもんだ、こんな時間にここへ来るなんて、いつも寝坊ばかりして唯依ちゃんにどなられてるのに」

 

亞魏斗「ははは・・・、耳が痛いな~・・・・・・・、今日はたまたま早く起きてさ、せっかくだからおばちゃんの顔でも見ておこうかとおもってね」

 

京塚軍曹「なにいってんだい、あんたの目的はあたしじゃなくて唯依ちゃんだろうに」

 

 後ろでビクッと反応する黒髪ロングの女性が一人、篁 唯依中尉、俺達の中隊の隊員でもあり、俺の小隊のメンバーでもある。

彼女はいつも朝になると、京塚のおばちゃんの手伝いをしている。おばちゃんは衛士がそんなことしなくてもいいといっているみたいだが、唯依も頑固なのでなかなか引かない、結局おばちゃんが折れて、今に至る。

 

唯依「京塚軍曹・・・、冗談はやめてください・・・・、それに神楽大尉、この後はブリーフィングがあるはずです。こんなところであぶらをうっていていいのですか?」

 

亞魏斗「それを言うなら唯依姫だってそうだろ?これから初の任務なのに・・・・・・、おばちゃんの手伝いをする余裕があるとは関心関心、まあ、あんまり無理しないようにな・・・・・・」

 

 少し煽りを含めていってみるが、相変わらずすました顔で黙々と作業を続けている。ふむ、嫌われちゃったかな・・・・?

 

京塚軍曹「まったく、ほんとうに仲がいいねあんたたちは、夫婦喧嘩もそこまでにしときな、ほれ、合成抹茶だよ、これ飲んだらさっさとブリーフィングにでも行ってきな、サービスしておいてあげるよ」

 

 俺は合成抹茶を受け取るとおばちゃんにお礼を言ってPXを後にした・・・、唯依に見つめられていたことにも気付かずに・・・。

 

唯依「・・・・・・・・・・・・・・・バカ・・・・・・・」

 

 

(国連軍横浜基地・特務部隊専用ブリーフィングルームA-1 8:00)

 

夕呼「全員集まったわね、今から今日の作戦についての詳細を説明するわよ」

 

 ついに始まる俺達の初陣、まさか自分たちの基地を攻撃するはめになるとは思わなかったが・・・、正直なところ、理由については大方予想している。おそらくこの基地に所属している兵士ををはじめとした面々のアマエを叩きなおそうといったところだろう、この基地はあくまでも最前線に位置する。しかし、基地内を歩いていると分かるが、回りの人間の危機感が薄いのはうすうす気付いていた。

 

夕呼「まず、何で作戦内容がこの基地の奇襲か・・・・・・・、頭のいいやつならもうある程度感づいていると思うけどね。

あんたたち、この基地の状態を見てどう思っているかしら?」

 

ナフト「それは・・・・・・、この基地の怠慢ということでしょうか・・・・・・?」

 

 思っていたことをナフトが言ってくれた、やはり皆考えることは同じらしい。

 

夕呼「そのとおりよ、この基地は最前線でもあるのに、周りの人間は緩みきっている。オルタネイティブ4の重要拠点でもあるのにね、まったく迷惑な話よ」

 

武「でも、いくらなんでも基地を戦術機で奇襲することもないんじゃないんですか?」

 

 武もおそらく理解しているつもりなんだろうが、これだけ大きな基地を奇襲するんだ、戦術機なんかも必要に応じて出てくるだろう、それに、例え模弾を使用したとしてもある程度の被害は出る。それをこの基地が負うのは多くの面でマイナスが大きすぎる・・・・。まあ、そこらへんもあの副指令様なら計算のうちなんだろうな。

 

夕呼「あのねぇ・・・・・、高いところから見下ろして現場を知らない奴なんて一度痛い目を見なきゃ自覚しないのよ、それに今回の作戦については基地指令にも教えてないから、本当の意味での奇襲になるうえに、相手は実弾をばら撒きまくってくるから、あんたたちこそ、模擬弾しか使わせないんだから油断してたら死ぬわよ」

 

 相手は実弾打ち放題にたいしてこちらは模擬弾でのお遊び、正直ベータの集団に丸腰で突っ込まされるも同然なので、突入するこちら側のほうの損耗率を心配するほうが利口、というか当然なんだろう、俺の場合、昔の影響で感覚が少し曲がっているせいもあってすぐには浮かばないんだが・・・・・・・。

 

夕呼「でも安心なさい、今回の奇襲はたるんだ連中をたたきなおすことのほかに、新型戦術機の実戦運用テストも含んでるんだから、性能はあんたたちも何回かシュミレーターをやってるから理解してると思うけど、この機体なら今回の作戦も可能になるのよ、専用に開発した長刀は本物を使ってもらうし、99式試作陽電子投射砲も本物を使うけどね・・・・・・・」

 

武「つまり、今回は模擬弾を打ちまくるよりも近接格闘戦で、データ収集をすることと、その試作品の運用テストがメインで、この基地の連中の目を覚まさせるのはおまけってわけですか・・・・・・・」

 

 少しため息をついているようだが、武の反応から察するに、副指令のこの回答も予想済みだったんだろう、それでも納得がいかないというのも目に見えて分かるが。

 

夕呼「一度にできるんならそれに越したことは無いでしょ、まあ・・・、殺さないように気おつけて戦いなさいな」

 

 簡単に言ってくれる・・・・・、こっちはお灸をすえるつもりでも向こうは本気なんだ・・・・・・・。

それに、周りのメンバーの反応も微妙だ。

 

叶理「悪趣味だな・・・・」

 

叢雲「模擬弾にまみれての陽電子投射砲が向かっていくわけか・・・・・」

 

紅雪「管制ユニットを狙わなきゃいいんだろ?簡単だな」

 

 ただ一人やる気に満ちているみたいだが・・・・・・・・・。

 

夕呼「ただ一つ問題があってね、今回運用するType-XM3-00P 白銀なんだけどね・・・・・」

 

武「!?!?!?ちょっ、ちょっと待ってください、まさか戦術機に俺の名前をつけたんですか!?」

 

 武は今更気づいたようだ、昨日のうちにこの部隊の関連資料は全部渡されていたと思うが・・・、まあ、あれだけの量を半日もないのに覚えるのは無理だろうな・・・・・・・。

 

夕呼「そうよ?今頃気付いたの?昨日渡したファイルにも書いてあったでしょうに・・・・」

 

 新型戦術機にはある人物の名前をつけるって言っていたが・・・・・、まさかうちの部隊の隊長の名前だったとは思わなかった、正直、俺も昨日武に会って察したばかりだ・・・、副指令もなかなかいい趣味をしているな・・・・・・。

 

武「いや、見ましたけど!あんた絶対面白がってつけただろ!?」

 

夕呼「そ、そんなこと無いわよ~・・・・・・・・、Type-XM3-00P 白銀・・・・・プッフゥ・・・・・・」

 

武「笑ってんじゃねええええええええええええ!!」

 

 武の愚痴が納まったのはそれから10分後のことだった・・・・、自分の名前を面白がって付けられればそりゃ誰だって不快だろうよ・・・・・、でも、昨日武とわかれた後にその話で盛り上がっていたのはないしょ。

 

夕呼「それじゃあ続きを話すわよ・・・・・くっふぅ・・・・・・」

 

武(ギロ・・・・・・・)

 

 全力で睨む武を気にせず話を続ける副指令はやはり只者じゃないと思う。

 

夕呼「はいはい・・・・・・・・、それでこの機体の問題なんだけどね・・・・、開発部門に無理やり発注して半年でつくらせたもんだから、発注台数の半分、予備機も含めてまだ5機しかロールアウトしてないのよ」

 

ナフト「5機!?たったそれだけでこの基地を奇襲しろと言うんですか!?」

 

武「いくらなんでも無茶ですよ・・・・」

 

紅雪「ふん、あたしらに死んでこいってか?」

 

 皆の反応ももっともだ、いくら最新鋭の機体があっても、一個小隊のみでこれだけの基地に奇襲をかけるなんて自殺行為も同然だ、正直俺だって嫌だ。

 

亞魏斗「副指令・・・、俺達はまだ実機訓練もしていません、シュミレーターのみでいきなりの実戦、ましてやロールアウト直後でまともに整備や動作確認も満足に行われていない機体での出撃なんて無駄に機体や衛士の損耗率を増やすだけだと思うのですが?」

 

夕呼「まあね・・・・・・・、あんた達の言うことはもっともよ、でもね、物事にはタイミングって物も重要なの、自らの望む未来を引き寄せるには遅すぎても早すぎてもだめなの、あんたたちの生き死に同様に的確なタイミングでカードを切っていくのが重要なのよ、今回の作戦もそれが影響しているわ」

 

 タイミング・・・・・、それを見極めることはおそらく、多くの死地を乗り越えてきた今の俺でも無理だろう、それは部隊メンバー全員も変わらない、副指令でさえきっと手探りのはずなんだ、いくら天才でも未来を予測するなんて不可能だ、可能なのは、なるべく自分の欲する未来への道へと舵をきっていくだけ・・・・。

 

 静まり返ったブリーフィングルームで一番最初に言葉を発したのは副指令ではなく、我らが隊長白銀 武だった。

 

武「・・・・・・・分かりました。どうせやらなきゃならないんでしょう、しかもそれは俺達にしかできないと」

 

夕呼「そういうこと・・・、そのためにこれだけの優秀な衛士を世界中から無理やりかき集めてきたんだもの」

 

 最後の言葉が気になるが、それは俺でも分かる。ここに居るのは大半が大陸での戦闘に参加したメンバーだ何人か名前を最初から知っていた顔まで居る。この部隊がどれだけの先鋭を集めているかなんていうまでもない。

 

叢雲「まあ、皆、とりあえずやるだけやって見るのも良いんじゃないかな?」

 

ナフト「副指令、作戦概要の説明をお願いします」

 

 俺達は軍人だ、思うことがあっても結局上の命令には逆らえない、部隊全員、俺も含めて理解している。

とにかく、今回の作戦は死傷者をださないことだけを考えるんだ・・・・・・。

 

夕呼「今回の奇襲作戦だけど、大きく分けての3段階になるわ、まずはフェイズ1、あんたたちにはここから輸送機で片道2時間の密林地帯にむかってもらうわ」

 

武「ちょっと待ってください、ここから2時間?そんなところに密林地帯なんてありましたっけ?」

 

夕呼「シ~ロ~ガ~ネ~」

 

武「お口チャックですね、黙ってます・・・・・・・」

 

 副指令が話している最中に割り込むその度胸は対したもんだと思うし、あの二人は他人ではないような感じもする。いったいどういう関係なんだ・・・・、それは抜きにしても・・・・・、武は少し、いや、かなり軍人らしくないところがちらほら目立つ、そもそも白銀武に関しての情報を俺達部隊員は一切の情報が開示されていいない、本当に・・・、いったい何者なんだ・・・。

 

夕呼「馬鹿は放っておいて続けるわよ・・・、その地点にはすでに戦術機5機を整備班と一緒に待機させてあるわ、現地に到着し次第着座調整を行い、輸送機に戦術機を搭載、そのままこちらの基地へ向かう進路をとってもらうわ」

 

夕呼「ポイントC-3で戦術機部隊降下、ここで部隊を二つに分けるわ、B班はポイントC-3でフェイズ2の発動と同時にその場からの長距離支援砲撃開始に備えて待機、A班はそのままの進路を水平噴射跳躍で一気に基地へと接近、機体のステルス機能のおかげで距離500mになるまでこっちの索敵網には引っかからない計算だから、いきなりぶっ放される心配は無いわ」

 

夕呼「ここまでで何か質問はあるかしら?・・・・・・・・・・結構、続けるわ」

 

夕呼「基地の戦術機部隊が展開し次第攻撃開始、この時、なるべくペイント弾を打ちまくるんじゃ無くて、長刀を使った近接戦闘に持ち込んで欲しいわね、じゃないと目標の半分くらいしか達成できないし・・・・・・・、まあ、あんたたちなら大丈夫だとは思うけどね、ある程度データが取れたらプラチナ・コード専属のCP(コマンドポスト)オフィサーからB班に撤退命令の信号弾を発射させるように指示を出すから、そしたらポイントC-3まで即時後退、待機させてある輸送機と一緒にこっちの横浜基地へと戻ってきなさい、ああ、ちんなみにこのCPオフィサーとは長い付き合いになるから仲良くしときなさい、説明は以上よ」

 

ナフト「副指令、一つ質問よろしいでしょうか?」

 

夕呼「却下、どっかの馬鹿が口を挟んだおかげで時間がかつかつなの、悪いけど急いで準備してもらうわ・・・・・、白銀!あんたは今回出るメンバーを選んで置きなさい」

 

武「りょ、了解です・・・・・・・」

 

 早口でそれだけ言い残すと副指令は自室に通じるドアを開け、部屋へと戻ってしまった。

 

武「わりぃナフト、さっき聞こうとしてたことはなんだ?よかったら俺が後で聞いとくけど・・・」

 

ナフト「いや、別に大丈夫だ、たいしたことじゃないし、現地に行ってからでも聞けるだろう」

 

 俺も質問したいことは山ほどあるが、今は生き残るために出撃メンバーを決めたほうがよさそうだ。

 

アルテミシア「で、どうするの隊長君?誰が行くのかな?」

 

 さっきまでずっと黙っていた女性人も会話に入ってきた、さすがに厳しい作戦だから、生き残るために皆で知恵を出そうって感じだろう、まさかこの部隊での初陣がこんなことになるとは・・・、俺を含めて誰も予想していなかっただろうな、下手したら味方に殺されるんだ・・・。

 

 こうして俺達の初陣を飾る作戦会議が始まった・・・・・・・。

 

第3話へ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 




長らくお待たせしました第2話、主がいい加減なので投稿方法がころころ変わって申し訳ないです。

これからはこのように細かく区切って短い期間で投稿できるようにしようと思います。

皆さんも間が開きすぎると忘れちゃうと思うので。

さて、次回ですが、いよいよ戦闘になります。横浜基地の奇襲作戦、そのたるんだ根性叩きのめしてやるといわんばかりに武をはじめとした主人公たちが暴れまくる・・・・予定。
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