マブラヴオルタネイティヴ The root of tree 作:ゲス猫1229
今回は前回終盤で登場した新キャラクター達との戦闘がメインになります。謎の黒い戦術機とそれを駆る謎の部隊、彼らの機体には識別不能の部隊マークが、白い布切れを纏い大ぶりの釜をもつ何かが道の真ん中に佇む姿のマーキングにどんな意味が宿っているのか・・・。
細かい設定は第5話投稿後に謎の戦術基部隊メンバーの設定とともに投稿予定です。
亞魏斗「くそっ・・・、武、なにをぼうっと突っ立ってんだ、こいつらは敵だぞ!?」
突然武目掛けて切りかかってきた黒い戦術機のモーターブレードを間一髪で受け止める。ブレードの駆動音が亞魏斗と黒い戦術機の間に鳴り響き、受け止めていた長刀との間で火花を散らす。
武「はっ・・・、あ、亞魏斗・・・、すまん・・・、それよりも、こいつらいったい!?」
亞魏斗「俺が知るか!・・・グア!?」
相手を押し返そうと蹴りを入れようとした瞬間、黒い戦術機は1本後ろへと下がり、亞魏斗の機体の胴体部へと回し蹴りを入れ、逆に後ろへと突き飛ばす。すぐ後ろにいた武の機体も巻き込み、2人で後ろへと倒れ込む。
武「ぐうううう!?」
亞魏斗「いって〜・・・ってうお!?」
武「うわあ!?」
休まるまもなく今度は長刀を抜き放ち二人めがけて切りかかってくる。間一髪で避けるが、亞魏斗の機体は勢いよく尻餅をついた影響で腰部に装備してあったコンテナユニットが破損する。
亞魏斗「ここは要改修って副司令と小鳥遊博士に言っとかねえとな!」
武「全くだ!」
どうやら武の機体のコンテナユニットも破損したらしく、お互いにコンテナユニットをパージし、投棄する。投棄された衝撃でコンテナが一分開き、武装がいくつかこぼれ落ちる。
亞魏斗「さあて・・・、どうするか・・・」
亞魏斗(この機体の衛士は間違いなく強い・・・、下手したら武でも不味いかもしれないのに・・・、今の武にこいつとやらせるわけにはいかない・・・)
亞魏斗「武!こいつの相手は俺がする、お前はナフトと叶理の方へいけ!」
ナフトと叶理も既に残りの2機を相手にしている。2人とも黒い戦術機戦術機と互角に渡り合っているように見えるが、少し挙動におかしなところが見える。
ナフト「くっ!?こいつら動きが!?」
叶理「ああ・・・、変な感じだ・・・、まるで攻撃が当たらない!?」
2人はお互い長刀を抜き、黒い戦術機との近接格闘戦をしているが、まるで攻撃が当たっていない、どちらも長刀が当たるスレスレの位置で避けている。まるで動きが分かっているかのように・・・。
武「わ、分かった、亞魏斗も無茶するんじゃないぞ・・・」
武が反転し2人の方へと向かっていくのを確認すると、長刀を腕の鞘から抜き放ち、胸の前で構えながら黒い戦術機と向かい合う、相手はいっぽも動かずにこちらのやり取りが終わるのを待っていた。
亞魏斗「さあ・・・、どっからでもこい!」
意気込んで長刀を構えていたが、突然秘匿回線が強制的に開かれ、サウンドオンリーで声が聞こえてきた。
謎の声「やっと二人きりになれたね・・・」
亞魏斗「な、なに!?戦闘中に通信だと・・・、しかもこれは副司令お手製の特殊回線だぞ!?」
発信元はすぐに分かった、目の前の黒い戦術機だ・・・、一方的に攻撃を仕掛けてきた相手がいきなり通信をしてきたのにも驚いたが、まさか副司令お手製の特殊回線を相手がハッキング出来たことにいちばん驚いていた。
謎の声「こんなの簡単だったよ・・・、わたしの手にかかれば・・・それに・・・、こんなことが出来ても全く驚かないよね・・・お兄ちゃんなら・・・」
亞魏斗「な!?なんで・・・」
謎の声(お兄ちゃん・・・、迎えに来たよ・・・)
亞魏斗「こ、こいつ・・・、頭に直接・・・しかもこの感じ・・・まさか!?」
突然頭の中に声が響く、もちろん相手はあの黒い戦術機の衛士、しかも、この感覚、この声には懐かしさを感じた・・・、こんなことが出来るのはただ1人、亞魏斗と波長を合わせ、精密なリーディングとプロジェクションのできる人物!!
亞魏斗「スワン、なんでそんなものに乗っている!?」
謎の声「あはは!その名前で呼んでくれるのはもうお兄ちゃんだけだね、懐かしいな〜・・・、でも今は・・・別の名前があるの。
今はね・・・ラルーニャ・V・リヴィエールって言うんだよ?」
亞魏斗(妹が生きていた・・・、10年近くも前に離れ離れになった妹が・・・、再開は感動的なものじゃなくて最悪なものになっちまった・・・、ああ・・・、武・・・確かに会えたよ・・・妹に・・・でもこんな形だなんてな・・・)
亞魏斗「ラ、ラルーニャ・・・、V・・・、それにリヴィエールって・・・あの研究所の!?」
ラルーニャ「そうだよ・・・、お兄ちゃんとわたし、2人で生まれた場所・・・、あそこの人達酷いよね・・・、人類の為だって私達に酷いことして・・・、でもねお兄ちゃん、安心して、あいつら全部皆殺しにしてあげたから・・・」
亞魏斗「お、お前・・・、何言って・・・」
ラルーニャの言う通り、俺たち2人はリヴィエール研究所というソ連軍の研究所で生まれた・・・、そこで俺たちはモルモットのように扱われ、人類の為だと人体実験をされていた・・・、そこの連中を皆殺しにしただって!?
ラルーニャ「そう!皆殺し!当然だよね、だってあいつらは私達にいっつも酷いことをしてたんだよ、許せないよねぇ!?」
目の前の黒い戦術機が切りかかってくる。完全に放心状態だったので、機体を跪かせることで間一髪で受け止めるが、その間にラルーニャはもう1本の長刀を装備し、振り下ろしてくる。今度は腕の鞘で受け止めるが、ジリジリと鞘に亀裂が入ってくるのが分かった。
ラルーニャの一撃は重く、機体の脚部関節に過剰な負荷がかかっている事を知らせるアラートが鳴り響いていた。
亞魏斗「ぐう・・・、お、重い・・・」
何とか受け止めてはいるが、体制が悪いのでジリジリと、押されていくのが分かる。
ラルーニャ「そうだよ・・・、わたしの愛は重いんだよ!」
亞魏斗「なっ、何言ってるんだお前、今はふざけてる場合なんかじゃないんだぞ・・・!?」
ラルーニャ「酷いなぁ・・・、わたしは真剣なのに・・・、わたしね、お兄ちゃんを迎えに来たんだよ・・・、だっておじさんが言ってたの「クロウのやつは悪い奴に騙されているんだ、だからお前が助けてやれ」って・・・」
クロウとは彼の研究所での被験体番号のようなもので、かつて亞魏斗が研究所で呼ばれていた名前でもある。
亞魏斗「誰だそいつは!?」
ラルーニャ「ごめんねお兄ちゃん、それは言えないの・・・、でも、一緒に来てくれたらお兄ちゃんも仲間だから・・・色々教えてあげられるよ・・・?」
会話を続けながらも手を抜くどころかスキすら見せないラルーニャ、何とか体制を立て直そうにもこの状態では不可能だ、だが、このままでは機体が持たないのも確かだ。
亞魏斗「そ、そいつはできない・・・、俺には守らなきゃいけない仲間が・・・、守らなきゃならない奴がいるんだ、お前こそ、そんな所にいないで俺のところに来い!」
ラルーニャ「・・・かしいよ」
亞魏斗「な、なんだ急に攻撃が・・・?」
亞魏斗の言葉を聞き、突然攻撃を辞め後ろへと下がるラルーニャ、通信は相変わらず繋がっているが、ボソボソと何を言っているのかよく聞き取れない・・・。
ラルーニャ「・・・かしい・・・、・・・かしいよ・・・」
亞魏斗「ラ、ラルーニャ?どうしたんだ・・・?」
ラルーニャ「おかしいよ!?なんで!?どうして!?わたし以外の何が!?誰が大切なの!?誰を守るの!?わたしは・・・、ずっと一人だったのに・・・、誰も守ってくれない、誰も助けてくれない!!ずっとずっとずっとずっとずっと!!1人だったのにぃ!なのに!せっかく会えたのに、お兄ちゃんはまたわたしをひとりにするの!?」
ラルーニャは突然発狂すると、持っていた長刀を後ろへと投げ捨て、両腕のモーターブレードを起動して亞魏斗の機体目掛け突進してきた、機体のセンサーカラーが黄色から赤色へとかわり、凶暴性を増したようにも見える。
亞魏斗「ぐ!?お、落ち着けラルーニャ!」
ラルーニャ「うるさいうるさいうるさい!!誰!?お兄ちゃんをたぶらかす悪いやつっ!!お兄ちゃんが言わないならわたしの能力で・・・!!」
亞魏斗「な、まさか!?」
反射的にラルーニャの機体から離れようとしたが、遅かった、亞魏斗の心を読んだラルーニャは更に強く迫ってきた。
モーターブレードは間違いなく管制ユニット目掛けて飛んできたが、ギリギリ長刀で受け止める。
ラルーニャ「この女・・・この女のせいかぁ!?篁 唯依!!わたしのお兄ちゃんを・・・、殺す・・・殺す殺す殺す殺してやるぅ!!グチャグチャにしてやるんだ!!あいつらみたいに!!」
亞魏斗「なにっ!?やっぱり俺の心を読んで・・・、ぐああああ!?」
先程よりも明らかに言動が激しくなっているラルーニャ、2本の長刀で受け止めていたが、遂に左の刀身が折れ、間一髪抜きはなった短刀で受け止めるが、この短刀は通常装備なので、明らかに強化されている黒い戦術機のモーターブレードを受け止め続けるには限界がある。
ラルーニャ「あの基地に・・・あの基地に居るんだね・・・」
亞魏斗「はあ・・・はあ・・・、や、辞めろラルーニャ・・・」
亞魏斗の機体から離れ、横浜基地の方角を向くラルーニャ、機体のモーターブレードは相変わらず激しい駆動音を鳴らしている。
まるでラルーニャの心の乱れを表すかのように・・・、がしかし、突然ラルーニャの動きが止まり、モーターブレードの駆動音も聞こえなくなった。
ラルーニャ「ぐっ!?あ、ああああああああああ!?」
亞魏斗「こ、今度はなんだ!?」
ラルーニャ「ううううう!苦しい・・・苦しいよ・・・お兄ちゃん・・・、なんで・・・このタイミングで薬が・・・あああああ!?」
亞魏斗「く、薬・・・?」
当然苦しみ出すラルーニャ、機体の挙動も不自然で、本気で苦しんでいるのがわかる。すぐにラルーニャのそばへと近づこうとしたが、亞魏斗の後ろから接近していた黒い2機の戦術機がそうはさせなかった。
亞魏斗「うあ!?」
亞魏斗の機体ははね飛ばされ、ラルーニャから遠ざかる。目の前にはラルーニャの機体を囲むように2機の黒い戦術機が立っていた、片方はソ連軍のチェルミナートル、もう片方はラルーニャと同じ機体だ、どちらも機体の肩に同じ部隊マークがついている。
白い悪魔が巨大な鎌をもち、道を塞いでいる絵だ。
亞魏斗「ファン・・・トム・・・ロード・・・?」
そこにはファントム・ロードと書いてあるようで、恐らくこれが黒い戦術機部隊の名前なのだろうと察する。
祐「ラルの副作用が予想よりも強すぎたか・・・、相手の戦力分析は済んだ、撤退するぞ・・・」
慎「仕方ない・・・、ラルは俺が抱えていく、この機体の推力なら問題ないだろ」
亞魏斗「なっラルーニャを連れていくつもりか!?まてっ!?」
どうやらラルーニャの開いた回線はあちらの全機とも繋がっているらしく、正面の2機からも声が聞こえた。網膜投影には相変わらずサウンドオンリーとだけ表示されている。亞魏斗はなんとか機体を動かそうとするが、全体的に駆動系の消耗が激しいらしく、上手く動かない。
祐「ラルめ・・・、こちらの回線までハッキングしたのか・・・、まあいい、お前達の力、見させて貰ったよ・・・、期待外れだ・・・」
慎「辛辣だねぇ・・・、ま、正直手応え無かったな・・・そいつだけは手を抜いてたみたいだけど・・・」
叶理「・・・・・・」
男の戦術機の目線の先を見ると、叶理が黙ってこちらを見ていた、機体の消耗は激しいらしく、こちらを睨みつけることしかできないように見える。そのそばには這いつくばっている武の機体とそれを支えるナフトの機体がこちらを見ていた。
亞魏斗「たっ武!?どうしたんだ!?」
武からの応答はない、バイタルデータを読み出すと、どうやら気を失っているようで、武からの返事はなかった。
ナフト「急に苦しみ出してそのまま意識を失ったみたいだ・・・、このままだとまずいぞ・・・」
武は意識不明、後衛の2人は足止めを食らってこちらに来れない、叶理の機体も現状まともに戦闘ができそうにない状況、誰もが詰んだと思うような場面だが、相手の状況も悪いようでこれ以上攻撃は仕掛けてこないように見える。
祐「皆もそろそろ薬が切れる頃だ、その前に帰投するぞ」
カレン「了解、俺とリゲルトはお前らが下がるまでもう少し奥の2人と遊んでやることにするさ・・・」
能天気に返事をする彼は、機体の倍のサイズほどあるロングライフルを的確に、紅雪と叢雲の側を掠めて長距離から狙撃していた、その弾が2人は愚か、武達にも当たることはなく、ただ2人がタケルたちと、祐達の戦闘の邪魔をしないよう牽制しているだけだったが、その実力が確かなものかのは後方の2人がいちばん痛感していた・・・。
祐「撤退する」
ラルーニャの機体を抱え遠ざかっていく二つの黒い戦術機、亞魏斗はその光景を、戦術機のカメラ越しにしか見ることが出来ない、そして、その光景が今朝見た夢と被っていく・・・。
亞魏斗「行くな・・・、俺は・・・また・・・、力も・・・覚悟もあったはずなのに・・・、また・・・守れないのか・・・」
少し離れると機体の影は一切見えなくなった、恐らくこちらに接近する際に使用したステルス機能に近い光学迷彩の様なものだろう、辺りには激しい戦闘の跡と、4機の戦いに敗れた戦術機だけが残る。
先程まで猛威を振るっていた力強い姿はなく、厳しい現実だけがそこにはあった・・・。
亞魏斗「ラルーニャあああああああああああああああああああ!!」
第6話へと続く・・・。
お待たせしました第5話
今回で最初のside亞魏斗編は最後です。
今後は別の主人公の視点でストーリーが展開して行きます・・・が!
その前に武のづつうの謎が明らかに!
第5話後半、戦闘の最中に倒れてしまった武、今まで何かをトリガーにしては頻繁に強い頭痛を起こしていた武の謎が明らかに!
暗い雰囲気のプラチナ・コード中隊歓迎会、そこでは6人の少女達と武の再開が待っていた・・・。
登場新キャラクター
第五計画過激派、特務部隊ファントム・ロード中隊のメンバー
坂上 祐 キャラ設定提供者
@kurosawarekkaさん
カレン・タイター役
@Karen_Titorさん
桐山 慎役
@Ks84207463さん
リゲルト・スタイナー役
@crash_hakaishaさん
ラルーニャ・V・リヴィエール キャラ設定提供&製作
@Raven00Fさん&@gesuneko1229
以上の方々でした。