「別れ」の物語   作:葉城 雅樹

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お待たせして申し訳ありません。
しかも最終話ではなく第四幕となっております。
LEのありすとアリス回を見たせいで長くなってしまいました。
三月中には終わらせたいと思ってますのでもう少しお付き合いいただけると幸いです。
また、この話ではFGOのナーサリー・ライムに対するかなりの独自解釈を含んでいます。特に、故意的にナーサリーの一人称を「ありす(わたし)」にしている箇所がありますのでその点は留意してもらえると助かります。
詳しくは後書きに書いてますが、もし苦手な方がいらっしゃったらすいません。


第四節 「蜜の女王」(“M e l t l i l i t h”)とありすとアリス(and NurseryRhymes)

 拍手が終わると、そこからはカーテンコールの時間だ。恐らくこれから今回の舞台に携わった人物、つまりメルト、ダ・ヴィンチちゃん、アマデウス、シェイクスピア、北斎親子、語り手のキャスターこと▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️の六人が壇上に現れるだろう。本来ならアンデルセンも現れるはずだが、彼は既に退去してしまった為にここにはいなかった。

 そんなことを考えていると舞台の幕が上がる。しかし、目に映ったのは彼女らしくないメルヘンな格好をしたメルトの姿と、未だにピアノに向き合うアマデウスの姿だけだった。わたしをはじめとした観客が動揺し、観覧席にざわめきが起きる。

 

「一度きりの再演を」

 

 しかしざわめきが大きくなる間もなく、メルトが一言告げた後即座に演奏が始まり、背景美術が展開された。瞬間、わたしは気づく。この常識破りの再演(アンコール)は、ただ1人のサーヴァント、ナーサリー・ライム(ありすを演じる少女)に向けて送られたものだと。

 それに気づいた私は劇場中の観客を目だけで窺う。あまり時間をかけることなく彼女の姿を見つけることが出来たが、劇場の暗さのせいかその表情をはっきりと読み取ることは出来なかった。

 

 

 

 それ以降、ナーサリーの姿を注視することをやめて、舞台に立つメルトが何を伝えようとしているのかを考えながら、彼女の舞う「不思議の国のアリス」を見た。専門的なことはよくわからないが、わたしにはその時の彼女の舞がそれまでの美麗さ重視のものより可愛らしさというものが増しているように見えた。――まるでメルトリリスという個を完全に捨て去って別の誰かを演じているように。

 

 

 

 三十分ほどの再演の後、舞台は幕を閉じた。そして再び巻き起こる拍手喝采。先程と変わらないように感じられるその熱量の中、今度こそカーテンコールの時間である。幕が上がると、そこにはこの舞台に関わったであろうサーヴァントが一列に並んでいた。そして客席に戻っていたネロを加えた後に挨拶が始まる。

 

「まずは脚本担当の吾輩から、もう一人の脚本担当であり我が友人であるアンデルセンの分も含めてお礼を申し上げましょう! 皆様、――」

 

 そうして二十分ほど挨拶が続き、最後に主役であり発起人でもあるメルトリリスに順番が回ってくる。

 

「……ごほん! ……お集まりの皆様、この度は私主催の舞台をご覧頂きありがとうございました。これほど多くの方に見てもらえて私は光栄です! たった一度きりの公演でしたが楽しんでもらえたと信じています。それではこれにて終演とさせていただきます。お気をつけてお帰りください」

 

 彼女らしくない謝辞の言葉の後、終わりの合図が告げられ続々と観客達が退出していく。しかしわたしはその流れに乗らず、舞台の中央にいるメルトの元へ向かう。

 

 

 中央の舞台に向かう途中でそちらを見ると、既に前方の席にいた観客達がメルトをはじめとした制作陣を囲んで話をしていた。これは少し時間がかかるかなと思ったわたしは辺りを見渡す。すると、メルト達を囲む輪の外周に少女達の集団を見つけることが出来た。彼女達も上手く輪に加われていないようなので声をかけてみる。

 

「おーい、そこの少女達!」

 

「あ、おかあさん(マスター)!」

 

 ジャックが走ってこっちまで駆け寄ってくる。その彼女を抱きとめると、後ろから更に三人の少女がこちらまで歩いてきた。

 

「もう、走ると危ないですよジャック! それとトナカイさん(マスター)、こんばんは」

 

「……こんばんは、マスターさん」

 

「ごきげんよう、マスター!」

 

「うん、みんなこんばんは。バレエは楽しかった?」

 

 皆に挨拶を返したあと、それとなく尋ねてみる。あの話を聞いたあとだと、どうしてもナーサリーの反応が気になってしまったからだ。

 

「うん! とっても綺麗だったよ、おかあさん(マスター)もそう思ったよね?」

 

「わたしもジャックと同じだよ。メルトは綺麗だった」

 

 わたしがそう返すとジャックは嬉しそうに微笑む。その笑顔は純粋な子供のものだ。

 

「私もとっても楽しかった! バレエというのを初めて見たのだけれど、演劇とはまた違った面白さがあったわ」

 

「そっか、アビーはバレエ初めてだったんだね。楽しめたなら良かったよ」

 

 アビーの生前の様子は、セイレムの特異点で本物ではないとはいえ知ることが出来た。清貧といえば聞こえは言いが、娯楽に乏しい生活だったのは良くわかる。そんな彼女がこのカルデアで新しい楽しみを見つけてくれるのはわたしとしてもとても嬉しいことだった。

 

「私はここに来る前にビデオを資料室で見て予習してましたよ! でも本物は想像以上でした!」

 

「ジャリィはやっぱり勉強熱心だね。でもやっぱり本物はいいものでしょ?」

 

 本来存在しないはずのジャンヌ・ダルクのオルタから更に紆余曲折を経て生まれたジャリィはサンタの時もそうだったが、形から入ることが多い。そんな彼女がまたひとつ本物を知れたというのはわたしにとっても喜ばしいことだった。

 

ありす(わたし)は……」

 

 何かを言いかけて口篭るナーサリー。そんな彼女の様子を見てわたしは彼女の耳元で可能な限りの優しい言葉を囁く。

 

「言いたくないなら言わなくてもいいよ。メルトから話は聞いたから。その心のモヤモヤは本人にぶつけた方が良いとわたしは思うよ」

 

「あ、ナイショ話だー! コソコソしてないでわたしたちにも教えてよ!」

 

「えー、秘密だからダメだよ。それよりそろそろ周りの人も居なくなってきたから舞台の方に行こう」

 

 追求を避けるべく無理やり話を切り上げて、少女達と共に舞台の方に向かう。その最中、目が合ったナーサリーに対して少し悪戯っぽい笑みを送る。すると彼女もそれに応じて少しだけ笑ってくれた。

 

 

 

 

「おやおや、これはマスターと麗しき少女達ではないですか! 最後に残ってくださったのは貴女方という訳ですかな?」

 

 最初にわたし達の存在に気づいたのは劇作家(シェイクスピア)だった。そしてそれに続いて他のサーヴァント達もわたし達のことを認識する。

 

「うむ、可愛い少女は愛いものだ! さあ、見事な演技をした余に惜しみなく賞賛を送るが良い!」

 

「なんであんたが主役みたいな雰囲気出してるのサ……」

 

 その姿を見るやいなや、少女達は駆け出し、舞台を作り上げたサーヴァント達に自らの感動を伝え始める。――ただ一人、わたしの元にいるナーサリーを除いて。

 

「やっぱり怖い?」

 

「別に怖いという訳では無いの。ただ、ジャック達がいる前でメルトリリスと話したくないだけよ……」

 

「そっか、それじゃあ二人以外は先にこの部屋を出てもらおうか?」

 

「そうしてくれると嬉しいけれど、マスター。アナタだけは一緒にいて欲しいの。メルトリリスと二人だけになったら、ありす(わたし)はどうなってしまうか分からないわ……」

 

「うん、分かった。じゃあ皆に声掛けてくるから、ナーサリーはここで少し待ってて」

 

 そしてわたしは子供のサーヴァント達にはナーサリーとメルトと三人で話したいことがあるからと説明して戻ってもらった。次に、作家陣にも軽く事情を説明しつつ先に出てほしいと頼んだところ、最後に少しだけ時間を分けて欲しいと言われたのでそれに応えることにした。そして、メルトにはナーサリーが話したいことがあるという要件を伝えて、待ってもらうことにする。メルトの方も最初からそのつもりだったらしく、特に驚いたりすることなく受け入れてくれた。

 

「という訳で、今メルトと他の舞台制作に協力してくれたサーヴァント達が最後に少し話をしてるから、それが終わったらナーサリーとメルトとわたしだけになるよ。今の間に心の準備を済ませておいて」

 

「分かったわ、ありがとうマスターさん」

 

「今は一緒にいた方がいい? それとも一人でゆっくり考えたい?」

 

「少し一人で考えたい……かしら」

 

「ならわたしはあっちに行ってるよ。何かあったら気にせず呼んで」

 

 そして舞台側に戻ったわたしはメルトと他のサーヴァント達との会話に耳を傾ける。勿論許可はとった上でだ。

 

「メルトリリスさん、貴女の舞台はとても素晴らしいものでした。物語の表現技法にこのようなものがあるというのは大変興味深いです。最も、私には難しそうですが……。何はともあれ、誘ってくれてありがとうございました」

 

「こちらこそ感謝するわ、▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️。貴方の前説のおかげで、多少無理を通した台本でも観客にわかり易く伝えられたと思うわ。貴女の語りの素晴らしさ、覚えておくわね」

 

 そう言ってメルトは語り部のキャスターこと▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️に手を差し伸べ、二人は握手を交わす。そして、▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️は舞台から降り、退出していった。

 

「次は余だな。メルトリリス。まさか貴様と共に舞台に立つ日が来るとは思ってなかったぞ。だが……良い舞台であった! 余からの賞賛、喜んで受け取るが良い!」

 

「まさか、貴方から賞賛を受ける日が来るなんて思いもしなかったわ。とは言え、ここは有難く受け取らせてもらいましょう。そして、舞台を貸してくれたことについては素直に感謝してるのよ。貴方にこんなことを言うのは余り良い気分ではないのだけれど、言うわ。ありがとう。感謝してる」

 

 そしてネロもメルトと握手を交わし、舞台から降りて舞台から出ていった。ネロが出ていった以上、黄金劇場の継続時間もあと僅かだろう。それまでに話を終わらせられるだろうか。少しだけ不安になってきた。

 

「おれの番かね。あんまり湿っぽいのは嫌いだから手短にやらせてもらうヨ。『ばれえ』とかいう舞台の背景は流石のおれもとと様も初めてだったから苦労したが、その分楽しませてもらったサ。あんたの描く舞台、良かったよ」

 

「こちらこそ感謝するわ、ホクサイ。流石西洋にまで影響を与えた画家ね。期待以上の働きをありがとう。もし次があればまたお願いしても良いかしら?」

 

「それは構わねぇが、お代はびた一文負けねぇヨ?」

 

 そう言ってニカッと笑った北斎親子ともメルトは握手(北斎本人は上から手を添える形)を済ませる。そして北斎親子も去っていった。

 

「次は私の番かな? メルトリリス、君の舞台は素晴らしかったとも。この万能の天才ダ・ヴィンチが言うから間違いない! どうせこのあとも月で続けるつもりなんだろう? 人手が欲しくなったら遠慮なく言ってくれ、呼んでくれたら手くらいは貸すさ」

 

「そこまでお見通しなら仕方ないわね。本当に遠慮なく呼ぶかもしれないわよ」

 

「望むところだとも」

 

 途中小声すぎてよく聞き取れなかったところがあったが、ダ・ヴィンチちゃんとも挨拶を済ませたようだ。これで、残るメンバーはあと二人。

 

「じゃあ、次は僕だろうね。バレエの伴奏というのも随分久しぶりだったが、良いものだった。最高の音楽に最高の美術、そして最高の舞台とその上で舞う至上のプリマ! これ程良い舞台は滅多に得られない経験だろう。メルトリリス、その機会を与えてくれたこと、本当に感謝するよ。マリアに良いものが見せられたしね。」

 

「貴方の本音は最後の一言でしょう、アマデウス。とは言え、本当にいい演奏だったわ。ありがとう」

 

 そしてアマデウスも去っていく。最後に残ったのは、やはりと言うべきかシェイクスピアだった。

 

「さて、最後は吾輩です。吾輩が演じるものでなかったのは残念ですが、あれほどの喝采を受ける最高の舞台を作り上げられたことは非常に喜ばしい! 吾輩と我が友アンデルセンの脚本や、アマデウスの音楽、ホクサイの美術、ダ・ヴィンチの衣装と設計、ネロ皇帝の舞台ありきのものですが、その栄光はメルトリリス、素晴らしい舞台を作り上げた貴女が受け取るべきものです!」

 

「全く、貴方といいアンデルセンといい、作家サーヴァントの口は休むということを知らないのかしら。でも、賞賛は有難く貰っておくわ。そして貴方にも感謝を。かなり無茶な依頼だったけど貴方と、アンデルセンは完璧にこなしてくれたわ。その成果はしっかりと感謝するべきでしょう。ありがとう、シェイクスピア」

 

「ふむ、それではその感謝に対してこちらから返礼に言葉を贈らせて頂きましょう。恋は盲目だ。(Love is Blind.)

 故に恋する者たちは(And lovers)恋の相手が犯す小さな過ちを(cannot see the pretty follies)

 見逃してしまう。(that themselves commit.)貴女が恋するものと共に往く道は困難かと思われる。だからこそ、相手のミスを見ることの出来る冷静さを保ち続けることを推奨しますぞ。お互いの欠点を補うことが出来たのなら、きっと道は開けるでしょう!」

 

「本当に一言以上多いキャスターね!」

 

 そう言いながらも二人は握手を交わし、シェイクスピアも劇場から退出した。そして、とうとうこの劇場に残っているのは、わたしとメルトと、ナーサリーの三人だけになった。

 

「さて、それじゃあ話をしましょうか、アリス」

 

 メルトがそう呼びかけるとナーサリーがこちらに顔を出してきた。メルトの方に向かいながら彼女は話し始める。

 

「ええ、そうね。話をしましょう、悪い魔女さん(メルトリリス)。あの月の裏側の続きをありす(わたし)と……いえ、アリス(あたし)と始めましょう」

 

「じゃあまず私から話を始めても構わないかしら?」

 

 その言葉にナーサリーは言葉を返すことなく頷くことで返答する。そんな二人の間に漂う緊張感にわたしは思わず息を呑む。

 

「何故今日の舞台に来たのが教えてもらえる? 月の裏側の記憶を持っているのなら、私の舞台にはそもそも足を運ばないのが道理ではなくて?」

 

「そうね、まずはそこからはっきりさせましょう。確かにアリス(あたし)は今日ここに来るのにはあまり気が向いていなかったわ。それでもここに足を運んだのには理由があるの。一つは、ジャック達に誘われたこと。アリス(あたし)あたし(ありす)の姿でいるんだもの。あたし(ありす)がきっと行きたがるこの舞台に行かないわけには行かなかったの。そして二つ目はメルト、アナタと最後に話をするためよ」

 

「そう、どこかおかしいと思ってたけど、貴女はありすを演じているのね。ありすの分まで楽しむために」

 

「寧ろアリス(あたし)にはアナタの方がおかしく見えたわ。アリス(あたし)娯楽品(ホビー)にして、ありす(あたし)観賞人形(プランツドール)にしたアナタはどこに行ったのかしら? アリス(あたし)には、今のアナタは以前よりもよっぽど人間らしく見えるわ。一体貴女に何が起きたのかしら?」

 

 わたしには言ってる話の半分は理解できなかった。メルトに説明を受けてなかったら半分すら分かってなかっただろう。一瞬、ほとんど話のわからないわたしがここにいる意味はあるのかなどと考えたが、彼女達に頼まれたのにはなんらかの理由があるはずだと改めて思い直し、再び彼女達の話に集中する。

 

「そうね、貴女は知らないでしょうから教えてあげましょう。私は最後の瞬間に気づいたの。いえ、あの人に気付かされたというのが正しいかしら。想い人に相手の意思など関係なく愛を捧げて幸せにしたいと思うのとは別に、私の中に想い人に女の子として好きになってもらいたいっていう気持ちがあることをね。だから、私はあの人に好きになって貰えるようなAIになることにしたの。人と共に歩める怪物(アルターエゴ)になるって決めたのよ」

 

 清々しい表情を見せながらメルトは言い切った。その返答はナーサリーにとっても衝撃的なものだったらしく、彼女は咄嗟に言葉を返すことが出来なかった。少しの間を開けて、ナーサリーは再び口を開く。

 

「……そう、そうだったのね。やっぱりあのお兄ちゃんは凄いわ。幽霊だったありすの声を聞き逃さなかっただけじゃなくて、人間嫌いのメルトをこんな風に変えてしまうなんて……。……ねぇメルト。もう一つ聞かせてくれる?」

 

「構わないわよ、恐らく私と貴女が会うのはこれで最後。お互い先に進むために心残りはないに越したことはないわ」

 

「それじゃあ遠慮なく聞かせてもらうわ。何故アナタはアンコールで『不思議の国のアリス』を演じたの? アリス(あたし)と話すためだけにそんなことをしたの? アリス(あたし)がそもそも舞台に来なかったらどうしてたの? そしてどうしてあの演目の時だけ、アナタは個を殺してまで『アリス』を演じたの?」

 

 その質問にはナーサリー……いや、アリスの本当に聞きたいことが詰まっているようにわたしは感じた。

 

「……順番に答えるわ。まず、『不思議の国のアリス』を演じたのは貴女に呼びかけるためよ、それ以外の理由はないわ。そして、貴女が舞台に顔を出さなかったらアンコールすら無かったわ。最後、あの瞬間だけ個を殺して演じた理由は明快。今の私を貴女に見せるため――ただそれだけよ。私は過去の自分の行為を悔いてはいないし、貴女に謝罪するつもりもない。だって過去の私の方が完璧で、今の私の方は欠陥品よ。他者を組み敷いて輝くという私の本質は変わらない。その本質を抑えてまで誰かと共にあろうとする方が異常なのよ。だから私は謝らない。貴女も私の事を許さなくていい。それでも、はっきりと過去の私を覚えている貴女に今の私の姿を、考えを見ておいて欲しかったのよ」

 

 暫く沈黙が場を支配する。五分にも感じられたし、五秒も経っていないような気もする。長いか短いかすら分からない沈黙を破るのは、アリスの言葉だった。

 

「……。そうよ、アリス(あたし)はアナタを許さない。たとえありす(あたし)がアナタを許したとしてもアリス(あたし)はアナタを許さないわ。だけどね、今のアナタの姿を見たら、きっとありす(あたし)は喜ぶわ。きっと良いお友達になれるってね。だからメルト、アナタは胸を張っていいわよ。今のアナタならきっとお兄ちゃんとだって共に歩むことが出来るわ! ……そしてもし、その最中でありすとアリス(あたし達)に出会ったら、今度こそ仲良くしてね」

 

 そう言ってアリスは笑みを浮かべた。その笑みはアリスの笑みだったのか、それともありすの笑みだったのかはわたしには分からない。ただ、その言葉がメルトに幾らかの感銘を与えたのは確からしい様だった。

 

「……分かった、約束するわ。次の貴女達と会ったら、仲良く遊んであげる」

 

 その言葉をメルトが発した時、既にアリスは舞台を降りて退出しようとしていた。そして、扉の前でこちらを振り向いて述べる。

 

「ええ、きっとよ。そしてマスターさん、付き合ってくれてありがとう。次に会う時はアリス(あたし)じゃなくてありす(わたし)だけど、また宜しくしてあげてね?」

 

 その言葉を残し、ありすとアリスは去っていったのだった。




ここまで読んでくださってありがとうございます。
まずは報告とお礼を。
前回の投稿後、新たに評価とお気に入り登録を頂けたおかげで何と日刊ランキング7位に入ることが出来ました! これも応援してくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございます!


さて、前書きでも触れたナーサリー・ライムに対するかなりの独自解釈の件です。
EXTRAやCCCに登場するアリスことナーサリー・ライムは一人称が「アリス(あたし)」なのですが、FGOでのナーサリー・ライムを見てみると、四章以外では一人称が「ありす(わたし)」もしくは「わたし」なんですよね。
それに、幕間の物語で語られたようにFGOでのナーサリーがアリスのすがたをとっているのはナーサリー自身が「ありす」の姿でいたいと願ったからだとされています。
また、FGOのナーサリーを見るとよくわかるのですが、どちらかと言うと性格がアリスよりもありすらしいように見えるのです。
この事から私は、FGOのナーサリーは「ありす」を演じている「アリス」なのではないかと解釈しました。
それに従ってこの話を書いていますので、かなり変わったものになっているかもしれません。
しかし、メルトリリスを書く上でどうしてもありすとアリスの話は避けては通れなかったのです。
その点を理解した上で読んでいただけたのなら作者としてはとてもありがたいです。

それでは、繰り返しになりますがここまで読んでくださってありがとうございました。
宜しければ評価やお気に入り登録、感想などを下されば作者が喜びます。

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