スキンエティアにて覚醒イベントを終えたあとに書こうと思ったものです、当時はかなりの驚きだった思い出です。
ここは飛行島でガヤガヤどガヤついていた。その時はアイリスらが学術都市スキエンティアから脱出した後である。
「ガヤガヤ…」
「ざわ…ざわ…」
ちょっと前まで土管のある公園であった飛行島のライブステージに☆4のキャラが集まっていた。
「何だろうな…重大な発表って…」
「…まさか…持ち主交代かァ?」
「もしや…メイン昇格!?」
各々近場の人と話したり、黙って待っていたりそこらを駆け回ったりとしていた。
「皆様、そろそろ始めますのでご着席お願いします。」
ステージ上にハーティが登り、口内のメガホンスピーカー機能を起動させ皆に呼びかけて全員を座らせた。
そして舞台袖からアイリスが主人公(今後はRASNと表記します。)を引き連れるように登場した。
ハーティはアイリスにマイクを渡し、マイクの先のプラグを背中に差して口を開いた。
「えー、あーあー」
アイリスの声はハーティのメガホンスピーカー機能により、大きな声となりステージ前の席に響いた。
「…皆さん、急に呼び立ててしまって申し訳ありません。今から発表することはとても大事な事です…!」
アイリスがマイクを下ろすとRASNに前に出るように促し、RASNはそれに応え前に出た。
「私達はスキエンティアにて大いなるルーンである英知のルーンを手に入れました。でもそこでは…」
話していくうちに苦悶の表情へと変わっていき、RASNはアイリスにジェスチャーで止めるようにした。
「RASN…」
RASNは胸に手を当て目を閉じるとRASN の周囲から黒く軟らかそうな煙が噴き出し、RASNを包んだ。
「何だ!?」
「何ですの!?」
突然の出来事に困惑する飛行島の冒険者、そして冒険者達が見たのは赤い髪が特徴的な彼の髪が後ろ半分黒くなり、服も黒が入った服へとなった姿であった。
「…!?」
「え…!?」
「何だよ…ありゃ…!?」
困惑していた冒険者達の前に突然ああなってしまっては誰もが驚きを隠せずにいた、ただ一人を除いてだが。
「小僧ォ!!」
舞台上にいるRASNに突然斬りかかって来たのは海賊の亡霊であるエドガルドであり、それぞれ得物である天穿焔龍刃・改とカリュブディスは鍔迫り合いをしていた。
「エドガルドさん何を!?」
「ハッ!小僧!言ったよなァ!?てめえの光が消えたときこの島は頂いていくってよォ!」
ガキィン!ガキィン!と激しくエドガルドの剣がRASNの剣を斬りつけRASNは防戦一方である。そしてまた互いの剣が鍔迫り合いをしていた。
「待って!エドガルドさん!RASNは…!」
「黙ってなァ嬢ちゃん!」
「RASNは…」
「感じるんだよォ…小僧から俺を殺したヤツに似た闇をなァ…!」
アイリスはエドガルドを止めようと言葉をかけるがエドガルドは止まらなかった、止まらないどころかRASNから闇を感じると言い出した。
「闇!?」
「一体全体…何が起こってますの…!?」
「にーに…」
「そんな…まさか…!?」
そしてエドガルドの発言を聞いた冒険者達は各々様々な反応であったが、どれも驚きから来ていたものであった。
「エドガルドさん!たしかにRASNは闇を持ってしまいましたが…!」
「闇って理由だけで十分だァ!」
エドガルドは手にするカリュブディスに力を込めてRASNに肉迫する。
「行くぜェ!小僧ォ!!…クッ!?」
もう少しでRASNにその切っ先が至る前にRASNは回転斬りでエドガルドを退け吹き飛ばした。
「ングゥ…!やるじゃねェかァ!小僧!」
吹き飛んだエドガルドは立ち上がり武器を構え直した、RASNも同様に武器を構え直したがエドガルドと比べ控えめであった。
「にーに…!」
「コヨミちゃん?!危ないよ!」
RASNの背後にはタローを頭に乗せたコヨミが立っており、RASNの服の裾を掴んでいた。
「そうだァ!怪我しねぇうちに下がりなァ!」
「…っ!」
エドガルドから飛んでくる怒号にコヨミは瞳を潤ませてしまったが、コヨミは袖で涙を拭いRASNの顔を見上げた。
「RASNにーに…エドガルドじーじの言った通り、本当に闇になっちゃったの…?」
「じっ…!?じーじだァ!?」
エドガルドはコヨミにじーじと呼ばれて少しショックを受けていたが、コヨミの掴む手はギュッっと強くなってた。
そんな姿を見たRASNはそっと微笑むとコヨミの頭を撫でてアイリスへと託した。
「RASN…!?」
「RASNにーに!?」
アイリスへと託されたコヨミは涙目でエドガルドに向かうRASNの背中を見送るしかなかった。
「行くぜェ!小僧ォ!頂いていくぜ!」
「……!」
エドガルドの剣から放たれる炎の刃、それがRASNを襲う!
\ガキィン!/
「何ィ…!?」
だがRASNはそれを剣から放たれた黒紫色の炎でエドガルドの攻撃を弾き、エドガルドはぶっ飛んだ。
「グウッァ…!」
ぶっ飛んだエドガルドは床を舐めるように突っ伏していた。
「エドガルド!?」
「だっ…!大丈夫ですか!?」
そして倒れているエドガルドに客席に座っていた仲間の大半がやってきた。
「大丈夫か!?」
「ケッ…!こんなの…!」
クライヴに起こされたエドガルドは剣をステージに突き刺しRASNの方を見据えた。
「ちょっと…!?まだやる気ですの!?」
「エドガルドの旦那!いくら打たれ強くたって流石に…!」
「…ハァ…ハァ…」
「…!」
アンナやザックに言われてもエドガルドは聞く耳持たずと言えるようにRASNを見据えた、そして視線の合ったRASNの顔はキリッとしつつも悲しげであった。
「……。」
「……。」
「「「……?」」」
エドガルドとRASNは暫く見つめ合い、エドガルドは笑った。
「ケッ…ケハハハハハッ!」
「なっ…何ですの…?」
「叩かれすぎて可笑しくなったとか?」
「…肉まん足りないとか?」
「ちげーよダァホォが、ふっ…取り越し苦労だったみてェだな…まだ光は宿ってんな小僧。」
エドガルドは剣をしまうとRASNの方へ歩み寄り、RASNを見下ろした。
「まぁ…闇に飲まれるようならさっきのようにはいかんぞ?」
「…!(コクッ!)」
RASNが頷くとエドガルドとバチィと音がなりそうな握手を交わした。
「…何…ですの…?」
「えっと…?」
「…さっぱり分かんねぇ…?」
「ハッ…!やっぱり肉まんが…?!」
「…貴公ら…まだ分からんのか?」
「「「へっ…?」」」
わけわからず疑問符を並べる三人の後ろからヴィルフリートとコリンが飽きれ顔で口を開いた。
「エドっぴーはね、多分汚れ役を買ったんだよ。」
「汚れ役…ですか?でもなんで…」
「水兵よRASNが目の前で変化したのを見てどう思った?」
「それは…!」
「闇だとエドっぴーが言った時はどう思った?」
「…!」
「エドっぴーはさ、皆が思ったであろうその気持ちを全部背負って払拭したのよ?」
「…そうでしたの…」
「…成る程な…」
「…そうですか…!」
三人は納得できたようだった。
「それにRASNは優しいからねー、コヨミのシチュー作りも雪のルーン集めの時も手伝ってくれたし…」
「それに俺と一緒に魔物退治もしたな…」
「我も魔物退治…いやそれは前世か?」
「それに私と可愛いものを探しに行ってくれました…」
「肉まん一緒に食べたりとか!」
「僕の妹ともある時一緒に訓練もしていましたしね。」
「まぁ…RASNはRASNってこと、あの時ワタシはワタシって事と同じだね。」
島の住民達は今までRASNと暮らし過ごした日々を思い返していた。
「そういや、俺とは蒼白鎧少年と同様魔物退治したなァ…」
エドガルドもRASNとの事を思いふけり空を見上げた、そうしたら島はしーんと静かになった。
…暫くして…
「まぁ闇をゲット…って言うよりも闇の力を取り込んだと思えばいいじゃねぇかァ?闇属性なんて初めての属性なんだしよォ?」
「そうだな!見た目も格好良くなっちまってよ!パネェよ!パネェ!」
「まるで生まれ変わったみたいですね!」
「そんじゃ!RASNの生まれ変わり記念で一発パッーとやりますかね!?」
「全く兄貴は相変わらず好きだね…でも今回は賛成だな酔い潰れるまで飲みたい気分だ…」
「…あっ…」
ハオはコジローの宴会の誘いに賛成したクローの様子を見て何かを察していた。
「宴か…いいぜェ!飲んで食って楽しもうぜェ!」
「よっしゃっ!なら私もいっちょ踊りますかね?」
「らー♪私の歌も聞いてくださーい♪」
「宴に全速前進ー!」
「よぉし!やったんたんぞー!」
島の住民達はコジローらを中心に宴の準備を始めた。
「RASN…」
「RASNにーに?」
ステージに残ったのはRASNとコヨミとアイリスとハーティのみだけとなり、三人はRASNの元にいた。
「…。」
RASNは沈黙の後、武器をしまって目を閉じると黒い髪が赤く戻って服も元に戻った。
「RASN…大丈夫?」
「…!(コクッ)」
RASNはコクりと頷いて、ニコりと笑った。
「よかった、エドガルドさんが斬りかかって来たときは驚いちゃった。」
「うん、コヨミも驚いたけど…」
コヨミはトテトテとRASNに近づいてキッュとRASNに抱きついた。
「少し怖くなったにーに…怖いけど…あのナデナデはいつものにーに…」
コヨミはRASNの体に頬擦りして、RASNは微笑ましくコヨミの頭を撫でた。
「ふふ…二人ともまるで兄妹みたいね…」
「はぁい、タローちゃんお姉ちゃんがお楽しみですからこちらで遊びましょ?」
「キャンキャン!!」
「おー?タロ助遊ぶの?混ぜて混ぜてー!」
ハーティはタローを連れてその場から離脱して、ステージにはアイリスとコヨミとRASNだけとなる。
「……。」
暫く二人はスリスリナデナデしあってアイリスは手持ち無沙汰でコツコツと足踏みをしていた。
「…(いつまでイチャついてんの…?これじゃヒロインがまるでコヨミちゃんじゃない…)…。」
「わふぅー」
「…♪」
アイリスが若干黒いオーラに包まれているように見え、アイリスは周囲を見渡した。
「…宴も順調…キャトラは始まったら起こしに行こうかしら…、…あれ?」
周囲はガヤガヤと皆が宴の準備をして、ステージはコヨミがイチャついていたがその奥に扉が立っていた。
「…?あんな所にあったかしら?」
アイリスが不思議そうに近寄るとその扉の全形が見え、扉はトランプに関わる様々な模様で彩られている。
「こんな扉…さっきまで無かったのに…?」
アイリスは不思議そうに眺めた後そのドアノブに手をかけようとしたが、手にかける前にドアノブがグルリと回った。
「えっ!?へ…?!」
急に回ったノブを見て一歩退くと、ドアはゴトゴトを震えて。
「ばーん!!」
「パンパッカパーン!!」
謎の叫びと共にドアは大きくなって勢い良くその扉が開き何かが飛び出した、そしてその先には…
\ドゴォ!!/
「……!?」
「にっ…にーに!?」
RASNに激突しRASNは飛んでいき、コヨミはバタバタと追いかけていった。
「なっ…何!?」
アイリスがRASNを吹き飛ばしたものを見るとそれは大きな玉でその上には少女が二人乗っていた。
「よっ…!ほっ…!」
「んしょっと…!」
二人のうちの一人がアイリスの側に降りてきた、降りてきた少女は緑眼と桃色髪を青いリボンで留めている不思議な国を迷いそうなエプロンドレスの少女であった。
「やっほー!エシリアだよー!」
「…えと…アイリスです…」
「…どしたの?元気無いねー?」
アイリスは突然エシリアと名乗った少女の登場に困惑し、エシリアはアイリスを興味深そうに見ていた。
「えっと…貴女は?」
「んー?エシリアって言ったよー?面白くて楽しくてキレイで珍しいものを探してるのー!」
「えっと…そうなの…」
アイリスはエシリアの言葉に気圧されていた。
そして暫くエシリアの言葉攻めにあって…
「ふにゃー…アイリスー終わった…?」
舞台袖から喋る猫のキャトラが気だるそうに歩いてアイリスの元へとやってきた。
「あ…起きたの?」
「起きたわよ…ってその人は?」
「あぁ…この人は…」
「猫が喋ってるー!!」
エシリアは出てきたキャトラを見るといきなり抱き抱えた。
「にゃっ…!?にゃにゃー!?」
「キャトラ!?」
「んー珍しいなー面白いなー♪」
「放しなさいー!ふしゃー!?」
「そうだ!今日からあなたの名前はチェシャ!!」
「何でじゃーー!?」
「……。」
「あー♪あそこ何か楽しそー!よーし!行こうチェシャ!!」
「だから私はキャトラだってばー!?アイーリスー?!」
嵐のごとくエシリアはキャトラをチェシャと勝手に命名すると宴の準備をしている皆の方を見つけると、そこへと一直線に駆けて行った。
「…何なのかしら…?」
『彼女は不思議な旅の少女エシリア、扉のルーンで様々な所へトリップできる不思議な少女さ!』
「扉のルーン…ってどこから!?」
アイリスが辺りを見回しても回りには誰もいなかった。
『おおっと!ピレスタの方に動きあり!これは見に行かねば!ではシーユーアゲイン!』
「…なんなのこの声…?まるで…」
「私のことかーっ!?」
アイリスが聞こえた声の事を考えるとステージの奈落から褐色で筋肉モリモリ、水着姿のマッチョマンの変態がドーンと現れた。
「…それより、キャトラね…RASNは…コヨミちゃんに任せましょう…」
アイリスはグラサンの夏だか海だかの精霊か妖精を無視して、エシリアが駆けて行った方へと走り出した。
「……。」
あのーサマーソウルさん?出番終わりですよ?
「いいや!まだ終わらん!まだ終わらんぞーー!」
…そういうのはもう少し後で…
「むぅ……そこまで頼まれたら仕方あるまい…諸君!また夏に会おう!!!」
そして彼はボフンと煙と共に消えていった…
エシリアの乗っていた玉に吹き飛ばされたRASNは…
「にーに!にーに!起きてよぉ!?」
地面もとい飛行島に直角に突き刺さっていたのをコヨミによって引き抜かれ、気絶していた。
「あう…どうしよう…」
コヨミは体力回復の技がその手袋にあるが直せる対象は自分自身のみでどうしようと困っていた。
「わぅ…」
RASNをユサユサと揺すって起こそうとするのを一回やめて辺りを見渡した。
「あれって…?」
コヨミの視線の先にはクルクルと杖を回している。
「モモねーね!」
「あれ?コヨミちゃんどうしたの?」
コヨミが声をかけたのはバニーガール姿のマジシャンのモモであった。
「モモねーね!RASNにーにが起きないの…!」
「RASNが?とりあえずどこ?」
「あそこ…」
コヨミの指差す方向にモモは一緒に行って手にしているでとりあえずコンコンとモモは杖でRASNのデコを叩いてみた。
「あわわ…!モモねー乱暴は駄目だよ…」
「うーん、こうしても起きないなら…イノセントヒールね、…それじゃ1・2・3!」
「……、……!」
モモの杖によって放たれた光を受けたRASNは目を開け、体を起こせた。
「…!…にーに!良かったー!!」
コヨミは目に涙を貯めそれを撒き散らしながらRASNへと抱きついた。
「…!?」
目覚めて訳のわからないRASNは取り敢えず泣きじゃくるコヨミをナデナデした。
「はぁー…目覚めて早々イチャイチャか…モモの事もちゃんと見てよね?」
モモはイチャつく二人を見て溜め息をもらしていた。
\ゴロゴロ…/
「…?どうしたのにーに?お腹空いたの?」
「…(プルプル)」
「それじゃ…モモねーね?」
「私じゃないよ?」
コヨミはゴロゴロと何処からか鳴る音に首をかしげて辺りを見渡した。
「あ…」
「ん?どうしたのコヨミちゃん?」
「玉だ…」
「玉…?玉!?」
「…!?」
コヨミの見る方を二人が見ると重ければ人一人を引き潰せる程度の玉がこちらに転がってきたのであった。
「にーに!これってさっきにーにを吹き飛ばした…!」
「…!(コクッ!)」
RASNは目を細ばめてコクりと頷き、コヨミはルーンを手にした。
「にーには!コヨミが守るもん!」
「…あの玉って…まさか!?」
モモが何かに気付いて何かを言ったかのように聞こえたが、コヨミの叫びと共にルーンに冷気が集まり始めそれは雪へと変化してゆき大きな雪だるまへと変わっていった!
「にーにを苛める悪いお玉さん!わおーん!!」
コヨミの遠吠えと共にその雪だるまはゴロゴロと転がる玉へと直撃!玉は粉々に破裂した。
「ふぇ…!?」
「え…?」
だが破裂音の後人が地面に叩きつけられるような音と共に人の呻き声が聞こえた。
「その声…やっぱりピレスタちゃん!?」
「うぅ…ん、あれ…?あぁー!モモ先輩!!」
その呻き声の正体は長く輝く白い髪で少し薄い赤い目を持つピエロ帽をかぶった少女であり、モモはその少女に近寄った。
「何で飛行島に!?」
「先輩こそ、いきなりいなくなって…一応探しに来たんですよ!?」
それにしてもピエロとバニーガールであるこの二人が並ぶとどこぞやのサーカスみたいである。
『それもその通り!ピレスタとモモは一緒のサーカス団に所属しているのだー!』
誰だお前は!?
『君こそ誰だー!?』
ぐっ…!
「にーに…この声、何だろ…?」
「…?」
『おおっと!ピレスタとモモがよろしくしてる間に置き去りの二人はまるで兄妹の如く抱き合っているー!』
「わぅ…///」
コヨミは謎の声の実況に照れているが、実際は抱き合いではなくコヨミがRASNに体を預けている形で、RASNは呆然とモモとピレスタの方を見ている。
「…成る程…先輩はそんな素晴らしい夢の為に…」
「それに私達が有名に目立てば…」
「サーカス団の鼻が立ちますね!」
一方モモ達は思い出話に一段落したようであった。
「あの…ピレスタさん?」
『おおっと!?ここで狼の妹ちゃんが…』
もうやめろ…
『ぬがぁ!?何だー?!モゴモゴ…』
はーい、んじゃ…コヨミはモモ達の元にモジモジとやってきた。
「んー?君は?」
「えっと、コヨミです。あの…さっきの大きな玉って…ピレスタさんが?」
コヨミは破裂してゴム片となった玉の残骸を見ながらそう言った。
「そうだけど?」
「えっとね…にーにがその玉に弾かれちゃってね怪我しちゃったの…」
「えっー?!それはゴメンねー…えーっと、そのにーにって人は?」
「あそこ。」
コヨミがRASNを指差すとピレスタはズサッーっと滑るようにRASNに土下座した。
「ごめんなさい!!あちしのせいで怪我させちゃって!…エシリアちゃんに連れられてすっかり有頂天で…!」
…ちなみに謎の声さんから聞き出した情報によるとエシリアはサーカス団にやって来てそこでピレスタと意気投合、ポテトを連れてエシリアと共に来てしまった模様…
「…!」
RASN「そんなに謝らなくても…僕は気にしてないよ」とでも言いそうな表情を見せた。
「そっかーよかった…」
RASNが許してくれていると知ったピレスタは安堵しゴロンと寝転んだ、そしてたゆんとピレスタの胸が揺れたのだった。
「……あっ!にーに!早くしないとパーティに遅れちゃう…!」
「…!」
…そういえば生まれ変わり記念で何かにパーティだか宴会を行うために、島の住民は準備をしていた。あの時はまだ日が高い時で今はもう夜である。
「……!(ピコーン!)…先輩…名案が…(ヒソヒソ)」
「…ん?何…?…ふんふん…ん~名案だねぇ~」
モモとピレスタは何やら二人だけでコソコソ話で相談しており、RASNとコヨミは元に戻ろうとあたふたしていた。
「それでは先輩…私はアイツを探してきますので…」
「よ~し…それじゃ後はモモに任せてね♪」
相談が終わりピレスタはコソコソと何処かへと行き、モモはニコニコとコヨミ達の元へと近寄った。
「二人とも!そのパーティの会場はライブステージ?」
「うん…そうだけど…」
「それで主役は今ここにいると?」
「…!(コクッ)」
RASNは決まりの悪そうな顔で頷いた。
「だったら…モモにいい作戦があるんだ~遅れても場を盛り上げられるような秘策がね…!」
「…!?」
「モモねーね、その秘策って…」
\ドタドタ…!/
「あっ!その秘策が来たみたいだね!」
「お待たせしました!モモ先輩!」
「にっ…にーに!?これって…!?」
「…!」
「さぁ…!」
「「ショータイム!!」」
一方…ライブステージ。
「カァー!?何で主役のRASNが居ねェんだよォー!?」
ライブステージは彩り鮮やかに飾られ綺麗な音楽と美味しそうな料理が並んであった。
「うぅ…早く食べたいよー!」
「キャゥン!」
「駄目ですよダビィにタロ吉、主役がいないのに勝手に食べちゃ…めっ…!ですよ?」
タローとダビィはハーティにお預けをくらってお腹をグルグルと鳴らしていた。
「どうする…このままじゃ、誰かが痺れを切らしてパーティが始まってしまう… 」
「うーん…私が変化するわけにはいかないし…」
「ヴィルフリートさんのネタ披露も限度がありますし…」
「…クローのやつもさっきハオとデューイと浴びるように呑んで潰れちまったしな…」
クローはパーティの準備が終わると直ぐにハオとデューイに連れられて酒を呑みあっていたのであった。ちなみにエシリアはバタバタとキャトラを引き連れてパーティ内を奔走している。
「既に知らない人が大暴れしてるようですけど…」
「エドっぴーもそろそろ我慢が限界っぽいし…!」
「……こうなったら、コジローさんとコリンは会場の鎮圧を…残るカモメとアンナでRASNを探しに…!」
クライヴがそう言おうと決意したとき不意に全ての照明がフッと消え、会場中は暗闇に閉ざされた。
「うお!?なんじゃこりゃ!?」
「なんなんですのこれは!?」
『レディース&ジェントルメン!!大変長らくお待たせいたしました!』
「なっ!?何だ!?」
「声がどこからともなく…!?」
『では本日のメインスターの登場だー!!まずは我がサーカス団のちっちゃなお調子者!ピエロのピレスタ・ムートマイムだー!』
「はーい!笑顔の極芸師のピレスタとはあちしの事だー!」
「あー☆ピレスタちゃんだー!おーい!」
暗闇の中パッと一点がスポットライトのように明るくなり、その中にはピレスタがいた。
『おおっと!?ボールの上で鉄アレイをジャグリングするピレスタの背後には大きなボール!そしてその上には…!』
「ガオッー!!」
『ななな何と!!グレイルジャガーだぁぁあ!!』
ピレスタの後ろには紫色だけどグレイルジャガーがピレスタのよりも大きなボールに乗って登場した、だが…。
「何!?魔物だと!我が喜劇ショーに水を指すとは…!裁きを下す!」
ヴィルフリートは魔物であると同時に自分のショーを邪魔されたことにムカついているみたいであり、他の冒険者も武器を抜いてるみたいであった。
『おおっと!?冒険者のレディース&ジェントルマン達!安心してほしい!あのグレイルジャガーは無害だ、その証拠に…!』
「ガオッー!」
『見よ!このドヤ顔をー!ウザイ!何だかウザイぞこれは!』
「……。」
「……。」
「…興が逸れた…」
ヴィルフリートはやる気が削がれ武器を投げ捨て、ステージから降りた。
『おおっとドヤ顔のグレイルジャガー、ポテトがボールから飛び降り、そのボールを天高く突き上げたー!ボールは高く高く…雲を突き破ったー!』
「おおっ…!雲の上なのに更にその上の雲とは…ポテトちゃんやるねー!」
客席もといテーブル近くに立っている冒険者達はパチパチと拍手があがった。
『おおっと!?ピレスタさっきまでジャグリングしていた鉄アレイはいつの間にか消え、ボールの上で片手逆立ち!…おっと?!フリーな方の手にはシルクハットが…おっとポテトの頭に乗っけた!』
「…何が起こるんでしょう?」
「はっ…!?まさか肉まん…!?」
それはない、だがグレイルジャガーが被るシルクハットはモゾモゾと動き出した。
『おおっと!?シルクハットがモゾモゾしてなっ…!なんとー!』
なんとモゾモゾと動くシルクハットは宙へと浮き、煙が上がるとそこにはモモが立っていたのであった。
『なんとシルクハットしかなかったグレイルジャガーの頭からは我らのマジシャン!バニー!モモが登場したー!』
「なっ…!?一体何処から!?」
「ヤベェな!こりゃ!?」
『おっと!?モモがシルクハットから…剣だ!黒い刀身に赤いラインの剣を取り出した!』
なお取り出したのはアロンダイト、要するにリアムのモチーフ武器である。
「俺様にお似合いの剣だなァ…」
「勇者の俺様によく…ふげっ!?」
『おっと!?ポテトが突き上げたボールが落下!そしてバウンドしてポテトの元にー!』
何かに当たったみたいですがお気にせずに。
「いくよ!ピレスタ!」
「おっけー!そぉれ!!」
モモはポテトから降りピレスタは弓を取り出し矢をつがえる、そして放たれた矢は光を纏いボールを割り中から紙吹雪が舞う。
「綺麗ですわね…」
「見事な弓使いー♪ですねー♪」
『おっとっと?!紙吹雪のなかに人影か!?』
舞い散る紙吹雪の中よく見てみるとそこにはRASNがいた。
「RASN!?」
「嘘っー!あのボールの中にいたの!?」
「…よし、それじゃ!そろそろフィナーレ行くよ!」
モモは高らかに叫びシルクハットからポンッとトランポリンを出した。
「よーし!カモン!ジャガー!」
ピレスタも叫ぶとポテトの背に跨がり、ピレスタの乗っていたボールも突き上げた。
「ビックリ仰天!ショータイム!」
『バニー・モモ、ここで何処からともなくさっきのボールをボコボコと出してきた!!』
「よっしゃ!行けー!ポテトー!」
「ガオッー!!!」
ポテトは向かって来るボールを次々と突き上げた。
そしてRASNはトランポリンに身を沈めた。
「RASN!シメはお願いね!」
「…!」
そしてボールを出し終えたモモはRASNにアロンダイトを投げ渡し、RASNはそれを受け取り髪色を黒くさせてトランポリンで空高く飛んだ。
『おやおや…!?勇敢な少年はダークチェンジか!?フォルムチェンジした少年は新しい剣をひっさげて高く飛んだー!!』
「…!」
RASNはアロンダイトに力を込め刀身に力を込めて大きな紫色の光る刃を出した。
「…ケッ…!小僧の奴…あんな隠し玉持ってやがったのかよ…」
そしてRASNはその刃で空に飛ぶボールを次々と切り裂き、割られたボールの中からは花火が咲いた。
「…綺麗ですわ…」
「…見事だな…」
「スゲーな!」
そして割れるボールも残り一つとなった。
『さぁ!勇敢な少年!残すボールは一つだぁ!!』
「…!」
RASNはピレスタが乗っていた最後のボールを切り裂いた!すると…
\ボフゥ…!/
「えっ…!?」
「ケホッ…ケホッ…煙…!?」
『おっと?!最後のボールは煙幕入りだ!…勇敢な少年の運命は…!』
さて…そろそろ…
『のわっ!?なにをするだァーッ!?』
あー、ステージの上空には依然として煙が立ち込めておりRASNも落ちてこないのであった。
「…RASN大丈夫かしら…?」
「大丈夫よアイリス!サーチライトを掻い潜って行けたRASNなら…って大砲!?」
観客がそわそわと上空を見上げている間ピレスタとモモは大砲を運びセットアップし、上の煙に狙いをつけていた。
「点火…!」
「ドキドキ…!」
大砲の導火線に火を着けた二人は大砲の側で、体を屈めて耳を塞いでいた。
「…なに!?大砲!?」
「へぇー、一体これで何するつもりなんだぁ?」
観客も次々と大砲の存在に気付き、そわそわしていた。そして導火線が燃え尽きる。
\ドォーン!!/
「がぉー!!」
「キャゥン!?」
大砲から出たのは鉄球や爆弾ではなく、背中に何かを背負っているコヨミが雄叫びもとい雌叫びをあげて煙の中に突っ込んで行った。
「…まさか、姿が見えないからって…こりゃ一本とられたわ…!」
「クゥーン…」
「タローちゃん大丈夫ですよ、確かコヨミさんが背負っていたのはマスターがもしものために作ったパラシュートにそっくりですから。」
ハーティの膝の上で心配するタローをハーティはナデナデしながら、そう言った。
そして観客皆が煙の中のRASNとコヨミの安否を気にしていた。
「…!キャンキャン!」
「わぁ!?どったの?タロ助?」
急に吠えだしたタロー、その後空からは様々な色の何が降ってきた。
「…?なんでしょうか?」
「…おおっ!?これって…雪だー!!」
ロッカの言う通り降ってきたのは雪であったのであった。
「これはこれで、綺麗ですわ…」
「我が剣の錆びに…!…って何をいってるだ俺は!?」
「えっーきっし!!…フゥ…。」
「わはぁー!綺麗ー!!」
観客誰もが空から降る季節外れの雪に見とれていた。
「おーい!」
そして未だにモクモクとしている煙からはRASNとコヨミが出てきて、パラシュートでゆらゆらと落ちてきている。
「役者の帰還ですね!」
「ヤベェぐらい最高だったぜ!」
観客達はパチパチと拍手を歓声をあげて落ちてくる二人を迎え入れた。
そして四人によるパーティの前座を終え、まずピレスタとエシリアの紹介をしてからパーティはワイワイと始まった。
「コヨミちゃん!」
「あっ!アイリスねーね!」
パーティの最中アイリスはコヨミを見つけると呼び止めた。
「ふふ…凄いショーだったね?」
「えへへ…ぶっつけ本番だったからちょっと怖かったけど…」
「そう、ところであの雪って…まさか雪のルーンの?」
雪のルーンとはコヨミとタローが冒険をしている目的であり、故郷の父母の為に集めているのである。
「うん、そうだけど…?」
「いいの?お父さんとお母さんの為にとっていたものじゃ…?」
「うん…お父さんやお母さんには悪いことかもしれないけど…にーにの為だから…」
「…そう、コヨミちゃんは優しいのね。」
アイリスはコヨミの頭を撫でた。
「えへへ…でも、にーには後でまた一緒に集めようって…えへへ…」
そしてその後エシリアの扉のルーンで雪のルーンが沢山ある場所へと行き、コヨミとピレスタとRASNであの時使った量以上の雪のルーンを集めたらしい…。