俺は、スーパーザンクティンゼル人だぜ?   作:Par

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前話『星晶戦隊(以下略)デジタル革命!!』の続きな番外編です。
通常よりもキャラ崩壊と二次創作独自の設定や解釈があるのでご注意ください。

前話から引き続き、多くを台本形式に近いSNSっぽい会話を行います。またスマホからだと見辛いかもしれません。その点もご注意ください。



星晶戦隊(以下略)デジタル革命!! その2

 ■

 

 一 愉快な騎空団トーク

 

 ■

 

 俺達の騎空団にシェロさんの依頼として”タブレット端末“が配布されて暫くが経った。最初は皆操作に慣れるのから始まり悪戦苦闘していたものの、最近では問題なく使いこなせて来ているようだ。

 ただしユグドラシルとミスラに関しては、どうも相性が悪いのかトーク中の誤字脱字が目立つ。ミスラに関しては、まず“文字”を覚える事からが始まりだった。

 それでも二人(または二体? 一人と一体?)は、タブレットを使うの自体は楽しいようだ。ユグドラシルは、自然味の強い星晶獣なので本来人工物やその最たる機械類は苦手なのだが、団員とのコミュニケーションツールとして非常に喜んでいる様子。普段の鈴の音のような“フィーン”での会話ではない、人の言葉──文字での交流と言うのに憧れがあったのだろうか。ミスラもまた同じと言う事か。

 今では二人の入力ミスは、ご愛嬌と言った感じで皆強く指摘する事も無い。

 そして他の使い慣れて来た団員は、自分の目的、グループでの目的それぞれにあった使い方で楽しんでいる。連絡のためだけでなく、自分達の趣味のため、目的は色々だ。

 俺としては、壊したり人に迷惑かけなければ問題ないので、とにかくそこだけ気を付けて欲しいものだ──。

 

 団長     「船内消灯の時間となりました。一日みんなお疲れ様。船内は一部施設と常夜灯

         を除き消灯します。明日は物資の搬入出と、魔物退治の依頼があります。今夜

         はもう寝て明日に備えてください」

 メドゥーサ  「まだ眠くない」

 団長     「寝ろ」

 ガルーダ   「眠くない」

 団長     「寝ろ」

 ティアマト  「酒のみたい」

 ラムレッダ  「たい」

 団長     「寝ろ」

 シャルロッテ 「皆さん、早く寝ないと明日に響くでありますよ」

 団長     「寝ろ」

 シャルロッテ 「ごめんなさいであります」

 団長     「まちがえまいstが」

 団長     「間違えました」

 団長     「すみません反射で入力しました」

 団長     「シャルロッテさん」

 団長     「違うんです」

 団長     「シャルロッテさん?」

 団長     「誤解なんです。本当に」

 B・ビィ   「浮気男かよ」

 カルテイラ  「ダメンズやなぁ」

 ティアマト  「ウケるぅー↗」

 団長     「他は寝ろ」

 

【シャルロッテが退室しました】

【団長が退室しました】

 

 メドゥーサ  「廊下走る音がするわね」

 B・ビィ   「相棒が部屋飛び出してったわ」

 カルテイラ  「頭下げに行ったんか……」

 ティアマト  「ラムレッダ、部屋で飲むぞ来い!」

 ラムレッダ  「オッケェい!!」

 B・ビィ   「お前らこれ履歴残るの覚えてる?」

 

【ティアマトが退室しました】

【ラムレッダが退室しました】

 

 B・ビィ   「見ずに退室したか」

 カルテイラ  「分かってても飲むやろあの二人」

 メドゥーサ  「酔っ払いってやーねー」

 ガルーダ   「メドゥ子も酔うと面倒じゃがな。小柄で酒が回るの早いからのう」

 メドゥーサ  「うっさいわね!? それ言うならアンタもでしょうが!?」

 カルテイラ  「はいはい、いい加減アンタらも寝ぇ。明日の依頼メンバーやろ」

 メドゥーサ  「はいはい」

 ガルーダ   「のじゃのじゃ」

 

【メドゥーサが退室しました】

【ガルーダが退室しました】

 

 カルテイラ  「うちももう寝るわ。ほなお休みぃ~」

 

【カルテイラが退室しました】

 

 B・ビィ   「他見てる奴いたら寝てやれな。相棒また胃が痛くなっから」

 

【B・ビィが退室しました】

 

 ──そんな会話がタブレット上で行われる。それがある程度慣れて来た俺達の日常。

 

「シャルロッテさん、ほんとに! 本当に違うんですって!」

「自分気にしてないであります」

「じゃあせめてこっち向いて下さいよぉ!?」

「ジミー殿も早く寝た方が良いでありますよ」

「本当に誤解なんですっ!! 強く当たる気なんて無かったんですって!」

「グースカピーであります~」

「シャルロッテさぁんっ!?」

 

 けど、拗ねて布団に包まるシャルロッテさんに謝り続けるのは、決して日常と思いたくない。

 

 

 ■

 

 二 ルドミリアチャレンジ

 

 ■

 

 団内でのタブレットを利用したトーク、あるいはチャットと言うために“団チャ”と呼称されだしたこの機能。普段言葉で会話できないタイプの星晶獣とも会話できる新鮮さは、先述の通りであるが、その他にもある事に気づいた団員達──。

 

 フィラソピラ 「じゃあ今日もやってみよー」

 ルドミリア  「よし、がんばるぞ」

 B・ビィ   「今日はどんだけいけるかね?」

 ルドミリア  「前の記録は更新したいところだな」

 フィラソピラ 「出だしは良いんじゃないかな?」

 

 このような会話が行われているのは、団員共有グループの【星晶戦隊】。この日行われているのは、ルドミリアを主役としたあるチャレンジだった。

 

 団長     「じゃあ、一応テーマとして好きなキノコの話題」

 ルドミリア  「ならそれでいこう」

 フィラソピラ 「それじゃあ存分に語らおうか」

 ルドミリア  「うむ」

 ルドミリア  「好きなキノコと言うと最近なら山での依頼で見つけたものだろうな」

 

 ──と、ルドミリアはキノコの話題を話し出す。

 普段笑ってしまい会話もままならないルドミリアであるが、タブレット上であればそれなりに落ち着いて“話せる”事に気づいた団員達による通称“ルドミリアチャレンジ”。これは彼女がいかにタブレットの入力すら出来なくなるまで笑うのを耐えれるかと言う挑戦であった。

 

 ルドミリア  「あそこは種類も豊富で良いキノコが多かったな」

 B・ビィ   「晩飯キノコだらけだったな」

 団長     「食費浮いたのはいいけど、正直食うの怖かった」

 ルドミリア  「毒味はしたと言ったのにな」

 団長     「アンタ毒味しても症状わからんじゃん」

 B・ビィ   「同様の症状の場合、マジでわからんからな」

 ルドミリア  「流石にそこまでのヘマはしないさ」

 B・ビィ   「そこまでのヘマを、既にしてるんだよなぁ……」

 ルドミリア  「言わないでくれ」

 フィラソピラ 「けれど君のキノコ料理は美味しかったよ」

 団長     「確かに美味くはあった」

 ルドミリア  「ありがとう。そう言ってくれると嬉しい」

 団長     「ただ団の皆が俺が食うまで様子見てたのは納得できん」

 B・ビィ   「相棒は、毒あってもなんとか対処できると思ってるから」

 団長     「くそう」

 ルドミリア  「次もまたキノコがあるとこkkkるrrr」

 B・ビィ   「あ、キタか?」

 フィラソピラ 「ルドミリア?」

 

 突如文章がおかしくなるルドミリア。だがそれを団長達は、慌てずにしばし見守るように待った。

 そして、一分程経つとルドミリアから返信が来た。

 

 ルドミリア  「すまない、治まった」

 団長     「やっぱ口頭より収まるのは早いか?」

 ルドミリア  「喋らず呼吸だけなら発作は軽度に済むのかもしれないな」

 

 ルドミリアの答えを聞き安堵する一行。

 今の異常は、ルドミリアが何時もの発作を起こしタブレットを打つ指が震え続けた事で起きたものであった。

彼女は言葉を発していると、何が切欠で発作を起こすかわからない。だが口で話さず呼吸のみを意識していたおかげか、一人でもなんとか呼吸を整え発作を僅かながら治めれるようになっている。

 

 フィラソピラ 「今君は自室だよね?」

 ルドミリア  「ああ」

 団長     「やばそうならそっち行きますから」

 ルドミリア  「すまない。カギは開けておくが、多分もう少し大丈夫だ」

 フィラソピラ 「なら頑張ろうか。もう少し話してみよう」

 ルドミリア  「うむ」

 ルドミリア  「キノコ話題で良いなら続けるが、逆に君達が好きなキノコはなんだ い?」

 フィラソピラ 「ふむ。好みで選ぶほど気にしたことがないね」

 団長     「まあマッシュルームかな。よく食うし」

 B・ビィ   「何にでも使えるからな」

 ルドミリア  「マッシュルームはいいね。味も良いし、B・ビィの言うように何にでも利用できる。シチューに入れてもソテーでも美味しいな」

 B・ビィ   「つーか、それ以外あるか? 食う種類って」

 ルドミリア  「幾らでもある! アマツタケの様に香り高いものであれば、汁物なんかが良い! 出汁が美味しいんだ」

 ルドミリア  「マイタケと言うものは、味も食感も良い! どう調理しても美味しい。カリカリにバターで焼くとツマミにもなる!」

 団長     「そう言われると食いたくなる」

 ルドミリア  「マイタケならよろず屋さんに頼めば手に入るだろう。マッシュルーム同様に流通もしているはずだからな」

 フィラソピラ 「舌がキノコ味を求めだしたよ」

 B・ビィ   「明日でも良いから食いてぇ」

 団長     「明日なら島に寄るし、シェロさんに聞いてみる」

 フィラソピラ 「よろず屋さんが居る前提なんだね」

 団長     「居るでしょう多分」

 B・ビィ   「まあ居るだろうな」

 ルドミリア  「そうと決まれば自分も腕をふるるうういいgfすっすまあなあ」

 

 再びの発作。グループ内に緊張が走った。

 

 団長     「ヤバいかもしれん」

 ルドミリア  「待って、何とかじbbじぶんんでえおおおといtpとtぽち落着き

         kkkいてtってみmmm」

 B・ビィ   「ダメだな」

 団長     「部屋行くわ」

 B・ビィ   「急いで行ってやれ」

 フィラソピラ 「セレストに安楽一応頼みに行くね」

 

【団長が退出しました】

【B・ビィが退出しました】

【フィラソピラが退出しました】

 

 ──こうして何度目かのルドミリアチャレンジは終わった。結果としては、それなりに時間をかけて話す事が出来たものの、団長が彼女の部屋に駆け付けた時には、床で痙攣して倒れるルドミリアの姿があった。

 

「ルドさんしっかりっ!?」

「は、はははっ!! す、すまな……! あは────っ!?」

「身体変に丸めないでっ! 気道確保してぇ!!」

「す、すま……ごめっ! 身体が、はははっ!! あははっ! 苦し……っ! 勝手に丸まって……あは、あひいぃ────っ!?」

「ルドさぁ────んっ!?」

 

 彼女が“笑い”から解放される日はいつ来るのか。それは神のみぞしる──。

 

 ■

 

 三 コルワのハッピーアワー

 

 ■

 

【コルワがグループ“コルワのハッピーアワー”を作成しました】

【コルワが、全員を招待しています】

【コルワが入室しました】

 

 コルワ    「みんな~? ハッピー足りてるっ?」

 

【団長が入室しました】

【B・ビィが入室しました】

【フェリが入室しました】

 

 団長     「なんすかこれ」

 B・ビィ   「一応来たけど」

 フェリ    「私も来たけど……」

 コルワ    「これは私コルワがお休み前夜の一時に、集まった人のお悩みを聞いて私とみん

         なで考えて、些細な事からハッピーエンドに導くコーナーでーす!」

 団長     「コーナーて。しかも俺達も考えんのかい」

 B・ビィ   「ようはお悩み相談室か」

 コルワ    「イエェ~~スッ!!」

 団長     「テンションたかっ!」

 

【ブリジールが入室しました】

 

 ブリジール  「お悩み相談室です?」

 団長     「ですです」

 フェリ    「つまり私達は、コルワに悩みを言えばいいのか?」

 コルワ    「そう言う事! なんでも聞いて頂戴! 参加しても見てるだけでもオッケーよっ!!」

 団長     「俺の胃痛について」

 コルワ    「頑張ってね!! 次行きましょう」

 フェリ    「バッサリだぁ!?」

 B・ビィ   「お悩み相談とはなんだったのか」

 団長     「胃痛は友達ぃ!!」

 フェリ    「団長自棄にならないでくれ!!」

 ブリジール  「団長さん、自分家事も依頼もとことんお手伝いするです! だからもっと自分

         をとことん頼ってください!!」

 団長     「天使かよ……」

 ブリジール  「照れますから」

 B・ビィ   「素で照れたか今?」

 ブリジール  「とことん聞かないでください!」

 コルワ    「フェリちゃんは何かない?」

 フェリ    「私か?」

 コルワ    「なんでもいいわよ?」

 団長     「対応の差に泣ける」

 フェリ    「悩みと言っても私は、団長やみんなと出会えて旅にも出れた事で十分恵まれて

         ると思うからな」

 B・ビィ   「言葉の重みがスゲェ」

 コルワ    「今すぐ抱きしめたいわ……」

 団長     「わかる」

 フェリ    「それは、恥ずかしいから!」

 ブリジール  「自分もフェリさんと出会えてとことん嬉しいです!!」

 フェリ    「ありがとう。けど強いて言うなら一つあるかな」

 B・ビィ   「なんかあったか?」

 フェリ    「実は前にベッポ達に読み聞かせれるような本が欲しくて、町で本を選んで手に

         取ったらそれが偶然怖い内容で……」

 団長     「あらら」

 フェリ    「買わなかったけど、頭に残ってるんだ……」

 コルワ    「なるほどね。軽いトラウマになっちゃったわけね」

 フェリ    「うん……」

 B・ビィ   「ちなみに内容は?」

 フェリ    「普通に読んでたら、実は怖い話だったみたいな……。だから直ぐ気付かなくて

         結構読んじゃったんだ……」

 ブリジール  「自分も怖い話とことん苦手です」

 コルワ    「思い出させるような質問NG!」

 B・ビィ   「わりぃ」

 コルワ    「けどそうね。忘れる事ができれば勿論いいけど、忘れるのって案外難しいから

         ね。だからこういう時は、それを思い出すことも無いぐらい楽しい事を考えた

         りしたりすればいいのよ」

 フェリ    「楽しいことか?」

 コルワ    「そう、なんでもいいから好きな事をね。アンハッピーはハッピーで上書きよ!」

 コルワ    「怖い本を読んだなら、楽しい本を読むのもありよ。何か私のオススメの本貸し

         てあげましょうか?」

 フェリ    「いいのか?」

 コルワ    「もちろん!」

 コルワ    「明日でも部屋に来てちょうだい。素敵なお話のやつがあるからね!」

 フェリ    「ありがとうコルワ。少し気が楽になったよ」

 コルワ    「オッケー! イエス、ハッピーエンドッ!! さあさあ、他はあるかしら?」

 団長     「不幸な出来事が多くて」

 コルワ    「ドンマイッ!!」

 団長     「この差よ」

 B・ビィ   「相棒は、なんやかんや自己解決するから」

 ブリジール  「それじゃあ次自分がいいですか?」

 コルワ    「もちよ!」

 ブリジール  「実は自分もちょっと、怖い事でとことん困ってるです……」

 団長     「また怖い系か」

 コルワ    「何かあったのかしら?」

 ブリジール  「実は前、夜の船内見回り当番だった時。見たです」

 団長     「待って、ガチ目に怖いやつなの?」

 B・ビィ   「何を見たんだ?」

 ブリジール  「小さな子供を引き連れた、幽霊だったです……」

 コルワ    「真面目に怖いわね」

 団長     「そんな話知らないんだが」

 ブリジール  「実は明日とことん相談しようと思ってたところだったです」

 B・ビィ   「しかし夜中に幽霊? 魔物入り込んだか?」

 団長     「それならセレストが直ぐ気付く」

 B・ビィ   「だよな」

 コルワ    「この場合でハッピーエンドを迎えるには、まずその謎の幽霊をどうにかしない

         といけないわね」

 フェリ    「あの、ブリジール。もしかしてその幽霊って、消灯時間過ぎて一時間位の台所

         近くで見たか?」

 ブリジール  「そうです! よくわかりましたね?」

 フェリ    「ごめんなさい、それ私だ」

 ブリジール  「えっ!?」

 団長     「スピード解決っ!!」

 B・ビィ   「真実はいつも一つっ!!」

 フェリ    「今言った怖い話のやつで、夜夢見が悪くて……起きて水飲みに行ったんだが、

         ベッポ達もついて来たんだ」

 団長     「子供達ってベッポ達のことか」

 B・ビィ   「まあ暗がりで突然あいつ等見たらそう見えん事もないか」

 フェリ    「誰かに見られたと思ったがブリジールだったんだな」

 ブリジール  「自分驚いて一度引き返したので、その時行き違いになったみたいです。とこと

         んお恥ずかしいです……」

 フェリ    「こちらこそ大変申し訳ない……」

 ブリジール  「いいえ、大丈夫です! 正体がフェリさんだってわかったらとことん怖くなく

         なったです!!」

 コルワ    「なんであれ問題解決! イエス、ハッピーエンドッ!」

 団長     「俺の問題は」

 コルワ    「大丈夫よ!」

 団長     「何が?」

 コルワ    「B・ビィは何かある?」

 B・ビィ   「いまんとこ大丈夫だな」

 団長     「ねえ」

 コルワ    「それじゃあみんなっ! 何かあったら気軽に相談してね!」

 団長     「したんだが?」

 コルワ    「それではいつか、また次回! 今夜もみんなハッピーな夢を見てね! おやす

         みなさい!」

 団長     「もしかして俺に関しては、匙投げてませんか?」

 

【コルワが退室しました】

 

 団長     「ヘイッ!?」

 

 ──その後このコルワのハッピーアワーは、それなりに好評で彼女の気分次第で不定期開催される事になったと言う。

 

「そもそもよ相棒、しょっちゅう星晶獣にからまれて一千万以上の借金ある奴の相談とかどう答えりゃいいんだよ。普通匙投げるぜ」

「そりゃそうだけど、お前に言われるのも癪だな」

「ヨウ、昨日ノコント面白カッタゾ」

「コントじゃねえよっ!?」

 

 ■

 

 四 耽美なる世界

 

 ■

 

 トークではみな好きなグループを作り活用している。それは連絡のためもあるが、コルワのような娯楽とも言えるグループを作るのも一つの楽しみ方だ。

 そんな趣味全開グループの一つが、ルナール達によって作られた絵描きグループ【TANBI】である。

 今回は、その優雅で耽美な彼女達の活動を少しのぞいてみよう──。

 

【ルナールが入室しました】

【セレストが入室しました】

 

 セレスト   「先生進捗は」

 ルナール   「だめです」

 セレスト   「ああ……今は何を?」

 ルナール   「部屋の片づけ」

 セレスト   「ああ……」

 ルナール   「ちゃうねん」

 セレスト   「カルテイラさん語入ってるよ」

 ルナール   「うんごめん。けど始めたら……ね?」

 セレスト   「わかる」

 ルナール   「でしょ?」

 セレスト   「けど、次の島でやってる書物見本市出すーって言ってたのに」

 ルナール   「言いました……」

 セレスト   「小規模だから、描くの大作じゃなくて済むって」

 ルナール   「それも言いました……」

 セレスト   「んもう!」

 ルナール   「……ところで、そっちの進捗は?」

 セレスト   「だめです」

 ルナール   「おーいー」

 セレスト   「ちゃうねん」

 ルナール   「……まあ最近依頼が忙しかったから」

 セレスト   「それ」

 セレスト   「依頼多かった」

 ルナール   「そう、まあ騎空団だからね仕方ないのよ。騎空団だから」

 ルナール   「あと、あれ。丁度部屋の間取りの具合がね?」

 セレスト   「そうそう」

 ルナール   「よね?」

 セレスト   「うんうん」

 ルナール   「じゃあそう言う事で……次頑張ろうか!」

 セレスト   「うんっ!」

 

 ──また別の日の事。

 

 セレスト   「先生起きてる?」

 ルナール   「全然起きてる」

 セレスト   「あの前貸してもらったポポル・サーガの耽美本今読み終わった」

 ルナール   「どうだった?」

 セレスト   「てぇてぇ……」

 ルナール   「でしょぉ!!」

 セレスト   「作者のポポルとマキリの解釈、あんまり見ない奴だけど良かった」

 ルナール   「わかり味が深い。ともすれば解釈違いなんだけど、なんか読み返したくなるの

         よね。人は選ぶでしょうけど」

 セレスト   「私は好きかな」

 ルナール   「うん、そう思って貸したー」

 セレスト   「存じてらっしゃる~」

 ルナール   「存じてますとも~」

 セレスト   「明日返すね」

 ルナール   「はーい」

 

 ──さらに別の日。

 

 セレスト   「先生私の部屋にペン忘れてない?」

 ルナール   「あ、やっぱそっちあった?」

 セレスト   「うん、原稿に紛れてた」

 ルナール   「ごめん、あと取りに行くわ」

 セレスト   「うん」

 ルナール   「けど助かったわ。その子一番愛用してる子だから部屋探しても見かけなくて

         焦ってたとこなのよ」

 セレスト   「やっぱ他と違う?」

 ルナール   「感覚的には。市販してる普通のペンだけど使った年期ってやつ? グリップの

         馴染み具合が違うわね」

 セレスト   「私そこまでの域に行ってないなぁ」

 ルナール   「そのうちわかるわ」

 

 ──また更に別の日の深夜。

 

 ルナール   「いい感じの描けたわ」

 セレスト   「ほほう」

 ルナール   「イラストだけど」

 セレスト   「見た~い」

 ルナール   「はっはっは、待ちたまえよセレストくん」

 

【ルナールが画像を投稿しました】(とても耽美な画像が表示されている!!)

 

 セレスト   「ほーほー……? ほーほーほーっ!」

 ルナール   「どう?」

 セレスト   「いっぱいちゅき」

 ルナール   「照れるぜ」

 セレスト   「流石ルナール先生だね」

 ルナール   「うへへへ」

 セレスト   「ところで、これもしかして差分あり?」

 ルナール   「気付くわねぇ」

 セレスト   「ふへへ」

 ルナール   「今送る」

 ルナール   「どう?」

 セレスト   「来てないよ?」

 ルナール   「あれ?」

 ルナール   「見えない? 確かに送信したけど」

 セレスト   「先生まずい」

 ルナール   「え?」

 セレスト   「ちょっと部屋おじゃましまう」

 

 ──突如返信が途絶え首を傾げたルナール。だがすぐに彼女の部屋の中に黒紫の霧が起こりセレストの姿となった。

 

「うわぁ!? 来るって直でぇ!?」

「ル、ルナール先生……マズイです……!」

「な、なにが?」

「“誤爆”してる……! 全体グループに送ってる……っ!!」

「────」

 

 セレストの言葉を聞いた瞬間、ルナールの顔から血の気が引いていった。

 

「や、やばばば……っ!?」

「あわわ……は、早く消さないと……!」

「き、既読は……っ!?」

「わ、私が見た時は、まだ私以外ついてなかった……!」

「け、消し方……!! 削除って……!」

「え、えっと……画面開いて……えっと……」

 

 冷や汗を流し大慌ての二人。あわあわとタブレットを弄るが焦りのせいで操作が上手くいかない。そうこうしている内に、ルナールの部屋へ近づく激しい足音。そしてノック音。

 

「──ルナールさんっ!! 送信画像の件でちょっとよろしいですかねぇ!?」

「ぎゃああぁぁっ!? だんちょおおっ!?」

「だ、団長……ちょ、ちょっとまってぇ……!」

「待てんわっ!! 悪いけど入るぞ!」

 

 鍵を閉めていなかったために団長は、あっさりと彼女の部屋へと入り状況をすぐに察した。

 

「やっぱり間違えたな……!」

「あの、これは……!」

「あわわ……!」

「まずタブレットを貸しなさい!」

 

 ひったくる様にルナールの手からタブレットを取ると団長は、慣れた手付きでそれを操作しルナールが誤送信した画像を消した。そして団長自身が持っているタブレットで全体グループから画像が消えている事を確認してホッと息を吐いた。

 

「……一先ず画像は消しました」

「よ、良かった……」

「何も良かないんですが」

「申し訳ありませんでしたぁ!!」

 

 そしてルナールは、土下座をした。

 

「すみませんすみませんすみません……っ!!」

「多分画像送信の送信先選択で“星晶戦隊”を選んだか……」

「平に……! 平に……っ!!」

「団長……ル、ルナール先生を許してあげてぇ……! わ、私が見たいって頼んだの……武士の情けだよぉ……!」

「ミリンちゃん聞いたら怒るぞ……まず頭上げてルナールさん」

「へい……!」

「そのノリはもういいので」

 

 タブレットをルナールへと返す団長。その表情は、怒りよりも呆れの方が勝っていた。

 

「たまたま水飲みに俺が起きたから気付きましたがね……もうちょっと慎重にやりましょうね」

「はい……すみません……」

「恐らく未成年組は見てないはずですが……いや、俺も未成年だけどさ」

「大変お見苦しいものをお見せして申し訳ございません……」

「……寝ぼけた頭も冴え切ったわ」

 

 詳細は省く事となるがルナールの“差分イラスト”は、相当な出来であった。彼女の絵の実力と深夜テンションが合わさった劇薬と言っても良い代物であり、団長はそれを起き抜けに見てしまったのだ。

 

「絵の見せ合いは構わないけどもね……“ああ言うの”は、部屋で直接見せるようにして下さい」

「肝に銘じます……」

「ごめんなさい……」

 

 しょんぼり耽美コンビに呆れ疲れた団長は、欠伸をして頭をポリポリとかいていた。落ち着いたら眠気も戻ってきたらしい。

 

「こと耽美に関してルナールさんは、しっかり反省する人って言うのは、俺も知ってるからこれ以上言いません」

「ありがとうございます……っ!」

「ただね」

「え?」

「……絵を消す瞬間、既読が増えたんだけどもね」

「────」

 

 ルナールの顔からまた血の気が引いた。

 

「俺とセレストで既読は2のはずだ。それが一瞬“3”に変わった」

「カハ……ッ!?」

「ル、ルナールせんせえぇ──ッ!?」

 

 呼吸を乱し床に散らばる現行の上に倒れるルナール。それを見てうろたえるセレスト。

 

「俺も誰かはわからんし、それを追及もしたくない。けどルナールさんは、誰かにあの絵の事を言われても良いよう覚悟だけはしといてくださいね」

「フヒィ────……ッ!! カヒィ──……ッ!?」

「ルナール先生……っ! し、しっかりしてぇ……!!」

「……俺もう戻るから……君達も寝なさい……一気に疲れた……」

「だ、だれが……カヒィ……!?」

「ルナールせんせええぇぇ────っ!?」

 

 倒れるルナールとセレストを残し部屋を出る団長。後に団長は、シェロカルテに画像送信選択機能の誤送信改善を要望する。これによりどのグループからも“送信先を選択できる”と言う誤送信を誘発する仕様は改善される。タブレット端末を製作して間もなくであり、専用アプリケーションのノウハウも浅く少ないが故の不幸な事故であった。

 またこれより暫くルナールは、生きた心地がせず誰かに声を掛けられる度に挙動不審となったそうである。

 最後にあの増えた“既読1”は何者であったのか? 

 

「──買ってしまった。これが、耽美本……」

 

 それは今も尚誰かはわかっていない──。

 

 ■

 

 五 拳で語らず指で入力! 

 

 ■

 

 タブレットの操作の慣れは個人差があるが、総じて何とか使っている。だが中には根本的に何か勘違いをしているような者もいるわけで──。

 

【団長が入室しました】

【B・ビィが入室しました】

【フェザーが入室しました】

【ユーリが入室しました】

 

 

 団長    「夜分失礼。念のため明日の依頼の確認します。魔物討伐で移動込みで一日かかるけど用意は大丈夫だよね?」

 ユーリ   「承知しております。必要な物は既に準備してまとめてありますので」

 B・ビィ  「流石に用意が良いなユーリは」

 フェザー  「俺の準備もバッチリだ」

 

「──俺の準備もバッチリだっ!!」

 

 団長    「魔物の強さは大した事ないらしいけど、用心に越した事は無いからね」

 団長    「ただ数は多いらしいから、そこのとこだけは注意かな」

 ユーリ   「状況次第ですが、自分が前衛で引きつける形にすればよろしいかと」

 B・ビィ  「盾持ちは頼れるな」

 フェザー  「どんな相手でも真剣勝負だっ! 拳で語るぜっ!」

 

「──どんな相手でも真剣勝負だっ! 拳で語るぜっ!」

 

 団長    「フェザー君」

 フェザー  「なんだ?」

 

「──なんだっ!?」

 

 団長    「入力しながら叫ばないでね?」

 フェザー  「すまないっ!」

 

「──すまないっ!」

 

 ユーリ   「あの、フェザー殿。また叫んでます」

 B・ビィ  「さっきからこっちの部屋まで聞こえるぜ。部屋そんな近くねえのに」

 団長    「別に音声入力でもないんだから……」

 

 ──各部屋で困り顔の面々。団員の中でフェザーは、今の様にこのタブレットを用いたチャット機能を利用する際“喋りながら入力する癖”があった。

 呟きながら入力するのは、不思議な事ではないが如何せん彼の場合その呟きが“叫び声”になってしまうのが問題であった。

 当然団でタブレットを利用し始めた時早々に指摘された事だが、どうにもこの癖が治らない様子。

 一度指摘されて暫くは治まるが、だんだんとまた……と言った具合に。

 

 フェザー  「悪い、どうしても喋ってると思うとつい口がな」

 B・ビィ  「普段から叫んでるからなお前」

 団長    「部屋まで聞こえるなら、タブレット使う意味なくなるからね? あともう 夜だから静かに頼むよ」

 フェザー  「すまんっ!」

 

「──すまッ!」

 

 ユーリ   「耐えましたね」

 団長    「ちょっと聞こえたけどね」

 B・ビィ  「色々と向いてないなフェザーは」

 フェザー  「タブレット、これは勿論便利だが確かに俺には合わないかもしれない! 

        やっぱり語り合いは拳じゃないとな!」

 団長    「それもちょっと違う気がするが……」

 団長    「まあ明日の事わかってんならいいや。質問なきゃ終わる」

 フェザー  「大丈夫だぜっ!」

 

「──大丈夫だぜっ!」

 

 団長    「よし、寝よう。もうその方が良い」

 B・ビィ  「これ以上やると苦情出るしな」

 ユーリ   「では、また明日に」

 フェザー  「おやすみ」

 

「──おやすみっ!!」

 

 団長    「そこぐらい静かにしなせぇ」

 

 ──と、言った様子でフェザー達の会話は終わった。依頼に関しても問題なく終わり、何事も無かったのであったが……。

 

 フェザー  「団長、ちょっと聞きたいことがあるんだ」

 

「──団長、ちょっと聞きたいことがあるんだっ!」

「……フェザー君、俺が目の前にいるならタブレット要らないよね?」

「そう言えばそうだな、すまんっ!」

 

 フェザー  「そう言えばそうだな、すまん」

 

「器用に不器用な真似をしないでくれ。活字と叫びのステレオ止めて」

 

 ──結局フェザーの癖は、その後もあまり改善されなかったと言う。

 

 ■

 

 六 オシャレ番長‘S

 

 ■

 

 タブレットの画像投稿機能は、ルナールのような悲劇的喜劇を生みつつも皆に受け入れられ浸透し各々活用していた。

 

 カリオストロ「おはよ、みんなっ☆ 世界一可愛いカリオストロが、朝をお知らせしちゃうぞっ☆」

 

【カリオストロが画像を投稿しました】(枕を抱えた寝巻の可愛い美少女が写っている!! ……だがよく見ると、明らかに身なりを整えてから自撮りしたようだ)

 

 団長     「画像いるの?」

 カリオストロ 「なんだその反応は」

 団長     「お知らせだけでいいじゃん」

 カリオストロ 「朝からオレ様の可愛い姿見れたんだからありがたいと思え」

 カリオストロ 「保存して家宝にしろ」

 団長     「可愛いを押し売るな」

 カリオストロ 「押し売りとはなんだ!?」

 

 自撮り投稿率一二を争うカリオストロ。彼女が自身の姿を投稿すると、このような会話がちょくちょく行われていた。

 そして彼女と自撮り投稿率を争うのは、早々にタブレットの操作をほぼマスターしたクロエ。試験的にインストールされた画像編集機能も駆使した彼女の自撮り写真は、カリオストロも認める出来栄えであった。

 

【エンゼラオシャレ番長グループにクロエが入室しました】

【カリオストロが入室しました】

 

 クロエ    「ぱぃせん、ちぃーすっ!! │´ω`)ノ」

 カリオストロ 「おう。なんか見せたいって?」

 クロエ    「っそ! じゃーんっ☆ ォニューの服ゲト~ッ(´∀`艸)♡」

 

【クロエが画像を投稿しました】(冬にピッタリな暖かでかつイケイケな服を着たクロエが写っている!)

 

 カリオストロ 「中々いいじゃねえか」

 クロエ    「ぇへへ~♪ 最近依頼ガンバって、ぉ小遣ぃためたんだぁ~♪」

 カリオストロ 「最近やけに張り切ってたのは、そう言う事か」

 

【コルワが入室しました】

 

 コルワ    「来たわよぉ~!」

 クロエ    「コルワ姉キタ━━━ヽ│*゚∀゚*│ノ━━━━!!! どすかどすか? 感想もとむっ(〃゚3゚〃)」

 コルワ    「いいじゃない、いいじゃないっ! クロエちゃんによく似合ってるわよぉ!」

 クロエ    「(*´∀人)ぁざますっ♪」

 カリオストロ 「ねーねー、カリオストロの冬コーデも見てっ☆」

 

【カリオストロが画像を投稿しました】(フワモコできゃるるんスタイルのカリオストロが写っている!)

 

 クロエ    「きゃゎたん~!! +゚*。:゚+(人*´∀`)+゚:。*゚+」

 コルワ    「流石カリオストロちゃんねぇ」

 カリオストロ 「うふっ☆ ありがとっ!」

 クロエ    「っか、後ろの……鬼モフぃウロちゃんっぽぃのなん?」

 カリオストロ 「カワイイ姿に変えたウロボロス」

 クロエ    「そマ(゚Д゚)!?」

 コルワ    「ぬいぐるみかと思った……」

 カリオストロ 「ウロボロスは、オレ様が生み出したもんだからな。姿形程度自由自在だ。カワ

         イイ衣装の傍にいるなら、コイツもカワイくなきゃだめだ」

 コルワ    「なんか画像越しでもまんざらじゃなさそうな顔に見えてきたわね……」

 クロエ    「ゥケる(笑)」

 クロエ    「ぉもしろそぅだし、ぁとで一緒写真とろぅ。もちウロちゃんも一緒で!」

 カリオストロ 「いいぜ、今日はそう忙しくねえしな」

 クロエ    「んじゃぁ、ぁとでそっちの部屋ぃくから」

 クロエ    「ぁ、ちょぃまち」

 コルワ    「あら?」

 カリオストロ 「どした?」

 クロエ    「メンゴだんちょきた。もぅちょぃ待ってて~」

 カリオストロ 「おう、用事なら無理すんな」

 コルワ    「明日の依頼かしら。確かクロエちゃんメンバーよね」

 カリオストロ 「かもな」

 クロエ    「ぉまた~!」

 カリオストロ 「はえーな」

 

【団長が入室しました】

 

 コルワ    「あらま」

 クロエ    「タブレット持ってたから、っぃでに来てもらった」

 団長     「なんかこのグループ来いって言われたんだけどなに?」

 カリオストロ 「お前クロエに用事あったんじゃねーのか?」

 団長     「それは明日の依頼で軽い確認しに来ただけ。そしたら、男子の意見欲しいって

         言われて部屋連れ込まれた。何してたのこれ?」

 カリオストロ 「服の見せ合いしてたんだよ」

 団長     「ファッションの意見かよ、俺よう知らんよ?」

 コルワ    「けど確かに団長さんなら当たり障りのない無難な意見くれそうね」

 団長     「なんか素直に喜べん」

 カリオストロ 「まあお前だからな。的確な評価も期待しちゃいねーよ」

 団長     「服の評価の前に俺の評価下げるのやめて」

 カリオストロ 「まあ男連中じゃ、お前が一番普通だしいいとする」

 団長     「おい」

 クロエ    「だってユリっちとかヘンに気ぃっかぅっしょ? フェーくんもぜったぃ「動き

         やすいほうがいいと思うぞ! 拳で語れる!」ってゅーじゃんねぇ~。ファッ

         ションセンスがフィジカル一辺倒すぎ(笑)」

 団長     「ユーリ君は、帝国兵の時男ばっかでそう言うの無縁だったろうし、まだ若いん

         だからあんま強引に聞かないであげてね。慣れてないんだよそう言うの」

 コルワ    「あなたも若いのよ団長……?」

 団長     「そだけどさ」

 カリオストロ 「じゃあ他の男って言うとほぼ星晶獣しかいねぇからな。しかも辛うじて人型な

         のコロッサスしかいねえし」

 クロエ    「ビィたそゎ~?」

 カリオストロ 「アレは人型になれるナニかだから論外」

 団長     「確かに」

 カリオストロ 「改めてなんだこの奇天烈騎空団」

 団長     「言うな」

 クロエ    「ちな、クロエのォニューは、スデに高評価ぃただきましたぁ~♪」

 カリオストロ 「高評価なのか?」

 団長     「高評価と言うより、扉開けてすぐ聞かれたから咄嗟に「いいね」って答えただけなんだけど」

 クロエ    「ぃゃガチ目にだんちょってば、クロエの事ガン見してたって! 

 クロエ    「ぁれはマジ見惚れてたって! だんちょクロエに惚れちゃった的な?」

 団長     「話盛らない」

 クロエ    「(ノ≧ڡ≦)テヘペロッ!」

 カリオストロ 「じゃあ世界一カワイイカリオストロの冬コーデの意見もちょーだいっ☆」

 団長     「クロエちゃんの次に投稿されてるの?」

 コルワ    「そうそう」

 団長     「これ後ろのウロボロス?」

 カリオストロ 「そうだよっ☆ それよりカリオストロ、カワイイ?」

 団長     「ウロボロスまだこの姿なの?」

 カリオストロ 「ああそうだよ。それでオレ様の服は?」

 団長     「後でモフらせてよ」

 クロエ    「ぁ、クロエもモフりた~ぃ♪」

 カリオストロ 「わかったよ。後で二人とも来い! いいから感想っ!」

 団長     「ウロボロスがカワイイ」

 カリオストロ 「オーレーさーまーのーだーっ!!」

 カリオストロ 「誰がウロボロスの感想言えって言ったぁ!? オレ様の服を見ろ、と言うかオ

         レ様を見ろぉ!!」

 クロエ    「(笑)」

 カリオストロ 「笑うな!」

 団長     「普通に良いんじゃないの? カワイイし」

 コルワ    「笑っちゃうぐらい軽い感想ね」

 クロエ    「ゥケる笑」

 カリオストロ 「錬金素材にされてぇようだな」

 団長     「待たれい」

 カリオストロ 「部屋で直接オレ様を誉めなきゃお前の食器全部先割れスプーンに錬金する」

 団長     「報復が地味にキツイ」

 カリオストロ 「じゃあ誉めろ、褒め称えろ、オレ様の可愛いさに見惚れ倒せ」

 団長     「なんじゃい見惚れ倒すって」

 カリオストロ 「答えはイエス」

 団長     「わかりましたよ」

 コルワ    「ところで団長さん」

 団長     「はい?」

 コルワ    「服の話で思ったんだけど、団長さんって全然服装変わらないわよね。同じ服何

         着もあるの?」

 団長     「ええ、まあ」

 カリオストロ 「基本パーカーに鎧だもんな」

 団長     「楽なんだよパーカー」

 団長     「いいじゃん、フードあると便利だぞ。結構多いしそう言う服装」

 カリオストロ 「ダメじゃねえけど、お前あれしかねえだろ。しかも同じ色で、下も装備以外ス

         エットパンツばっかだし。パーカー何着なんだよ実際」

 団長     「10着」

 コルワ    「同色同種で10着!?」

 クロエ    「(笑)」

 カリオストロ 「お前マジで他持ってないの……?」

 団長     「ジョブ用装備なら」

 カリオストロ 「普段着だよ!」

 団長     「色違いで5着」

 クロエ    「色違ぃってパーカーの?」

 団長     「うん」

 カリオストロ 「結局パーカーじゃねーか!!」

 コルワ    「どこで買ったのよそれ……」

 団長     「旅出てすぐシェロさんとこのセール品で」

 クロエ    「ゥケる。だんちょパーカーガチ勢かょ(笑)」

 カリオストロ 「なんだってそんなパーカーだけ」

 団長     「故郷で近所の人からお古のパーカー貰って着て以来、なんか楽だから自然と

         パーカー着てる」

 コルワ    「なんか、あれね……おじいちゃんとかが、勿体ないからって孫の古着貰って着

         てるみたいな感じかしら……」

 団長     「例えがおかしい」

 クロエ    「超ゥケル、ゎら。村にぃたゎそーゅぅ人」

 クロエ    「パーカーとスウェットって、ほぼじもぎだけじゃん」

 団長     「じもぎ?」

 クロエ    「地元でしか着れなぃ系のャツ」

 団長     「あぁ……なるほど」

 カリオストロ 「お前今度一緒に服買うぞ」

 団長     「えぇ……」

 カリオストロ 「えぇ、じゃねえ」

 カリオストロ 「仮にも名うての騎空団の団長がパーカーしかねえってどういう事だよ」

 団長     「仮にもって……」

 カリオストロ 「この天才美少女錬金術師のオレ様がいる騎空団の団長なんだぞ、ちった洒落た

         服の一つ買え」

 団長     「洒落た服とか言ってもな」

 カリオストロ 「フォーマルな服何着かねえと困るだろうが色々」

 団長     「俺よくわかんないし」

 コルワ    「安心なさい、私たちも付き合うわ!」

 クロエ    「クロエもぉ~!」

 団長     「や、ご迷惑ですし」

 コルワ    「気にしないの! 団長をフォローするのも団員の役目よっ!」

 クロエ    「はげどぅ! とりまぱぃせんの部屋でだんちょオシャレ会議ゃろっか!! 

         ヽ(゚∀゚=゚∀゚)ノ!!」

 団長     「会議て」

 カリオストロ 「いいや、やるなら本気だ! オレ様達でどこ出しても恥ずかしくない騎空団の

         団長にしてやる」

 団長     「クロエちゃん達の服の話から何故俺の服選びの話に……」

 クロエ    「そんじゃ、だんちょぱぃせんの部屋れんこーしまっす! (。・ω・。)ノ=з」

 団長     「えぇ……」

 

【クロエが退室しました】

【団長が退室しました】

 

 カリオストロ 「よし、コルワも来い。部屋広くしとく」

 コルワ    「オッケー! なんなら一から団長服デザインしてもいいわ!」

 カリオストロ 「頼もしいな」

 コルワ    「じゃ、後で!」

 カリオストロ 「おう」

 

【カリオストロが退室しました】

【コルワが退室しました】

 

 その後カリオストロの部屋に集まった四人。カリオストロ達かしまし娘三人にいじられつつ、団長にはまるキマッた服を色々考えられた団長は、後日服屋にて着せ替え人形と化した──。

 

「これなんか良いかもしれないわよ?」

「あぁ~……悪かないが、コイツの雰囲気じゃもうちょい攻めても良いんじゃねえか?」

「けどけどぉ、ゅーてだんちょ地味メンだしハデハデじゃだんちょの方が負けんじゃなぃ?」

「一理アルナ」

「それより、こっちなんか団長に合うと思うんだけど?」

「こっちも似合うと思うぜ?」

「あの服とかモデルとして着てくれたら助かるわー……あ、これも良いかも……」

「待ちたまえ。団長にならこれが丁度よいのでは?」

 

 が、その場にはカリオストロ達以外も来ていた。と言うよりも、団の女性全員である。思わず冷や汗を流す団長。

 

「あの……なんで人数増えてるのでしょうかね?」

「面白ソウダカラナ」

「確かに団長は服のバリエーションないからなぁ。ちょうど良い機会じゃないか」

「────!!」

「ゾーイにユグドラシルまで……」

「み、みんな……団長を思っての事だよ……多分」

「多分て……」

「主殿、あっちの俺様系の服着て罵ってくれないか?」

「それもうファッションの趣旨からはずれてるー……」

「ねえねえ、こんなのあったわよっ! ちょっと着てみなさいよ!」

「ハデハデのピカピカじゃっ!」

「まぶしっ!? 目に厳しい服持ってくんなっ! つか、仮装用じゃねーか!?」

 

 ワイワイと……団長達の集団は、しばらく服を選び団長が最早抵抗もしなくなる頃、カジュアルとフォーマルで選び抜かれた“団長に丁度良く、良い感じにキマってる服”を数着服を購入。

 疲れ果て艇に戻る団長であったが、心なしか皆に選んでもらい買った服を見て嬉しそうであった――。

 

 




小ネタ集のような形でギリ2020年最後の投稿です。
クリスマス等の話は、以前書いたように年中行事まとめてな感じで、書ければ書きたいかなと思ってます。

そして今年グラブルで嬉しかったこと~。
ミリンSSR! どんぶくの女神で素晴らしいですねえ(なお、出なかったもよう)。
またクリスマスストーリーで可愛かった、クロエ&ミリン&ルナールと言う嬉しいトリオ。書いてて良かった好きなキャラ。
更にはアニメ『ぐらぶるっ!』でのビィブラック……。そうか、ビィはブラックコーヒーで黒くなるのか。オイラ覚えた!

今年一年は、大変な年でそのせいか長いようであっと言う間にも感じます。来年は多くの事が落ち着くことを祈りながら、グラブルや色んな事を楽しみたいですね。
それでは、よいお年を。

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