悪平等のおもちゃ箱   作:聪明猴子

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「アリシアを生き返らせてくれてありがとう。私が間違っていたわ」
「フェイトは私の妹なんだから」
「母さんを救ってくれてありがとう」
「アンタを誤解してたよ。フェイトを救ってくれてありがとな」

アリシアも大嘘憑きで蘇生させ、アリシアの説教で改心したプレシア。
フェイトも我が子と受け入れてテスタロッサ一家大円団!!
球磨川は皆に感謝されてPT事件は幕を下ろす!!





な訳ねぇだろ。彼が、かつて負完全とまで称された彼が。球磨川禊が関与してそんなことになる訳ねぇだろ。
人類最低でも過負荷でもある球磨川禊が存在してそんなテンプレありえねぇだろ。







救済

「アルフ、ミソギ。母さんに何やってるの」

 

『あらら』『フェイトちゃんお久~』

 

静かにそれでも明確な敵意を抱いた声が届く。

暫し、静寂が場を満たし誰もが動きを止める。

螺子を弾き飛ばされた球磨川は勿論のこと、間一髪で助かったプレシアや手を出せなかった代わりにフェイトに一番近かったアルフでさえ少しも動けない。

 

『あぁ』『ここまでタイミングが悪いとあの平等な人外の関与を疑うよ』

 

やれやれといった風に首を振りながら軽やかにそんなことを宣う。

 

「………どういうこと?」

 

『アルフさんに君を助けて欲しいって頼まれてね』『だから』『君を助ける為に僕が此処にいるのさ』

 

「…………そんなこと頼んでない」

 

『うん』『そうだね。正直君には余計なお世話かもね』

 

「だったら――」

 

『それでも君は気付いてる筈だぜ』『プレシアさんが君なんか見てないってことにさぁ』

 

「なっ!?」

 

『良いんだよ。そんな強がらなくとも。君はいっそ哀れなほどに賢い。君は気付いてる筈だ。君がジュエルシードを幾ら集めてもプレシアさんが君を愛することなんてないってことに』

 

「…そんな…ことない……」

 

『大体それで道具として愛されることはあってもそれは君の望むものではないだろう?』

 

「そん……な………」

 

球磨川は残酷なまでにフェイトの希望を救いを砕いていく。

目を逸らしていた心の底を。

頑張れば、完璧に仕事をこなせばと抱いてきた脆い希望。

それは最早願いとまで言われる様な脆弱なもの。

それを丹念に潰す。

 

『さあ』『フェイトちゃんはそこで待っててね。僕が諸悪の権化であるプレシアを螺子伏せて君を助けてあげるからね』

 

絶望し、それでもデバイスを手放さないフェイトに笑顔を向けながら朗に言う。

 

「それは……それは駄目…」

 

「何で!?そいつはもうフェイトを助けてはくれないんだよ!!そいつを庇っても不幸になるだけだよ!!」

 

「それでも……それでも私を、私を愛してくれたことは変わらないから…母さんが…私を育ててくれたことは……変わらない…」

 

再びデバイスを構え二人を阻もうと立ち上がる。

過去を頼りに母を守ろうとする様は度を越して健気で酷く痛々しい。

幸せな記憶を頼りに未来を否定されてもなお守ろうとする。

 

「フェイト………」

 

「だから、母さんをやらせはしない。例え邪魔するならアルフだって……」

 

その瞬間何かを突き刺した様な音と呻き声が二人の耳に届く。

大きいものではないが確かな痛みを感じさせる弱々しい声。

そしてそれを確認して二人は目を疑う。

痛みを堪えるように腕を押さえるプレシアとその足元に広がる血溜。

じわじわと服を染める赤色と俯いて歯を食い縛っているプレシアが二人にその惨状を考えるより先に理解させる。

それを成した球磨川はプレシアの血に塗れた螺子を軽く血振りしながら言う。

 

『あ』『ごめん。もう螺子伏せちゃった』

 

「ミソギィイィイイ」

 

一気に思考が怒りで支配され衝動のまま飛び出す。

固まるアルフの横を高速で駆け抜けながら電を放つ。

それが球磨川を貫き、バウンドしながら彼方に弾き飛ばすのも無視してプレシアに駆け寄る。

 

「母さん‼母さん、しっかり‼」

 

「うるさいわ」

 

フェイトは呼び掛けにも悪態を返してくることに少し悲しくなるが、それでも何時もより弱々しい返事に心配が募る。

逸る気持ちを抑えて冷静に魔法で処置を施そうとする時に間延びした声がこの場の全員の耳朶を打つ。

 

『わーなんだーここはー!?何か一杯ガラスのカプセルがあるぞー』

 

その声を聞くとプレシアは自身の腕の傷を省みず半ばフェイトを突き飛ばして慌てて奥の部屋に向かう。

そして断続的に稲妻が駆ける音と閃光が辺りを照らす。

アルフは咄嗟の行動に反応できずに床に倒れたフェイトを抱き起こし急いでプレシアを追う。

フェイトやアルフも入ることを禁じられていた部屋。

その部屋には球磨川と思しき黒焦げ死体と多くのカプセルが存在した。

しかし二人の視線が真っ先に捉えたのは中央に位置するカプセル。

 

「私っ!?」

 

「なっ……何だい…ここ………」

 

巨大なカプセルに入れられた少女。

それはまさにフェイトに生き写しの少女だった。

年の頃はフェイトより幼く見えるがそれでもフェイトにそっくりな少女だった。

眠っているのかと見紛う様な安らかな表情をしているがそれを台無しにするかの様なガラスの容器。

薬液に浸された髪が否応なしにそれがただ眠っているのではないのだと感じさせる。

それがアルフとフェイトには死者の尊厳を踏みにじる行為に思えて受け入れられない。

そしてフェイトは自分の理想が過去が壊れていく感覚に陥っていた。

それが何故かは分からなくとも確実に訪れる気がして恐怖が沸き起こる。

 

『ねぇプレシアさん』『これってフェイトちゃんの妹さん?』『もしくは姉?』

 

そんなフェイトの心中を知らないのか復活した球磨川が尋ねる。

まあ球磨川が知っていたからといって止めるとも考えられないが。

 

「ふざけないでっ!!」

 

球磨川の軽口に反応したのは狂気の表情を湛えて叫ぶプレシア。

少女の入ったカプセルの前でそれを守るように杖を構えていた。

 

「アリシアと、私の娘とあんな人形を一緒にしないで!!」

 

腕から血を流しながらもそう主張する。

叫ぶ度に決して少なくない血を床に溢す。

 

「…に、人……形?…それにアリシアって……………」

 

口が自分の意思を離れたかのようにフェイトが繰り返す。

その名前が妙に心を掻き乱す。

 

「もう止めにするわ。この子の代わりに、人形を娘扱いするのも」

 

プレシアの言葉がフェイトの心を抉る。

 

「せっかくアリシアの記憶を与えたのに、見た目だけがそっくりで全く使えない」

 

何を言っているのか分からない。

それでもフェイトは自分が、自分の全てが偽物となり剥がれ落ちていくような錯覚を覚える。

 

「器だけがそっくりな、役立たずで使えない私のお人形」

 

直接的な侮蔑。

大切な人から不要。

いらないと宣言される中で心が悲鳴をあげる。

普段行われる体罰よりもずっと痛い。

それでも頭の中の警報は鳴り止まない。

 

「聞いていて? フェイトと言う名はね、私が行っていた研究プロジェクト名よ。人造生命の創造計画、通称プロジェクトF《フェイト》。あなたはその計画で生まれたの」

 

「人造…生命……」

 

「ええ。私がアリシアを失った痛みに耐えられなかった弱さの象徴。貴方は私の娘どころか人ですらないのよ」

 

今度は理解できた。

できてしまった。

自分が母にとってアリシアの代替品だったことに。

その為だけに造られたアリシアの、いや人間の偽物。

それを理解できてしまった。

九歳という幼さでは余りにも大き過ぎる真実を賢いが故、球磨川が言うところのプラス故に理解してしまう。

 

「だけど全然駄目ね、ちっとも上手くいかなかった。所詮は作りもの、失ったものの代わりにはならなかったわ。アリシアはもっと優しく笑ってくれた。アリシアは我儘も言ったけど、私の言うことをとても良く聞いてくれた。アリシアは何時も私に優しかった」

 

自分に言い聞かせるように独白を続ける。

 

「でも貴女は偽物。記憶だけ与えた貴女じゃ駄目だった」

 

予想できても母から言われたそれは確実にフェイトの心を砕いた。

 

「どこへなりとも消えなさい」

 

それは突き刺す様にフェイトの心を貫き、じくじくと痛む。

悲鳴なんか上げられない程に精神が疲弊し、自然と床に座り込んでいたことにも気付いていなかった。

アルフが駆け寄って抱き抱えられても何も変わらない。

儚い記憶を頼りに今まで頑張れて来れたフェイトの心はここで完全に壊れた。

自分の信じてたもの、幸せだったもの全てが瓦解していく。

もう何も信じられない。

何も残っていないなぁとぼんやり思考の片隅で感じる。

自分が未来に愛されないとわかっても、過去の愛情を信じていこうと思っていただけにもう何もかもがどうでもよくなっていた。

心に虚無が広がり、絶望が支配する。

世界に丸ごと裏切られたかのような感覚。

アルフが言う言葉もあやふやでまるで意味を感じられない。

視界はこれ以上ないくらいに澄み渡っているのに何も感じられない。

意識があるのに何も感じられない。

 

『いやぁ~』『何て深い愛情なんだ。死んだ娘を復活させたいというありふれた望みながらここまで行動できるのは珍しいね』『うわぁ~』『感動しちゃったな~』

 

白々しい笑みを浮かべ笑う少年。

今までの雰囲気を全く考慮しない発言。

プレシアの狂気を安い三流ドラマのように扱う発言。

今までの行いを前にこの場の全員を嘲笑う発言。

 

「貴方は――」

 

怒りのまま再び魔法を放とうとしたプレシアを球磨川は一言で鎮める。

 

『だから甦らせてあげるよ』

 

「え?」

 

『アリシアちゃんだっけ?プレシアさんの娘さん』『それを甦らせてあげるよ』

 

「な、何を言って……」

 

大嘘憑き(オールフィクション)。僕の過負荷(マイナス)だよ』『まだ説明してから一時間も経ってないんだから勿論覚えてるでしょ?』

 

「嘘……」

 

『そう』『僕の過負荷(マイナス)大嘘憑き(オールフィクション)」でアリシアちゃんが死んだっていう現実を虚構にしてあげる 』

 

「…………………本当に、本当にできるの?…本当にやってくれるの?」

 

瞳が揺れる。

どうしようもない希望が狂気を纏っていたプレシアの心を揺さぶる。

天才である己をもってしても解析できないレアスキル。

それがありもしないかもしれないアルハザードとどちらが信用できるかなど明白だった。

現に球磨川は自身の傷を、自身の死を、ジュエルシードをなかったことにしている。

球磨川の人格がどれだけ信用できなくとも縋る意味のある提案だった。

 

『全く皆疑り深いなぁ。箱庭学園では一度で皆信じてくれたぜ』『あ』『All Fiction!』『プレシアさん、貴方の病気をなかったことにした』

 

「なっ、貴方気付いて……」

 

『僕の前で弱みを隠せるわけないだろ。僕は誰よりも弱さを熟知した、言わば弱点の展示場や弱者のスペシャリストなんだから』

 

「………ない、本当に病気がなくなってるわ。一体どうやって…………」

 

自分の身体に魔法を掛けて体調を確かめながら。

プレシアが呟く。

プレシアは自身の病が治ったことより、球磨川の大嘘憑きの効果が実証されたことに希望を抱く。

希望を抱かざるを得ない。

 

『さぁ?』『僕らの過負荷(マイナス)を理屈や理論で理解なんてできないよ』 『でもそんなことはどうでも良くないかな?今ここで重要なのは、僕の大嘘憑き(オールフィクション)がアリシアちゃんを復活させられるってことだけだよ』

 

「そうね………貴方にこんなことを頼める義理はないけれどアリシアを生き返らせてくれないかしら…アリシアを助けてくれるのなら私は何でもするわ。アリシアは私の全てなのよ………命より大切な……全てなのよ……………………」

 

『うん。僕を黒焦げにして殺した人を助ける義理はないけれど良いよ』『僕は器の大きい男だからね』『でもフェイトちゃんみたいに復活させたアリシアちゃんが性格が違うとかクレームをつけるのは無しだぜ』

 

球磨川は人を安心させる笑みを浮かべて言う。

確実に相手を皮肉った軽口にプレシアは満面の笑みで答える。

 

「ええ。そんなことはしないわ。だって貴方のスキルはアリシアの死に干渉するのでしょう?あんな出来損ないが生まれる筈ないわ」

 

それは狂気の笑みだった。

自らの娘の死を認められず、拒否し続けた母親の愛の成れの果てだった。

 

『………………じゃあいっか』『All Fiction!!』

 

球磨川がそう唱えてカプセルの中にいるアリシアに巨大な螺子を螺子込む。

そしてプレシアが何か言う前に螺子を引き抜くと、そのままカプセルを叩き割る。

 

「アリシアっ!!」

 

プレシアが急いでカプセルの中から薬液に浸されたアリシアを抱え上げる。

その頃にはアリシアの外傷も貫いた螺子もどこにも見当たらない。

そして直ぐ様呼吸を確認する。

意識は今だ戻らないが呼吸はしているし、生きていることは間違いなかった。

 

「よ、良かった………本当に、本当にアリシアだわ」

 

『はっはっは』『僕が嘘を吐く訳ないじゃないか』

 

「ああ、アリシア……アリシア…」

 

床を涙で濡らすプレシアの横で同じく涙を流しながら笑顔を浮かべる。

 

『なんて感動的なシーンなんだ』『僕がこんなシーンを作る手助けができたことは一生の思い出だよ』

 

「ありがとう、本当にありがとう………」

 

『全然気にする必要はないさ』『さてと』『ちょっとプレシアさんにやって欲しいことがあるんだけど』

 

感動の涙を一転、球磨川はプレシアに頼む。

 

「ええ、勿論良いわ。なにかしら?」

 

プレシアは微笑を湛えて快諾する。

望んだ光景を成し遂げられた高揚感と感謝で先程よりも濁ったプレシアは気付かない。

球磨川が何度も死に続けた際の狂気的ともいえる笑みを浮かべていることに。

今のプレシアは全てを螺子曲げるかのような過負荷を内面に持つ少年をただの善人としてしか見ていなかった。

そんな推測が見当違いなものであることなど球磨川を殺し続けたプレシアが最も良くわかっていなければならなかったのに。

だからこそ球磨川の頼みは完全にプレシアの虚を突いたものだった。

 

『プレシアさんの記憶を消させて』

 

「え?」

 

『だから』『プレシアさんの記憶を消させてよ』『あ』『心配しなくても良いよ。アリシアちゃんに関する記憶を消すだけだから。他の記憶は全く手を着けないよ』

 

「な、何を言ってるのよ……」

 

そこで漸く気付く。

この少年が狂気等というものより更に深く、マイナスのものを持つことに。

空間が球磨川の過負荷で満たされ、全身が怖気だっていることに。

 

『だーかーらーお願いだって言ってるじゃん』『プレシアさんの全てとも言えるアリシアちゃんはこうして蘇生されたんだ。命より大切なアリシアちゃんは復活したんだ』『じゃあ次はプレシアさんの番だろう?何でもするって言ってただろう?』

 

ゆっくりと単語を区切り、言い聞かせるように言う。

 

「嫌、………嫌よ!!何で!?何で漸く幸せになれたのに!!何でそれを邪魔するのよ!!」

 

『おいおいおいおい』『プレシアさん、貴方が言ってたんだぜ。アリシアちゃんは貴方の全てだって。アリシアちゃんを生き返らせれるなら何でもやるって』『それをこうして反故にしようとするなんて良くないなぁ』

 

器用に手で螺子を持ちながらやれやれとオーバーに手を振る。

そして足取りも軽くプレシアに歩を進める。

 

「来ないで!!私からアリシアを奪わないで!!それ以外なら、それ以外なら何でもするわ」

 

『駄目だ』『なあに大丈夫』『プレシアさんもプロジェクトFだっけ?それでもう一度記憶を取り戻せば良いよ』『まぁそもそも記憶の欠損に気付くかは分からないけどね』

 

へらへらと嗤う。

 

「止めて!!これ以上近付くのなら殺すわ」

 

そんな脅迫も無視して歩を進める。

 

『そんなに怯えなくとも大丈夫ですって』『例え貴方が覚えてなくともアリシアちゃんは娘として接してくれますから』『まあ貴方はアリシアちゃんに母としては接することはできませんけど』

 

「っフォトンバレット」

 

射撃魔法が過たず球磨川を貫き、生命活動を停止させる。

しかしそれも今まで散々やってきたのと同じようにすぐに立ち上がるのを防ぐことはできない。

 

「あぁああぁ」

 

それを明確に理解して腕の中のアリシアを抱き寄せる。

思い出を刻むかのように強く、強くアリシアを抱く。

それは大切なものを取られまいとする行動で万人が憐れみを抱くような光景だが、球磨川は歩みを止めない。

そしてプレシアの眼前で止まり、長い螺子を逆手に持ち替える。

 

『これは貴方が悪いんだ。僕は悪くない』

 

そしてそれをプレシアの頭に突き刺そうとしたところで袖を引かれる。

 

『へぇ』『どういう心境だい?』

 

「………止めて下さい」

 

『……フェイトちゃん、君はまだ母親を諦められないのかい?プレシアさんはアリシアちゃんを愛してるのであって君は入ってないんだよ。君が母親に愛されることなんて過去も未来もないんだぜ』『いやそれこそプレシアさんはフェイトちゃんの母親でさえないだろ』

 

厭らしくも心を抉るように、フェイトに現状を再認識させていく。

 

「それでも……それでも…………」

 

『無理しなくてもいーんだよ』『世界中の誰もが君を偽物と断じて蔑んでも僕は君を肯定しよう』『君の全てを肯定しよう』『弱さも』『恨みも』『嫉妬も』『執着も』『怒りも』『報復も』『汚い君の全てを肯定しよう』『だから君が彼女を助ける必要も意味もないんだよ』

 

過負荷(マイナス)の甘依存。

仲間の為を思って仲間を止められる存在ではなく、仲間の為を思って仲間とどこまでも堕ちていける全肯定。

弱さも汚さもどこまでも受け入れられる過負荷(マイナス)の友情。

 

「………………意味ならある……必要もある……」

 

それをキッパリと断ち切る。

自らの意思を持って。

 

『へぇ』

 

その目に紛れもない強さを感じて球磨川はフェイトに向き直る。

それは強い決意を含んだ瞳。

強い意思を秘めた瞳。

学園の彼らが持っていた強い意思。

 

「私がしたいからやるんだ!!ミソギを止めないと進めないからやるんだ!!だから意味も必要もある」

 

『プレシア・テスタロッサは自分の娘の死を受け入れられずに君を作った』『アリシアの復活を望んで君を作った』『自らの弱さに耐えきれずに君を作った』『そして君を利用するだけして君を棄てた』『君は彼女に愛されたことはないし、彼女が君を愛することもないだろう』『だから君には彼女に復讐する権利がある』『彼女の愛するものを破壊して報復する権利がある』『君の悲しみも怒りも正当なものだし、それを否定することは僕がさせない』『それでも君はプレシア・テスタロッサを許せるのかい?』

 

「ありがとう…ミソギ…………それでも、それでも母さんが私を産んでくれたことは変わらないから……私が私になる為にも復讐はしない」

 

『はぁ~』『僕は君を過小評価していたよ。今の君は弱さをひた隠しにしていた弱者じゃない。自分の意思で復讐を思い止まれる紛れもないプラスだ』『あ~あ』『また勝てなかった』

 

球磨川は悔しそうに呟いて手に持った螺子を床に落とした。




私は常々狂気に浸されたプレシアがオリ主の説教で改心したり、簡単にアリシアの説得で思い直したりするのに疑問があった故の今話でした。

てか死んでたss界隈のアリシアの精神年齢の異常な高さが謎。
まあ高町なのはとかいるからあり得なくはないとは思うんですが。

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