こちらは2015年11月5日で[白猫 遊園地
へGO!]なんてタイトルが元題だったりします。
…何て言うかセンスがね…、前回のアレに一応続いてる感じです。
軽く説明すれば冒険家達が何名かに別れて遊園地にへと、そしてフローリアやグローザやバイパー等がある組の後を…?

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白猫 -遊園地活劇- part 2

 

-遊園地内 -

 

遊園地内一人で入園している者は少なく、そして園内には一人であることはほぼない。その中でもまるで家族連れかのように見えるが髪色でそうでないのが分かる5人がいた。

 

「もきゅ…にーに、綿あめありがとう!」

 

「はむ…鳥さんの羽みたい…」

 

一人は青色の髪で頭にまるで犬のような子狼を乗せている少女のコヨミで、その隣には赤髪の青年(RASN)と黄色くフワリとした髪でマーチングバンドの衣装の少女のヒナが3人仲良く手を繋ぎコヨミとヒナは綿あめを持っていた。

 

「あ~とっても甘いわ~」

 

そんな彼女らを見守るように後ろにいるのは紫がかったピンク色の髪で手には綿あめを持つメアに、その隣には少し淡い紫色の髪のカスミがいた。

 

「メア…幾らなんでも食べ過ぎじゃない?」

 

「ん?カスミも食べる?」

 

「むっ…まぁ…貰ってはおくけどね…」

 

カスミは渋々とそれをほんの少し摘まんで口へと運ぶと少し顔を綻ばせた。

 

「…それにしても、貴女は何となく私に似ていた感じがしてたけど…見当違いみたいだったわね…」

 

「えっ?何が?」

 

メアがカスミに問いかけようとすると、カスミは前のRASN達を見た。

 

「…何でもないわ、それよりもRASN達とはぐれちゃうわ。」

 

「あっ!待ってよ!?」

 

メアは駆け出したカスミを追いかけていった。

 

 

 

 

 

そんな彼女らの少し後ろにはグローザと涙を流すフローリアが屋台の影に隠れていた。

 

「…何で泣いているのよ?」

 

「だって…あのカスミが…私やRASNさん以外にこんなに仲良くしてるのは久しぶりでして…」

 

「…どんだけツンケンしてんのよ…あの弓道娘は…」

 

「ところで…あなたはRASNさんの事が好きなのでしょうか?」

 

「…え?なっ…何?」

 

涙を拭い終わったフローリアは好奇の眼差し(なお目は閉じてる模様)でグローザを見つめた。

 

「ふふ…だってグローザさんのRASNさんへの視線がとても強く感じられたので。」

 

「っ…!?」

 

「お慕い申し上げているのでしょうか?」

 

「…私は…そんな事は…」

 

フローリアはグローザに詰め寄ったが、グローザは決まりの悪くも苦悶の表情を浮かべていた。

 

「…申し訳ございません、お答えにくい事をお聞きして…」

 

「…。」

 

「…ですがそんな顔をしないで下さい…私としては好きになることは悪いことではないと思うので…」

 

「…余計なお世話ね…でもありがとう…」

 

「いえ、どういたしまして。おっと…このままでははぐれますね…追いかけましょう。」

 

そうしてフローリアとグローザはRASN達を追いかけて行き、その更に後ろのオズマとバイパーは黙々と彼女らに着いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

-遊園地内 メリーゴーランド前-

 

RASNらが訪れたのは馬やら馬車を模した乗り物がくるくると回るながら上下運動する遊具のメリーゴーランドであり、コヨミはそれをキラキラとした目で見ていた。

 

「わぁー!すごいよにーに!タロー!」

 

「キャンキャン!」

 

「鳥さんじゃなくてお馬さんなんだ…」

 

だがヒナは浮かない顔をしていた。

 

「お馬さんでも楽しいよ!早く行こう!」

 

コヨミはそんなヒナの手を引いてメリーゴーランドの乗り口へと向かった。

 

「乗せてください!」

 

「ピヨ…」

 

コヨミは元気よく乗り口にいる口がついている不気味な帽子をかぶった係員にあいさつをした。

 

「んん~?お嬢ちゃん達はこれに乗りたいのかい~?」

 

「うん!」

 

コヨミの元気の良い返事に係員は深く被っている帽子をいじりながら答えた。

 

「ん~残念だけどかなりなちびっこだからね~君達だけじゃこれには乗せられないんだよね~」

 

「えー?!それじゃどうすればいいの!?」

 

「うん?そうだね君達が大きくなるか…親御さんとかの付き添いの人と一緒なら乗せてもいいけどねー?」

 

「だったら待ってて!」

 

「うん、まだ待てるからね~」

 

そう言うとコヨミとヒナはRASN達の元へと駆け寄った。

 

「にーに!一緒に乗ろう!」

 

「パパと一緒に乗りたい…」

 

「…!」

 

そして二人はRASNの手を取りお願いをしていた。

 

「…パパににーに…赤髪の彼は何者なんですか?」

 

「わぁっ!?何っ!?」

 

「何時の間に背後に!?」

 

メアとカスミの後ろには先ほどの係員が立っていた。

 

「おやおや…申し訳無い私は瞬間移動が趣味でしてね…」

 

「趣味が瞬間移動って…」

 

「正直趣味とは言い難い趣味ね…」

 

「まぁ…そんなことは捨て置いて…そこの赤髪さんはお嬢ちゃん達の…保護者ってことでいいかな~?」

 

「…!(コクッ)」

 

「成る程~なら乗せることは出来るけど…一人だけだからね~」

 

「えっー!?ヒナちゃんは?」

 

「うん~?そうだね…彼女ら二人のうちどちらか一人がそこのベンチで待って、もう一人が一緒に乗れば良いんじゃないかな?」

 

「だったら…ヒナちゃんはどっちのねーねが良いかな?」

 

「…ピヨ…」

 

ヒナはカスミとメアを見比べて悩んでいた。

 

「…。」 「…。」

 

それに対するメアとカスミは少し困ったような顔をしていた。

 

「…ピヨ…カスミねーねがいいかな?」

 

「わっ…私が!?」

 

選ばれたカスミは驚いた顔をして慌てていた。

 

「はいっ!決定っ決定!それじゃ家族連れ四名さまご案内ー!」

 

「ちょっ!?何よそれ!?」

 

決まるやいなや係員は四人をメリーゴーランドへと引き連れて行き、メアは一人残された。

 

「私は選ばれなかったか…」

 

メアはそう呟くと先ほど言われたベンチへと座った。

 

「ふふ…楽しそう。」

 

メアはRASNの膝に嬉しそうに乗るコヨミと恥ずかしがりながらもヒナを乗せるカスミを見ていた。

 

「…。」

 

「お隣いいかな?」

 

呆けるメアに声をかけてたのはシルクハットを被った赤と白が入ったマジシャンのような服を着た少女であった。

 

「えっ…ええ、いいけど。」

 

「うん、それじゃお邪魔して。」

 

少女はポスッとメアの隣へと座った。

 

「…。」

 

「…?」

 

暫く沈黙が続きメアは気まずそうな顔をして少女は疑問符がつきそうな顔をしていた、だがそんな彼女が口を開いた。

 

「ねぇねぇ、そういえばあなたの名前は?えっと私はリコ、お菓子の国のグリコランドから来たの。」

 

「お菓子の国…グリコランド…」

 

「何か凄い顔してるよ…」

 

「ごめんなさい、えっとメアよ元退魔士ね。」

 

「そうなんだー。ところでひとりなのかな?」

 

「ううん、連れが四人あそこのメリーゴーランドにいるわ。」

 

メアは回転しているメリーゴーランドを指して楽しそうにしているRASNらを指した。

 

「あれ?RASN君だー?てことは飛行島の人?」

 

「そうだけど…RASNの事を知ってるって事はあなたも?」

 

「うん!この世界にポッキーの良さを広げる為にいるんだ!あっ、そうそう私も連れがいるんだ。」

 

リコが指差す方向はメアと同じくメリーゴーランドであり、そこにはエシリアとキャロがいた。

 

「あははは!遅い遅いー!」

 

「待てー!何で良さげな馬を選んだのに…追い付けないのよー!?」

 

そもそもメリーゴーランドの為追い付くどころか距離が縮まるはずも無いのであるが。

 

「こうなったらこの千日手のルーンの力を…!」

 

「おっと、お客さま~?園内でのルーン使用はお止めくださいなっと!」

 

キャロが別の場所への移動を封じる千日手のルーンを取り出したら先ほどの係員がシールのようなものをペタリとそのルーンへと投げ貼り付けた。

 

「…あれ?いつもならペカッーって光るのに…?」

 

「すみませんがお客さまのルーンは封じさせていただきましたー、園内を離れると自動的に剥がれるのでご心配なく~。」

 

「何だか…見たことあるような無いような…?」

 

「ヒッヒーン!」

 

「ハイヨー!」

 

「…え?」

 

馬のいななきの鳴く方に目をやるとそこにはウマルスに乗るバイパーの姿がいた。

 

「なんでバイパーさんが…?」

 

「知り合い?」

 

「あははは…他人かな…?」

 

メアは額に汗を少し垂らしつつメリーゴーランドから目を背けた。

 

「そうなんだー。ところでポッキー食べる?」

 

「ポッキー?何それ?」

 

「お菓子だよ、とっても美味しいんだよ。」

 

リコは何処からともなく赤く縦長な箱を出して、その中からポッキーを取り出した。

 

「…なら頂こうかしら?」

 

「はい!召し上がれ!」

 

メアはリコからポッキーを一本受け取ってそれを口へと運んだ。そしてメアは満面の笑みとなった。

 

「はむ…。…!?甘美味しい!リコ!とっても美味しい…って何驚いているの?」

 

笑顔のメアに対してリコは目を見開いてメアを見ていた。

 

「すっ…凄い…一人でこんなスィートを発生させるなんて…!?何者?!」

 

「スィート?」

 

なおスィートとはお菓子を食べた時の幸せな気持ちから生じるエネルギーであり、リコの出身のグリコランドはこのスィートによって存在しているらしい。

 

「もしかしてとんでもなく甘い物好き?」

 

「…とんでもなくって訳じゃ無いけど…まぁ一人で二杯…いや三杯のパフェぐらいだけども。」

 

「凄いよ!凄い!とんでもなくって程じゃないものすごくだよ!」

 

「そっ…そうなのかな…?」

 

「だったら!このお菓子はどうかな!?どうかな!?」

 

「う…うん、頂くわ…これもいいわね!」

 

RASNらとエシリア達が戻ってくるまでメアとリコのお菓子の食べ比べは続いた。

 

 

 

 

 

 

「あー…いいですねー…実にいいですねー」

 

「…。」

 

RASNらがメリーゴーランドで楽しむなかそれを見つめるようにしているフローリアとグローザがおり、グローザは双眼鏡を手にしていてフローリアはルーンカメラでRASNらを撮っているが主に撮っているのは赤面しながらもヒナを膝に乗せているカスミを撮っていた。

 

「あー…とってもいいですねー」

 

「やっぱりあなた…目が見えているんじゃ…」

 

「そこはノーコメントでお願いします。」

 

「…分かったわよ…。」

 

「…はぁ…にしてもよ…あんたら授業参観の親御さん達かよ…」

 

そんな二人を見るように壁に寄り掛かっているオズマは溜め息を吐いていた。

 

「そんな遠距離よりも近寄った方がよくねえか?」

 

「いいえ、私が近くで撮ろうとするとカスミは警戒をして固い顔しか見せませんから。」

 

「…私はこの距離で…充分だわ。」

 

「…へぇーへぇーそうですかい、全くガードが固いねぇ…」

 

「ディフェンスタイプなだけにですがね。」

 

「……所であの退魔士さんはなんで馬に乗ってるのかしら、しかも乗られるのが嫌いな馬だし。」

 

「聞きたいか?」

 

その声と共にオズマの隣にバイパーがフッと現れたのであった。

 

「おう、来たか。んで、どんなカラクリを使ったんだ?」

 

「これだ。」

 

バイパーが取り出したのは小さい注射器の様なものであり、中には灰色の液体が充満している。

 

「…まさかよ…これって…」

 

「ああ、あの天才(自称)からいくつか貰った。」

 

「…貰ったって言うより、それを投薬してデータを集めてるんだろ?」

 

「そうだな、さっきウマルスに試したのは…好き嫌いが反転する薬だな。」

 

「ということは…乗られるのが嫌いなウマルスさんは乗られるのが好きなウマルスさんになったと?」

 

「そういうことだか…効果は一時的だったな、さっき逃げられた。」

 

「所で他にも色々薬があって俺達にその薬を試したりはしないよな?」

 

「……さぁな?」

 

「おー、怖い怖い…」

 

「あっ!皆さん動くみたいですね、…えっと…三人ぐらいが一緒になりましたね。」

 

「よっしゃ!怖い雰囲気は放っておいて追跡を再開すんぞ!」

 

そうするとオズマはトタトタと隠れながらRASNらを追跡した。

 

「…やれやれ…」

 

「…。」

 

バイパーはトタトタと行くオズマの後に付いていき、フローリアとグローザは普通についって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊園地内 -ホラーハウス前-

 

RASNらが次に訪れたのは薄く紫苑色の霧が立ちこめた館に訪れた。だが一同の殆どは良い顔はしていなかった。

 

「エシリア!ここでもう一度勝負よ!」

 

「えー。またやるのー?」

 

その中でキャロは意気揚々としていた。

 

「何よ!逃げる気?でも扉のルーンは使えないから逃げれないわよ!」

 

「いや…逃げる逃げないじゃなくて…どうせならもっと面白いのをやろうよー?」

 

「そんなことはありませんよ~?ここも楽しい所でございますよ~?」

 

突然現れたのは先程メリーゴーランドにいた不気味な帽子をかぶった係員であった。

 

「何でここにいるの!?」

 

「ん~?良いじゃないですか?私は瞬間移動が趣味って言いましたよね?それを使って悩めるお客様を救ったりいさなめたり馬鹿にしていますからね~。」

 

「その瞬間移動は悪趣味よ…」

 

「んふふ~誉め言葉でございますよ~?」

 

「あー言えばこー言うわね…」

 

「所で…今なら待ち時間なしで入れますが?」

 

「よしっ!なら行くわよエシリア!」

 

「引っ張んないでよ~」

 

キャロはエシリアを無理矢理引っ張ってホラーハウスへと入って行った。

 

「そんじゃ…お残りのお方々は如何いたしますか?」

 

残されたのはRASN・コヨミ・ヒナ・カスミ・メア・リコである。

 

「…にーにと一緒なら!怖くないもん!」

 

「キャン!」

 

「私は…え?」

 

カスミは袖を引っ張られるのを感じて振り向くとそこには切なそうな目でカスミを見つめるヒナがいた。

 

「…ママ…行きたくない…一緒に残ろう?」

 

「…んぐ!?」

 

「私も残ろうかな、怖いのは少し…。」

 

「前の奴には行けなかったから私は行くわ。少し怖いけど…」

 

「そんじゃ先に行った二名様と今から行く三名様をご案内です~」

 

こうしてホラーハウスにRASNとコヨミとメアが入って行った。

 

 

そして…そんな彼ら達の後方。そこにはフローリアが身悶えしていた。

 

「…大丈夫?」

 

「大丈夫です♪はぁ~カスミがあんな顔をしちゃって…」

 

「オズマ…投薬してもいいか?」

 

「構わねえ…てか俺でもここまで来ると少し引けるな…まぁいけなくもないが。」

 

「いけるって何がだ?」

 

「やっぱりこの飛行島の人達は変な人が多いわね…」

 

グローザは嘆息した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ホラーハウス内-

 

ホラーハウスの中はとても暗く壁には血糊がねっとりとついており、更に床には白い煙が立ち込めており奇怪で不快になりそうな音が響いていた。そしてその中にRASNとコヨミとメアがにじりにじりと歩を進めていた。

 

「こっ…怖くないもん!タローもにーにもいるから怖くない!」

 

コヨミは震え声でRASNの背中に抱き付くように動き、タローはコヨミの帽子の中に隠れていた。

 

「ほっ…本格的よね…!程よい怖さよ…!」

 

メアは強気に声を出してはいるがコヨミとRASNから離れようとはしなかった。

 

「……。」

 

尚一方でRASNはいつも通りな顔をしているようであった。

 

「怖くないの…?!」

 

「…!(フルッフルッ!)」

 

「にーにも怖いの…?」

 

だが実際は震えていたみたいであったが。

 

「どっ…どれぐらい進んだのかな?…もう半分ぐらいとかかな?」

 

そういうやり取りをにじりにじりと歩を進めながら様々な仕掛けに驚きつつ三人は青紫の松明が壁に並べている大きな広間にたどり着いた。

 

「うぅ…パパ…ママぁ…にーに…!」

 

「キャウン…!」

 

既にコヨミは泣きじゃくってRASNの足にしがみついていていてメアは顔を引きつらせていた。

 

「大丈夫よっ…!きっと大丈夫だから…っ!」

 

「…!!」

 

RASNが指差す先にはいかにも怪しげな扉があり紫雲の様な煙を出していた。

 

「あっ…あそこに入るの!?他にも道は無いの?」

 

「ありませんよ~?」

 

「ひゃぁ!?」

 

「わぁあ!?」

 

「キャウン!?」

 

「!?」

 

忽然と不気味な帽子をかぶった係員が出現したのであった。

 

「いきなりびっくりするじゃない!!」

 

「はいはい、そうでございますか。ありがとうございますね?所でお嬢ちゃんは限界みたいだね?」

 

「……わぅ……」

 

「キュウン…」

 

「本来なら途中退場は認められないけど…まぁ他にも二人いますから特別ですよ~?」

 

そう言うと係員の後ろには白眼をむいたキャロを引き連れたエシリアがいた。

 

「あれ?私達より先に行ったのに何で?」

 

「だってねーキャロったら上から落ちてきた仕掛けにビビって気絶しちゃってー」

 

「なおこちらがその仕掛けでございますね~?」

 

係員が指パッチンするとカタカタと音をたてて上からカースドラゴンらしきものが落ちてきてそのドラゴンは中から細い鉄の様な棒状のものやらバネやら色々飛び出していた。

 

「わぁああ!?」

 

「うわぁぁぁん!!」

 

「ー!?」

 

突然現れた物にコヨミは腰を抜かして泣きじゃくり、メアとRASNはとても驚いていた。

 

「怖いよぉ…うえぇ…」

 

「あらら…やりすぎかな?」

 

「やりすぎよ!大丈夫!?」

 

「うぅ…ふぇぇ…」

 

「仕方ない、えっとエシリアさんだっけな?そのお嬢ちゃんを頼みますよ、私はそちらをお持ちしますので。」

 

係員がそう言いエシリアはキャロを手放してコヨミの手を繋いだ。

 

「そんじゃ、後はお若いお二人に任せて頑張って下さいねー?まぁ頑張っても景品とかないけどもねー!」

 

そうすると係員はエシリアらと共にフッと消えてホラーハウス内にはRASNとメアが残された。

 

「…行っちゃったね…」

 

「…。」

 

「…行こうか?」

 

「…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして二人はハウス内を進めていきようやく外に出てきた、だが既に空は夕暮れになっていた。

 

「おめでとうございま~す!いやはやこのホラーハウスをクリア出来るとは中々やりますねぇ!」

 

そんな二人を出迎えたのはさっきの係員であり、回りにはコヨミやらがいなかった。

 

「そう…」

 

「…」

 

「でもあんなに怖かったのによく帰れましたねぇ?」

 

「…怖い言うよりかは疲れたわ…」

 

「…!」

 

「んふふ…そんならおすすめのお休めて綺麗な景色な所がありますよぉ?」

 

二人は係員の言葉に大した反応が出来ずなすがままに遊園地内をグルりと一周できるタイプの観覧車まで連れてこられた。

 

「はいはいー!そんじゃさっさとレッツゴーですのよー!」

 

そうして対面座席タイプのゴンドラに乗せられた二人は係員のに見送られて行った。

 

「…はぁ…何だかようやく腰を落ち着けられたわね…」

 

「…(コクッ)」

 

「そういえばみんなはどうしているんだろう…コヨミちゃんとかはあんなに怯えちゃって…大丈夫かな?」

 

「…。」

 

RASNは首を傾げていた。

 

「とにかくこれが終わったらみんなと合流しよ?空も紅くなっちゃったしね…」

 

そうしてRASNの反対側に座り、外を見るメアの顔に夕日が照らし差していた。

 

「…ん…夕日が眩しい…そっち行っていい?」

 

「…!(コクッ)」

 

そう言うとメアは立ち上がってRASNの隣に座った。

 

「……。」

 

「……。」

 

そうして二人の間には沈黙が続き、一周してきたのであった。

 

「…。」

 

「…それじゃあ…行こう?」

 

出てきた二人は肩を並べて出てきたのであった。

 

「随分と仲がいいんだな?メア。」

 

「…!?その声…バイパーさん?!」

 

「俺もいるぜー?はぐれたと思ったらようやく合流できたぜ。」

 

そんな彼等の目の前に現れたのはバイパーとオズマであった。

 

「はぐれたって…まさかつけてきたんですか!?」

 

「そうだな、油断だらけでセラにいい土産話が出来そうだ。」

 

「…出来ればその土産話は俺にくれないかな?」

 

「勝手に話を進めないで下さいよー!?」

 

「おっと、すまねぇ…そんじゃ御詫びに今夜一杯…」

 

「お断りします、行くんなら女子会しますから。」

 

「あらら…」

 

「今夜は空いてるぞ?」

 

「お前の今夜は聞いてないって…!」

 

「…そんな事より!!何で尾行してるんですか!?」

 

「ん…?まぁ…面白そうだから?」

 

「…真面目に…!お願いします!」

 

メアは何処からともなく取り出したルーンチェーンソーを突き付けた。

 

「…おぉ…怖い怖い…まぁ…頼まれちまったからな…なぁ?」

 

「そうだったか?」

 

「…頼まれたって誰に!?」

 

「そうカッカしなさんな…ほらほら、もう隠せねえから出てきてくれ~でないと俺達がヤバイって…」

 

「……。」

 

オズマがそう力弱く言うと物陰からグローザが出てきた。

 

「…!?…この感じ…闇っ…!?」

 

「…そうだけど?…一応灰緑の魔障って言っていたしね…それで?」

 

「…っ!断ち切るっ!」

 

次の口を聞く前にメアは目を引きつらかせてルーンチェーンソーでグローザに切りかかっていた。

 

「うおっ!?あぶねえ…あぶねえ…!」

 

「余裕回避、カウンターエッジできるぞ。」

 

「…!」

 

「…危ないじゃない!?」

 

オズマとRASNはコロリと回避し、バイパーは頭に!マークを浮かべて立っておりグローザは衝撃によって飛ばされていた。

 

「断ち切る…!闇は断ち切るっ!あれ…?!オズマさんやバイパーさんはあの闇に協力していた…?だったら…あの二人は…闇に憑かれて…?!」

 

メアは首元から血を滲ませながら手にしているルーンチェーンソーの刃の回転をギュルギュルと上げて向かって来た。

 

「おいおい!?待てよ!いくらなんでもそういう風になんのは…」

 

「…まさかっ!メアの奴ルーンの取り替えを忘れていたのか!?」

 

「…!」

 

「RASNの奴もそうだって顔をしてるぜ!俺がいるのにタイミング悪いぜー!?」

 

「闇は…うわっー!」

 

そうしてメアはルーンチェーンソーをグローザに叩きつけようとするがその刃はRASNの持つ光焔剣が受け止めていた。

 

「黒の王子様!?」

 

「黒…!?えっ…!?」

 

メアが受け止めているRASNを見て驚愕していた、それは光焔剣を持つRASNの髪が赤と黒でハーフ染めとなっていたのだから。

 

「…なんで?!さっきまでずっと一緒にいたのに…!?気配の欠片も無かったのに…!?何でRASNから闇が…!?うわぁぁぁ!!」

 

「…!」

 

メアが叫びルーンチェーンソーを引き上げて回転を上げて再度叩きつけようとするが、RASNはそれを察知しグローザを抱えて回避した。

 

「黒の王…RASN様…申し訳ございません…私が…不甲斐ないばかりに…」

 

「…!やっぱり…やっぱり闇なの…!?」

 

「…!」

 

「…おう!何となくしか分かんなかったがグローザちゃんは任せな!その代わりメアちゃんは頼むぜー!?」

 

「ちょっと!?どこ触ってんの!?」

 

RASNのアイコンタクトを受け取ったオズマはグローザを抱き抱えてその場を去った。

 

「さて…どうするかなRASN?」

 

バイパーはルーンジグゾーを取り出して姿勢を低くした。

 

「…!」

 

「打開策はチェーンソーに付けられたルーンを外して壊すか…またはチェーンソーを手放させるか…メアを刻むかだ…」

 

「…!!」

 

「そうだな、後者は無しだ…俺が隙を作るからお前も隙を作れ。」

 

「…!」

 

「よし…行くぞ!」

 

そしてバイパーはメアのルーンチェーンソーに目掛けて攻撃した。

 

「ぐぅぅ!」

 

「今だ…!」

 

「…!」

 

バイパーがメアのチェーンソーを止めている間にRASNはメアの後ろに回ってメアを羽交い締めにし、メアはルーンチェーンソーを落とした。

 

「ぐう!?」

 

「…今だな!」

 

そうするとバイパーは落としたチェーンソーの中にある黒く濁ったルーンを抜き取り破壊した。

 

「…どうだ!?」

 

「放せぇ!!」

 

「…!?」

 

だがメアはそんな事構い無しに羽交い締めをしているRASNに肘を強く何度も当ててきた。

 

「RASN!?」

 

「…!」

 

だがRASNは苦悶の顔を浮かべながらも一歩も引かずに羽交い締めにしていた。

 

「やめろぉ!私は断ち切る…!断ち切るしか…!」

 

「…!」

 

そしてRASNはいつものようにルーンの光を溢れさせ血と共に涙を溢しているメアを包み込んだ。

 

 

 

 

 

「……ん……。あれ…?私…?」

 

ルーンの光が消えて、中から現れたメアの目はいつものような穏やかな様子になっていた。

 

「…戻ったか…?」

 

「あれ?バイパーさん何で私の武器を…?」

 

「…メア…ルーンの取り替えはしたのか?」

 

「取り替え…あっ!ごめんなさい!」

 

「…謝るなら俺よりRASNに…だな。」

 

「えっ…RASNに?…!?」

 

メアが辺りを見回し自分の後ろにいる少々の返り血を顔に浴び苦しそうな顔で倒れているRASNを見るとメアは赤髪に戻ったRASNに駆け寄り抱き上げた。

 

「RASN…!?そんな…まさか…私が…!?」

 

「…そうだ…グローザを見たお前は暴れだしてこの有り様になった…」

 

「でも…あれは…!」

 

「あぁ…かつて混沌と呼んだ闇だな、だがそうなら闇の感じがするRASNはどうだ?」

 

「…どうだって…?」

 

「…こいつがこうなれたのは俺達が飛行島に来る前から出来た…いや根底は闇なのかもしれないがな。」

 

「…それじゃ…」

 

メアは抱き上げているRASNを見つめた。

 

「それは分からん、だがな飛行島の桃色の髪の女から聞いたがあの力は銀の星たぬきを狩る時がメインだと聞いた。だがそれはそれとして…」

 

「…。」

 

「お前が反応したグローザは闇だ、だがあの時に俺とセラの前に出てきた奴に比べれは驚異も悪意も無いに等しい。」

 

「…。」

 

「だがあのグローザも闇に対峙…いや飛行島の一員だ。」

 

「…でも…!」

 

「…後はお前で考えてみろ。」

 

「え…!?」

 

「…考えてみたら親切に喋りすぎたな、どうとらえるのかはお前次第だしな。」

 

「おーい!お前らー!」

 

メアが困惑の顔を浮かべると遠くからオズマが駆けて来ておりその後ろにはカスミ達もいた。

 

「またタイミングがいいな、それにオマケ付か。」

 

「あぁ、そうだな。丁度戻ってくるときに合流出来ちまってな、事情を説明したら付いてきたからな。」

 

「にーに!?大丈夫!?」

 

「…パパ!?」

 

コヨミとヒナはRASNに駆け寄り、カスミはメアの近くに寄った。

 

「…大丈夫…?」

 

「…うん…私は…大丈夫…」

 

「…メア…あんまり無理に一人で抱え込まないでよ?」

 

「…うん…ありがとう……。」

 

その一方でRASNはコヨミの手に持つタローに顔をペロペロと舐められ、ヒナによって体を揺すられていた。

 

「にーに…起きてよ…!にーに!」

 

「キャンキャン!クゥーン…!」

 

「…ピヨ…パパ…」

 

「…、…!」

 

するとRASNは目を開いて起き上がった。

 

「…!にーに!よかったぁ!」

 

「キャウン!」

 

「パパ…良かったね…」

 

そして目を覚ますとRASN目掛けて突っ込み、RASNは訳も分からずそれらを受け止めてまた倒れ込んだ。

 

「…!?」

 

「…ねぇ…RASN…」

 

そんな彼の所にメアが俯いた顔で近づいてきた。

 

「…その…ごめんなさい…二度も止めてもらって…」

 

「…!」

 

「うん…でも私は…また貴方をいや飛行島のみんなを…!」

 

「…!」

 

「…一人じゃない…?」

 

「そうよ…RASNだけじゃないし私たちもいるわ。」

 

「コヨミもいるよ!」

 

「ヒナも…!」

 

「キャン!キャンキャン!」

 

「みんな…!」

 

そうしてメアはコヨミとヒナに続いてRASNに抱きついた。

 

「いやーいいねーこういう友情はよ…」

 

「ところでこの辺りはどうしようか?」

 

バイパーが大円団しているRASNの周囲の穴だらけな道を指差してそう言っていた。

 

「…まぁ…あんなになって逃げるぞってのは無いしな…?」

 

「…んで?」

 

「分かったよ…!ここら辺は何とか俺がしとくぜ…」

 

「…後で奢ってやる。」

 

「…はぁ…そのお誘いは是非ともレディから受けたいぜぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして遊園地から帰ってきて数日…

 

-飛行島-

 

「…ルーン良し、チェーンソーの回り具合も良し…」

 

メアは一人ルーンチェーンソーのメンテナンスをしていた。

 

「随分と余念がないな、メア。」

 

「ん…?ああ、バイパーさんですか。準備は万端にしておかないといけませんから…ね!」

 

そう言うとルーンチェーンソーはけたたましい音と共に刃を回した。

 

「…それで、答えは出たのか?」

 

「…あのあと色々と考えたり悩んだりして、出てきたのはやっぱり闇は断ち切るべきだと思います。」

 

「…。」

 

「でも…断ち切るのは悪しき闇だけ…!」

 

「…ならグローザはどうするんだ?」

 

「…今はまだ受け入れつつも監視するのがいいと思います、でも信頼はしてみようと思います。」

 

「…ほぉ…随分と甘いな。」

 

「甘くても構いません、それが私の意志ですから!」

 

メアはルーンチェーンソーの刃の回転を止めた。

 

「…だがそれを貫くならば相応の覚悟はあるのか?またあの時のように…」

 

「…なれないとは言えないけども…もしそうなっても仲間がいるから…」

 

「やはり甘い…だがお前にはそれが良いのだろうな…?」

 

「そう信じます。」

 

「…そうか…なら頑張れよ。」

 

そう言い残すとバイパーはフッと消えた。

 

「…あっ!そういえばカスミ達と約束していたんだった…!急がなきゃ!」

 

そうしてメアはアジトへと駆けていった。

 

 



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