…………もしも心底「死」を望んだ時、人は一体どうするのだろう。
周りに死にたいと言う意を打ち明けるのか。
救いを求めるのか。
はたまた、「自殺をしてやる」と喚き散らすのか。
それとも、自殺をする前にたらふく美味しい物を食べて、此岸との別れを惜しむのだろうか。
…………………答えはどれも否である。
本当に死にたい時。脳は、心は死ぬ事以外を考えられなくなる。
まして人に相談なんてしない。死ぬ前に何かを楽しめるような余裕もない。
え?
………なんでそんな事がわかるんだって?
そんな事は簡単だ。
『………こんな世界なら、いっその事。
消えてしまった方が幸せなのに。』
解る理由はたった一つ。
………私は、自殺で「この世界」を去った人間だから。
…………………………………。
そう。自殺して私は死んだ。
ならば今いる場所も、天国または地獄でなければおかしい筈なのだ。
自殺した時私は、これで全てから解放されて、何も無い世界でゆっくり休めるのかと思っていた。
(………なのに、なんで……。)
「はい、そこで呪文を叫ぶ!ぼけっとしてたらいつまでたっても、一人前にはなれませんよ!?」
私の眼の前では、ぴっちりとした黒服に身を包んだ女性が仕切りに怒鳴り散らしている。
……私の額にピシッと青筋が浮かんだ。
「いや、空気読んでくれません!?今超シリアスっぽい流れだったのに台無しじゃん!水の泡じゃん!」
「知りませんよそんな事!それより仮にも魔法騎士団に入団を希望している者が、そんな態度で許されるとでも!?」
「えぇ、許されないでしょうねぇ「入団希望者」ならね!!生憎私はンなモンになる気サラサラ無ェんだよオバサンッっ!!」
好き勝手怒鳴りつける相手に、私は負けじと言い返す。屁理屈なんて言えた事はロクに無かった筈なのに、一度死んだせいか恐ろしくスラスラ口から出てくる。
「兎に角私はこんな事の為に死んだんじゃ無いんですよ!!分かったら私をさっさと解放してくれませんかオバサン!!」
「オバサン言うなクソガキっ!!こちとらまだ22だぞテメェっっ!」
喚き散らすオバサン事、魔法騎士団団長サマを一瞥し、私はゆっくりと頭を抱える。
………なんで私は魔王直属の騎士団で、魔法修行なんてしているのだろうか。て言うか死んだ筈なのに。
(…………………こんなの、
話が違うじゃ無いですか……。)
もし悪い夢なら、さっさと覚めて欲しい。
………まぁ最も。
もし覚めても、其処には最悪の日々が待っているだけど。