ちなみに、後書きの内容は今回はほとんどありません。
それでは、どうぞ。
少女Vがいるという場所に響が到着したとき、既に他の装者5人の姿がそこにあった。
装者たちはノイズの少女と対峙するように並んで立っており、対する少女Vは海を背にしている。互いに動きを見せないまま睨み合っており、緊張感ある雰囲気が伝わってくる。
ある程度近づいていったところで、少女の視線が響の方を向く。その瞳には、相変わらず人間への憎しみがたぎっているようだが、それ以上にこの前のような鬱陶しいと言わんばかりの感情がこもっていることが分かった。
「! 響さんも来たみたいデス!」
最初に気づきた切歌の声により、他の装者たちも響の存在に気づく。その顔はほころんでいたり笑みを浮かべはじめたりと、誰もが響の到着を心待ちにしていたことを物語っていた。
それもそのはず。なにせ、立花響はノイズの少女への対策のカギとなるのだから。
「遅れてごめん! みんな、大丈夫!?」
「まあな。アッチは敵のアタシたちよりも、聖遺物のネコババにご執心らしい」
「ああ。雪音の言う通り、あの少女にとっては目的の聖遺物の方が目の前の敵よりも重要らしい。
現に、今回もこちらに牙をむくことなくあのノイズを海に送り出すばかりだ」
再び敵意がこもった視線で少女Vの方を見やるクリスと翼。
睨まれている相手の方は、こちらの方を向いているとはいえ、背中からノイズを生産することで聖遺物を奪うための駒を増やし続けているようだ。後ろから肉塊が出てきて、それがクジラの形へと変化し、海へ飛び込んでいっている。
「あなたが思っていたよりも早く来てくれて助かったわ。
私たちはS.O.N.G.本部にいたおかげで、すぐに現場に急行することができたけど、あの少女を相手にするうえであなたの存在が不可欠だもの」
「でも、響さんが来てくれれば百馬力デース!」
「切ちゃん、それを言うなら百人力だよ……」
「御託は後だ! まずは全員で今度こそアイツをとっ捕まえるぞ!」
クリスの言葉を皮切りに、少女Vの方を向き構える装者たち。しかし戦う姿勢をついに見せた彼女たちを前にしても、ノイズの少女はいまだに最優先して倒すべき敵として彼女たちのことを見ていなかった。
◇
戦う準備を整えたと見える敵を前に、メリュデは煩わしいという感想しか抱いていなかった。
彼女にとって果たすべきなのは、人間を根絶することよりも、《仲間》を取り戻すことに遷移しているのだ。すなわち、常に交信しながらクジラ型ノイズに《仲間》を探させている現状において、装者たちの相手をする気もないし、わざわざ迎え撃つのも面倒でたまらない。
(――だったら、代わりに相手してもらえばいい)
この状況において、少女は、ノイズを生み出す聖遺物の力ではなく、ソロモンの杖の能力を使うことにした。
◆
少女Vの体が一瞬、黄緑色に光ったかと思うと、その光は周囲1kmにわたり拡散し、その無数の光の中からノイズが現れた。ほんの数秒で、少女と装者以外だれもいなかったはずの付近は、いまや数えきれないほどのノイズがあふれる空間となったのだ。
「そんな、一瞬でこんな数のノイズを!?」
「まさか、ソロモンの杖の機能か!?」
「装者の周囲1kmにおいて、多数のノイズ反応を確認!」
「おそらく、ソロモンの杖によるノイズの召喚かと……」
突如現れた大量のノイズに、S.O.N.G.司令部のオペレーターたちは慌ただしい様子で観測をおこない、報告をする。
弦十郎も、まさかここで一瞬にして数えきれないほどのノイズを用意するとは思ていなかったため、表情を苦々しくゆがめている。
「バビロニアの宝物庫に待機させていたノイズを、ソロモンの杖で一斉に召喚する。
彼女自身がノイズを作り出せることが、そのことを盲点としてしまいましたね……」
「前回それをおこなわなかったのは、する必要がないと判断したのか、あるいは、できなかったのか……」
「計測完了しました! ノイズの数、約6万!」
「たかだか6万!」
そう啖呵を切り、初めに飛び出した響が目の前のノイズの群れに飛び込む。ハンマーパーツの弾性を利用した必殺パンチで、数十のノイズを吹き飛ばし、チリに変えていく。
「バカ! お前、自分の役目を分かってるんだろうな!?」
「へいきへっちゃら! だから皆も、ノイズの相手をお願い!」
そう言って、襲い掛かってくるノイズを相手にしていく響。人型には打撃をくらわし、刃を避けて蹴りを叩き込み、飛んできたブドウ型の爆弾をつかんで逆に投げ返す。まさに一騎当千の動きをしていた。
だが、装者6人に対して、ノイズ6万。一騎当千どころか、一人当たり1万のノイズを倒さなくてはならないことになる。
「ったく、アイツ目的を忘れてんじゃねえだろうな。ノイズを相手にするときはイキイキしやがって……」
「だが、立花の言う通り、人命を守るためにノイズの殲滅は欠かせないだろう」
そう言いつつ、「千ノ落涙」を放ち、文字通りとはいかないが数百のノイズを無数の青い剣で貫き葬り去る翼。
「そうね。まずは目の前のノイズを片付けてから、メインと行きましょうか!」
マリアもまた後ろの集団に突っ込み、左腕部ユニットから短剣を引き抜き、それに続くように引き出されたいくつもの短剣でノイズを攻撃する。短剣に刺され、貫通したノイズは例外なく黒い炭素となって果てていく。
「まあ、あのバカの馬鹿に付き合うのも初めてじゃねえか……。
おい! 後輩どもも先輩たちに続け! ちゃっちゃと終わらせる!」
「はいデス! 今更どんなに数を用意したところで、もうノイズなんかに負けないってとこを見せつけてやるですよ!」
「うん。目にもの見せてあげる!」
そして装者たちは、6方向へと散開して、各個にノイズを倒していく。もはや、普通のノイズでは今の彼女たちを止めることなどできやしない。
少女Vとは違い、命がけの戦いを繰りかえし、人を守るためにギアを纏う彼女たちは、いまや万のノイズを以てしても止めることもできないほど強いのだから。
◇
なにかがおかしい。ノイズの少女は違和感を感じていた。
別に、装者たちがどんどん自分のしもべを倒していっていることに疑問を覚えているわけではない。それだけの力を持っていることは、既に知っているからだ。初めて見る奴らに関しても、同じだけの力を持っているだろうと思っているからこそ不思議に思わない。
問題は、この前は自分の《声》で奪うことができていたはずの奴らの力が、まるで手に入らなくなっている事だ。
自分がこの《声》を奏でさえすれば、こちらのものとなっていたはずのその力は、どこかで引っかかっているのかのように流れてこなくなっている。
試しに、意識を敵に集中しながら、《声》を奏でてみる。するとどうだ、やはりあの力はあの忌々しい人間どもからこちらへと……
(――え?)
流れて、こない。確かに流れが止まって、力は元の場所へと戻っていく。
だが、分かったことがある。一体どこで力の流れが逆転しているのかが理解できた。
(――あの女か!)
少女が睨む先には、明るい茶髪をした、ガングニールを纏って戦う少女の姿があった。
◆
「どうなることかと思いましたけど、あのヴォカリーズに対抗することはできましたね」
緒川が今のところはなんとかなっている状況に安堵しながら、弦十郎に話す。弦十郎は、作戦がうまくいったことに笑みを浮かべながら状況を確認している。
「響君の歌があの少女の歌に近い特性を持つならば、逆にこちらからフォニックゲインを取り戻せるはず。
ならば、そのために足りない出力を、響君が装者6人の歌を束ねることで補えばいい」
「魔法少女事変の際のキャロルとの戦いと同様、装者6人分の歌の出力があの少女の歌の出力を上回ることで、フォニックゲインの制御権を取り戻しています。
今まで歌を重ね合わせてきた経験があるからこそできる荒業ですけどね」
友里が苦笑しながら、今日までのキセキがあったからこそ少女Vにヴォカリーズに対抗できていると語る。
「だけど、もしVの出力が装者たちの出力を上回る、そうでなくても要となる響ちゃんの歌が途切れた場合……」
「心配いらないさ」
常に最悪の状況を想定したうえで警戒を促す役目を持つ藤尭の言葉を、今回ばかりは大丈夫だと弦十郎が遮る。
「響君には、仲間がいる。それがVと我々との彼我の差だ」
脚部パワージャッキで勢いをつけ、そこから繰り出される突進により数百のノイズを倒していく響。さらに、大型のノイズに対しては、ハンマーパーツを用いて威力を底上げした拳で打ち抜く。活動ができなくなるほどのダメージを受けたノイズは、炭となって崩れ去っていった。
だが、数体の飛行するノイズが彼女の背中を狙い、ライフルの銃弾のように鋭い銃弾となって、回転しながら突撃してきた。
意識の外からの攻撃に、響は対応することができず――
ズダダダダダダダダダダダ!
ガトリングの銃弾に撃ち抜かれたノイズの銃弾が、黒く崩れ去るのを見るのに留まった。
「ノイズを倒していくのはいいとして、せめて攻撃は受けないように注意しとけ!」
響の背中を守ったクリスが、怒りの感情をあらわにしながら響に注意をする。
響が少女Vから自分たちのフォニックゲインを守りながらノイズと戦うように、クリスを含めた他の装者も、自分たちの戦いに臨みながらも響の歌がとぎれることがないようにちゃんと見ていたのだ。
機嫌を悪くしたクリスに、響は若干申し訳ない表情をしながらも、歌を止めるわけにもいかないので左手で感謝の意を伝えた。そしてまたノイズの群れに飛び込んでいった。
「だからちゃんと注意しろって言っただろ!
攻撃受けたら終わりなんだからな! いっそのこと歌うだけで戦わなくてもいいんだぞ……て言っても、聞く奴じゃないか……」
いつも通り話を聞かない一直線な後輩だからと諦めたクリスは
「そんじゃあ、あのバカが止まる前にお前らを片付ければいいな!」
――MEGA DETH INFINITY
さっさとノイズを倒し切ればいいという結論に至り、大型のミサイル12基と小型のミサイル60基を展開し、それらをすべて発射することで、5000を超えるノイズを一気に、しかし味方に被害が出ないよう確実に殲滅して見せた。
「全く、立花も雪音も張り切ってくれる。だが、気持ちは分からなくもない」
一方翼の方は、1対1でノイズを数十ほど切り裂いたのち、「逆羅刹」で独楽のように回転しながら脚部のブレードで数百のノイズを葬り去っていく。
そんな彼女を、大型の人型ノイズが押しつぶそうと腕を振り上げる。
「この前の雪辱を晴らせると思えば、この心が踊り狂ってしまいそうになる!」
そして、大型ノイズの腕が振り下ろされ、巻き上げられた地面のかけらや土砂が、辺りを見えなくする。
大型ノイズが翼を見つけたのは、下、ではなく自分の上。なんと彼女は、逆羅刹で上下さかさまになったまま、見事跳躍して見せたのだ。
「知るがいい、これが本当の防人の剣だ!」
――天ノ逆鱗
そして彼女は、アームドギアを大型ノイズに投げ、巨大な刃として再形成し、その後部を蹴り込みバーニアから火炎を噴出させ、まるで剣の達人が放つ突きのように素早く、そして鋭く巨大ノイズを貫いた。
「ハアァ!」
マリアの方では、要塞のようなノイズが、備え付けられた大砲で攻撃してきており、それをバリアで防いでいた。皮肉なことに、マリア自身が手を下さなくとも、他のノイズの多くは要塞型の攻撃で葬られていた。
「そろそろオードブルはおなかいっぱいだから、メインの方に行かせてほしいのよね」
不敵な笑みでそう言ってのけるマリア。その言葉に反応したのか否か、さらに攻撃を激しくする要塞型。それをかわし、時にはバリアで防いでいく。
その攻防は、いつまでも続くかのようにすら思えた。
だが、突如相手の砲撃がやんだ。なまじ威力のある攻撃だったために、
「あら、もう終わりなのかしら? それじゃあこっちも、砲撃でお返ししようかしら」
そう言って、マリアはアームドギアである短剣を左腕部ユニットの内部に納刀するように接続する。すると、ユニットが多数の光り輝くフィンを有する射撃形態へと変形し、掌部が変形し形成した砲身から高出力のエネルギーが充填される。
相手がチャージする様子を、抵抗するすべを失ったノイズはただ見ているだけしかできなかった。
「受けなさい! これが、アガートラームの力よ!」
――HORIZON†CANNON
そして砲身から迸るエネルギーは、要塞型を消し飛ばし、ついでに周囲で生き残っていたノイズも蒸発した。その数、およそ三千。LiNKER頼りと言われようとも、その強さに一切の偽りはなかった。
「切ちゃん!」
「調!? いつの間にか合流しちゃったデスか!?」
とにかくノイズを先に倒すことに夢中になっていた結果、偶然にも別々の方向のノイズを担当していたはずの調と切歌の二人は、いつの間にか横に並びながらノイズを倒していた。
調は、巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進する「非常Σ式 禁月輪」で移動しながらノイズを切り裂き、同時に手に持ったヨーヨーで打ち漏らしたノイズを砕いていっている。
対して切歌は、肩部プロテクターを展開し、それぞれの先端に鎌を装備させて自在に操る「封伐・PィNo奇ぉ」で周囲のノイズを縦横無尽に切り裂いていきながら、手に持った鎌で確実にとどめを刺しながら移動している。
他の装者ほどの殲滅力はないが、だからこそ各々のアームドギアを最大限に活用した方法で、二人は次々とノイズを切り裂いて数を減らしていった。
だが、そんな二人をあざ笑うかのように、大型のノイズが目の前をふさぐ。どうやら通常の何倍もの大きさに作られたらしく、そのぶよぶよした体を揺らしながら、口からさらに多数のノイズを吐き出していた。
その巨体、ほかの装者ならともかく、調と切歌では、XDモードでもない今の状態では、一人で倒すのは時間がかかるだろう。だが、二人でなら――
「いくよ、切ちゃん!」
「合点承知のスケ、デースッ!」
――禁合β式・Zあ破刃惨無uうNN
掛け声とともに、上へと思いっきり跳び上がる二人。空中で調のヨーヨーが切歌のアームドギアである鎌の柄の先に接続され、巨大な刃が付いた車輪へと展開する。そして車輪を回転させながら、二人は超巨大ノイズへと突撃していく。
「マストォォォ!!」
「ダァァァァァァイ!!」
そして、二人の攻撃は見事ノイズを貫き、山のように巨大なノイズは崩れ去り、後は黒く染まった山が残るばかりであった。
「調ちゃん、切歌ちゃん、通常よりも巨大な大型ノイズを撃破!」
「二人の討伐数は、合計で1万と6千を超えるものと思われます!」
「響ちゃんの撃破数、9千を超えました! この調子だと1分足らずでノイズの殲滅が完了する模様です!」
司令部でも、装者たちの大活躍に、喜色にあふれた報告をするオペレーターがいるほど場の雰囲気が盛り上がりを見せていた。
「この調子でいけば、きっとあの少女も……」
「ああ。だが……」
同じように、最近では見られなかった装者たちの調子のよい姿に明るい展開を見ている緒川からの言葉に、弦十郎は一応の肯定を示しながらも、どこか歯切れの悪い様子だ。
理由は、モニターに映っている少女Vの様子だ。
先ほどまで背中からクジラ型のノイズを生み出しながら装者たちを警戒している様子だった彼女だが、いつの間にか
いったいそれが何を意味するのか、弦十郎には察しがついていたからこそ、今度の展開に不安すら覚えるのだ。
「司令! 海に出たノイズが、突如進行方向を反転させました!」
「なに!?」
そんななか、ノイズの動向を調べていたオペレーターの一人からの報告が上がる。
やはりそうだったか。そういう想いを抱きながらも、弦十郎は次の指示を下す。
「ノイズが反転した位置を、モニターに出せ!」
「はい!」
オペレーターがモニターに、ノイズが進行する方向を逆転――つまり少女Vのところに戻り始めた位置を表示する。そこは、その場にいた面々にとって、心当たりがあるなんてものじゃなかった。
「『深淵の竜宮』付近だと!」
「やはり、彼女の目的は聖遺物!
深海にある深淵の竜宮に保管されていた聖遺物を回収するために、海中で活動することができるノイズを送り込んでいたというわけですね」
「少し座標がずれているのは、深淵の竜宮が破壊された後に流されたものだと考えられます」
「でも、基底状態にあるはずの聖遺物は、今の技術力では簡単に探知できないはず……。
いったい彼女は、どうやって正確な位置を見つけて回収することができたんだ……」
藤尭の言葉に、やはりあの少女を甘く見てはいけないと認識を修正する弦十郎。
目的のものを回収した少女Vに対して、警戒を強めるよう装者たちに伝える。
「少女Vのノイズが、目的の聖遺物を回収したと思われる!
目的を達成した彼女が、君たちに対しどのような手段を講じるのか分からん!
絶対に油断だけはするな! 一瞬のスキが、命につながると考えろ!」
◇
すべてのノイズを倒し、最初の時のようにノイズの少女の前に並び立つ装者たち。
違う点を挙げるとすれば、戦闘で体が温まってきたことと、響の歌によってヴォカリーズでもフォニックゲインを奪われないと実証されたため自信がついているという事か。
「いくらノイズを生み出したところで、物の数には入らないぞ」
「いい加減に観念するデス!」
「逃げようとしても、私たちがすぐに止めて見せる」
「聞きたいことだって山盛り一山あるんだ。逃がすつもりなんてあるかよ」
「これ以上抵抗しなければ、手荒な真似はするつもりはないわ」
装者たちは口々に、おとなしく投降するようにノイズの少女に呼び掛ける。しかし彼女は、装者たちの言葉に何の反応も示さず、ただ彼女たちをにらみながら佇むだけ。
すると、響が一歩前に踏み出した。この時少女Vが警戒するような動きを見せたので、思わず他の装者たちもアームドギアに力が入ったが、響の「お願いします、一度だけでいいので話をさせてください」という言葉に、さやに収めた。
「Vちゃん……は名前じゃなかったっけ。
ねえ、君はどうしてこんなことをするの?」
一方、相対している少女も察し始めた。この人間は戦うためではなく、話をしたいためにこんなことをしているのだと。
「どんな理由があっても、人の命を奪うことは、悪いことだよ。
だから、君が誰かを傷つけるのなら、私たちは拳を握って戦う」
以前は、もしかしたら自分もそうしていたかもしれないと、ノイズの少女は考えた。
誰かを殺す人間がいたとしたら、自分は話をして止めたいと思ったかもしれないと。
「でも、もしその理由が、私たちの納得できるものだったら、協力することはできる。
人を虐げることはできないけど、私たちのできることで手伝うことはできる!」
今のノイズの少女にとって、それはとても輝いているようにさえ見える。純粋に人間を、その善性を信じている姿が。
「私たちは、きっと手を取り合える!」
ようやく理解した。目の前のヒトは、かつての自分と同じような人間だと。
⁅じゃあ、私の言っていることが分かるの?⁆
それが、どうした?
「……え?」
初めて少女から発せられた《言語》と思われる声に、響は困惑を隠せなかった。
その様子を見ていた少女は、それみたことかと言わんばかりにため息をつく。
別に期待していたわけではない。ただ、長く眠っていたとしても、人間というものは変わらないということを再確認したかっただけ。
そもそも、この人間が、
善性に傾いていようが悪性に傾いていようが、「人間」という種族は、他の種族を虐げ、母なる星を汚し、同族でさえ殺すような害悪なのだから。
バラルの呪詛とか相互理解の不全とか、そういうものに起因するものではない。あるいは、カストディアンという傲慢な存在に作られたからこその性質なのかもしれない。
だから、自分は人間をやめたのだ。善性だけだろうと人間の全てだろうと信じてきたメリュデは死に、傲慢な種族を殺すための
(もういい――)
少女の背後から、水しぶきが上がる。彼女の目的である《仲間》を吸収して持ってきた、クジラ型のしもべが帰ってきたのだ。
少女はそれを、ソロモンの杖の力でノイズごと異空間へとしまう。
(《仲間》は全員帰ってきた)
少女の雰囲気が変わったことを察した装者たちは、攻撃を仕掛けようとする。そんななかでも、響は彼女に声を届けようとするが、もう少女には何も聞こえない。
――ジャマナコイツラハ、イイカゲンコロソウ。
次の瞬間、少女の体は、
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
オリジナルキャラの挿絵などもあった方がよろしいでしょうか?(作者自身が描くが、画力は期待しない方がいいレベル。描くならペイントか手描きの二択)
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挿絵はあった方がいい(ペイント)
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挿絵はあった方がいい(手描き)
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挿絵はない方がいい
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どちらでもよい