狼王戦記 ~黒き白狼天狗の軌跡~   作:カオ宮大好き

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第83話 後始末~本当の決別~ ※(一部)

「――終わったわよ」

 

 永遠亭の客間に、永琳の声が響く。

 椛を救出した俺はすぐさまここへ赴き、永琳に事情を説明して彼女の治療を依頼した。

 それから程なくして永琳は戻ってきた、仕事の早さに感嘆しつつすぐに椛の事を訊こうとしたのだが……。

 

「落ち着きなさい、大丈夫だから」

 

「俺は落ち着いてるぞ?」

 

「よく言うわよ、表情から冷静さがまるで感じられないわ。今に泣きそうな子供みたいよ?」

 

「……」

 

 頬が熱くなる。

 泣きそうな子供って……今の俺、そんなに余裕がないのか?

 そんな事を考えていたら永琳に苦笑された、余計恥ずかしい……。

 

「このままあなたをからかうのもいいけど、さすがに可哀想ね。

 あの子の治療は無事終わったわ、受けた傷は全て消せるし失われた体力も丸1日眠れば戻るでしょう」

 

「そう、か……」

 

 肩の力が抜ける、おもわず項垂れそうになってしまった。

 ……永琳の言う通り、全然余裕がなかったんだなと理解する。

 

「ありがとう永琳、治療費は後日になるが……」

 

「気にしなくていいわ。あなたはきちんと払ってくれると信頼しているし」

 

「助かる」

 

「――それより、あなたにはまだやるべき事があるんじゃないの?」

 

「……」

 

 その言葉で、和やかな空気が一変した。

 ああ、そうだ。俺にはまだやるべき事がある。

 用意してくれたお茶を一気に飲み干してから、立ち上がる。

 

「椛は、暫く眠ったままだな?」

 

「1日は眠り続けるでしょうね、そういう薬を投与したから」

 

 今は日が暮れ始めている、なら明日の夕方までは目覚めないか。

 それだけの時間があれば充分だ、永琳にもう一度礼を言って俺は永遠亭を後にする。

 

「聖哉」

 

 と、その前に永琳に呼び止められた。

 

「これは余計なお世話かもしれないけど、いつもの自分を忘れるような事はしない方がいいわ」

 

「……」

 

「その果てに残るものなんて何もない、かといってその感情を否定しろだなんて言わないわ。

 だけど少なくとも私はいつものあなたの方が気に入っているし好きよ、それだけは忘れないでね?」

 

「…………ああ、わかってるさ」

 

 何がわかっているのか、明確には返さないまま今度こそ俺は永遠亭を後にした。

 その足でまず人里へと向かう、碌に事情を説明しないまま飛び出したから慧音が心配しているだろう。

 

 何事も無く里に到着する。

 慧音の家へと向かうと、そこには彼女と……何故か霊夢の姿があった。

 

「聖哉!!」

 

「うおっ……」

 

 地面に降り立ったと同時に、慧音が俺に詰め寄ってくる。

 

「怪我はしていないか!? 椛はどうした!?」

 

「お、落ち着け慧音……」

 

 宥めるように言うが、興奮している彼女の耳には届かないのか、矢継ぎ早に質問を繰り返してくる。

 その剣幕に圧されながらも、俺は山での出来事と椛の事をどうにか話す事ができた。

 

「そ、そうか……よ、よかった……」

 

 心底安心したように呟きながら、慧音はその場でへたり込んでしまう。

 かなり心配を掛けてしまったようだ、なので俺は改めて彼女に向かって頭を下げ謝罪する。

 

「すまなかった慧音、本当にすまない……」

 

「……いいんだ、お前達が無事ならばそれで。それに……お前もいつものお前に戻ってくれたみたいだから」

 

「……」

 

 あの時の慧音の顔を思い出す。

 目の前の俺を、心の底から恐がるような表情を浮かべていた。

 それなのに、今の彼女は前と変わらない態度で俺と接してくれている。

 本当の意味で強く優しい慧音に、俺はただ感謝しかできなかった。

 

「ところで慧音、イリスは?」

 

「彼女なら今はアリスの所に預けている、彼女曰く自己修復機能はあるがアリスに預けた方が良いと言われてな」

 

 成程、確かに彼女の生みの親であるアリスに見てもらうのが一番良いだろう。

 しかし、自己修復機能を持っているのかイリスは……その事実に驚いた。

 

「――話は終わった? なら、今度は私が話していいかしら?」

 

「……」

 

 穏やかだった空気が、一気に引き締まった気がした。

 会話に割って入ってきた霊夢は、険しい表情を見せながら、俺に問う。

 

「聖哉、山での詳しい事情は今聞いたけど……今回の件、これではいおしまいってわけにはいかないのは判るわね?」

 

「……ああ、判ってる」

 

 里に被害が出た。

 その事実は幻想郷の番人である博麗の巫女が動くには充分過ぎる“異変”である。

 故に彼女も無干渉というわけにはいかず、こうして俺を待っていたのだろう。

 

「それで、アンタはこの後どうするつもりなの?」

 

「……もう一度妖怪の山に行く、そしてやり残した事を終わらせてくるさ」

 

「……」

 

 その言葉を聞いて、霊夢は黙り、慧音は驚愕した面持ちで俺に視線を向けてきた。

 ……俺のやり残した事が何なのか、理解したからだろうか。

 それでも止めようとしてこないのは、意外だなと思いつつも正直ありがたかった。

 

――俺の怒りは、憎しみは決して消えたりなんかしない。

 

「慧音、家の事はその後でも構わないか?」

 

「……家の事は既に里の大工達が動いてくれている、お前が気に病む必要は無いし謝る事もない。

 工事が終わるまで私達は阿求の所に厄介になる事になった、だから……」

 

「そうか……苦労を掛けた」

 

 あの時のような暴走にも等しい事態は起こらないかもしれないが、かといって……これで終わりにする事などできない。

 報いは、受けてもらわねば困るのだ。

 仮に椛が許したとしても俺は絶対に許さない、身勝手だと言われようが関係ない。

 命は限りのある大切なものだ、それでもこの世には……煮ても焼いても食えない存在というものがあるのだから。

 

「……今回のこれは妖怪同士の小競り合いで済ませるわけにはいかないわ、里に被害が出ているのだから」

 

「……」

 

「だから、博麗の巫女として今回の件の結末を見届けさせてもらうわ。拒否も文句も言わせないわよ?」

 

 そう言って、霊夢はそのまま妖怪の山へと向かって飛んで行ってしまう。

 有無を言わさぬその態度に俺は何も言えず、ただ黙って彼女の後を追った。

 

「お、おい聖哉!!」

 

「大丈夫だ慧音、すぐに戻ってくる」

 

 そう、戻ってくるさ。

 やらなければならない事を終わらせたら、な。

 

 

 

 

 夜の山には明かりなど無く、一寸先は闇とばかりの黒一色が広がっている。

 静かなものだ、不自然な程に。

 だから俺は霊夢を呼び止め、山の入口の少し前で待機しながら……“眼”を発動させた。

 

「っ」

 

 相も変わらず脳髄を焦がすような痛みが走る。

 なのでこの力を展開するのは僅か数秒、しかしその数秒で充分だ。

 

「霊夢、お前はここで待機しててくれないか?」

 

「なんで?」

 

「……山に入った瞬間、周囲に隠れている大天狗達が一斉に攻撃を仕掛けてくるからだ」

 

「は? ……ちょっと待ちなさいよ、そんな気配なんて感じられないんだけど?」

 

「俺の“眼”は全てを見通すんだ。それで霊夢、見届けるだけなら待機してても問題ないだろ? ――今回の件は、ここで終わらせる」

 

 予想は、していたのだ。

 あいつらが、このままおめおめと戻ってきた俺に対し何もしないなんて事はありえないと。

 こそこそと隠れて騙し討ちでもするとは思っていたが……その全てが俺に斬られた大天狗と。

 どういうわけか、豪厳まで居るのだから(・・・・・・・・・・)笑えない。

 

〈おいおい、天魔のねーちゃん何やってんだ?〉

 

 独断だろうさ、俺に斬られた事が許せない大天狗達が天魔様に黙って自由にさせたって所か。

 そんな事をすればどうなるのか少し考えれば判るというのに、奴等は余程俺を殺してやりたいらしい。

 その憎しみはある意味感心したくもなる、まあ……少し前の俺が言えた事ではないが。

 

〈あの時のお前とコイツラはちげえよ、一緒にするなって〉

 

 そうかい、ありがとなヴァン。

 しかし……仮にも山の重鎮である大天狗がこんな真似をするとは思わなかった。

 天狗組織というのは、俺が思っていた以上に腐っていたのか……。

 それに、今回の件で腑に落ちない点が幾つかあるが……それは後で考える事にしよう。

 

「一応周りに被害が及ばないように結界を張ってくれると助かる」

 

「なんで私が……まあ、いいけど。

 ――これから何をするつもりか知らないけど、私は見届ける事しかしないわよ(・・・・・・・・・・・・)?」

 

「…………ああ」

 

 まったく、この紅白巫女さんは本当に勘が良い。

 彼女は察している、これから俺が何をしようとしているのか。

 その上で止めようともせず、邪魔をしないと言ってくれたのだ。

 

〈さあ、始めようぜ?〉

 

 ヴァンの楽しそうな声に、俺は黙って笑みを浮かべる事で応える。

 ……ああ、駄目だ。冷静になったと思ったがそれは気のせいだったらしい。

 一度芽生えた怒りと憎しみは消えたりしない、寧ろ成熟したかのように大きく強くなっている。

 

 

 覚悟しろ、老害共。

 

 

 豪厳と共に俺を殺すというのならば。

 俺はもう、貴様達に一片の慈悲すら与えない――――!

 

 

 

 

――黒き嵐が、妖怪の山へと侵入する。

 

 瞬間、周囲から雨のように妖力弾が一斉に撃ち込まれる。

 その数は優に百を超え、その一つ一つに高密度の妖力が込められていた。

 逃げ場などない、完全に包囲する形で展開された豪厳率いる大天狗達の攻撃は、黒い嵐――犬渡聖哉へと着弾する。

 

 凄まじい爆音と共に、山全体が揺れ動いた。

 当然だ、ほぼ全ての大天狗が総出で放った攻撃なのだ、たとえ大妖怪であってもその身を粉々に砕く破壊力がある。

 だからこそ、至る所に潜んでいた大天狗達は着弾を確認すると同時に飛び出し、誰もが勝利を確信した笑みを浮かべた。

 

「犬渡、貴様の悪運もここまでだな!!」

 

 その中でも、豪厳は大声を張り上げ歓喜していた。

 狂気に満ちた笑みを隠そうともせず、ただただ聖哉の死を喜ぶが。

 

「――ぐあっ!?」

 

 大天狗の一人の悲鳴が響き。

 確信していた勝利が、ただの妄想に過ぎないという事を彼等は理解した。

 

「な、に……!?」

 

 目の前の光景が信じられず、豪厳は間の抜けた声を出す。

 彼だけではない、周りの大天狗達も唖然とした表情のまま。

 

――大天狗の一人を、体当たりで吹き飛ばし地面に沈めた聖哉の姿を眺めていた。

 

「……」

 

「ひっ……」

 

 それは、誰が放った悲鳴だったのか。

 あれだけの攻撃を受けたというのに、聖哉の身体には何のダメージも見られなかった。

 

 確かに命中はした、しかし聖哉は大天狗達の攻撃の殆どを文すら超える飛行速度で回避。

 更に着弾した妖力弾も、全力で展開した黒いオーラの前では呆気なく霧散するだけだった。

 

「消えろ」

 

 短く呟くその言葉は、大天狗達に対する死刑宣告。

 消えるように移動し、まず聖哉は全身を黒いオーラで覆いつつ近くの大天狗に体当たりを仕掛けた。

 ただの体当たり、しかし凄まじい防御力を持つ黒いオーラを纏った状態でのそれには莫大な質量が込められており。

 

 それをまともに受けた二人目の大天狗は、悲鳴すら上げる事すらできずその肉体を拉がせ、地面に埋まったまま動かなくなった。

 

「――――」

 

 単なる体当たりが、鬼の拳に匹敵する破壊力を見せた。

 その事実を目の当たりにして、多くの大天狗達は恐怖し戦意を喪失させる。

 

(馬鹿な、あいつはただの白狼天狗だった筈だ……だというのに、何故こんな力を!?)

 

「邪魔だ」

 

 再び、聖哉の蹂躙が開始された。

 風を切るような音が響く度に、一人、また一人と大天狗の命が消えていく。

 ある者は先程と同じように身体を拉がせ、ある者は大太刀による斬撃で斬り捨てられ。

 圧倒的、それ以外の表現すら思い付かない程の、一方的な殺戮が続いていった。

 

 無論、大天狗達とて無抵抗というわけではなかった。

 白狼天狗如きに恐怖しているという事実を必死に誤魔化しながら、まだ此方が有利だと己に言い聞かせ、反撃を繰り出していく。

 その高いプライドと驕り故に、彼等は逃走という選択を選べなかった。

 

「――――」

 

 その結果、場には豪厳と聖哉しか残らず。

 他の大天狗達は、もう二度と動かぬ骸と成り果てていた。

 

「な、何故だ……何故このような結果になった!?」

 

「……」

 

「我々は大天狗だぞ!? 天狗の重鎮である大妖怪なのだぞ!? そ、それなのにお前のような白狼天狗如きにやられるなど……」

 

「……」

 

 狼狽し、脅え切っている豪厳の姿は、酷く憐れで滑稽だった。

 しかし聖哉は嘲笑う事も、ましてや憐れむ事すらせず……ただ見つめるだけであった。

 

「一体お前は何なのだ? この力は何だというのだ!?」

 

「……」

 

「答えろ犬渡!! 貴様は、一体何者なんだ!?」

 

「――遺言は、それでいいか?」

 

「……………………は?」

 

 何を言われているのか本気で理解できず、豪厳は間抜けな反応を見せてしまった。

 

「遺言はそれでいいかと、言ったんだが」

 

「な、何を……ま、まさか貴様……本気で儂を殺すなど……」

 

「……」

 

 その言葉に、今度は聖哉が間抜けな反応を見せた。

 ……おめでたいにも、程がある。

 この男は本気で、自分は殺されないとでも思ったのだろうか。

 しかし見る限りでは本気で思っているようなので、聖哉は呆れながら……豪厳に己の行き着く終わりを告げる事にした。

 

「あの時、すぐにお前を殺さなかったのは椛を優先したかったからだ。

 まさかお前の所業を見逃すと思っていたのか? まだ勘違いしているようだが俺はもう山の天狗じゃない。

 お前に従う道理もないし何よりも……お前は、手を出してはいけない存在に手を出したんだ」

 

 右手に持つ大太刀を振り上げる。

 

「ま、待て犬渡。貴様は自分が何をしているのか判っているのか!?」

 

「山の秩序を守らず、くだらぬ立場に固執した老害共に、掛ける慈悲があると思うか?」

 

「この妖怪の山を敵に回すのだぞ!?」

 

「今回の事で山が俺と敵対するという選択を選ぶのなら、俺は一切の容赦も慈悲も無く全員を殺すさ。

 言った筈だぞ豪厳、貴様は何があっても手を出してはいけない存在に手を出したと。――椛を傷つけるヤツは、たとえ誰であっても俺の敵だ」

 

「わ、判った。謝罪する、今回の件は此方が悪かった。もう椛には手を出さんから――」

 

「聞こえなかったのか? 老害に、掛ける慈悲は無い」

 

 風切り音が、響いた。

 

 

 

 

「……」

 

 豪厳だった“モノ”を、暫しの間見下ろす。

 後悔など微塵もない、これは俺が望んだ事だ。

 だから罪悪感などは湧かない、だが……言いようのない虚しさが、胸の内に漂っている。

 

「――やはり、こうなったか」

「――聖哉、お前は」

 

 俺の前に降り立つ、一組の男女。

 天魔様と清十郎様が、目の前の惨状を見て上記の言葉を呟いた。

 

「……俺を、山の敵として討ちに来たのですか?」

 

「…………いや、此度の件は豪厳を始めとした大天狗達の暴走じゃ。

 お前に非は無いと思っておるし、命を奪おうとした相手に逆に命を奪われるなどよくある話だ」

 

「ならば俺はもう行きます。目的は果たせましたから」

 

「ま、待ってくれ聖哉。やはりお前は山に――」

 

「清十郎様、俺はもう山の天狗ではありません。そして……戻るつもりはありません」

 

 山に戻ってこい、そう言おうとした清十郎様の言葉を強い口調で遮る。

 直後、清十郎様は悲しげな視線を俺に向けるが、考えを曲げるつもりはない。

 

「さようなら天魔様、清十郎様」

 

 明確な決別の言葉をはっきりと放ち、俺は妖怪の山を後にする。

 ……二人は追ってこない、声を掛けようともしてこなかった。

 もう二度と会えないかもしれないが、一度でも敵対し斬り捨てたのだからこういう別れ方が正解だと思う。

 

 だけど。

 幼い俺を、“忌み子”の俺を山に住まわせるようにしてくれた事だけは、最大限の感謝を。

 

「よかったの? あんな淡泊な別れ方で?」

 

 山を出て霊夢と合流すると、彼女がそんな問いかけを投げかけてきた。

 

「いいんだよ。俺は山を追放されたし沢山の大天狗をこの手にかけた。更に天魔様も切ったんだから、仲良しこよしって関係にはできないさ」

 

 向こうにも立場というものがある、まあ今回の事で妖怪の山も荒れるかもしれない。

 その原因の一端を担ってはいるものの、手助けするつもりはない。

 ……なんか俺、身勝手さが増したような。

 

〈いや、今まで我慢してきたのが爆発しただけだろ? 気にすんな〉

 

 そう、か?

 

〈そうそう。それよかよぉ……まだ大切な事が残ってるだろ?〉

 

「……」

 

 わかっているとも、俺がやらなければならない事は、まだ残っている。

 

「霊夢、悪いが俺はここから永遠亭に行く」

 

「そう? まあ椛が心配でしょうしね、一応私から慧音には伝えておくわ」

 

「すまん、助かる」

 

「別にいいわよ、面倒事を片付けてくれた礼だと思いなさい。――頑張ってね?」

 

「あ、ああ……」

 

 どきりとした。

 もしかして霊夢のヤツ、全部判ってるのか……?

 いや、まさかな……いくら勘の良い霊夢でも、な。

 

「…………ふぅぅぅぅ」

 

 あ、やばい、なんか緊張してきた。

 これから行う事を考えると、自然と頬が熱くなる。

 だが逃げるわけにはいかない、というより逃げたくない。

 

〈頑張れよー、骨は拾ってやるからなー〉

 

 え、縁起でもない事を言うなよっ。

 全開でからかってくるヴァンに殺意を覚えつつ、俺は永遠亭へと向かう。

 

 

 ――俺のすべき事。

 椛に、俺の想いを伝えるために……。

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