2016年のホワイトデーに書かれたもので前作のバレンタインデイズの続きみたくな感じです。
生徒会ばかりとだからたまには風紀委員をと思ったりした感じに書こうとしましたがどうしてもそっちに焦点が…、そしてクラソフィは無理だなって思ったりした作品だったり。

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3月にもなって茶熊学園に雪の姿は見えなくなった、だが物凄い寒波によって校庭に張ってあった湖の水も氷が張るようになった。

生徒達はそこへと集いスケートやらをしているようになった。


茶熊ホワイトデイズ

-茶熊学園 校庭-

 

「これが伝説級の滑り方だ!」

 

「そんなら俺はギターをかき鳴らしながら滑るぜ!」

 

「こら!お前らもう少し回りに迷惑をかけない滑り方をしろ!」

 

そしてそんな氷上を眼鏡をかけて腕には風紀と刺繍された腕章にホイッスルを片手に回りに注意を喚起している三年生のクライヴがいた。

 

「そこっ!そんなところで釣り針を垂らしても寒ブリは釣れない!あと食いながら滑るな!」

 

「おーおー張り切ってるねぇ?クライヴ委員長?」

 

目をつり上げるクライヴの肩を叩くのは同学年のデューイがいた。

 

「ん?デューイか、お前も風紀委員なら手伝ってくれ!」

 

「いやさ…別にそこまで眉を吊り上げなくてもいいんじゃないかな?楽しくやろうぜ?」

 

「それに関しては俺も賛成だな。」

 

するとクライヴと同じく三年生かつ風紀委員のオズマにバイパーが滑り現れた。

 

「…だがよ委員長さんは麗しのソフィ嬢の為にやってんだろ?」

 

「そっ…!?そんなわけ…あるわけがないだろ…?!俺は皆の風紀を守るために…!」

 

「あら?皆様どうなさられましたか?」

 

するとスィーと噂の新体操部のソフィが滑ってきた。

 

「おやおや噂をすればなんとやらか…?」

 

「こっ…!これはソフィ殿!ごごっご機嫌麗ひゅう…!」

 

「はい!皆様ご機嫌よう!」

 

クライヴはソフィを前にして氷のようにガチガチと凍ってしまったのであった。

 

「クライヴは相変わらずだな…。」

 

「へへ…どうだいソフィさん?このあと俺と滑らないかい?」

 

「…申し訳ありません。実は先約がありまして…生徒会の皆様に滑り方を教えないといけませんので、それでは!」

 

そういうとソフィはすいすいと滑って風紀委員達の視界から消えた。

 

「そっ…!それで実は渡したい物が…!」

 

「おーい…ソフィちゃん行っちゃったぞー?」

 

「…え…」

 

クライヴは辺りをキョロキョロと見渡すがソフィの姿は勿論無くて、眼に映るのはニヤニヤとにやつくオズマとカメラを持つデューイであった。

 

「いやー…いいもん見せて貰いましたよー?ご馳走さん。」

 

「あーそうだ面白そうだから撮っておいたぜ?ソフィちゃんの前で可愛らしい姿のクライヴを…」

 

「やっ…やめろっ!」

 

するとクライヴはデューイに突撃するが、デューイはヒラリとかわしてクライヴは氷面に顔を滑らせた。

 

「そういうわけにはいかないな~この写真は裏メンズナイツ増刊号のお便りコーナーに応募すんだからさー」

 

「せめて目線はつけとけよプライバシーの為だぜ?」

 

「…珍しいなオズマがプライバシーの話を持ち出すとは…」

 

「どういう事だよ?!」

 

三人が楽しく談笑しているとクライヴはムクりと立ち上がっていた。

 

「おっ?立ち上がったか、平気…か?」

 

デューイがクライヴを見るとそこにはクライヴがいたがその回りには怒りとも見える冷気が立ち込めていて、その顔は鬼のような形相をしていた。

 

「おやおやー?何だかスリルの予感がするねぇー?」

 

そして三人の横に牙がついた兎のような人形のデビットに股がって滑っている右目を眼帯で塞いでいる少女のロザリーが顔を出した。

 

「…ここは危ないからあっちいけ…」

 

「えぇー…面白そうなのにー…!」

 

「いやそういうのいいですからー!あっちで滑りましょうよー?」

 

下に敷かれているデビットが喋るとシャカシャカと這って風紀委員達から離れていった。

 

「それで…目の前のはどうする?」

 

ロザリーを立ち退かせたバイパーはクライヴを指差した、指差す方にはクライヴがいるがその顔には魔物のような仮面を被っており三人に迫っていた。

 

「どうって…迎撃だな、あぁなると止めないと回りに被害を広めちまうからな…」

 

「そうだな、まぁやりますか!」

 

「…面倒だな…」

 

「グォォォ!」

 

そして氷上において激闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方なその頃…

風紀委員達から離れていったソフィは生徒会のメンバーが集まっているところへと滑って来たのであった。

 

「皆様お待たせいたしました!」

 

「あら?随分遅れてきたわね?」

 

「申し訳ありませんカスミ様少し立て込んでしまいまして…」

 

「ノン問題でござるよソフィ殿、それに皆待つのは得意でござるよ。」

 

「そうですか!それにしてもフラン様はお上手に滑りますね?」

 

「そうでござろうか?」

 

そう言うフランは氷の上をすいすいと滑っていて、ついでに跳んだりクルクルと回ったりとしていた。

 

「流石はくの一って言った事かしらね?」

 

「ところでカスミ殿は滑らないでござるか?」

 

「私は良いわよ滑れないし…それにこの子の世話しないとね。」

 

そう言ってベンチに座るカスミは膝上のヒナを撫でていた。

 

「…ピヨ…撫で撫で嬉しい…」

 

「あらあら…カスミはすっかりお母さんですね?」

 

「…もう突っ込むのにも飽きるわ…」

 

そしてカスミの隣のフローリアが茶化すがもはやカスミはあまり気にせずにヒナを撫でていた。

 

「そう言えばお父さんのRASNさんは?」

 

「…、…あそこよ…また転んでるし…」

 

カスミは一つ溜め息をつくと転びながらも滑ろうとしているRASN(赤髪のぼんとかパプリカとな呼ばれる主人公)がいた。

 

「…!?」

 

「大丈夫?にーに?」

 

そしてそこには割りと滑れているコヨミやリーゼロッテもいた。

 

「…シショー頑張ってるでござるが…中々上手くは…。」

 

「はい、まずは転んでから学ぶのがスケートですから。」

 

「うっしっしー…転びすぎて氷とか割れないかなぁ…?」

 

すると生徒会のメンバーらの片隅でするするとロザリーが滑って来た。

 

「そんな変な事言わないで下さいよ?!ほんっと!そういうのいいですからっー?!」

 

下に敷かれているデビットも滑りながら叫び、その頭は湖の端に着いていた。

 

「あれー?何で端から端まで滑ったのにスリルな事が起きないのー?」

 

「起こんない方がいいですよ!ほら早いとこ上がりましょうよー?」

 

「…キヒ…よっいしょっと…あー霜とか付いてるわー払わないとー?」

 

ロザリーはピョンと跳ねて氷の上に足を着けてデビットを回収し、腹とかに付いている氷とかを払い始めた。

 

「よっし!今っ!」

 

「のわっ?!」

 

すると回収した瞬間にデビットの腹に付いているファスナーを思いっきり落とした。

 

「なっ…何て事をー?!」

 

「うっしっしーさてさてどうかなどうかな…?」

 

そしてロザリーはキョロキョロと辺りを見渡し始めた、だがその周囲は至って平和に滑っていた。

 

「あれれ?何で?」

 

「あわわ…早いとこ閉めないと…」

 

ロザリーは怪訝そうな顔で回りを見渡し、デビットは腹のファスナーを閉じようとするが取手は下の方であり中々閉じれなかった。

 

「むぅぅぅ…!何で何も起きないのー?

 

!」

 

「珍しいこともあるもんですねー?…もう少しで…!」

 

デビットが何とかファスナーをもう少しで閉じれそうになっていた、だがその時一人一個の後ろから轟音が連続で鳴り響いてこっちに来ていた。

 

「うわぁぁぁ?!止まんないよぉー?!」

 

そこにはハンマーでグルグルと回りながら氷の湖へと向かう、黒猫学園からの留学生のユッカであり。そのハンマーの頭からジェット噴流が吹き出して勢いを生んでいた。

 

「おお!?これはスリルがやって来たー?!」

 

「うわぁ…かなりヤバイの来ちゃったよ…!?」

 

ロザリーは喜び、デビットは落胆していた。そしてそのユッカは高くピピョーンと飛んだ。

 

「うわぁぁぁ!?どいてどいてー?!」

 

「にーに?!何か大変だよ?!」

 

「このままでは我輩がずぶ濡れ…いや氷づけになる!」

 

「…?!」

 

まず気づいたのはRASNとリーゼロッテ達であった。

 

「…!」

 

「…はい…クマロン…」

 

「ん?どうしたのだリーゼロッテ?」

 

するとRASNはリーゼロッテに何か命令をするとリーゼロッテは腰につけたクマロンを取り出した。

 

「…目標に…狙いを……定めて…!」

 

「…もっ…もしやリーゼロッテ?!」

 

「…撃つべしっ!」

 

「やっぱりー?!」

 

そして勢い良くクマロンを上に打ち上げて落下中のユッカ目掛けて飛ばした、クマロンは上手くユッカの持ち手に当てるとハンマーはポロリと落ちて地面に激突した。

 

「痛いっ?!って…わわわっー?!」

 

だがユッカは依然として落下中でこのままだと只では済まないと思える、まぁ飛行船から落ちて飛行島に着地出来るなら平気そうでもあるが。

 

「…!!」

 

「うわっと?!」

 

ユッカは落ちたが何とかRASNが受け止めていた、RASNはとても苦しそうな顔をしてその下の氷面も無事であった。

 

「痛たた…あれ?RASN君?」

 

「……」

 

「…ごめんね…また私ドジしちゃって…あと…」

 

「?」

 

ユッカは沈んだ顔をしていたがその顔は赤い顔をしていた。

 

「何と言うか…恥ずかしいというか…このままがいいというか…何と言うか…」

 

「…??」

 

RASNはユッカをお姫様抱っこしながら首を傾げ、ユッカは頬に手を当てて赤くなってた。

 

「あらあら、何とも微笑ましいですね…ね?カスミ?」

 

「…そうね…微笑ましいわね…」 

 

「ピヨ…?何でママ怒ってるの?」

 

「おっ…怒ってないわよ?!」

 

ベンチで和やかな雰囲気を醸し出すなか、その近くにいるロザリーは不機嫌な顔をしていた。

 

「ちぇー…もう少しなのにさー…」

 

「はぁ…何も起こらなくて良かっ…」

 

「ざざっざーざーん!ざざざっざーんざっざっざーん!」

 

すると何やら太鼓の音と共に湖の中央からどこぞやの対宇宙怪獣決戦兵器のテーマを口ずさみディーネが腕組みをしながらバリンと氷を突き破って飛び出してきた。

 

「あらあら皆様私の湖に何か?」

 

そして中央が思いっきり割れたことでそこから中心に氷面がパキパキと亀裂が走り始まる、よって湖面の氷は崩れ始め先程まで滑っていた者達は陸地へと駆け始めた。

 

「これよこれー!スリルキター!」

 

「あぁっー?!皆様申し訳ありませ…ゴボボボ…!」

 

波立つ氷水の上にデビットを足場にしてロザリーは喜び。

 

「……大…丈夫…?」

 

「うん!平気だよリーゼねーね!」

 

「あのー…我輩の心配は…?」

 

リーゼロッテとコヨミはクマロンを何とかして使って陸地に着いていた。

 

「どうなってやがのわっ?!」

 

「オズマ頭を借りるぞ…!」

 

「何しやが…!ゴバババ…?!」

 

バイパーはオズマを足蹴に陸地に足を着けて、オズマとデューイは氷の浮かぶ湖に沈み。

 

「…グォ!」

 

「えっ?!」

 

そしてクライヴ未だに仮面を外さずにソフィを抱え上げて崩れる氷を飛び移っており、RASNもユッカを抱えてクライヴと同様の事をしていた。

 

「アンクライアブル!流石はシショーでござる!」

 

「そうじゃないでしょ?!早く何とかしないと…!」

 

そして陸地にいるフランはRASNの動きに感嘆し、カスミはそれに突っ込んでいた。

 

 

クライヴとRASNらは同じ氷へと集まった、だがそこは陸地とはかなり離れた場所であった。

 

「グゥ…!」

 

「遠いですね…飛び移るにももう氷が…」

 

既に四人の近くには飛び乗れそうな氷は無いのであった。

 

「どっ…どうしよう…私達もあんな風に…」

 

ユッカの指差す方には湖に浮かんだオズマ達でありもはやタップしても致しようもない氷づけとなっていた。

 

「…。」

 

そして彼らの乗る氷もどんどん崩れて面積がどんどん縮まっていた。

 

「…グァ…!」

 

「…、…!!」

 

するとクライヴはRASNに何かを提案し、RASNはそれに対して頷いた。

 

「わわっ?!もう氷が!? 」

 

「このままでは…!」

 

最早面積は四人が何とか立てる狭さになってしまっていた、だがその時RASNはユッカをクライヴはソフィを抱えた。

 

「クライヴ様…!?何を?!」

 

「RASN君!もう回りには乗れるものなんか…!」

 

「…っ!!」

「グォォ!!」

 

そして二人は声を唸らせ抱えた二人をめいいっぱいに力を込めて投げた、その方向は陸地で生徒会らのメンバーが集まっているところであった。

 

「ムムッ…!シショーから何やらシンパを受け取ったでござる!」

 

フランは何かを感じ取るとバッと跳び落ちてくる二人を受け止めると静かに着地した。

 

「うぅ…もう暫くは飛びたくはないよぉ…」

 

「…ハッ…!クライヴ様とRASN様は…?!」

 

ソフィが立ち上がり先程までいた氷の方を見たがそこにある筈の氷は存在せずに、氷づけへと変貌していた二人が浮かんでいた。

 

「にーに?!」

「パパっ?!」

 

「フローリア!早く先生とか呼んできて!!」

 

「はいっ!」

 

「そんな…私たちを助かる為に…!」

 

「早く助けないと…!」

 

「駄目でござる!それではニノマイでござる!」

 

飛び込もうとするユッカをフランが羽交い締めにして止めていた、だがユッカはそれに負けずとジリジリと歩を進めていた。

 

「だって…!私がドジしちゃってこんなことになっちゃって…!」

 

「いや…これはディーネ先生のせいだと思うけど…」

 

そしてそのディーネも仲良く湖に氷づけとなって浮かんでいた。

 

「どうすれば…」

 

「あら?皆様どうなされましたか?」

 

すると野次馬の中からひょっこりと顔を出したのは、制服ではなくメイド服を着用するチェルシーであった。

 

「チェルシー殿実はかくかくしかじかと言う感じでござって…!」

 

「ふむふむ…まるまるうしうし…ってご主人様が大変なことに!?」

 

尚チェルシーもコヨミやヒナやフラン同様、RASNをRASNと呼ばないのである。

 

「たっ…大変ですぅ!早く救助を!」

 

するとチェルシーは丸い円盤状の機械を取り出した。

 

「あれ…?それってモノクロームちゃんの…?」

 

「いえ!これはルーちゃんに有らず!カティア先生が作ってくださったルーちゃんmarkⅡコリンズ仕様でございます!」

 

良く見るとアイドルの一人でもあるモノクロームと共にいるルンバ的なルーちゃんとは違い、ホワイトブリムがつけられており機体も黒く塗られているのである。

 

「待ってチェルシー…!…大丈夫よね?!」

 

「大丈夫ですよカスミさん!この吸引力を使えば…!」

 

心配するカスミを他所にそう言ってチェルシーはルーちゃんmarkⅡを突き出してスイッチを入れた、するとルーちゃんmarkⅡが吸引を始めて湖面に浮かぶ人入り氷をこちらへと引き寄せていた。

 

「いいわその調子…!」

 

「すごいね!チェルねーね!」

 

「もぉ…そんなに誉めないで下さいよーコヨミちゃん…」

 

チェルシーはコヨミに誉められ照れていた、そしてそれと同時にルーちゃんmarkⅡの吸引力が勢いを増していた。

 

「ちょっ…?!チェルシー!?」

 

「ふぇ…?…って…あぁ!?通常モードから削岩モードになってますですー?!」

 

チェルシーが手元のスイッチを見てハッとし、一方湖の方の氷達はズイズイとルーちゃんmarkⅡに引き寄せられていた。

 

「チェルシー!ストップよ!ストップっ!」

 

「はわわ…!えっとこれが…あぁ…?!勢いが更に?!」

 

どうにかしようと慌てているとルーちゃんmarkⅡの引き寄せが強くなりディーネが入った氷がずももとルーちゃんmarkⅡに取り込まれて砕き始めた。

 

「ディーネ先生ー!?…は水そのものだし別に大丈夫だけど…それより何とかしなさい?!」

 

「えっと…えっと…ままよ!」

 

チェルシーはルーちゃんmarkⅡに対してゴスッと手刀を食らわせた。

 

すると吸引は止まったのであった。

 

「ふぅ…危機一髪ですね…!」

 

「ちょっとまだよ!?」

 

カスミの声で前を見るとそこにはどんどんと遠ざかっていた。

 

「あれ…?何ででしょう?」

 

「何でって…そのルーちゃんが逆回転してるのよー!」

 

カスミの言うとおりルーちゃんmarkⅡは逆回転して旋風を起こしていたのであった、そしてその回転は強くなり旋風は渦を生んで湖面の氷を巻き上げた。

 

「わわっ!?大変ですぅ!?」

 

そして巻き上げられた氷達は茶熊学園の各所に落ちたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後生徒会や風紀委員の尽力によって湖から落ちてきた氷は回収され、中の人も無事に救出されていた。なお削られたディーネは平気そうな顔で学校に戻っていたとか。

 

 

-茶熊学園 第一保健室-

 

 

「いつつ…あれ俺達凍っちまって…」

 

「あー…起きたか…?もう放課後になっちまったぜ?」

 

茶熊学園の第一保健室で目を覚ましたのはオズマとデューイであり、隣にはザックやリアムやクライヴが寝ていた。

 

「…ったくよ…ただ暴走した委員長さんを止めようとしたのにこんなことになっちまうなんてよー…」

 

「あぁ…そうだ、デューイ…アレは?」

 

「ん?…あぁ…アレか…早いとこ現像しないとな…」

 

「そうじゃなくてよ、平気なのかそのカメラはよぉ?」

 

「安心しろって、こいつは防水・防炎・防雷もできる優れモンだ。そう易々は壊れねぇって…」

 

「へー…そうかい、んじゃ写映室の現像機借りに行こうぜー?」

 

「あぁ…体痛ぇけどよ…」

 

オズマとデューイは苦しそうに体を起こすと保健室から出ていった。

 

 

-茶熊学園 第二保健室-

 

一方第二保健室にはRASNが寝ていた。

 

暫くしてRASNは目を覚ましたのであった、だがその頭には枕では無いような感触を覚えていた。そしてその感覚を確認しようと首を横に向けるとそこには体があったのであった。

 

「あら?起きたのRASN?」

 

そして向いている方向から声がした、そして見上げるとそこには三年生なエスメラルダがにっこりと笑ってこちらを見ていた。

 

「…!?」

 

「……うん、熱は無いみたいね。良かった良かった♪」

 

そう言ってエスメラルダは膝上のRASNの頭を撫で始め、RASNは戸惑いながらもそれを享受していた。

 

「大丈夫?体に痛いところとかない?」

 

「…。」

 

「そう、何かあったらお姉ちゃん心配しちゃうから…」

 

尚エスメラルダはRASNの事はあの四人とは違い、RASNの事はちゃんとRASNと呼ぶのであった。だがRASNの事を弟の様に可愛がっている為、たまに弟君と呼んだりもするが。

 

「…そうだ!弟君、ちょっと頭を横にしてね…?」

 

「…?」

 

エスメラルダは頭を撫でるのをやめるとRASNにそうお願いし、RASNは残念そうにも言うとおりに膝の上で横となった。少ししてRASNの耳に何かが入ってくるような感覚を覚えた。

 

「大丈夫?痛かったら言ってね?」

 

「…!…!!」

 

エスメラルダはRASNに耳掻きをしていたのであった。

 

「そう、ちょっと吹くわね?ふー…」

 

「……。」

 

そしてRASNの両耳を掃除し終えるとまた頭を撫で始めた。

 

「平気だった?」

 

「…!」

 

「ふふっ…またして欲しいの?分かったわお姉ちゃんに任せなさい!」

 

暫く膝枕が続いてRASNは寝てしまっていた。

 

「あらあら…、…あら?」

 

すると保健室の扉が開きそこにはカスミとメアらがいた。

 

「すみませんー?会長はここに…」

 

先頭に立って扉を開けたのはカスミであり、開けた瞬間の情景を目に写しそこデコにはシワがよっていた。

 

「えっと…何をなされておるんですか…?エスメラルダさん?」

 

「何って…膝枕だけど?」

 

「そんな平然と…!」

 

「まぁまぁ…カスミ殿…今はシショーもシェスタしてるでござるから、叫ぶのはいかんでござるよ。」

 

「…ぐぅぅ…!」

 

「それよりも…RASN君は膝枕よりちゃんとベッドで寝かした方が…」

 

「それもそうね…名残惜しいけどメアちゃんお願いね?」

 

「…分かってます…よっと!」

 

そうしてメアはRASNをヒョイと抱えるとベッドに寝かせようとしていた。

 

「…でももう放課後だし、部屋に送ってあげたら?まぁ私はここに置いても構わないけど…」

 

「メア!早く部屋に送り届けるわよ!」

 

「えっ…うん…?」

 

カスミはメアにそう命令しメアはそれに驚いていた。

 

「それでは、失礼致します!」

 

「あっ…えっと、それじゃ…」

 

カスミは逃げるように保健室を出てメアは戸惑いつつもそれを追っていった。

 

「むぅ…カティア先生に貰った風邪になっちゃう薬で弟君に看病プレイしたかったなー…」

 

そう言ってエスメラルダ机上でコロコロと薬入りの瓶を転がしてふてくされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-茶熊学園 第一保健室-

 

既に第一保健室で寝ていたのはクライヴだけとなっていた。

 

「うっ…うう…ここは…?保健室か?」

 

クライヴは目を覚まして辺りを見渡し机の上にある眼鏡をかけて頭を抱えた。

 

「…何で保健室に…スケートしてるときに転んでその後が思い出せん…」

 

頭を抱えながらクライヴは立ち上がり身だしなみを整えて壁に掛けられている時計を見た。

 

「…時間的にもう放課後か、一応校内の見回りをしてから寮に帰るとしよう。」

 

そう呟き保健室の扉に手をかけようとすると手をつける前に扉はガラリと開いて、目の前にはソフィがいたのであった。

 

「ソ…ソフィ殿?!」

 

「クライヴ様…大丈夫でしたか?!」

 

「じっ…自分は平気です!風紀委員たるもの体が資本だからな。」

 

「そうですか…あの時はもう駄目かと…」

 

「…すまないが…あの時とやらの事を説明してもらいたいんだ、その時よの記憶が…」

 

「分かりました、では…」

 

そしてソフィはクライヴにディーネが現れてから今に至る状況を説明した。

 

「…はい、あれこれくどくどといった感じでした…」

 

「…成る程…どれそれとろとろと言うことか…」

 

二人は保健室に備え付けられているソファに向かい合うように座っていた、そしてクライヴか頭を抱えていた。

 

「そうだったのか…後で検討の必要があるか…」

 

「ふふっ…クライヴ様とても真面目ですね。」

 

「そんな…今日だってホワイトデーで浮かれる者を取り締まりきれなか………あぁっ?!」

 

急にクライヴは叫び先程まで寝ていたベッドに向かい掛けてある自分の上着をまさぐった、そこには水に濡れてひしゃげた紙袋を見つけうずくまった。

 

「あぁ…しまった…!すっかりと濡れてしまった…!」

 

「どうされましたか…?それは…?」

 

ソフィはクライヴを追って探していた物を目にしたのであった。

 

「そっ…その…バレンタインデーのお返しといった感じだが…こんなんじゃ…」

 

「いいえ…お気持ちだけでもとても嬉しいです…!」

 

ソフィは腰を落としてそう言って紙袋を引っ込めようとするクライヴを腕を優しく掴んだ。

 

「ソフィ殿…」

 

「…えへへ…何か恥ずかしいですね…」

 

暫くしてソフィは少し顔を赤らめて立ち上がった。

 

「…それじゃこれを…粗末なものだが…」

 

「いいえ…ありがとうございます!」

 

クライヴはその紙袋をソフィへと渡したのであった。

 

「あら…?申し訳ありません…私今日の夕食の担当でした!そろそろ時間で寮の方に戻らないと…!それでは…!」

 

「あっ…」

 

そしてソフィは保健室から去りまたクライヴだけが残った、だが残されたクライヴの顔は笑っていた。

 

「…さて!見回りに行くか!」

 

そしてクライヴは意気揚々と校内の見回りを行えた。

 

 



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