先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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今回、字数がそれなりにあります。

それでも平気という方はどうぞごゆくりと。


下から本編になっています。


第12話 変調と肝を試す

……………………。

 

…………。

 

……。

 

 

 

暗闇から意識が浮上する感覚がした。

と、共にゆっくり(まぶた)を開けると見知らぬ天井だった。

あれ、私はどうしたんだっけ…。

 

「ようやく起きたのね。色だけじゃなく、頭もおめでたいのかしら」

 

なんて声をかけられたので顔を向けるとそこには輝夜がいた。

 

「……大きなお世話よ」

 

「そのわりには香霖堂で倒れたそうじゃない。魔理沙とかが驚いてわよ」

 

 

ああ、なるほど。倒れちゃったのか、私。

そりゃあ、目の前に床も迫ってくるわ。

と1人で納得して頷いていたら、輝夜が真剣な顔になった。

いや、さっきからそうだったのかな?

 

「どうしたのよ、輝夜。急にそんな顔して…」

 

「いえ、さっき永琳がとんでもないことを言っていたのよ。聞いても驚かないわね?」

 

私が驚きそうなことを、永琳に?

なんかあったっけ。心当たりは全くないんだけど。

 

「ええ、大丈夫よ。教えてちょうだい」

 

そう聞くと何故かため息をつかれた。

自分から聞いておいて…どういうつもりだろうか。

 

「貴方……自分、保ててる?記憶は?本当に自分が博麗霊夢なんだって言える?」

 

「はぁ…。なに当たり前なことを聞い……て……」

 

ため息をついて文句の一つでもつけてやろう。

そう思って言おうとしたんだけど、そういえばおかしい。

自分を保ててるかどうか、に関してはほぼ問題ないんだけど、記憶と博麗霊夢だっていうのは怪しい。

 

今まで前向き…といえるのか分からないけど、『運良く博麗霊夢になってた』とか『前の自分の記憶はちゃんとある。名とか忘れてるけど、ゲーマーな人間だったことは忘れてない』とかそんな感じに考えててそれ以上は問題ないと思ってて…。

 

――本当に、それだけなのかな。

 

 

 

「……永琳を呼んでくるわ。貴方はそこにいてね」

 

返事もせず黙ってしまった私に優しく微笑みながら立ち上がる輝夜。

私はただ小さく輝夜に分かるよう、頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると輝夜が先に入り、後から連れてきたらしい永琳が入ってきた。

「姫、あとはいいわ。手を(わずら)わせてしまって悪かったわね」

 

「いいえ、大丈夫よ。じゃ、私は席を外すわね」

 

そういって輝夜だけ出ていき、残った永琳が私の近くまで歩いてきて、さっきまで輝夜が座っていた椅子に座った。

…私の前じゃ輝夜って呼ばないんだね。伊達に隠れてたわけじゃないってことか。

 

「それで貴方。大丈夫?霖之助が連れてきた時にはぐったりしていたようだけど」

 

「え、ええ…大丈夫よ。多分疲れでもたたったんだと思うわ」

 

「…そのわりにはうなされてたけども。しかも、ぶつぶつ言ってたし。私的にはとても心配ね」

 

真顔でそう言う永琳。

そこまで心配しなくていいのに。

それに寝言はいう人はいうでしょうよ。今は寝言と関係ないだろうけどさ。

 

「多分先代…いえ、霊華に体を鍛えられたりしてるからそれで疲れたのよ、きっと」

 

そういってニコッと自然に笑って見せる。

辛いわけじゃないし、大丈夫。…さっきのは無かったことにして、だけど…まあ、なんとかなる、よね?

 

「そう?ならいいのだけれども。また辛くなったら来るのよ?その時も代金はとらないであげるから」

 

「あら、そういうってことは今回はとらないのね?」

 

私が冗談混じりに聞いたら、そこはニッコリと笑った。

営業スマイルって奴かな?

わあ、こわいこわい。

 

「ええ、とらないわ。それと大丈夫ならもう出て平気よ。今度は出来れば倒れる前にきてちょうだいね?」

 

「はいはい、分かったわよ。どうもありがとうね」

 

もう出れると言われたので素直にお礼を言ってから部屋を出た。

だからこそなんだろうか。私は永琳のその一言を聞き逃してしまった。

 

 

 

 

「……7日間も寝ていて、よく大丈夫って言えるわね、あの子」

 

 

まあ、聞き逃したと気づいた頃には扉を閉めちゃってたんだけどね。

だから聞き直そうとは思わなかったし、選択肢にすらいれてなかった。

だって、前も人間だったって記憶はちゃんとあるんだもの。問題なんてないよ。これからも、きっと。

 

 

少し歩くと輝夜がこっちに歩いてきた。

「あら、もういいの?…このあと、暇ならちょうどいい話があるのだけれども…」

 

「ええ。あら、それはなにかしら。興味もあるし、教えてもらってもいいかしら?」

 

「いいわよ。それはね、今度の丑三つ時に肝試しをするって話なんだけども……どうかしら?」

 

「参加させてもらうわね。それって紫も連れてっていいのかしら?」

 

そう聞くと縦に頷く輝夜。

い、いいんだ…。まあ、別にいいんだけどさ。

 

「大丈夫よ。むしろ貴方達で行ってもらいたいの。いいかしら」

 

「あら、そんなになのね。分かったわ。面白そうだし、行くわよ」

 

私がそう答えるとニッコリと嬉しそうに笑った。

なんかいいように使われてる気がする…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神社には真っ直ぐ帰らず、どうにかして紫をひっつかまえて丑三つ時…ええと、確か午前2時から2時半、だっけ?

丑の刻とか寅の刻とかって言うもんだから私には凄く分かりづらい。

 

 

そういうのを置いても、こんな真夜中でこんな迷いの竹林に来るのは私や連れてきた紫ぐらいだろう。むしろ歩く人間なんているのか?という感じ。

怖がって出てこないでしょ。

 

事前に『紫』と名前だけ呼んだら交代してくれないか、と提案したら案外聞いてくれた。

まあ、弾幕ごっこの時限定だけどいいかな。

因みに私も名を呼ばれたら交代することになってる。

聞いてくれるとは思わなかったよ。

 

 

 

 

そのまま進んでるとまさかの慧音が出てきた。

でも、姿が最初会った時と違って角とか生えてる。

確か半分だけ違うから、なんだっけ?なんか半獣とか言われてたしね。

 

「ほう、お前達か。今日みたいな満月の夜に来るとは…いい度胸だな」

 

「肝試しに来るんだから度胸がなきゃね。だから来たのよ」

 

「そうか。肝試しだとしてもあの人間に指一本たりとも触れさせやしないからな」

 

 

 

 

――旧史「旧秘境史 ‐オールドヒストリー‐」

 

今回はいきなりスペルカードから入ってきた。

弾幕こそは薄いものの、それなりにはやい。

避けやすさはあるけど、はやさがあるから何気に厄介。

さすがに『紫』と呼び前と後ろを交代した。

 

すると今度は弾幕が濃くなった分、はやさが遅くなった。

なるほど…そこは慧音らしいと言える気がするけど、これはこれで……。

 

 

 

 

それを紫が籃と共に攻略すると次のスペルカードへとすぐに入った。

 

――転世「一条戻り橋」

 

名前からしてかなり厄介そうだなぁ、なんて思ったら本当にそうだった。

なにせ背後から弾幕が使用者へと戻るように来るのだから。

形はなんていうか、弧を描いてる方のかっこを交差するように張ればこうなるんだろうなって感じ。

しかも途中から大きな丸い弾が出てきた。

 

 

因みにここも紫に避けてもらった。

 

 

 

 

 

 

これもまた攻略されると

――新史「新幻想史 ‐ネクストヒストリー‐」

というスペルカードを使ってきた。

 

なんか最初に使ってきたスペルカードとほとんどが似てるような感じがした。

そう、なんていうか旧史「旧秘境史 ‐オールドヒストリー‐」の隙間を狭くして、そこに米粒みたいな弾を増やしたみたいな感じ。

 

 

まあ、紫。頑張れ。

心の中でそう応援しながら弾幕を避ける様を見ていた。

ついでに参考にしよう。

 

そう思ってたら二、三回目で攻略したみたいだ。

そりゃそうだよね。私のより範囲は狭めだけど、威力はあるんだし。

 

 

 

 

 

……なんかやけに妖精が活発だな。

まあ、紫曰く妖精は異変などなにかしらの条件でハイテンションになるらしいけど、それってリリーホワイトと似てない?

そう聞いたら近いと言われた。そ、そうなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いつもの夜と違って今夜はやけに妖精を見るけども、どの子もすごい活発的ね」

 

「ああ、今宵の月が強いからだろうね。そりゃ妖の者が騒ぐのも無理は無い。それなのにこんな夜でも出かける馬鹿者もいるもんだねぇ?」

 

「いや、そういったらあんたもそうでしょ?」

 

「へぇ、馬鹿者ってところは認めるのね。でも私は違うわ。ずっとここに住んでる人間。だから、今ここにいるのもおかしなことじゃないわ」

 

「人間?人間ねぇ」

 

「んで、その自称竹林の持ち主さんが言いたいのはなにかしら?」

 

「目的を聞きたいだけだよ、お馬鹿さん達」

 

そう言われたので素直に答えることにした。

そもそも隠す気なんてなかったからね。

 

「肝試しよ」

 

「肝とか色々試し」

 

 

と言ったら大げさに驚いてみせる人間。

いや、藤原妹紅って名前らしいね。

 

「わざわざこんな真夜中に出てきてやることは肝試し!ああ、何時から人間はこんなに馬鹿になったのかしら。こんなに狂おしい満月の丑三つ時に、それでもって妖怪が沢山出る処まで出て来て、事もあろうか肝試し。よく妖怪に殺されなかったわね。しかも死んだら妖怪達に生き肝を喰われるような肝試しなんて……」

 

「ほら、貴方が黙ってるから言われ放題よ。なにかしら反論しないの?」

 

「いやほら、輝夜に肝試ししてきたら?って誘われたから来たようなものだし、そんなこと言われたってねぇ…」

 

「え?今なんと?……すごく聞き捨てにならなかったんだけど。まさか輝夜って言った?」

 

「ええ、言ったわよ。ついさっき。輝夜に…か・ぐ・やに肝試しに誘われたって」

 

私が素直に答えると…いや、名前は強調したけど、納得したような表情になった。

んん?なんか()に落ちるようなことでもあった?

 

「なるほど、通りでおかしいと思った。やっぱりあいつの仕業なのね。もしかしてこいつ等をけしかけて私を始末しようとしてるな?あいつったら、いっつもいっつも私を始末しようとして!全く、こんな不便な体にしたのはあいつじゃないの!」

 

「…輝夜って名前だけでここまで盛り上がれるのね、この人」

 

「だったら貴方もなにか便乗したら?そうしないと損よ」

 

「ふん、輝夜の使いがどれほどのもんなのか見せて貰おうか。あいつが遣したって事は、あいつよりは強いんでしょ?」

 

「強気な人間ね。私みたいな妖怪相手にそこまで強気な人間なんて、3人位しか知らないわ」

 

「それは別にいいじゃない。でも、本当に相手にするっていうの?相手は人間じゃない」

 

と少し嫌そうな顔を私がしたら紫に呆れられた。

 

「何言ってるの。魔理沙は人間だけども、余裕でのして来たじゃない」

 

「魔理沙とはいいの。前からよくやってるんだから」

 

「私をそこら辺にいる普通の人間だと思うな。私は死なない。そう、絶対に死ねない。あのにっくき輝夜の所為で。そうよ、いくらあいつが私を始末しようとしても、どだい無理な事。あいつはそれが判ってて使いを遣して来る。腹立たしいにも程があるわ」

 

「そのくせして輝夜のことを考えてるなんて憎んでるんだか憎んでないんだかよく分からないわね」

 

「それは別にいいだろう?それよりも思いっきりやらなきゃ人生、ゲームオーバーになるよ。もうここまで来たら戻り橋にも戻れない。一方通行の丑三つ時さ。お望み通り、貴方達の肝を試しかめさせて貰うわよ」

 

 

 

 

 

 

そういうと弾幕を張ってきた。

お札の弾幕というものだけど、当たり判定にさえ気をつけてれば大丈夫なはず。

なにかあれば紫と交代しながらすれば問題なんてない。

 

 

そう思いながら交代する時は名を呼び、前と後ろを行き来していたら突破していた。

 

 

 

 

――時効「月のいはかさの呪い」

 

最初のうちは張られても問題ないスペルカードだと思った。

避けられる隙間はあるし、タイミングさえ見逃さなければ私にとっては避けやすい。

まあ、当たり判定さえ分かっていれば苦労しないんだろうけどね。

 

 

そう思っていると前から柄が青い剣みたいなのが飛んできた。

それを避けていたら背後から柄の赤い剣まで飛んできた。

それのせいで一気に難易度が…。

 

そうだ、詰まる前に交代しておこう。

と考えた私は『紫』と名を呼んで前後を入れ替わった。

 

 

威力がある分、避ける時間が短くてすみそうでいいなぁ…。

と、思ってたら攻略してる。

 

 

 

――「リザレクション」

 

スペルカードが終わるなり、そんなカード名が見えた。

多分スペルカードじゃないんだろうなあ…とはなんとなく思ったけど、今は気にしないでおく。

 

っとと…そう考えてる場合じゃない。

前からはやいお札と遅いお札が同時にきて……同時に?

これは1回目より避けづらそうだな。

 

 

あ、紫がボムのスペルカードを使った。

私の時は決死結界だったからその時だけ紫が出てきたけど、なるほど。そのままなら私のを使わなくていいんだね。

 

 

 

――不死「火の鳥 ‐鳳翼天翔‐」

 

妹紅がそう宣言した後に出てきたのは全方向への隙間のある米粒のような弾。

なんだ。それだけなら紫と交代しても避けられるんじゃない?

 

私がそう思ったのも(つか)の間。

火の鳥をかだとったような弾幕が迫ってきた。

厄介なことにその後に米粒のような弾を小さくしたような弾が現れ、そこから動かない。

多分時間で消えるんだろうけど、さっきのを繰り返し繰り返ししてくるから逃げ場が減って…。

 

いくら当たる部分が小さめでもボムぐらい使うだろう。

そう思って見てるんだけど、使わないのなんの。

うーん、歴が違うのかな?

 

 

 

そのまま紫が弾幕を誘導したりして攻略していた。

――「リザレクション」

 

今までの弾幕より避けやすいものが出てきた。

いや、薄くなったって訳じゃないんだけど、避けやすさはこれが一番なんじゃないかな?

……まあ、避けるのは交代してたから私なんだけど。

 

 

 

 

 

――藤原「滅罪寺院傷」

 

今度は…うわ、見た目が凄い。

分かりやすく言うんであればブイの字が前から迫ってくるって感じ。

それをやり過ごすと今度は背後から来てるみたいでお札が通りすぎる。

 

これまた厄介なスペルカードだよなぁ。

焦らずゆっくり避けよ…。

 

 

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

さっきより弾幕が濃くなってないかな。

でもこれ、それに焦って避けたら私の負けでしょ?

なら、今まで通りに弾幕を避けるだけ。

そう考えると全然怖くないね、これ。

 

 

 

 

 

 

 

――不死「徐福時空」

 

うっわ、これまた厄介なスペルカード。

紫に交代してもらおう…。

『紫』と名を呼び、後ろに下がって冷静に見ると余計に分かるこのスペルカードの酷さ。

 

こっち狙いの弾に前後から来るお札に関係のない弾…。

うん、たまにお札にこっち狙いの弾が隠れてるのは偶然かな?

それはいいけど…大変そうだね。

そう思いながら紫を見たら、こっちをチラッと見てきた。

半目だったのはなんでかな。

 

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

弾幕がどんどん濃くなって……?

うん、気のせいでもなんでもない。明らかに濃くなってる。

むしろ回数を重ねるごとに濃くなってるような気さえもする。

……間違いだといいな。

 

そう思いながら紫が避けるのを見ていた。

 

 

 

 

 

 

――滅罪「正直者の死」

 

そう宣言すると同時に紫に名を呼ばれ交代する私。

そこに避けようのない弾幕を張られた。

あ、これ、詰んだかもしれない。

 

こっち狙いの弾もあるし、それも避けないといけない。

しかもここでレーザーは無理でしょ…。

なんて思ったけど、運よくこっち狙いの弾を避けたらレーザーも避けれた。

なるほど。つまりこれはレーザーそのものに当たる部分があるわけじゃないんだ。

ならもう怖くなんてない。

 

 

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

うん、もうさ。綺麗とだけ思っておけばいいのかな?

弾幕の濃さが尋常じゃない。

こっち狙いがふくまってないだけマシなんだろうけど…こりゃ酷い。

ここまで来ると本当ホーミングアミュレットさまさまだね。

………威力は弱いけど。

 

 

 

 

 

 

――虚人「ウー」

 

宣言してから少しして、いきなりこっちに向かってきた。

弾幕を二列になるように張っていきながら。

でもなんだ。それだけなら余裕で避けられそう。

 

 

 

そう思ってた時期が短いけどありました。

あの張った弾がまるでばらまくように飛んでいってる。単純なこっち狙いじゃないんだ。

軽く誘導すればいいとか思ってたんだけどな…。

ちょっと変えればいけるかな。

いざとなったらボムを使って弾幕を帳消しにして…。

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

さっきと似たような弾幕を張ってきた。

でも、はやさで言えばこっちの方がはやい気がする。

…避けにくいけど、どうにかなるかな?

 

 

 

 

 

――不滅「フェニックスの尾」

 

なんかの形をした炎弾が出てきた。

当たり判定は確か小さいんだっけ…?

それにしても出る度に避けようが……あ、中ぐらいの弾も出てきた。こっち狙いなのか私の方に迫ってくる。

ここは紫と交代しようかな。

そう思って名を呼び、前後を入れ替わった。

 

紫ー、頑張れー。棒読みだけどー。

 

 

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

弾幕が始まると同時に見えたのは遅いお札とはやいお札。

さっきのと似てるような気はするけど、似てるだけではやさはまたはやくなったような感じがする。

本当、避けにくくなってきてるね。にしてもあのお札、どこから出してるんだろうね。

 

因みに避けてるのは紫だよ。

 

 

 

 

 

 

 

――蓬莱「凱風快晴 ‐フジヤマヴォルケイノ‐」

 

な、なんか嫌な予感がする。

紫に避けてもらおうかな…。

名を呼び、前に出てもらったところで弾幕が始まった。

全方位に向けての遅く小さな弾

それと紫の周りになんか中ぐらいの弾が出てきた。

 

それを素早く紫が抜けるようにして避けるとそれが爆発するかのようにはじけた。

なるほど、これも避けづらそうなスペルカードだな。

全方位に向けての弾が来たけど、さっきの爆破するやつが増えて、それに加え三列のこっち狙いの鱗みたいなはやい弾も追加できた。

 

それがある程度増えるとまた最初に戻ったみたい。

うん、2回ぐらい見て思ったけど、ループしてるね。これ。

かなり厄介そうだけど…紫なら大丈夫でしょ。

 

そう思ってジーッと見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

――「パゼストバイフェニックス」

 

今度は間髪入れずに使ってきた。と、いうか妹紅はどこ?

……なんか背中にあったものが動いて……?

 

と考えながら見ていたら、それがいきなり弾幕を張ってきた。

それは大丈夫だったのか、名すら呼ばれなかったけどその次の弾幕の時に名を呼ばれた。

 

あとは私が大きく動き回ったり、少しずつ避けたり、また大きく動き回るっていうことをした。

そういう攻撃が変わるっていうのもある意味厄介だな。

 

 

 

 

 

 

 

――「蓬莱人形」

 

なんかこれ、私にしか見えないのかもしれないんだけどさ、『にんぎょう』とも『ひとがた』とも読める漢字だよね。

まあそれはいいとして…なにこれ。

こっち狙いの弾幕を避けるのはいいんだけど、外側から壁みたいにこっちに迫ってきてるような気がするよ?

 

しかもなんか黄色の全方位弾が来てるし。

来てるのを避けてた感じ、広めなものと狭めなものの二種類しかないからいいんだけど、更にそこにこっち狙いの鱗みたいな弾が一列が来てる。

 

 

……中ぐらいの青い弾と同じ大きさの赤い弾を避けて、こっち狙いの鱗もどきの弾も避けて…

うん、なんかパターンになってるような気がしてきた。

避けれてるからいいんだけどさ。

これか次で最後だといいんだけどな。

 

 

 

そう思いながら避けつつ攻撃していたら、次のが宣言された。

 

――「インペリシャブルシューティング」

 

妹紅が背後にある羽もどきと一緒に半透明になると円状に小さな米粒の形をした弾を張ってきた。

 

うん、なにをするのかな?

っと見てたら花みたいに広がってきた。

隙間が出来た瞬間に急いで入るとそれについては当たらなかった。

ただ次々とそういうのを避けるとなると大変だった。

移動しながら避けて、また次のも避けて…。

似たような場所に出れば楽なんだろうけど、ずらして張ってくるし…。

 

 

何回か避けていたら違うものを張ってきた。

弾そのものはさっきから見てるのと同じだし、当たり判定とかに気をつけてれば避けれないもんじゃないね。

 

 

 

 

お…?これは…難しいな。

青いの避けたら、赤いのを避ける。

その後は背後の青い弾に気をつけながらばらまくように張られてる円状の弾を避けるだけ…っと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、強い…強すぎるわ…」

 

「あら本当に生きてるのね。死なないって言うのは嘘じゃなかったと」

 

「最初の方はとても頼りなくて心配になったけどもね」

 

「痛い、痛いんだって。死にやしなくたって痛みはあるんだからね」

 

「霊夢、この娘見てちょうだい。面白いわよ」

 

「あんただけよ。それを見て面白いって思ってるのは」

 

「こ、こんなに強いとは思わなかった。肝試しにすらならないんだけど」

 

「あら、そうかしら?私だって怖い物の一つぐらいはあるのよ?」

 

 

どうせ甘いお菓子とかお茶のことでしょ?

怖い怖いと嘘をついて、実は好物だったって話なんでしょ?

 

 

「はいはい。どうせお茶とかまんじゅうのことでしょう?」

 

「そうそう、あの液体の色は蟲の血液みたいな感じがして、それと一緒に出されるあの丸いフォルムは大きな蟲の卵を彷彿させて、そして中のあんが……」

 

「……う。まんじゅう怖い…」

 

「さて。これでとりあえずは肝試しも終わりよね」

 

「霊夢。でもまだ肝を試していないわよ」

 

「えっ?なにかあったかしら」

 

「ほら、目の前の人間の生き肝を貴方が掻っ捌いて確認しなさい」

 

「ひ、ひぃぃ……死なないとはいえ、それはちょっと…」

 

「いやいや、なんでそんな妖怪のやるようなことをやらなきゃいけないのよ」

 

「あら、不老不死の人間の生き肝を食べると貴方も不老不死になれるのよ」

 

どこの人魚伝説だよー、と思いながら首を横に振る。

「別にまだ不老不死にならなくたって大丈夫よ。それともあれ?そのままだとあんたとってなにか困ることでもあるの?それに相手は不老不死とは言え人間じゃない」

 

「……珍しいわね。私を人間って言う人間は」

 

「え?だってあんたは不老不死なだけの人間でしょう?この幻想郷じゃ人間とさほど変わりはないわ。妖怪も見た目は人間だからなんとも言えないんだけども」

 

「あらあら、それでも博麗の仕事は妖怪退治でしょう?それはもしかして妖怪差別でもしてるのかしら」

 

おっと、これは失言だったかな?

 

「あら、それは失礼。妖怪は妖怪。妹紅はおおよそ人間。んで、私は妖怪を退治する。そればっかりは外せない約束だったわね。これからもちゃんと妖怪を退治していくわ」

 

「ええ、少し違うけども、大体その通りよ」

 

紫の最後の一言は聞かなかったことにした。

と、いうより流した。右から左みたいな感じで。




すみません、本文を変えさせていただきました。

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