先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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今回はかなり平和なものです。
何事も起きてません。


…番外編が番外編っぽくないなぁ(ボソッ


……あっ。と、とりあえず、本編どうぞ。


第14話 里での宣伝活動とお願い事

私は昨晩作ったばかりのビラを手に、里へ来ている。

本当は里で売るつもりだったけど、よくよく考えればそうしてしまうと神社に来てくれないかもしれないし、神社にいるだろう神様に信仰もしてもらえないし、お賽銭も入らないかもしれない。

 

それだといけないから、とそうさせてもらった。

もらった、というのは霊華にお守りを売る準備をしてもらってるから。

売る日が今日にせよ明日にせよ、まず宣伝をしなきゃ意味がないしね。

 

 

 

さて、そろそろ始めますか。ビラ配りを。

 

「明日から博麗神社でお守りを売るわー。ある程度の魔から身を守ってくれるお守りだから、来る甲斐(かい)があると思うわよー。しかも、そのお守りはお手頃な値段で買いやすくて、博麗神社への参拝もその魔除け一つでかなり安全になるわよー」

 

本当はリーズナブルな値段とか言いたいけど、どこまでそういうのが通じるのか分からないからこういうしかない。

っていうか大きな声でいいながら里を練り歩くのもなんか恥ずかしいね。しかも、やりなれないもんだから棒読み気味になってるような気がするし。

周りから『あの霊夢が…』とか『博麗神社の巫女が珍しく巫女らしいことをしてる』とか若干聞こえてくるけど、そこまで言わなくても……ねえ。

 

 

「自ら危険な魔に近寄りさえしなければ効力は抜群よー」

 

 

言っておかないといけないものも、忘れずに。

って本当、色々な人から珍しいものを見るような目付きで見られるなあ。

それのおかげ…と言えばなんか嬉しくないけど、持ってきたビラをほぼ全部渡せたようだ。

 

 

 

その後、霊華には悪いけど甘味処に寄らせてもらっている。

「……はぁ。いやまぁ、巫女として目立ったことをしてないとは言え、ここまでとはね…」

 

さっき頼んで買ったお団子2本とお茶を座っているそばに置いて見つめながらぼやいた。

因みに私が座っているのは店前にある長椅子の方ね。

 

「そう言ったって貴方がしてきたことは変わらんぞ?」

 

「……えっ?」

いきなり声をかけられたからビックリしてその方を見ると慧音がいた。

 

「こんにちは。珍しいな、あの時以来じゃないか?」

 

「えっ、ええ…こんにちは。そういやそうね。永夜異変とその後の胆試し以来だから久しぶりの方がいいのかしら」

 

思わず流れで返事したら、満足そうな顔をした。どういうこと?

 

「そうだな、正確には最後に貴方が言ったその胆試しだけど。んで、なにをしてるのかと思えば魔除けお守りの宣伝ってやつなのか」

 

「ええ、そうよ。獣道が怖くて通れないのなら、それ用に作って行き来しやすいようにしようかなってね。もちろんそのお守りも絶対じゃないから一年ごとに出来れば買い直してほしいところだけども」

そう言って私は団子串を1本手にした。

 

「なるほどな。よく考えたものだ。でも、なんでお守りなんだ?別にそれでなくても方法はたくさんあるだろう?」

 

「そうでもないわよ。むしろこの方法ならお守りって小さいし、片手で持てるから懐に入れやすいし、下手にやるよりはいいかなって思ったのよ。しかも神社に来ることになるからもしかしたら信仰もしてもらえるかもしれないしね」

 

外の世界の神社もそうなのか分からないけど、そういうのをよく出してるしね。

あと迎春の時の屋台とか。それはまた別の話だからいいとして。

 

 

「ほう。確かにそうだな。懐に入れられる物を売るなんてよく考えたものだ。そうだね、私も気が向いたら一つ買ってみることにするよ」

 

「あら、そう?でも、考えるなんて、そんなことはないわ。ま、でも買いに来てくれるならむしろ歓迎するわよ」

 

現実ではやらないけど、ほんと全裸待機する勢いで歓迎するから

いやぁ、元いた世界の神社を参考にしてよかった…かな?

 

「そうかそうか。ただ暇になるかどうかが分からないがな」

そう言うとハハ、と笑った。

 

まあ、仕方ない…のかな?

寺子屋とか色々やることがあるんだろうし。

 

 

「別にすぐ来れなくても大丈夫よ。こっちもあわせてやるから、簡単にしかできないしね」

 

私がそういうと慧音は驚いた表情を向けてきた。

どんな印象を私に持ってるのやら…ホント…。

 

「そうか。ところで今は暇なのか?」

 

「あー、そうね。やることはやったから、ある意味暇と言えるのかもしれないわね」

 

なにせ休憩がてらに来てたわけだし。

それにもう昨日のうちに大体は用意しておいたから霊華1人でもできることが多い。

 

というわけでついていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧音についていった先にあったのは寺子屋。

「それで、だな。……子供たちの相手をしてはくれないだろうか?大変だと思うけど、少し面倒を見てくれるだけでいい。お礼も多少は渡すつもりだ。貴方が受けてくれるなら任せたいんだが…」

 

 

まさか、呼ばれてついていった先で聞いたお願い事が子供らの面倒を見る。

いやまあ、断らないんだけどさ。ついてきた以上は。

むしろそれでいいのかと聞きたいぐらいだし。

 

 

「分かったわ。いいわよ、そういうのなら」

 

「け、結構軽く受けてくれるんだな。むしろ助かるからいいんなだが…」

 

何故そこで言いづらそうにするの?

もしかして私が一応巫女だから、かな?

 

 

「とりあえず…任せたぞ。私はやることをやってくる」

 

「はいはい、分かったわ。ちゃんとやるから」

 

 

 

 

 

 

 

私は適当に返して、その子供達がいる部屋を探して――あっ、勘任せに探したら見つけた。入るかな。…少し、楽しみだ。


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