多分原因は単純にネタをつめこんだからですね。
ま、まぁっ、内容が想像しやすければ(きっと)いいんですよ!……多分。
あ、ああ。それと本編は下からです。
また夢を、見た。
今の私より身長の高い私が目の前にいる。
でも、それは今の私の容姿じゃなくて、前の、らしい。それなりにボヤけてて分かりづらいけど。
その彼女が言う。
『貴方は本当に自分を本来の人格として名乗れる?記憶を引き継いでいるだけの全くの別人格ではないと否定できる?』
だと。
そんなことはない。私は私なんだ。…人格に偽りなんてない…はず。
そう思う私にまた彼女が言う。
『はず、か。…なら記憶はどうかな?
そうだね。私のと霊夢のがある。
そのせいでたまに記憶になんか繋がりがないなって思うときがあるからなんとも言えない。
『んじゃ、分かりやすく聞くね。―――ねぇ、その記憶さ、本当に貴方の記憶なの?すりこみされた、とかうえつけられた、とか。だって貴方だって分かるんじゃないの?……やけに忘れてるところがおかしいことぐらいには。それにおかしいでしょ?その体にいた人格はどうなったか……』
「…………」
『あっれー?まさか分からないって黙るの?それとも分からなくても平気、私は私って無理して笑って。そうやって虚勢をはるつもりなのかなー?』
虚勢なんてはってない。…はるようなことなんてしてないはず。
『あっ、そう!それすらも分からないなんて終わってるね!…でもいいや。どーせ貴方はいずれ思い知ることになるんだから…ね』
…フラグ回収早すぎ…。
本当、参っちゃうわ。
今度またあの悪夢を見たら『悪夢再び』とか言ってやろうかと思うぐらいには参っちゃうわ。
……あ、でもふざける余裕があるんなら大丈夫だよね、とか言われそうだな。
と、ともかく外でも見て時間を……ってまだ夜なんかい!
くぅぅ…。仕方ない、気分転換も兼ねて縁側で少しホットココアでも―――あ、そう思えば幻想郷にココアなんてあったっけ?
……仕方ない、白湯でも飲むかな。
急須に沸かしたお湯を入れて、湯呑みと共におぼんにのせて縁側に。
つくと夜空が綺麗だった。さすが冬に近くなってるだけあるね。
そるに枯れ葉とかも散っていってるし、それはそれで綺麗だねぇ。
白湯を湯呑みに淹れてから飲んでみた。
…冷えてないから若干熱い。まあ、冷えてたら少し困るけど。
でも…白湯は白湯で落ち着くね。
「おや、縁側に誰かいると思ったら霊夢じゃないか」
ん?この声は…。
「……そういうあんたは萃香ね?」
おう、霧状になってたのね、あなた。
いきなり目の前に出てきたから少しビックリしたじゃないか。
「ああ、そうだよ。にしても夜中に起きてるとは珍しいねぇ」
「ちょっと寝付きが悪くってね。白湯を飲んでリラックスしてたところよ」
私がそう答えたら少し驚いたような表情になった。
いや、驚くことでもないでしょ。
「なるほどね。なら酒でも飲むか?」
その手もあるか…。
幻想郷でしか出来ない方法だけど、それでいけるならそうしようか。
「そうね。…ただ、加減はしてちょうだいね?」
「他の人よりお酒に強いあんたに言われたくはないけど、そうだね。宴会でもない今、そこまで飲む必要もないし、分かったよ」
「そう?なら付き合ってもらおうかしら」
その後お互い酒を飲みあったわけなんだけど、やっぱり萃香は酒豪だった。
まあ、結果的に寝れたからいいんだけどさ。
冬を越え、春になる頃。
あれ以来悪夢も見ないし、小さな異変ぐらいしか起きていなかったから修行―――何故かするはめになってる―――と掃除とかしかやることがなかった。
因みにお守りの評判はなかなかよく、先代の巫女だった霊華曰く『来る人数は昔より少ないか同じね』だそうだ。
…昔も少なかったのね。
今日も同じように修行させられた私は掃除が終わった境内で自然でも堪能しようかと周りを見渡していた。
私の中では自然も癒しなのです。なのです。
「……それにしても花が咲きすぎよね。おかしいわ」
「そうね、しかも四季の花っぽいし…」
「……!?れ、霊華って花とかそういうの見てたの?」
背後にいる霊華に振り向きながらそう聞いてみた。
困ったような笑みを浮かべてるけど、しょうがないよね?
なにせ霊華は巫女だとか博麗の巫女としか呼ばれてなかったっていうぐらい仕事熱心な人。
そんな人が自然の花に詳しいとか思う?
先入観のせいかもしれないけどさ。
「あはは…。無理もないかしら。あなたと一緒になるまでそこまで自然を見る余裕なんてなかったから。でも、だからと言って誰も知らないとは言ってないわよね?」
そこまで、っていうことは少しはあったんだ。
「そう。でも、それにしてはおかしいわよね。霊華、神社を任せるてもいいかしら?今からちょっとある場所に行きたくなったのよ」
「ええ。…ってどこにいくのよ、霊夢」
どこかって教えたらいらぬ心配を受けそうだなぁ。
さすがにあそこなら私一人でも十分だし。
「どこって、そのある場所に少し用事があるのよ。そこに行くからしばらく時間がかかるかもしれないのよね。なんだったらお昼、勝手に食べててもらえる?」
「そう?…分かったわ。でも、気をつけるのよ?いくらあなたでも博麗の巫女であるのに変わりはないのだから」
「はいはい、分かったわよ」
そう言って私は早速そこへ向かった。
多分他の人達も動いてる可能性があるからなるべくこっそりと行きたい。
…ほ、本来より時間がかかった。ほんと、姿を隠して進むのも楽じゃないね。
さて、ここら辺はなんか幽霊…というか怨霊?…えっ?なんか多くない!?誰だ、サボってるのは。
そう思って三途の川近くまで来たら鎌を持った死神もどきがいた。
その死神の名前は小野塚小町―――のようだ。
……でもあれさ、サボってない?やってるの?
私には寝転んでるようにしか見えないよ?
「ちょっとあんた。死神よね。この世に今咲くべきではない花が咲いて困ってるんだけども。どうにかしてくれない?」
「はいはい分かっt…お前さん、人間だね。それをこの三途の川までわざわざ言いに来たのかい。まぁ、大丈夫。渡しておくよ。ほら、私は一級案内人だから」
なんだろう。この人。
そう言っておきながら寝転がったまま、起き上がらないんだけど。
なに?サボる気満々なの?
「だったらその働きっぷりを三途の川までわざわざ来た私に見せてほしいわね」
「心配しなくてもだいじょ……。って、お前さん、巫女なのね?霊魂とか見えてるんでしょ?」
「えっ?…ええ、私は博麗の巫女だけども。んでもって確かに見えるわよ?…それがどうかしたのよ」
いきなり聞いてきたからビックリして素直に答えちゃった。
わっ!?急に立ち上がったと思ったら両手を握ってきた!?
「ちょうどいいわ!仕事量が多くって一人じゃ大変だったのよ。引きこもりとかそんなんで手を焼いてて大変だからさ、手伝ってほしいの。いいかな、お前さん。ちゃんとお礼はするから」
「…そ、そうなのね。大変…。…ま、まあ…分かったわ」
と言うなり大きな鎌を無理やり渡してきた。
え、なにこれ。やらなきゃいけない?
「悪いね。ちゃんとしてくれればお礼は弾むからさ。頼んだよ!」
って私に言うとそそくさとさっきの場所に戻っていった。
これさ…受けちゃ駄目な奴だったんじゃない?
……はあ。でも、仕方ない。
少しでも送ってやればあの異変のような花はどうにかなるでしょ。
異変解決をしてるんだと思えば安い……安い、のかな?
乗れるか不安だった小舟に鎌を持ちながら乗った私は本来の仕事ではないことを始めるはめに。何度も往復してるし、数えてないから分からないけど、そこにいる幽霊達と会話しながら彼岸に送り届けている。
いいのかな、こんなんで。
なんかこう…船渡しの死神のことまでは想像してなかったからあってるのか分からないんだよなぁ…。
んん、とりあえず今の方に思考を戻して…今回は4人の幽霊を送り届けている最中なんだよね。
「いやぁ、お前も苦労するな。俺も夫婦で大変な思いをしたが」
「仕方ないで片付けるしかないわ…。でも、あんた達は頑張った方よ?むしろあんなにノロケたあんたが羨ましいわ」
そういうと他の3人が笑った。
因みに男が2人の女2人ね。
比率がちょうどいいってこれなに。
ああ、渡し賃とやらはちゃんと受け取ってるよ。
あとで小町にちゃんと渡すつもり。
「確かにあれはおノロケ話だよね」
「そうねぇー」
「俺だってなあ!貧乏してなけりゃ彼女ぐらい…!」
…浪費癖のあるあなたがなにを言う。
あなた、自分で借金をして賭け事をしてたって教えてくれたのを忘れたのかな?
それでも話の中に頑張れば落とせたかもしれない子がいたんだけどね。多分賭け事や返済にしか視野がなかったんだね。
「あら、最後のあんたは下手すりゃ賭け事もほどほどに出来て彼女が出来てたのかもしれないのよ?」
「うぇっ!?そうだったのか?!」
「ええ、私はそう感じたわ」
「好意を抱いてそうな子も出てきたものねぇ」
そう続けて言ったのはおっとりした女性。
話からして周りに優しくしていた子みたいだけど、最終的に幸せになって子供に恵まれ死んだ人らしい。
もう1人の女性はその親友。
なんとも複雑なことに彼氏が落ちぶれるのを何度も見たそうな。
…どんな人間関係よ。
「マジか!あー…俺最悪じゃん…」
あっ、今分かったのかな。
運が良ければ来世は落ちぶれ卒業できそうだね?
などとやりながら彼岸に送ることまさかの六往復目。
何人送ったっけなぁ…。
いい加減そろそろ自分でしてほしいんだけど。あの小町は私と違って死神らしいし、そもそも生きた人間がすることじゃないよね。
そう思いながらこの世側の三途の川に向かって小町の船で戻っていた、その時。
「って、小町!なにサボってるの!更に生者に仕事押し付けるなんて……理由を教えてもらいましょうか!」
凄い大声だねー。ビックリしたよー。
というか結構真面目な人なこって。
いや、人じゃないか。まさか彼岸の方から私と同じような人が来るわけないし。
名前は…四季映姫・ヤマザナドゥって言うらしい。
「きゃん!じ、実は怨霊の中に引きこもりの妬み気質な人がいて苦戦してたんだよ!」
「本当に?…それはおかしい。なにせ来る霊達がやけに楽しい話をしてきたかのように――」
「ああ、それは私かもしれないわ。霊の中に外の人がいたもんだから普通に話をして、その中でどうにかしつつ彼岸に連れていったけども」
「……なるほど、貴方だったのね。でも、貴方も不思議なことになっている。本来ならそうなった貴方ですら地獄に行けなかったでしょうが、前の寺子屋での行為が少し、今回のことがそれなりに影響して行けるようになっている」
「へぇ、つまり地獄じゃなくてあの世に行けるってことね?」
「そうね、貴方がもう少し善行をつみ、神様と交流をすれば行ける。今はまだ地獄行き」
「あの世には行けるのね。まあ、考えておくわ。他にも色々しながらね」
「……。本来なら貴方を地獄にすら送りたくないのです。何故なら今の貴方は不安定すぎる。妖怪を退治するところかそうでもない者を退治することが少なくない。でも、巫女として動いたのはごく最近。なんですが、やったのはおかしなことに外の世界のやり方。まだまだ貴方の業は深いですが、何故か違う生活が見えますね。普通に勉強していたようですが、机に置かれた箱形で映像を写しているもので遊んだりそれを更に薄く横に長くしたもので家族と映像を見ていた様子も見える」
いや、あの。それを小町の首根っこ捕まえながら言っても、なあ。
…って、あれ?プライバシー丸見え?おかしいな。映姫はなにを見て…手鏡?
「そちらではどっちもしているので、そこまで業が深くないようですね。それが結果、あの世に行ける可能性を示している。ただその不安定をどうにかしなくては地獄に行けるかすら怪しいけどね」
「あらそう。ご忠告どうも。それはそうと、はい。私にはまだこれはいらないし、鎌も返すわね」
そう言って首根っこ捕まれたままの小町に受け取った渡り賃全部と押し付けられた鎌を渡した。
あっ、映姫に睨まれてる…。
「ああ、律儀に悪いね」
「そういう貴方はしっかり働く!そこの巫女の方がまだしっかり働いてますよ!業を深くする可能性は減ってないけど、善行をつむ可能性が出てきている。貴方よりはマシですからね!」
「ひ、ひえぇー…。すみません、すみません」
そこの巫女って…。間違ってないんだけどさ。
それにしても厳しい人だ。いや、あの感じからして死神に関係している人か。人って言えないけど。
「っと…小町への説教はあとでします。いいですね?」
「か、勘弁してくださいよ、四季様」
「…私、帰ってもいいかしら。こんな感じの異変なら解決させるほどのものじゃないし。神社でやりたいこともあるし」
「ああ、大丈夫ですよ。ですが、説教する代わりに少し言いますね。今の貴方ですら地獄に行けるか怪しいのでまず善行をつむこと。次に自我をしっかり持つこと。いいですね?」
な、なんで今それを?
っていうか特に自我は関係ないよね。しっかり持ってるよ?
「はいはい、分かったわよ。頭の片隅にでもいれて覚えておくわ」
私がそう答えたらため息をついたけど、納得したのか頷いてくれた。
とりあえず、帰ろう。
この異変は放っておいても大したことじゃないし。
…博麗神社に向かうとき、背後から説教の声が凄く聞こえた。
小町、頑張れ。
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