先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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特に意味のないサブタイトルです。

異変の手前ですので、大した内容ではありませんがそれでもいいよと言う方は……下からが本編です。


第17話 色々あったが、休みはない

あれからしばらくして、徐々に四季の花が減っていった。

どうやら映姫曰く『一度裁いておいたからしばらくはしっかり仕事をするはず』らしい。

するはず、と言うのはあの小町――なんとなくサボマイスタってあだ名をつけたくなる――がよくサボるからだそうな。

幽霊ともよく話すし、欲もないと言う。

欲に関してはよく分からないけど、別に話ぐらいしてもいいんじゃないかって言ったら…甘いと怒られた。

 

因みに私の様子も見に来たらしい。

神様との交流は曰く『フレンドリーすぎるが、しないよりはマシ』とのこと。

いやぁ、お守りとかおみくじ関係でお世話になっててね。あとその他もろもろ。

それで話す機会とか神降ろしをする機会があるからその影響かな?

それで、今やってることをそのまま続けるようにと言った後、また説教してきた。もういいいよ。説教しなくても。

その時は霊華のおかげで途中で帰ってもらえたんだけど、霊華も説教されてた。

…あの人って説教するのが好きなのかな?

 

 

 

 

しかもその後、しばらくもしないうちに神降ろしの修行を紫につけられるようになった。

大体二日か三日に1回ぐらいは来る。

色々やることがあって辛かったから一度試しに天岩戸別命(あまのいわとわけのみこと)を使ってみたら『こんな弱い幻覚じゃ駄目ね』と言われた。

一応念のために1人でも修行したのにな。訳がわからないよ。

 

ああ、しかもこの間に妖怪の兎が倒れてね。

着ていたものを綺麗にして返すって嫌がらせをしてあげたら何故か喜ばれちゃった。何故?

それにいつの間にか姿を消してたし。いやまぁ、お礼残していったけど。

その残していったものは美味しかった。月見団子ってあそこまで美味しかったかな?

 

まあ、それだけで終わらないんだよね、この回想は。

神降ろしを身につけてからしばらくした時に月へ行った。

っていうか私が修行するタイミングよすぎでしょ。誰か企んでない?

因みに行ったメンバーは私、魔理沙、レミリア、咲夜、妖精メイドがさんひ…じゃないね、3人。

そもそも乗り気じゃないんだけどなあ。まあ、負けたんだけどさ。元から負けるんだろうなーとは薄々かんづいてたんだけどね。ほら、悪いのは私達だし。

 

私が最後らへんで、大禍津日(おおまがつひのかみ)を降ろして弾幕をはったんだけど巫女装束を着た神様こと伊豆能売(いづのめ)に浄化された。

 

凄い、そんな神様知らない。

って言ったら勉強不足だと言われた。そりゃそうかもしれないけどさ。

で、でも剣を首につけるのはやめてね。怖いんだから。

そう言ったら笑われた。酷い。

 

でもね、月での生活は楽しかったよ。

神降ろしを見せ回ったのは大変だったけど、手を使わないで開くコンビニとかにある自動ドアと同じような扉にスマートフォンとかタブレットのように文字の拡大縮小のできる本に月の民の人となり。

なんか月の民に慣れるのがはやいねって言われたけど、どうしてかな。気のせいだと思うけど。

 

あとなんか見覚えのある亡霊が見えたのは気のせいだったのかな?

神社に帰った時は霊華に事情を説明するのが大変だったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

……とにかく、色々あった。どこかの誰かに写真を撮られたことも含めて。

夏なんて里に降りて寺子屋に行ったりもしたんだけどね。

んで、今は男女で来てくれた参拝客の相手を霊華としている。

 

「いやぁ、霊夢さんがお守りを売ってくれて凄く助かったよ」

 

「そうねぇ。一緒にいる巫女さんにも感謝しかないけど」

 

「別にいいのよ。それで少しでも神社にいる神様とかを信仰してくれればいいのだから。それに、最近はお賽銭も入れてくれるじゃない」

 

「そうね。でも、確かにお守り様々ねぇ…。あ、感謝するなら神様に、ね?お礼返しをするとまた次も答えてくれるから」

 

「あっ、あぁ…ありがとう。分かったわ。彼と一緒にしてくるわね。行きましょう?」

 

「ああ、そうだね」

 

……どうして未だに私は”霊夢さん“で、霊華は”巫女さん“なんだろう。

私も巫女なんだから霊華と同じ呼ばれ方でもいい気がするんだけどなぁ…。

因みに他の呼ばれ方は私は”紅白巫女の霊夢“で、霊華は”博麗の巫女“なんだけど…この差はなに!?

いやまあ、身長は霊華の方がでかいわ、胸もでかいわ、地力もスペルカードルールのない時だから私よりあるわと私より上なものが多いのもあるんだろうけどさ。なんかショックだな。

 

ああ、実を言うと霊華…もとい先代の巫女は本当に上が白色のあれで、下が袴の奴を着てる。

私みたいなコスプレもどきの巫女服は着てない。

それと、もみあげは私のによく似た赤い布でまとめてるみたい。

 

んでもって髪色と目の色は何故か今の私にそっくりだし、顔の形もやけに似ている。

まるで今の私をそっくりそのまま大人にして胸も大きくしたような感じ。

…うん、誰に向かって説明してるんだろうね。謎だ。

 

 

 

 

「…うーん、確かに参拝客は前より来るようになったけども。なんで皆、私のことを名前で呼ぶのかしら」

 

「それはもう仕方ないわ。でも、厄除けに魔除けとかそういう色んな種類のお守りにおみくじとかそれっぽいのを置いただけよかったんじゃないかしら?そのおかげでほんの少しだけどもその参拝客が来るようになったのだから」

 

し、仕方ないで片付けられた…!?

…いや、分からないわけでもないんだけどさ。

 

「まぁ、そうね。妖怪は相変わらず来るけど、魔除けお守りのおかげで来る人が減らないし。…むしろ今心配なのはそのお守りを過信してないかってことなんだけどもね?」

 

「あー…なるほどね。まあ、一年に一度買い直しに来る人は大体一緒のように見えるから大丈夫よ、きっと」

 

「だといいのだけども…」

 

 

 

そう話しているとお参りをしたらしいさっきの2人が私達の方に戻って―――ん?なにに驚いてるのかな?

 

霊華と一度目があう。

なにが言いたいのか大体分かった。とりあえず振り返ろう、だよね?

 

 

…た、確かに驚くわな…。

とりあえず参拝客に近づき、小声で帰ることを促した。

お礼を言うとそそくさと帰っていったけど。

 

 

「貴方…たち?の神社に営業停止を言い渡しにきました」

 

うわ、変な人だな…と思った。

っていうか私と同じ脇だしの巫女服なんだね。

それ以外は緑と白とか違うところがたくさんあるけど。

 

「営業停止にされたら困るんだけども?」

 

「じゃあ、潰すか山におわす神様に譲渡してください」

 

「あなた、勝手に話を進めすぎなんじゃないの?」

 

「果たして、そうでしょうか。まあ、2人で相談しておいてください。私は先に帰ってますので」

 

そういうと飛んでいってしまった。

…嵐のような人だったなぁ。

 

 

 

 

「……どうしたものかしら。ようやく軌道にのってきたと言うのに」

 

「それでも妖怪退治しにいったりするのは変わらないけどもね」

 

「前よりはいいわよ、前よりは。あー…あの話も大分怪しいような気がするんだけどなー」

 

 

「よう。…ってなんでそんな顔してるんだ?」

 

「ああ、魔理沙。それがね、さっき変な来客が来たのよ」

 

「いや、確かに最近は参拝客が増えたようだけど、神社に来る妖怪は減ってはいないじゃないか」

 

「いや、確かにそうなんだけどもさ。違うのよ。参拝客じゃなくて本当に変な来客。人間だったわね」

 

「でも、珍しいわね。営業停止を言っていくあんな(やから)がいるのは」

 

や、輩って…。

いやまぁ、怪しさ満点だったけどさ。

 

「この神社って営業してたのか……って言いたいけど、霊華と一緒にお守りとかおみくじとか売ってるんなら営業してるな。んでも、停止した後はどうするって言われたんだ?」

 

「それが潰すか山におわす神様に譲渡しろって言われたわ。なんか怪しすぎる二択ね」

 

「ああ、そうだな。しかし、妙だな。こんな神社にそんなこと言う人間がいるとは」

 

こんな神社って言うんじゃない。

これでもしっかりした神社なんだし。

 

「こんな、ではないけど。でも、普通は言わないわよね…」

 

「じゃあ、霊夢。話し合いに行ったら?さすがに今回のは私が行くわけにはいかないし。そうすれば分かるでしょ」

 

「あ、それがいいな。霊夢、私らは神社にいるから行ってきたらどうだ?」

 

留守番は霊華1人でも十分なんだけど…。

…別にいいか。

 

「それもそうね。霊華、魔理沙が勝手しないように見ててもらえる?」

 

「勝手って…。まあ、スペルカードルールでも教えてもらうから勝手もできないと思うわよ?」

 

「って霊夢から聞いてないのか!?」

 

「まあ、その。私自身、人間相手の手加減を知らなくってね。ある程度霊夢相手に慣れてたところなのよ。そのせいで聞く時間がつぶれちゃってるみたいでね?」

 

「…あー?要するにどういうことだ?」

 

私はため息をついた。

ようやく私を鍛えるその真意が分かったからね。

体力作りや万が一でも身を守れるように、だけじゃなくて霊華自身と同じ人間相手にどれだけの力を出せば平気なのかっていうのを慣れるための修行だったんだと。

 

……そう分かるとなんか修行じゃなくてもいい気がしてきた。

 

「私に修行つけるついでにスペルカードルールでも変な風に力まないためだったのね。霊華の時と今じゃかなり違うから加減も覚えたかったんでしょ」

 

「ああ、そういえば先代の巫女だから妖怪退治はそりゃ今と違って当たり前か。じゃあ、しょうがない。霊夢、今度なんかおごれよ」

 

「えー…。なんであんたにおごらなきゃいけないのよ」

 

「当たり前だろ。霊華にスペルカードルールを教えんだから。それにもうお前はツケを払えるんだろ?」

 

「……いやまぁその。分かったわよ。ただ今度だからね」

 

「おっ、サンキュー」

 

ぐぬぬ…。覚えてろよ、魔理沙…!

自分からでも里に降りたくなるような美味しい甘味処に連れてってやるからなー!

 

 

 

そんな思いと共に私は山へと向かった。


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