先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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ま、まさか投稿してすぐに評価されるとは思わなかった私です。

ちゃんとシリアスとか出てくる予定なんですが…これじゃ、シリアスをする前にブレイクしちゃいそうですね。

忘れていましたが、霊夢の髪の長さは肩に触れる程度です。
霊華は肩甲骨に触れています。
どっちも同じ黒髪で、目の色も偶然赤の混じった褐色のつもりです。

あれ?そんな偶然って…(


ここから下が本編です。適当に読んでやってください。


第2話 博麗神社って境内を抜いても広いんだね

鍋でご飯を炊き、フライパンで2人前の魚を焼く。

霊華は隣で味噌汁を作ってくれている。

 

ご飯については全く問題ないんだけど、魚の味加減が難しい。

しかも調味料がなにげにたくさんあるから余計に。

ま、まぁ…シンプルにすれば、いいよね!

 

「……ご飯だけはやけに手慣れた動きね、あなた」

 

「やめて。料理してこなかったのが今になって響いてるって実感してるところなんだから……」

そう答える私の声は震えている。

泣きそうなのもどうにかしている。

料理に入ってはまずくなっちゃうだろうし、それだけは避けたい。

こっちにきてからの最初に食べる朝食なんだから―――!

 

 

「ま、まあ…頑張ることね」

なんて横から言われた。

呆れたようにも聞こえたけど、今は気にしている場合ではないっ!

 

 

 

 

 

 

そうこうしている間に朝食はできた。

ただし、私の顔が犠牲になったがな。

…うん、朝御飯を食べる前にでも顔、洗っておこ…。

 

 

「悪いんだけども、皿にのせたりするの頼んでいいかしら…」

 

なるべーく笑顔を浮かべていった。

そう、なるべく笑顔。

べ、別に虚勢はってるわけじゃないんだよ?

と内心震え声でいうものの、そもそも聞こえないんだから声を震わさなくてもいいような気がする。たぶん。

 

「……。分かったわ、いいわよ。よそっておくわね」

 

今の間はなんだ、と言いたいけどやめておこう。

視線もどこか優しいし、生暖かく見守る親みたいになっている。

そんな目で見るんじゃないっ!

これでも色々な記憶や数少ない料理経験を頼りに作ったんだから!蜘蛛(くも)の糸の如く細いものを頼りに!

 

……あ、これじゃ頼りないか。

 

 

 

「ええ、お願いね…」

…さっきより涙声じゃあないか、私よ…。

そう考えながら少し申し訳なく思いつつ、顔を洗う場所へ。

 

 

 

――向かおうとして立ち止まる。

いやいや。使った調理器具を先に洗っておいた方が後々楽になるんじゃないか?

…仕方ない、か。

 

そう思った私は(きびす)を返し、再び台所に。

その時にはもう2匹の焼き魚を皿にのせていた。

「どうしたのよ、あなた。忙しないわね、そんなに動いて」

 

「…先に調理器具を洗っておいたら後々やらなくていいし、面倒じゃないからよ」

と涙が乾いたせいで違和感のある目をこすりたい気持ちを押さえながら答えた。

食べる前にでもいいから絶対顔を洗ってやる。

 

 

 

 

 

 

そう考え、もう使わないだろうフライパンをまず取り、流しで油を軽く落とすために水で洗う。

次にするのはたわしにせっけんをつけて……

「あら、洗うのも手慣れているのね。あとは料理とかを頑張るだけかしら」

 

うう…せっかく涙が乾いたって言うのに……!

それ以上はやめて!私のハートのHPはもうゼロよ!

 

そう考えながら流しでフライパンをたわしでこすっていると霊華が苦笑いを浮かべたのを横目でうっすらと見た。

 

「あっ…。ま、まあ大丈夫よ。あなたもいずれ上達するわ。私が保証してあげるから」

 

「そりゃどうも、ね。その上、保証までしてくれるなんて凄くありがたいわ…」

愛想笑いに近い笑みを浮かべながらその言葉に返事をする。

 

ふむ、つい考えていたことを顔に出してしまったようだ。

やっちゃったなー。

これじゃ考えを読む相手以前の問題じゃん。素直すぎるぞ、私の表情。

これだからポーカーフェイスは私には向いてないんだ。

 

 

 

因みに仕方なく、流しで顔を洗いました。

服や髪の毛が濡れないようにするの、大変だったな。

 

 

 

 

丸いテーブルにさっき作った朝食を座ったときに私達が向かい合うように並べる。

霊華も手伝ってくれたおかげで焼き魚が上、味噌汁が左、ご飯が右に配置された。

っていうか何故そんな置き方なのか。

うーん…全く分からん。

 

ん?分からない?そういえば、なんか言い忘れていて相手が分からないことが一つ…

 

……あ、ある!しかもそれを名乗っておかないと呼べない奴!

現代の博麗の巫女とは霊華(仮)が分かっても名前まで分からないんじゃないか!?

っと、かっこかりは失礼か。

 

 

 

「ねぇ、私…あんたに名前、教えてなかったような気がするのよ」

私は正座、霊華も正座で座ってから食べる前に聞いてみた。

さっきからずっと”あなた”呼ばわりだしね。

前の私の名前を忘れてるんだからそりゃ当たり前だろうけど……博麗の巫女とも巫女とも呼ばれないって。

脱線しかけ――と思ったけど、大丈夫そうだった。

 

(あぁ、そうなるのね。やっぱり、2回呼んだところで分からないでしょうしね。それに“彼女”にとってまだお互いが自己紹介していないはずだし。……私が知っているのはあいつが口を滑らしたからだものね。やれやれ、ここはのるしかないかしら)

 

 

「ああ、それはすっかり忘れてたわ。私としたことが現代の巫女の名前を聞き忘れているなんて」

 

やっぱりー。

と、いうかお互い忘れてたのね、そりゃあ聞きもしないし言いもしないよね!詰んでたがな!一瞬だけ!

 

という気持ちを切り替えていうことにした。

いい加減呼びづらさも出てくるだろうし。場所的な意味で。

 

「んっんー。それはお互い様だから仕方ないわね。そっちだけは分かるから言うわ。……霊夢、よ」

 

お互い様、という言葉に不思議そうな顔をされたから内心焦ったけど、その後の言葉を聞いて笑みを浮かべてくれた。

だ、だって私も忘れてたんですもの…。持ち前の勘かなにかでカバーして(欲しい)。

 

「ふふ、本当忙しない子。そうね、名前が分かったところで朝餉(あさげ)、食べましょう?」

 

なにが忙しないっていうんだ…。しかも微笑ましげに私を見おって……なんもないぞ?

 

ま、いっか。言葉に甘えて冷める前に食べるとしましょうか。

 

「ええ、そうね。せっかくのものが冷えたらいけないものね」

 

「そうでしょう?じゃ、いただきましょうか」

 

そういってほぼ同時に『いただきます』といって食べ始めた。

その時の味の感想は…というと

「ご飯はまあまあ美味しい」

「味噌汁ちょうどいい!」

「うわっ、私の焼いた魚…味薄くない?」

だった。もちろん私の、だが。

 

因みに少し時間をかけて食べた後、霊華と一緒に食器や調理器具などを洗ったため、朝食の感想を聞いてみた。

『ご飯は完璧ね』

『味噌汁はそのうち教えるわ』

『焼き魚は……まずくはないから大丈夫よ、胸をはって』

だったんだけど…うん、焼き魚の味のところだけ微妙な返事だね。

あと味噌汁は一応作れるよ?沸騰する前かそこら辺に小さな干し魚をいれて、しばらくいれるけど、沸騰する前に……あれ?こうだっけ。

だし入り味噌が楽すぎて忘れちゃった。

 

 

因みに関係ないけど、『食器を洗うのも上手いわね』と言われた。

うん、料理とかそういうの、はやめにどうにかするね。

それこそ前の私の名前より。

 

じゃなきゃ違う意味で心が削れてく。真面目に。

…ただ、時間がかかりそうだなぁ。今度、霊華に教わるか。

 

 

そんなハートのHPをがりがり削っていく食器洗いを終えた私達。

ちょうどいいし、境内(けいだい)でも見るがてら(ほうき)かなにかを探して掃いてみるかな。

 

そう思って倉庫かなにかを探そうと居間から出ようとしたら

「霊夢、どうしたのよ。なにか用事でも?」

と声を背後からかけられた。

 

用事はないけど、つまようじは欲しい。

…あ、やっぱりなくていいです。いらないです。

 

「ええ、ちょっと境内でも見るついでに綺麗にしようかと思ったのよ」

 

私がそういうと立ち上がる霊華。

うん?霊華こそなにかするのかな?

 

「なら、広いのだし2人で手分けした方がいいわよ。多分記憶としてはあるでしょうけど」

 

「そ、そんなに広いの…?そ、それならお願いしてもいいかしら」

 

確かに霊華の言う通り、記憶としては広いことが分かっている。

でも記憶で理解できるか?って聞かれたら無理と速答するレベル。自分で見なきゃ分からんよ。

あ、でも機会があったら景色を見ながら境内を歩いてみたいかも。

 

「ええ、いいわよ。むしろ体がなまらなくて済むから助かるわ。あ、そうだわ。朝か夕方、どっちかの時間を使って体を鍛えるつもりだから覚えておいてほしいわ」

ニコッと笑顔でいってきた。

それ以上鍛えてなにするの…。

私もいつかスペルカードルール、教えてあげるかなぁ?

 

「分かったわ。でも私もスペルカードルールについて復習したら、霊華…あんたに説明しにいくからね」

 

そういうと不満そうな顔をした。

ごめんね、霊華。あなたの時と違って今代からそういうルールがあるの。

 

「ま、まあまあ。霊華、こう考えるのよ。前ほど命をかけなくていいんだって。平和ボケするとか思われそうだけどもね」

と申し訳なく思いながら笑みを浮かべ、そういった。

外から来た吸血鬼と平等に戦うため、でもあったらしいけど…霊華は先代だし、そんなこと知らないだろうしね。

 

 

すると何故かふふっと笑う。

むぅ、これでも私はあなたのことを思って――

 

「ごめんなさいね、ちょっと大人げなかったかしら。そうね、前みたいにやらなくても平気なら…今度、その復習とやらをする時に私も一緒にやらしてほしいわ。対応できるようにしておかないとあなたと手合わせできないもの」

私の思考を遮るように、いってきたと思ったらぽん、と私の頭に手をのせる。

 

……そっか。ならよかった。

でもさ、その撫で方…子供をあやす感じがするよ?

き、気のせいだと信じたい。

 

「はいはい。とりあえず箒持ってくるからあんたも手伝いなさいよね。私は前半分でも勝手にやってるわ」

むす、と怒ったように睨みながらそういう。

なんか言い方がもはや私ではないけど、言った時点で勝手もなにもないか。

 

「勝手なのに自分で言うのね。…でも、それはいいとしてあなたは箒の置いてある場所がしっかりと分かるのかしら?」

そう霊華は言うと口元をニヤッと片方だけ緩めた。

得意気に、見える。

 

くっ…。記憶だけなのを逆手にとられたかな。

でも大したことはない。何故ならば……

 

「ふん、そんなの私の記憶だけで―――どうにかならないからどうか教えてください」

と通路に出かけていた私は少しジャンプしてから短めの前転をした後に土下座をした。

 

記憶だけでもたどり着けるだろうけど、倉庫は中が少し多いようで。

今度片付けをしておかないといけない上に下手に触れば物が雪崩(なだれ)を起こして埋もれる。真面目に。

いやまぁ、出ようと思えば()ってでも出られるだろうけど。

 

「……す、素直ねぇ。と、いうかそれはなに?飛んでからする土下座なんて見たことないわよ」

 

「記憶だけで完結できたらもう苦労なんてしないもの。素直にもなるわ」

 

そういって聞かれた内容をどう説明しようかと悩む私。

ほらさ、アニメーだとかそういったところで外の世界や娯楽をあまり知らなさそうな人だからまた説明をしなきゃだし…。

 

あとなにげに額が痛い。

ジャンピング土下座はするもんじゃないね。

 

「それもそうだったわね。…ちゃんと教えるわよ。あなたがその土下座についてなにかしら口を割ればね?」

 

言い方が物騒です、霊華さん!

口を割るとか悪態以上の悪さしてないから!

 

「なにもしなくても言うわよ、そんなことぐらい…。さっきのをすごーく簡単に言えばジャンピング土下座っていうの。ほら、飛んだあとに土下座をしたから、ジャンピング土下座。分かりやすいでしょう?」

そう言いながら立ち上がり、おもむろに額をさする。

再現なんぞするもんじゃない。痛い目を見る。

 

「分かったわ。こっちよ」

 

そう言われて案内されたのは通路の行き止まりで尚且(なおか)つ空き部屋になっている和室が左に見える場所でした。

奥かよ!




「どうも、私は名もなき博麗の巫女よ!」ドヤァ

「……はいはい。ところでなにを進めるって言うのよ。あと呼んだ理由あるんでしょうね」イラッ

「まあまあ、霊華。まずは読んでくれてありがとう。凄く嬉しいわ」

「理由すら話さないって今代は…はぁ…。んで、今のは誰に向かって言ったのよ。というか読んでくれてってなによ」

「いーからいーから。あ、呼んだ理由は特にないわ。キラッ」

「…へぇ、そうなの。呼んだ理由はなし、だったの。しかも反省の色もなし…。いい度胸ねぇ!」

「うわっ、ちょっとあんた…!?あ、ちょ、決めちゃダメ!痛い!ギブッ!……あ、か、感想送ってくれた1名の方、本当にありがとうね!ちょ、やめ、痛いってばー!」

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