いやぁ、遅かったですね!(他人事)
色々起こっていきます。
では、下からが本編となっておりますので。ごゆるりと…。
…最近、悪夢を見ると分かる。
これが夢なんだと。
『悪夢?なにをしてこれを悪夢と言っているのかな?まあ、そもそも気絶と睡眠は違うもの、というのは分かるね?ま、言わなくても簡単なヒントがあればあの時、すぐに身を引いた理由が分かるはずだよ』
なるほど。だからあの時、あっさり身を引いたんだね。
そもそもあれは寝たわけじゃないしね。
『そうだよ。なのに何故干渉できたか?……いや、今はどうでもいいね。そもそも私が貴方の考えていることを読めている自体が最初からおかしかったのだから。でも、今さら気づいたってもう遅い。貴方は既に私の手のひらの上で踊るしかないんだと知ることになるはずだよ』
否定されない上にそうきたか…。
『ふふっ、そりゃそうだ。否定する必要など最初からありはしないのだからね。ところでそろそろその失われた記憶の方にも疑問を覚えたら?あと元からいた人格についてとかさ。ポジティブ…いや、現実逃避したところで今はなにも変わるはずがないのだから。現実、みなよ。いい加減にね』
という言葉を最後に目を覚ました。
んでもってまた夜。どうしたものかなぁ…。
二度寝するのもあれだし…。
『いつまでも現実逃げられるとは思わないことだね』
『思い出そうとしても思い出すことのできない記憶。憑依してしまった現状から目をそらしていることに気づいている?…他にもあるその記憶が自分のものでないと頭では理解していると言うのに?』
『しかも、どうしてこうなったのか分からない。憑依したのかすら。だから貴方には今残るその記憶が、元からある記憶がつけられたかどうかと聞かれても肯定も否定もできないはず。本来いるべき人格がどうなったかすら知らない。違う?』
『さて、ここまで来て問うよ。結局貴方は何者なんだろうね?博麗の巫女?それとも外来人?……あっ、ごめんごめん。本来の名前すら分からなかったんだったね。悪かったよ、アハハハハ!』
「―――む!………いむ!………霊夢!」
「……どうしたのよ。そんなに大声で叫びながら揺すらなくても起きてるわ」
「寝てたじゃない、あなた。それにしたってどうしたの?朝起こしにきてみればうなされてたじゃないの」
あぁ…なんだ。そういうことだったのか。
「…別に、なんでもないわ。ちょっと湯浴みしてくるわ」
「ちょっと待ちなさい。あなた―――」
(―――そんなに目の下に酷いクマを作って大丈夫なの?なんて、言えないわね)
なにか言っていたけど、無視して風呂場へ向かった。
1人か2人が入れるだろうって広さだけど、ないよりはいい。
…とりあえず入って忘れよう。
湯浴みした後、居間に向かうと霊華がいた。
「
なんで若干遠慮がちなのかな。
気のせいだと思いたいけど。
「…ええ、少しいただくわ」
今日の朝食はお互い、無言で食べた。いつもなら言葉の一つぐらい交わしてたような気がするんだけどな。なんでだろう。
食べた後、なんとなく縁側に座ってみた。
因みに飲み物も持ってきたけど、お茶じゃなくて白湯にした。
それにしても今朝のは一体なんだったんだろう。と、いうか最近はああいう感じの夢ばかり見ている。
いい加減に辛い。
『辛い?…そう、辛いのならこっちへおいで』
「…へ?誰よ、あんた」
『私が誰だっていいでしょ。私は貴方を助けてあげたいだけだよ。辛そうだから、ね』
なにを言ってるんだか…。
『それにどこぞの誰かさんにも解決できないようだからね。解決できるかもしれない私が手伝えば大分変わると思うんだけど…どうかな?』
「…………分かったわ」
仕方なく白湯とかを置いて言われるがままの場所へいって―――ナニカをされた。
……ああ、もウ、なにも悩まナくテ良いンだ……
「お、おーい。霊華ー。いるかー?」
「なによ、どうしたの?」
こレは…2人ノ声?
デもドっちがどっチなんて…分かラないヤ…
…モうなにもカもいいヤ…
「い、いや。それよりもなんか凄いのを感じないか?」
「なによ、もう。それで?その凄いのって私にはなにも感じ…………いえ、確かにとんでもないわね」
「だろだろー?それをさ、霊夢にも教えた方がいいんじゃないか?あいつだって危ないぜ万が一強いのだと―――」
「ねぇ、魔理沙。一体なにを教えてくれるというのかしら?」
「なっ!?」
今どきそんなにビクッて驚く人いないよ?
「フフ、そんなに驚くことかしら…。ねぇ、そこの人」
へぇ、警戒心丸出し。さすが先代の巫女。
魔理沙はその先代の……いえ、霊華と“私”の顔を見て忙しない。
どこまでも普通の人間だね。
「そりゃいきなり出てきたら驚くだろ!?」
「あら、それは悪かったわ―――ねっ!」
あぁ……やっぱり先代は賢い。伊達にあの時“私”を追い詰めただけある。
でなきゃ不意打ちをそうあっさりといなせるわけないもんね。
それにそんな殺意を分かりやすく出してくるはずもないし。あぁ、この女を倒し損ねたのが残念でならないよ。
「危なかったわね、魔理沙」
「危ないってあれはれい「惜しいわ。あと少しで当たったというのに」」
「……なっ!?ど、どういうことだぜ!?」
「どういうことでもないわよ?」
ああ、愉快だね。魔理沙って子のあの顔は。
とことん普通の人間だ。良くも悪くも、普通の人間。どこまでいっても…ね。
「いきなり攻撃しておいてよくもまぁ、そんなことが言えるわね」
「そういう意味で言ったわけじゃないのだけれども。別にいいわ。もう関係なくなるから」
「それって―――」
「―――!?」
まさかこれも避けられるとは思わなかった。
いや、今の手加減を避けられないようじゃ、興ざめだ。
「お、おい!霊夢待てよ!なんで…なんで攻撃してくるんだよ!わけが分からないぜ!」
「理由なんて、ないわ。強いて言えばあんたが知り合いだから、かしらね」
(……ど、どういうことだぜ。確かに前の霊夢とはおおよそ違うとは思っていたが、変化しすぎだ)
「そんな理由……!」
「……っ。もっと警戒しておくべきだったわ。“あなた”に会ったあの時から」
「残念、それはもう遅すぎるわ!」
―――。
見えていた。全部。
魔理沙にいきなり回し蹴りしようとするところから封魔針などを武器にして傷つけるところまで。
「…なんでこんなことになったのよ、なんで…」
誰かが死んだわけじゃない。そう思いたいけど、けど…なんで地面に血が落ちてるんだろう。
…でも、これを作ったのは私。
――じゃあ、この血は一体誰のものなの?
『あなたは落ちるほど怪我はしてないわ。それは魔理沙と先代の巫女のもの。…あとは分かるわね?』
「あぁ…そういうことなの…。…そう…」
理解できた私は叫んだ。
なんだ他愛もない。ポジティブ思考が長所とか自負してるくせにあっさり崩せるとは誰が思うだろうか。
こうなれば自演として影でも作り出しておくか。そすうれば騙し討ちもしやすいだろうしな。
まだまだ封印の影響があるけど、もうほとんど解除したから問題なんてないんだよな。万が一がなければ倒されることもないだろう。そもそも心を折れば抵抗すらしないだろうけど、そんなんじゃつまらない。
「さぁて…これからなにをしていこうかしら」
封印された時に巻き添えにした甲斐があった。
おかげさまで自由に動ける。……さて、影を作り出しておこうか。見られては言い訳をしようにも難しいからね。
すみません、一部本文をリメイクさせていただきました。