先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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つ、次の話からは通常運転になります。というか通り越してわちゃわちゃするかと。

では、ごゆっくり。

※追記:今さらですが、この話は霧雨魔理沙視点となっております。ナンバリングが27.5話なのは博麗霊夢(憑依)とは別の視点なためです。


第27.5話 色々あったけど、私達は元気です

いっつつつ…。一体いきなりどうしたって言うんだ?あいつは。

霊華って奴もいきなり敵意をあいつに向けるし…。おかしいぜ、こんなの。

 

 

…いや、そうでもないな。

冷静に考えりゃおかしなことだ。

 

むしろ最初から疑問を持つべきだったんだ、私は。

多分、あいつは霊夢であって霊夢じゃない。そもそもあいつならやるとしてもビンタだもんな。

 

もうここまで来れば勘の鋭くない私でも分かるぜ。これは異変だ。

今の霊夢が前の霊夢と違うことぐらい、もっと早く気づけたのかもしれないが……。そんな後悔をしてる場合じゃない。

とにかく幻想郷の様子を見ない限りにはなにも始まらないしな。

 

 

 

 

 

しっかし…どうしたもんか。

最近のあいつなら『面倒なことになるなら解決する』とでも言いそうだが。前はそうじゃなかったし、なんとなく違うことが分かっていたが、別にいい。

んでもって最近のあいつは小さい異変すら内容によっては解決しに行ったらしいからな。ありえそうだ。

 

「まずは怪我を治すことが最優先だよなぁ。待ってくれそうにないから面倒だぜ」

 

まあ、考えていてもしょうがない。

まだ安全そうな永遠亭に行って情報でも聞くか?

本当は先代の巫女に聞いた方がはやいんだろうけどな。黒幕が誰か知ってる感じだったし。いや、そもそも出会ってたのか?

くそっ。先に出会えりゃよかったんだが、そもそもどこに逃げたんだろうな。さっき散り散りに走ったせいで分かりにくくなっちまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとまず永遠亭に…行こうとしたら何故か妹紅の奴がいた。

まだ竹林の前にすらついてないんだぞ?まあ、私の方は軽症だし、話しかけに行くか。

 

「…妹紅。こんなとこにいて、どうしたんだ?」

 

「いや、そういうお前こそ、怪我してるじゃないか。どうしたんだ?」

 

おっと。そりゃ聞かれるよな。

軽症とはいえ、斬りつけられたあとが見えるんだからな。

 

「どうやら霊華がきた異変の元凶が霊夢をのっとてるみたいなんだ。多分そんときのだな」

 

「……元凶?待て待て、その言い方だと今のあいつは前に会ったあの巫女じゃないんだな?」

 

険しい顔だな。

いや、無理もないだろうが。

…多分戻せると思うんだ。あいつがまだいればの話だが。そもそも霊夢みたいな感じの人格じゃない。

耐えていられるか…?…いや、耐えれるだろう。あのポジティブっぽさならおそらく、な。たぶん拠り所がなきゃあいつも……

 

 

「…魔理沙、どうした?」

 

「……あっ、ああ。悪かったな。つい考え込んでしまったぜ。そうだな、今のあいつはあいつじゃない。だからこそまだ被害にあっていないであろうお前に協力をあおぎたいんだが…いいか?」

 

「仕方ないな…。ただ里の方を見ておきたい。すまないけど、一緒に行ってもらえないか」

 

慧音のことでも気になるのかね。それか住民か…。

いや、慧音だろうな。妹紅のことだし。

 

「分かったぜ。あの後どうなったか見てないし、もうなにが起きてもおかしくないもんな」

 

「ああ。それよりも軽い手当てぐらいはしてからいくぞ」

 

「へーい」

 

 

やってもらうと分かるんだが…案外うまいんだな。

誰かに何回かやってきたのかね。それとも自分にでもしたのか。

いや、聞きはしないけどな。たぶん、なんだが妹紅は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんあと、手当てが終わってから空を飛びつつ里へ向かうと凄いことになっていた。

あろうことか、慧音が慧音そっくり…なのだが、なんか違う奴と戦っているから不思議だと思った。

もうなにか起きているのか?

 

「妹紅、あそこに助っ人に行けるか!?」

 

「魔理沙に言われなくても入るつもりだよ!」

 

 

 

 

そりゃそうか。仲いいみたいだし。…感じにくいが。

 

「慧音!大丈夫か?」

 

「……!も、妹紅!?それにお前は魔理沙か!」

 

『へぇ、お前達、その本物もどきに手を貸すのか?……。やれやれ、お前達も落ちたものだな』

 

 

「妹紅、多分あっちが偽者だろうな」

 

「ああ、だな。慧音、一緒に戦うぞ」

 

「2人共…。すまない、恩にきる」

 

そう話してるとなんか苛立ったような表情になりやがった。

あんなんじゃ自分が偽者だって言っているようなもんだぜ。

もう少し誤魔化せないのかね。

 

 

「とりあえずあいつを倒してから話を進めるとするか?」

 

「ああ、そうだな。…いけそうか?慧音」

 

「多分な。ただほとんどをお前達に任せてしまうかもしれないが…頼んだぞ」

 

私と妹紅はそれぞれ返事を返してその慧音そっくりの影と戦うはめになったったってわけだ。

いや、今そうなってるんだから言い方が違うか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苦戦したものの、倒すことはできた。

しっかし、あいつと違って普通に弾幕が通るんだな。

弱体化でもしてるのか?

いや、それ以前に残してった言葉が気になる。いや、残したというか、私達が逃げただけなんだけどな。

 

それにしても『……今をせいぜい楽しむんだな』って一体どういうことなんだ?

楽しむとか、なにが言いたかったんだ?

 

 

 

 

 

「手間をかけさせたね、妹紅達には」

 

「いや、そんなことはないさ。な、魔理沙?」

 

「あ、ああ。そんなことはないぜ。…それより、おかしいとは思わないか?」

 

「「……?」」

 

 

おう。まさかあいつら揃って顔を見合わせるとは思っても見なかったぜ。

ああ、でもそれが普通か?…なにせスペルカードが効かなかったあいつを見てないから。

 

「実はだな、霊夢が何者かに乗っ取られてるんだ。多分憑依かなんかしてたんだろうな。ほらあいつ、巫女だし」

 

「そういうと新しく山にきたあの巫女も危ないということになるが…」

 

「それはないだろうな。狙われる危険性はあってもわざわざ憑依しになんていかないだろうさ。なにせあいつだからな」

 

「それはどういうことだ?」

 

「……慧音は里にいることが多いから察しがつくだろうと思ったんだが、難しいか?」

 

ま、顔を見合わせるよな。

 

 

 

「霊夢と違って現人神だから、とは言わないよな?」

 

「多分ありえるだろうな。あときたのも最近のようだからな。……しかし」

 

 

ん?なにか話すのをためらうようなことでもあるのか?

ここはハッキリ聞いておかないとな。

 

 

「慧音、まさか他になにかあるとか言わないよな」

 

「ああ、それが言うんだよ。……霊夢だけ、歴史が増えている、というべきか。1人の歴史にしては矛盾しているように感じたんだ」

 

「多分あの巫女…中は霊夢じゃない。全くの別人のはずだぜ。私は誰か知らないが、そっちが乗っ取られてる可能性がある…とかありそうだな」

 

ん?どうしたんだ、2人共。そんなに驚いて…。

 

 

 

「お、おいおい。分かってたんなら先にどうにかしてもよかったんじゃ―――」

 

「まあな。だけどな、案外あいつと付き合ってると楽しいんだぜ?見てて飽きない。……それに助けてやりたいのは私のワガママだしな」

 

「…そ、そうか」

 

「そこまで言うなら手伝うぞ。私にはあの肝試しの時のお返しをしてやらなきゃならんからな」

 

根にでも持ってるのか?こいつは。

と、いうか私も行きたかったぜ。そんな楽しいのに1人で行ったのか?

あとで聞いてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから私を含めた3人で回ってみたんだが、被害がそれなりに出ていた。

もはや異変ってレベルですむのか?

まあ、そこらも苦戦を強いられつつも倒したんだが。

ほとんどが『―――今をせいぜい楽しむんだな』って捨て台詞だったのは凄く気になるな。あいつの真似か?

 

 

 

 

 

ま、それはともかくとして、だ。

今、助けたメンバーも含め、紅魔館を借りて話し合いをしている。

提案したのは私だったはずなんだけどな。

 

 

「……それで?勝機はありそうなの?」

 

「可能性としては。ただ前提としてあの霊夢さんを表に呼び出す必要があるのが難点ですが」

 

「それは問題ないぜ。私か霊華でどうにかすりゃあいいんだからな。な?先代の巫女」

 

「それはそうなんだけども、先代の巫女は呼び名じゃないのよ?」

 

そう呆れたように言わなくてもいいだろうに。酷いな。

まあ、むしろ紅魔館に来てくれただけですごいのか?

面子的にはとんでもないが。妖怪も洒落にならない気がする。

 

まずレミリアだろ?その悪魔の妹ことフランドールに咲夜、美鈴、小悪魔、パチュリー。1人はよくぞまぁ、出てきたな。

魔導書について言ってこない辺り、今回の出来事はやっぱり大きいんだな。

 

他の場所からは慧音、妹紅、早苗、諏訪子、神奈子、妖夢、アリスが来ている。

それ以外はいないが、それでもすごいんじゃないか?なにせ冥界には被害がいってなかったらしいからな。

ああ、もちろん影に襲われていた奴らもきてる。そもそも連れてきたから普通なのか?

 

「にしてもあれ、影というわりにはドッペルゲンガーが近いわね。それも自分こそが本物と信じて疑わないタイプの。珍しいわね」

 

「…そのわりには本物との差異がありすぎて偽者だと分かりやすすぎるとだと思うんだが、そこんとこどうなんだ?」

 

「聞いた限りじゃそこが問題なのよね。騙すつもりならしっかり作るでしょうし。…そこで私はそれを撹乱が目的だと踏んだわ」

 

「そこまではパチュリー様の意見であってるのだけども、そこでおかしな点をあげておくわね。こっちには出向いてないけど…霊夢の影までいるのよ。ああ、それについては安全圏から雇っている妖精たちに確認させたので間違いないわ」

 

「そ、それって…!」

 

あぁ、間違いないだろうな。

下手すりゃどっちかに霊夢がいる。あいつじゃなくて霊夢が。

面倒なこって。

 

「そこでやることは決まっているわ。あの手間をかけさせてくれた紅白巫女を叩き起こして異変を解決させる。異論はないわね?……あぁ、フラン。今回、貴方は壊すことを心配しなくていいわ。ただ壊す相手を間違えないこと。それが出来れば地下ではないしっかりした部屋を咲夜に用意してもらうつもりだから」

 

「……!お、お嬢様、ですが「これは決定事項よ。嫌だと言うのならばあの異変以来むやみやたらに破壊しまくらなくなった我が妹へのテストだとでも思いなさい。部屋はその褒美よ」」

 

「……相変わらず我が儘」

 

「ふん。好きに言うがいいわ」

 

「それはいいけど、ここで姉妹喧嘩はやめてくれないか?」

 

こっちからしたら苦笑いしかない。

もうすぐ元凶と戦うってのに呆れるぜ。

 

「それもそうね」

 

「ええ、私まで疲れちゃうわ」

 

 

「とりあえず、やることは―――」

 

 

と咲夜がまとめて話してくれた。

さすがメイド長だ。伊達にこいつらの相手をしてないな。たしなめるのもうまかったぜ。

あと説明も分かりやすかったな。おかげですることがすぐに飲み込めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んで、結果だが助けられた。もちろんあの今まで戦った奴以上に苦戦させられたが。そりゃほとんどの連中が既に手負いだから当たり前なんだが。

それで気絶から目覚めた霊夢はある程度外の世界に関係してる記憶が戻ったらしい。

だと言うのにこの幻想郷へ来たときとあんまり変わらないっていうことになにか言ってやるべきだったか?本名もまだ思い出せないとかも言ってたからな。

余計に反応がしづらいぜ。

 

 

 

ま、そんなことより一番本人が驚いていたことがひとつあったけどな。

 

あの霊夢、スキマ妖怪曰く元の世界に二度と戻れないんだとさ。あいつも大変なこった。




一部本文をリメイクさせていただきました。
タイトルもほんの少し修正しました。

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