先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花
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一部他の本文に修正など手を加えました。

ですので、この話より先にそちらを読んでいただけると内容がつながるかと思います。

そして、新しい試みを行ってみました。いかがでしょうか。


第29話 寺子屋は忙しい

二日酔いも治ったし、あれからしばらく時間がたった。

せっかくだし、里に行こうと思った。

理由?…寺子屋の子供たちに会いに、かな。

それと里の様子を見に―――って何事もなかったみたいになってる!?

いやまぁ、そんなに暴れてなかったようだけどさ!

 

 

そ、それにおかしいな。

色々と前の異変でやからしたはずなのに、里の人達から怯えられない。

むしろ里の入口で出会う人達ほぼ全員から同情するような感じで見られてるような気がするんだけど!?

なに?私は『同情するなら○○くれ!』って言えばいいの?

絶対場の空気的にあわないでしょ、そんなの。それに欲しいのがあったとしても出来れば自力で手にいれたいからねだるなんて嫌だし。

 

 

 

 

「…そこでなにをしているのかな?」

 

「そういうあんたこそ、寺子屋はいいのかしら?慧音先生?」

 

とあえてニヤつきながら聞いたら呆れられた。どういうこと?

 

「そういう貴方こそ里に……いや、いい。むしろちょうどよかった。そんなことより今、問題があってだな」

 

「あらやだ、珍しい。私指名だなんて。未解決だった異変より大事なことってなんなのか、気になるわね」

 

「それはだな。……寺子屋のしょうじに誰かが落書きしている。寺子屋にいる子供たちがしたのかと思って聞いてみても全員違うらしいんだ」

 

「あら、それでいいの?なら、良い方法があるんだけども、いいかしら?」

 

「ん?なんだ?」

 

「……私もその寺子屋で一時的にあんた達の授業に立ち合う、ってとこでどうかしら」

 

「なるほど。分かるのか?それで」

 

「いいえ、やってみなきゃ分からないわ」

 

何故半目で見られるんだろう。

不思議だね。

 

「顔を横にふったと思ったらそれか…。まあ、いい。協力してくれるのなら助かる。とりあえずこっちだ」

 

とほぼ一緒についてきてね的なジェスチャーをされたからついてくことに。

 

それと寺子屋までの短距離で聞いた話がある。…というか、教えてもらった、かな?

 

 

まず、あの異変は先代の巫女に私がなにかやらされ続けた、そのストレスが原因だと思われているらしい。

 

いやいや、ストレスはたまってないから。むしろ恐怖なら植えつけられたかな、うん。

サボるにサボれなかったし。

今はほどほどにしてもらえたけどね。

……っていうか誰か見てたの?

 

気になったので聞いてみたら『分社の参拝客か誰か里の者が偶然その様子を見てたんじゃないのか?』とのこと。

さすがにそこまで分からないか。

 

ありえなくもない話だからもうそれ以上は聞かないけど。

あとで霊華にはそこまで酷いことはされてないとかフォローしておくかな。

 

 

もう片方はさっきの話の詳細だった。

寺子屋のしょうじに落書きされたのに気づいたのはいつ、だとか皆に聞いても違うだとか。

そんな感じ。

 

 

「…んー、誰かのイタズラかなんかじゃないの?」

 

「だといいんだが…。これじゃまるで怪異みたいであんまりよくないと思ってな」

 

「なるほど、ね。なら私も見ることだし、大丈夫でしょ。…それで、どこらへんにされることが多いのかしら?」

 

「あぁ、それはだな……」

 

 

 

 

 

 

そう言われつつ、寺子屋につくなり見せてもらった実物。

うん、なんだろうね、あれ。

なにか書くものでもないのか、と感じるものだったんだけど。

気のせいかな。

 

うーん、ここは少し様子見てからやってみるかな。

もしかしたらそこまで問題になるようなものじゃないだろうし。…ただ強いて言えば私1人で準備できるかな。

まあ、どうにかするかな。

 

うーん…。

 

(そういえば、この紅白巫女は今までの巫女とは違うらしいな。…だからこんなにも協力的なのだろうか。少し気になってしまった)

 

「ん?なによ、慧音。とりあえず、数日様子見てみるわ。多分そんなに害なんてないでしょうけど、念のためね」

 

 

寺子屋にこんなのがいきなり出来たらそりゃ心配にもなるだろうけどさ。

その…そうやってじっと見られたら、なんか気まずいんだけど。しかも、表情的にちょっと言いづらいし。

 

「そうか。ところで、勉強の方はどこまでやってたんだ?」

 

「えっ?勉強?…なんでそれを今聞くのよ」

 

「立ち合うからにはしっかり、やってもらわなきゃなあ?」

 

わ、私はこれからなにをされるのかな…。

っていうかそういう笑顔は笑顔でなにかを凄く企んでるよね。

……これ、素直に答えても答えなくても大変そうだなぁ。

 

「…い、一応外の世界でいう学生レベルよ。成績はそこそこで良くも悪くもないから…並みの人と一緒ね」

 

あ、口元がニヤけた。

もしかして言ってることが理解できなくてもどういう意味かって分かったのかな…?

の、乗った以上、逃げれないよなー…。…はぁ。

 

「苦笑いしたってもう遅いからな。言ったことがなんのことか分からずとも、最後らへんでよく分かった。ちょっときてもらおうか。……ってなんでため息をつくんだ?」

 

「いいえ、なんでもないわ。それで、私はなにをするのかしら?」

 

「それはだね―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この怪異が終わるまでの短期間だが、博麗霊夢と一緒に授業することになった。ほら、霊夢。なんか一言、いいか?初めて会う奴もいるしな」

 

「あ、あー…」

 

なんでこうなった。

確かに悪くない案だったけど、私が教えられるのは限られてるよ?まだ幻想郷の歴史だってそんなに覚えてないし。

それ以前にすっごく期待の眼差しを向けられている。そ、そんな期待されるほどのことできないよ…?

 

 

 

「どうも、改めまして博麗霊夢です。短い間ですが宜しくお願いしますね」

 

「「「―――っ!?」」」

 

いや、驚くことでもないよね!?

そりゃ敬語なんて早々使ってないって自覚してるけどさ!

 

「ははは、霊夢だから仕方ないな。私だってお前が敬語を使うなんて思ってもみなかったから少し驚いてるんだぞ?」

 

しかも、寺子屋の子達も笑ってるし。

私だって敬語を使うときは使うんだよ?

 

「悪かったわね、たまにしか使わなくて」

 

「はは、そんなに()ねるんじゃない。ああ、お前達も敬語の件でからかわないように。いいな?」

 

 

「「はーい」」

 

「頭突きなんてされたくないもんなー」

 

「だねー」

 

頭突きって…。

まあ、これ以上いじられないならもういいか。

つっこむのも疲れる。

 

「ともかく、慧音と一緒にいると思うので仲良くしてください」

 

「れーむって呼んでいいですかー?」

 

「……いいわよ、別に」

 

そんな純粋な目を向けてそう聞かれたら否定できないに決まってるじゃないですか、やだー。

っていうか慧音がなんかニヤニヤしてるんだけど。どういうこと!?

 

「ま、自由に呼んでちょうだい」

 

「ということだ。お前達、分からないことがあったら霊夢にも聞くように。いいね?」

 

「「「はーい!」」」

 

さすが慧音…と、言おうと思ったけど、やけに子供達が元気だから多分違う。

なんだろう。数日とは言え、異変解決より大変そうな気がしてきた。

大丈夫かなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日に驚いたことがあった。

何故って?

それはしょうじに『巫女のあの顔 いとをかし』って書いてあったから。

 

 

「……寺子屋にいるわね。しかも確実に」

 

でなきゃ分かるはずないでしょ。

でも、そう言ったっていつの間に書いたんだろうね。午後の誰もいないとき、とか?

 

それはともかく…お前もか。

ニュアンス的に笑われてる気がするんだよね。しかも、なんか凄く。

 

 

…気のせいだよね。

 

 

……気のせいだよねぇ!?

 

 

気のせいだと、私は信じたい。

 

「昨日はどこにも…。まぁいいわ。今日はどうなのかしらね」

と呟いた辺りで慧音が来た。

 

 

「ああ、もう来ていたのか。…ところでそれは?」

 

「様子見にね。それとこれはまたされた落書きのようよ。…多分、どこかで私を見てたんでしょうけど」

 

「そのようだな。あぁ…それと、おはよう」

 

「ええ、おはよう。……ところでそれはどうしたのよ」

 

両手に持ってる大量の書類。

後ろにいた慧音の方に振り返るまで気づかなかったんだけどさ、すごい量だね。

なにをしたらああなるん?

 

「半目で見るようなことはしてないさ。ちょっとした仕事だよ」

 

「あら、もしかして満月だとやる気出るとかそういう話じゃないわよね?」

 

「………」

 

む、無言でため息つかないで。

変な話をしたわけじゃないんだから、ここは一歩譲って苦笑いで。

……あ、苦笑いも遠慮しようかな。

 

 

「いや、そういうのじゃないんだ。前初めて会ったときがあるだろう?その時の姿と今とじゃ能力が違ってね」

 

「なるほど、つまり一度目と二度目で違うのもそういうわけね」

 

「やけに理解力があるな…。でも、こっちは詰んでいるわけか」

 

「そう簡単に分かったらこうも苦労しないわよ」

 

「それもそうだな。…とはいえ、なぜ私を半目で見る?」

 

名探偵とかじゃないんだぞ、とか言ってもきっと分からないだろうからね。

いや、あの人は迷探偵だったかな…?まあいいや。

 

「いいえ。でも、これだけは分かったわよ。……悪意がない」

 

「それはお前の反応で分かる。…と、いうか最初からなにも感じてないみたいじゃないか」

 

「き、気のせいよ」

 

「なら顔をそらすんじゃない。嘘をついてないだけまだいいが。…いや、お前は苦手だろ」

 

い、言ってないのに分かるとかどういうことなの!?

 

「……表情が凄く分かりやすいな。それはともかく、生徒が来るから準備するぞ。それもどうにかする。霊夢はしょうじとか直せるか?」

 

「ポーカーフェイスができたらとっくにやってるわよ!…あ、因みにしょうじは無理よ」

 

あっ、『ポーカーフェイス?』って呟かれた。そりゃ分からないか。

ポーカーから出来た言葉みたいだし。

 

(ポーカーフェイスとはなんのことかさっぱり分からん。だが、この霊夢に表情を隠す技術がないってことはよーく分かった。あと多分嘘つくのも苦手だろうな)

 

…まあ、でも1つだけ収穫かな。

なにか困ったらとりあえず横文字言って誤魔化す。

うん、完璧!

 

「……。とりあえずこっちでやっておく。お前もお前で今日も頼むな」

 

ため息つかれたのは何故かな。

しかも、心なしか呆れた感じだったし。まだなんもしてないよー?

 

「はいはい、分かったわよ。でも、午前は抜けさせてもらうわね」

 

「構わないが…なにをするんだ?」

 

あえてウインクからのー

「ちょっと用事があるのよ♪」

 

あれ、微妙な反応。

ま、いっか。とりあえず寄るとこあるし、そこにでも行こ。

 

里唯一の製本屋とも言えるあそこへでも。

ついでにちょっと話相手になってもらうとするかな。

 

(表情はちょっと見逃せないが…多分、考えてるのはどうせ悪事じゃないな)

 

「ああ、行くなら行ってこい。それにお前は協力者なんだから止めはしないよ」

 

あら、そうなの。

てっきり内容教えろーとか来るかと思ってた。予想外だわ。

ま、止められても行ってたけどね。

 

よーし、どう話つけておこうかなー。

 

(……多分、あいつは苦労人になるだろうな。先代の巫女もいるし、避けられないだろう)

 

……?出る前に少し慧音の顔を見たけど、どこか遠くを見ていたような。

ま、私が気にするもんじゃないね。

むしろあの子がのってくれるかが不安だなー。






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