先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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1話分が書き終わりましたので少し早いですが、投稿してみました。

ただ気がついたら文字数が凄いことに…。どうしてこうなった。

そして、関係ないですが、この小説を読んでくれている少数派の皆様へ。

こんな小説読んでくれてありがと!語彙力涙目の私ですが、それなりに頑張って書いていきますね!


以上です。では、本文どうぞ

※申し訳ないですが、紫のセリフにあった『地下』を『地底』に変更しました。それ以外に変更はございません。


第31話 空白の時間ってかなり怪しいよね!

朝日がある程度のぼったのを見てから確認してみた。

……なにかが凄く出ていて、近くになんかできかかってる。

 

おかしいな。あれじゃまるで露天風呂なんだけど…。

っていうかなにをしたらああなるの?

 

少しそれを見ていたら下から声がしてきた。

私の名前を呼ぶのはもしかして、霊華?いや、ここにいるのは私含めてあともう1人しかいないから霊華しかいないか。

そりゃそうか。

 

「あー、なにか用?」

 

露天風呂を眺めるために空を飛んでいたんだけど…部屋から直接とんだから裸足なんだよね。とりあえず低空にまで降りたら分かるかな。

 

 

「霊華、どうしたのよ。なにか用?」

 

朝餉(あさげ)が出来たから言いにきただけよ。……そういう霊夢は空を飛んでなにを見ていたのよ。もしかして昨日の音関連、とか言わないわよね」

 

「あら、それはわざわざどうも。…ええ、そうよ。その音関係で見てたんだけども…その…」

 

心当たりすっごくあるんだよねー!嫌なほどあるんだよねー!

どうしよ…。

 

 

(なるほど。それでなにかがあったと言うわけね。…でも、笑顔がぎこちないわね)

 

「別に責めるわけじゃないんだけども、どうしてこうなったのか…分かるかしら?」

 

「あー…まあ、朝食を食べながらでも説明するわよ」

 

もちろんその時の状況も含めてね。

いやぁ、それにしても名前がわからなくても信仰してみるもんだね。

 

「そう?…ま、霊夢が言うなら信じるわ。それに、信じる信じないかはともかく…」

 

 

「朝餉が冷えてしまっては美味しいものも美味しくないものね」

「朝食が冷えてしまっては美味しいものも美味しくないものね」

 

 

(…なにを言うか分かってて言ったのかしら。あからさまに重ねてきたし)

 

おっと、半目で見られた。

でもね?……私自身、いくらなんでも冷めたご飯は食べたくないのですよ。

なにせ暖かいご飯の方が美味しく感じるしね。作りたてばんざーい。

 

 

 

…ふざけてる場合じゃないや。

 

 

 

 

 

 

 

さっきの場所からそんなに離れてるわけじゃないけど、居間に到着ナウ。

居間に今到着って言ってもいいのよ?

 

「あなた、なにかふざけたことでも考えてる?」

 

「さて、なんのことかしら」

 

(そう。ならいいのだけども。でもそのわりには霊夢、あなた…表情が楽しそうに緩みかけてたのよね。そこを隠さないと普通は誤魔化せないわよ?別に嘘ついてるわけじゃないから見逃すんだけども)

 

おっとー?どうして呆れられてるのかなー?

ため息もつかれるし。でも、こういうのもいいか。

だって、先代の巫女の性格が丸くなるってことは修行がまだやさしめになるんでしょ?

それだったら歓迎しちゃう。

もうあんなベリーベリーハードな修行は勘弁。

 

 

 

 

「……それで?朝餉食べてすぐで悪いけども、説明してもらいましょうか」

 

「ああ、むしろ助かるわ。そうね、ここからがいいかしら」

 

 

 

 

 

とりあえず回想。

因みに二日酔いが治ったしばらくの間の話。

 

 

「あーあ…確かに戻れないのはしょうがないとは言え、こうなるなんてねぇ」

 

『そればかりは仕様がない。霊夢として思いきり行動してしまっているのだからな』

 

「そりゃどうも。否定出来ないから笑えないわね」

 

『我からはなんとも…。話は変わるが、我を信仰してくれていることに感謝する』

 

お賽銭の前にいた当時の私はニッコリ笑ってみせた。

もちろん嬉しくて、ね?……ま、もっともその博麗神社にいる神を信仰して以来、必要以上にお願いをしたことがないんだけどさ。

ほら、大抵のものは神様にねだらなくても自力で手に入れられるでしょ?

なら、あまりお願いしなくても…ね。

 

『……にしてもお主、妖避けとか面白いお守りを思いつくものだ。それに山の上にいる者達の分社もあいまって参拝客が増えて嬉しいぞ。信仰がまだなのは悲しいが』

 

「すぐに増えたら苦労しないわよ…。ご利益とかを私が把握しきれてないのも問題なんでしょうけど」

 

苦笑いしながらそう答えたのは覚えてる。神様があんまり干渉しない、とかそういうのは抜きにしてすぐに参拝客が増えるなら巫女だって苦労しないから。

最初はお賽銭だけでもそのうち信仰してもらえるだろうしって考えてる私もいたしね。

 

我ながら甘いな。

 

『ハハハ、それもそうだな。そういえば、分社の方は比較的友好的に接してくる。そのおかげでこちらも助かっている』

 

もちろん驚いたよ。そんな言葉を聞くことになるなんて思わなかったんだから。

え?一番驚いたのは普通に接しててもなんも言われないこと。

いいのかな、こんなんで。

 

「それはよかったわ。これであんたも少しは有名になるといいのだけれども…」

 

 

「あっ!霊夢さーん!今、大丈夫でしょうか?」

 

そう話しかけながら小走りで来てる早苗。

どこに降りたの?ってツッコミしたくなったあの時の私は悪くないはず。

 

「ええ、ちょうど話のくぎりがついたところよ。早苗こそなにか用?ないわけじゃないでしょう?」

 

「はい。ちょっと貴金属を作ってもらいたいので来ました」

 

当時の私はなんで貴金属?だったので首をかしげてました。はい。

 

「貴金属…とひとまとめにされても分からないわよ。せめて名前だけでも知ってればお願いできるんだけども…」

 

ほら、元素記号ってのはあんまり覚えてないんだけど外の世界にいた人が実験したりなんなりで決めたじゃない?

その中に少なからずとも貴金属があるから…。大変だね。

 

「あ、それは大丈夫です。確かパラジウム合金って名前だったと思います。これから神奈子様と諏訪子様が実験するから必要だとおっしゃってまして…。確か常温核融合とかって言ってましたよ」

 

「そりゃ幻想郷に冷却水なんてあるわけないものね。…ってその金属だけでいいの?」

 

なんかその時、冷却水?みたいな顔されたんだけど、どうしてだったんだろうね。

 

「あー…はい。それで大丈夫ですね。協力してもらってもいいですか?」

 

「もちろんよ。聞いてみるわね」

 

って流れで金山彦命(かなやまびこのみこと)に頼んでみたところ、喜びながら受け入れてくれた。

一晩かかる旨を伝え、その次の日に早苗へと渡した。

 

 

 

 

 

 

 

うーん、それしか心当たりないんだよね。

それ以外になにかあったかな。

 

「さすが元外来人ね。そんな話をしていたの。……でも、そんな話とその噴水みたいな温泉は関係なさそうに思えるんだけども」

 

「あら、でも全部私の知識じゃないわよ?私だって先駆者たちが努力して得たことを外の世界にある…そうね、寺子屋のような場所で学んだから知ってるだけ。無から、なんて相応に努力しなきゃできないわ。……あ、でも創作料理にはすっごく興味あるのよ?幻想郷ならではのものが作れそうでね」

 

あ、納得してもらえた。

 

「それで、あの温泉は?」

 

「あー…それなんだけども…。分からないわね」

 

(そりゃすぐに分かるわけないから仕方ないわね。わざわざ答えてくれる辺り嬉しいけども)

 

ん?…お、おお?なんで嬉しそうに笑ってるん?

嫌じゃないし、聞くのも失礼そうだからいいか。

 

でも…なんか感じるのは気のせいかな。なんかこう…前の季節外れの花がたくさん咲いた時みたいな…。なんだろうね?

 

 

「あ、そうだわ。霊華、ちょっと弾幕ごっこしない?」

 

「突然にどうしたのよ」

 

「突然もなにも……。あんた、なにか1つでもスペルカードか弾幕はれる?じゃないとあんた、ずっと引きこもりよ」

 

(引きこもりって…。それにはならないと思うんだけども、言ってあげるべきかしら?)

 

ん?なんか間違えた?

 

 

「どうしたのよ。なにかある?」

 

「いいえ、なんでもないわ。…ま、私がその遊びを取り入れた方がふざけるのにもちょうどいいってわけね」

 

そうそう。戯れるのにも命がけじゃ楽しくなんてないしね。

 

 

 

―――ってちがーう!

 

 

「あー…まぁ、そうね。スペルカードが無理でもせめて弾幕だけでも出せないと大変みたいだものね。いいわ、やりましょ?」

 

「あら、やる気なら話がはやいわね。さっそくゲームしましょうか」

 

ゲーム?と呟く霊華を差し置いて弾幕ごっこ開始ー。

多分いけるでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

たまに痛くないとかいうけど、そりゃそうだ。弾幕だもの。

当たる場所が場所じゃないなら早々死なないって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(実践方式でやってるようでやってないわね。…全く、弾幕ごっこに慣れさせたいんだか、そうでないんだか。どっちなのかしらね)

 

しばらくそうしてたら、呆れたような感じで見てきた。

どゆこと。

 

 

「こういう感じでいいのかしらね?」

 

「いいのいいの。弾幕はちゃんとはれてるし、ちょっとした弾幕ごっこなら普通にできるんじゃない?」

 

 

スペルカードなら抜きでも多少は遊べるしね。

あー…でも、なんか…大変そうだね。

要するにどこかの弱体化巨大蜂2匹に弾幕が消せるボムなしで挑むようなものだし。

 

あ、例えるものを間違えたような。あれはもう達人を越えた腕前じゃないとクリアできないんじゃないの?すっごく大げさだけど、ほんとそういうレベルだし。

 

 

容赦ないな…あれは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく弾幕ごっこをやったところ、さすが博麗の巫女だと思った。

伊達に先代やってないのもあるんだろうけど、弾幕をはるとか出来るようになってるし。

ただスペルカード名が一緒なのになんか霊華の方が凄く物理より。

 

いやいや、どうしてそうなった。陰陽玉より拳よりって…。

…スペルカードはもう頑張れとしか、言えないな。

 

 

(……あぁ、困ったような笑みを浮かべられる、だなんて思わなかったわ。多分、分かってるんでしょうけどね。…それにしても、凄い前向きよね。幻想郷にすぐ馴染んだのもそれのおかげなのかしら)

 

 

「霊華、どうかしら。スペルカードルールには慣れた?」

 

「ええ、おかげさまで少しね。…これがあるなんて、本当この時代は幸せね」

 

おかげさまで妖怪退治はよっぽどのことがない限り、弾幕ごっこで終わらしちゃう。それでもやっぱり強さは関係しているみたいだから面倒だなー。

 

まあ、そんなことより気になることが一つ。

私の「夢想天生」と霊華の「夢想天生」って同時に使うとどうなるんだろうね。えげつないことになんの?

あ、もちろん霊華のにも名前なんてなかったし、そもそもスペルカードルール外が多かったもんで名前を統一しただけ。

 

私のスペルカードが霊華のやることとほとんど近かったからそれにしたってのもある。

とんでもなく手抜きぃー…。

 

 

「ま、今日はこれぐらいで……ってなんか近くまで霊的なものがきたんだけども。なにこれ、地霊?」

 

え、そ、そんなに驚かなくてもいいよね!?

霊華にとっても初見とかいうの?

 

「ええ、そうでしょうね。さっきまで弾幕ごっことやらをやっていたから気づかなかったわ」

 

「あー…。じゃあ、あそこから湧いてるのかしら。ほんと、湧くのは温泉水だけでいいのに」

 

(温泉水…って露天風呂でも好きなのかしら、この子は。もし異変だったらどうするつもりなのかしら。……もっとも、今の博麗の巫女は彼女だから私は口出ししないけども。さすがに私は前の巫女なのだからね。―――本名を忘れてしまった、とかとても言えないけども)

 

 

我ながら贅沢だけどね。

うーん、でもこれは参ったな。

と、いうか地霊ってなんぞ?

 

 

 

(お?あそこにいるのは霊夢と先代の霊華か?それと…なんか境内が凄いことになってるな。ちょいと聞いてみるか)

 

「2人共、さっきからなにをしてるんだ?」

 

空からいきなり来客者が。いや、魔理沙以外ありえない手口だからもうなにも言わないけど。

 

「霊華と弾幕ごっこよ。多少はスペルカードルールにのっとって戦えなきゃ今後苦労しそうだから私自身の復習兼ねて教えていたの」

 

「ああー…確かにな。実力行使って奴をされたら敵わないってのもあるけど、そのままの先代じゃ苦労しかしなさそうだぜ」

 

た、確かにそうだろうけどさ…。普通の実力行使されるようなことなんかある?

それともまた悪さでもした?

 

「そこまで昔的じゃないと思うわよ。せいぜい悪くてちゃぶ台返しをされるだけでしょ」

 

「誰がそんなことするのよ。しかも、そんなのあったのは大分昔だそうじゃない。分かる人じゃないとつっこめないわよ?」

 

おっと、それは失礼。

 

「あら、ごめんあそばせ」

 

(絶対反省してないだろうな、こいつ…。楽しいときもあるから別にいいが)

 

「ああ、そうだ。2人共、あの噴水っていつから出てるんだ?」

 

 

あぁ、そういや魔理沙は初めて見たのか。

 

 

「それは昨日からみたいよ。詳しくは知らないけど…いきなり吹き出てきて露天風呂もどきを作ってるみたい」

 

「……な、なんなんだ?その、露天風呂とやらは」

 

あー…そういや、幻想郷って露天風呂とかないんだっけ?

 

 

「私にはさっぱり。でも霊夢?地霊があんだけ出ているのはとてもおかしなことだと思うのだけども」

 

「地霊?…地霊だって?」

 

「あら、魔理沙は知ってるの?私もなんとなくはそうだろうと予想はしてみたけども」

 

ほら、地霊っていうってことは地下の幽霊…とか地縛霊…とかそういう感じだろうし。

 

んんーー……。

 

 

 

「あら。貴方達、3人揃ってなにをしているのかしら。私にも聞かせて欲しいわね」

 

「あっ、なんだ紫なのね」

 

「なんだって酷いな、霊夢。…でも確かに紫だな」

 

 

(…扱いが雑すぎるわね。どうしたらこうなるのか聞きたいぐらいには)

 

 

「そこの間欠泉みたいな噴水を見て話していただけ。ちょうど地霊とかが出てるみたいだからそれについて話し合っていたのよ」

 

「なんだむしろ好都合よ。霊夢、今から地底に行ってもらえないかしら」

 

えっ、私?……私?!

 

(相変わらず分かりやすいな、霊夢って。…そういうところもいいけどな)

 

「別に今のところ、害がないからいいんじゃないの?」

 

「地霊があんまり地上に出ては駄目なのよ。…まあ、行ってその原因をどうにかしてくれれば少しはなにかしてあげないこともないわよ」

 

わあ、うさんくさい。

紫だから余計にそう感じる。

 

「ま、なんかあるんだろうな。なら私は霊華とちょっくら待ってるぜ」

 

「そうね、私達はゆっくりお茶を飲んで待っていることにするわ」

 

わー…逃げ道減ったんじゃないの?これ。

 

「そういうことだから行ってくれるわね?霊夢」

 

「はいはい、分かったわよ。行くわ」

 

―――そういうわけで、私はその間欠泉の近くにあいた穴から地下へ行くことに。

せめて洞窟探検、とでも思おうかなぁ…。洞窟って言えるか凄くビミョーだけど。


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