先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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幻想郷ってこんな感じだと思ってます。
なんか色々と大変そうですよね。

…あ、霊夢以前の巫女は全員巫女装束だと思っております。なのでずっとその設定で通してました。
今さらですみません。


では、下からが本文です


第34話 いやぁ、やることいっぱいで忙しいね

……んー…。

朝、か。とりあえず朝食をとってから守矢神社にいくかな。

ま、もっと地霊殿にいたあの空とか主であるさとりに情報を聞くべきだったんだろうけど…

 

……核に関する情報があるのは外の世界だけのはず。

なにせ私が幻想郷に来てしまってしばらくは困った程度だから。いや、電気はあったからそこは平気だったけど。

 

そこから考えるとそれについて知ってそうなのは限られる。

私?……え、そんな面倒なことする?

 

「あっ…とそうだわ。現代風朝食でも作って驚かしてやろうかしら」

 

 

なんか私、悪いこと考えてるみたいで楽しい…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

台所で実際に作ろうとしたけど…そういやパン買ってないじゃん。

作ろうにもそもそもイースト菌ないし。あれ、里の人達はどうやってパンを作ってるの?

いや、必ずしも里にあるわけじゃないし…。

 

ならいつもの通りご飯と味噌汁となにかおかずってことで…

 

……うん、普段とあまり変わらないな、これじゃ。

ま、いいか。

 

 

 

 

 

さて、あれからしばらく作ってた朝食が出来た。ってことであの霊華を呼びたいところだけど…寝室かな?

 

 

 

「……ええと、ここよね?」

 

と思わず呟いてしまうぐらい不安。

いや、入ったことないんだよね。しかも、場所なんて入ってくのを何回か見ただけ。

…ど、どうしよっか。

 

 

あ、でも…ここにいてもなにも変わらないし…

ええい、ままよ!

 

―――って誰もいないし!私の着替え後の部屋よろしく布団などが片付けてあるし!

どこへ行った、あの先代。

 

 

 

 

えーと…。どこにいるんだろう、真面目に…。

 

「……霊華ー?朝食できたんだけどもー?」

 

 

(あぁ、もうそんな時間なのね。少しやり過ぎたかしら)

 

 

あ、向こうから出てきた。

というかなにをしてたんだか。汗が凄いし。…もしかして体を鈍らせたくないとか?

分からなくもないけど…本当真面目にやるよね。

 

「朝食できたから呼びにきたんだけども、せめて汗だけでも流してきてよね。体臭になっても知らないから」

 

と言って居間へ。

あ、因みに私も前よりかはやってみてる。

前の世界…というか外の世界にいたとき、か。そこではそこそこしかやってなかったから、最初こそはアレンジしてやっても比較的疲れやすくて大変だったけどね。

 

 

 

うん。これは今、どうでもいいし、それに関係もないからいいか。霊華も見つけて声をかけたから大丈夫だろうし、先に行ってよ。

 

 

(……あれで素っ気なくしてるつもりなのかしら。全然出来てないわね。全く…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂でしっかり汗流したついでに着替えてきた霊華はどういうことなのか。

いや、同じ巫女装束のせいでいまいち分かりづらいけど。

…あぁ、巫女装束は仕事着も兼ねてるからわたしと同じくらいあるんだっけ。寝間着だけ私と見た目が一緒だけど。

 

髪の結び方も、もちろん違うよ?

 

 

 

んで、朝食も食べたし、私は守矢神社にでも向かうかな。

少しやることをやってから、だけどね。

 

 

「あら、珍しいじゃないの。…明日、雨かしら?」

 

「あんたに受けるより今までのを参考にした方が楽だからね。…ってかそりゃ私かて最近はやるわよ!?効果出てるような気なんてしないけども」

 

え?何故呆れるの?

いや、ほら。対象相手があなたぐらいしかいなきゃ分かりづらいような。

 

(……。仕方ない、のかもしれないわね。博麗神社(ここ)にいるのは基本私とあなた。強いて他にいるのだとすれば萃香とか言う鬼とあのスキマ妖怪ぐらいだものね。………え?その前に待ってちょうだい。もしかして自力で鍛えてる!?)

 

あ、表情がいかにも驚いてますって顔になった。

霊華も霊華で表情が豊かで面白いね。

さて、真面目に行きますか。珍しいものも見れたことだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空を飛ぶって楽だねぇ。

いや、飛ぶ方面に気をつけないと私は外の世界に出かねないんだよな。うう…変に不便だ。

 

 

あっ、なんかいる?

 

「…あっ!霊夢さんじゃないですか」

 

「ってなんだ早苗なの。……あれ、あんたんとこの二神は?」

 

 

(ちょっと意外そうにするのはなんででしょうか。ちょっと不思議ですね)

 

 

「確かちょうど買い出しに行っていたかと。霊夢さんこそ、どうしたんですか?」

 

「あー…それは…少し、話をしたいことがあってね。それを聞きにきたのよ」

 

…ってえ?早苗は聞いてない感じなのかな?

 

「そうなんですか。…あ、霊夢さん。私、幻想郷についてよく分かりました!」

 

お、おお?どした急に。

 

「…幻想郷のなにがわかったのよ」

 

「前に教えてくれたじゃないですか!それがよく分かったんですよ!やっぱり、幻想郷で過ごすには常識にばかり囚われてはいけないんだと!」

 

「あ、あー…よかったわね。その様子なら幻想郷に馴染めるんじゃないの?」

 

もう馴染んでそうだけどさ。

そのうちここにも来やすくしそう。うちの神社並みに危ないし。

いや、そうでもないんだろうけど、まがりなりにも山だしね。あの獣道はちょっと、って言うのに似てるのかもしれないし。

 

 

 

「あ、ちょうどいいとこに。巫女2人みっけ♪ねえねえ、ここの神様知らない?」

 

こ、この子…いつの間に来たんだろ。気づかなかった。

 

「私は知らないわ。そこの巫女は知ってるみたいよ」

 

ま、いきなりこの子が現れるわ、私にいきなり話を振られるわとかされたらビックリするわな。

 

「まあ、知ってますけど…まだしばらくは帰ってきませんよ?」

 

「えー、そうなの?……ってよく見れば貴方、お姉ちゃんが言ってた変わった地上の巫女よね?服も紅白だって言ってたし」

 

なんだそりゃ。私はそこまで変わってないはず。

強いて言えばポジティブ度合いが凄いくらい?多少自覚してるつもりだけど。

 

 

「あー…紅白巫女まで出てるんなら私ね。んで、そういうあんたは誰よ?」

 

「私は古明地こいしよ。お姉ちゃんにおくうを倒した人とは教えてはもらってるわ~」

 

へぇ…なるほど。そうなん…

 

「え?あんた、古明地って…」

 

「やっぱりお姉ちゃんと出会ってるのね!おくうを倒せるぐらいなんだから強いでしょ?ここの神様が帰ってくるまで相手してほしいわ」

 

 

……さ、早苗さーん?

心の中で助けを求めつつ、そっちの方を向いてみた。

 

 

「あ、遊ぶんでしたら私、離れますね。お二方も一応は周りを気にしてくださいよ?…下手に流れ弾が来ても困りますから」

 

そ、そですか。駄目ですか。しかも、さりげに距離をとらないでもらえます?

分かったよ。相手するよ!

 

 

「……帰ってくるまでだからね」

 

「分かってるわ♪」

 

 

―――本当に分かってるのかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういうわけでしばらく弾幕ごっこしてました。

表象「夢枕にご先祖総立ち」とか抑制「スーパーエゴ」とかされて大変だったけど、どうにかした。流れに身を任せるのもいけるもんだね。

 

 

「やっぱり貴方って強いわね!さすがおくうを倒しただけあるわね♪」

 

「そこまでじゃないと思うけども」

 

「えっ?霊夢さん、それで自分は弱いとか言いませんよね」

 

え、なに。違うの?

普通の弱い巫女のつもりなんだけど。ほら、先代達は強者揃いだし。

 

(あれ、今の冗談のつもりだったんですけど…そうやって首をかしげるということは本当にそう思ってたんですかね)

 

「ただいまー……ってあれ、参拝客2人に早苗じゃない。どうしたの?」

 

「あ、諏訪子様!おかえりなさい。それが2人共、諏訪子様達に用があるみたいですよ」

 

「ねえ、霊夢に早苗。なら聞くけども、この子誰?」

 

「古明地こいしさんだとか」

「地底にいるさとりの妹らしいって言うこいし」

 

 

「小石?…妖怪じゃなくって?」

 

「それは小石違いよ、諏訪子」

 

「あー、そう。それで、なに?」

 

「ちょっとしたお願い事なのよ~。私のペットに神様の力をつけてほしいのよ」

 

 

……不穏な質問になったりしないだろうね。

 

「私は諏訪子達にあの核について聞きにきたのよ。どうやったって核融合云々を知ってるのは外からきた私かあんた達しかいないから」

 

「やっぱり霊夢には分かるのね。今だから言っちゃうけど、河童の工場をこの間見学してね」

 

なるほど。まあ、この守矢神社と河童のいるところまでそんなに遠くないし、ありえなくもないか。

 

「それで見学したのはいいんだけれど、外の世界と比べて大分遅れていたのよ。エネルギーとかそういう面で。それで神奈子が新しいエネルギー資源を作ればいいんじゃないって。技術革命も起こるだろうし。あ、ほら。神奈子ってそういうの好きなのよ」

 

「……なるほどね。んで、それはなんて計画?」

 

「山の産業革命計画って名前よ」

 

 

…二神そろってなにしてんだか。

 

 

(な、なんか霊夢さんがさっきからよくため息をつきますね。なんででしょうか…)

 

 

「あぁ、それと一応河童に核は危ないんじゃないの?とは言ったわよ。……因みにどうなったの?」

 

 

「……あんた達ね、もう少し考えてからやってほしかったわ。おかげさまで地底まで行くはめになったんだから。…ああ、もうその空も大人しいからなにもしないはずよ」

 

「あらま。そうだったの。それはご苦労様ね」

 

 

「ねー、話まだー?出来れば私が恋い焦がれるほどの陰鬱な神様の力がいいんだけどー」

 

「そんな神様はいないはずよ。ほら、帰った帰った」

 

 

 

 

「諏訪子様、ああやって誤魔化すなんて霊夢さんも苦労してますね」

 

「あれは巫女だから言えることよ。あ、早苗はああならなくていいから」

 

「あっ、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

ふー。やっとこいしを帰せた。

あの2人まだいるかな。

 

 

………お、いる。

 

「あ、戻ってきましたよ」

 

「そうみたいね。んで、諏訪子。ちょっとは反省してほしいわ」

 

「反省?やったことに不備でもあったかしら。ねえ、早苗」

 

「……内緒にしたところ、とか?私にはそれしか分かりませんけど」

 

って早苗も知ってたんかい!

まあ、それはいいとして…

 

 

「そこじゃないわ。地獄鴉のことよ。…あれ、力を得るなり調子にのって地上を灼熱地獄にするだのなんだのと考えてたわよ?」

 

「あぁ、それは失念してたわ」

 

「……」

 

ぼ、棒読み気味なのは気のせいだよね…?

失念していたと言うより考えてたけどさっきまで可能性としか考えてなかったとかそういうのだよね…?

 

(あ、霊夢さんが呆れを通り越した顔に…。あ、ついでにあのことも教えて大丈夫そうですね)

 

 

 

「そこに間欠泉地下センターを作る予定なんですよ。霊夢さん、露天風呂に入るなら気をつけてくださいね」

 

「あら、それはご親切にどうも。とりあえず覚えておくわね」

 

 

 

 

「って早苗。まだ作ってないのに教えるなんてあんまりよくないわよ?……あの博麗の巫女のことだし、ああは言っても…」

 

「大丈夫ですよ、諏訪子様。霊夢さんは内緒にしておくと困ることがあるだけみたいなんで、教えておいたらこちらにとっても説明が楽になるはずです」

 

「なるほどね…。早苗も考えるようになったじゃない。なら、いいわ。…あと、ちゃんと仲良くするのよ?」

 

「はい!」

 

 

 

も、もしもーし。2人だけで話をされても困るんだけどー?

しかもちょうど私に聞こえない声で話おってからに。

ハブるの酷くないかなー?

 

「あ、悪いわね霊夢。……あ、そうだわ。ちょうど来たんだし、お茶くらいしてってよ。話とか色々したいし。ね、早苗?」

 

「そうですね。事情が違うとは言え、元は同じ外の世界の住民。久しぶりにそちらの話とかしたいので」

 

あー、はいはい。しょうがないなあ。

 

「分かったわよ。でも、本当にちょっとよ?」

 

「はいはい。…早苗、悪いけどお茶用意してくれる?」

 

「分かりました」

 

(…なんか満更でもなさそうな霊夢さんも悪くはないですね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、言うことで少し話をさせてもらった。

最初こそは神社関係の話だったんだけどさ、途中から早苗がロボット関係の話やらアニメの話やらしてきたものだから大変だった。

え、もしかして早苗ってそういうの好きなのかなって思うぐらいには話したような。

 

 

いや、あの口ぶりからして好きなんだろうな。きっと。

…でも、この幻想郷にはどれもないよ?どうするんだろうね。

 

ま、いいや。……あ!

今思い出したけど、里のあの落書きってどうなったかな。

ちょっと寄ってみよ。

 

 

 

 

 

 

えーと…最後に小鈴ちゃんにお願いしたから…。

鈴奈庵に向かえばいいよね。

 

 

今度は普通に行くかな。

ちょーっと楽させてもらうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んー、やっぱりある程度時間かかるもんだねぇ。

 

「こーすずちゃーん。また来たわよー」

 

もちろんふざけまくった言い方だから、ギャップが凄いと思うよ?

 

「……霊夢さん、別に普通に入ってきてもいいんですからね?」

 

「あら、そう?まあ、言われてもやるんだけど」

 

あ、小鈴ちゃんに苦笑いされた。理由が分からないってわけじゃないんだけど…。

 

 

……おや?

 

「ねぇ、小鈴ちゃん。それはいいのだけれど、そこにいる子は?」

 

「あっ、この子ですか?……え、ええと…」

 

(今の霊夢さんなら安心とは言え、下手に教えて退治されかけるとかないですよね…)

 

ん?ど、どうしたのやら。

かなり悩ましそうにしてるし。…え、もしかしてそんなに隠したくなるようなこと?

 

 

「あ、あー…無理に話さなくてもいいのよ?」

 

「……」

 

あ、その子が小鈴ちゃんに近づいた。

しかもこっち見てるし…。ナ、ナニモシナイヨー?

 

「えーと…前に寺子屋のしょうじの方、お願いしていきましたよね?」

 

「ええ、したわね。その後の内容的に悪意を持った行為じゃないから私が出てどうにかすることじゃないから小鈴ちゃんに任せてたってのもしっかり。……それで、どうなったの?」

 

 

えっ?どうしたのそんなに驚いて。

鈴奈庵でなおかつこの2人しかいないから言ってるだけなのに。…1人は子供みたいだし、多分そんな難しい話は分かりにくいはず。

 

「なら真実を教えても……?」

 

「ええ、そうね。やたらと退治したところでやれることがやれなくなってしまうから私はしないわ」

 

あくまでも幻想郷のバランサーだからね、仕方ない。

博麗の巫女も博麗の巫女で大変だな…。…ふぅ。

 

「…そこにいる子、子狐みたいなんですよ。それで人に化けて寺子屋に行ったのはいいけど、ノートがなくて困っていたみたいなんです。私がノートをあげたのでもう寺子屋への落書きはなくなるかと」

 

「へぇ、それはよかったわ。もうあとは平気そうね。……今日はそれだけ知りたかっただけだから。んじゃ、また来るわ」

 

 

 

そう言って出ようとしたらなんかつかまれてるのか動けない。

って半身振り返ったらその子がスカートのすそをつかんでいただけかい。

 

「どうしたのよ。私にまだなにか?」

 

「…………ありがと」

 

珍しい。もしかして素直なのかな?

ま、お礼は…

 

「それは小鈴ちゃんにしてあげてちょうだい。私はその一押しをしたに過ぎないのだから」

 

(霊夢さん、お礼を言われて満更でもなさそうなのにそういうなんて…。素直じゃないですね)

 

「んじゃ、今度こそ帰るわね。またね」

 

 

と、鈴奈庵を出たのはいいけど…私も私で欲しいのでも買ってから帰ろうかな。

よし、ちょうどいいからそうしよ。


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