――あれから永遠亭に放り込まれるようにして担がれた私は永琳にこっぴどく怒られた。
勇気と無謀は違うだのどうだの…。
治療をしながらされたとは言え、約いちじk…じゃなかった、
「それで?ちゃんと分かったんでしょうね」
「……えぇ、耳にタコができそうなほど聞いたんだから分からないわけないじゃない」
1人でつっこんだ私が悪いのはよく分かったけど、そろそろ説教をやめてもらえませんかね…。
「そうですよ、お師匠様。もう長く話してるのでいい加減ベッドで横にしてあげた方が怪我人にいいと思うのですが」
「…そうね。聞いた話からして本来こうなる人間ではなかったようだし。むしろ、彼女の
(…知っていたらそんなに心配しないわよ。まあ、よかったわ。大丈夫だったみたいだから)
「いえ、知らないわ。むしろ私は今代の巫女についてほとんど知らないもの。一応私が多少は鍛えたし、彼女も基礎練習や少しの応用練習はしていたようだから…。多分それのおかげもあるんでしょうね」
「…たまにどこぞの巫女さんが助言やら幻想郷についてを教えてきたけどもね」
そう言ったら手当てしおえてる永琳が「へぇ…通りでまだ現代に近い言動が抜けてないのね」って納得されたけど、どういうことなのかな?
「まあ、一応激しい運動でなければもう帰ってもいいわよ。ただ腕の方には気をつけること。いいわね?」
私はしぶしぶ頷くことにした。
腕が使えなくなるのは嫌だし…。
でも、なーんでこの程度ですんだんだろうね?
不思議すぎる…。
「あっ、でも霊夢。お師匠様にたまに見てもらった方がいいんじゃないかしら?通院って形で。…いいですよね?お師匠様」
「そうね。では、代金は霊華の方からいただくわ。ええと…」
ん?なんか書き出した…?
ってちょっ。その見せ方は私が見えないー!
(……?!や、やけに良心的な値段ね。結構するものかと思っていたけども…。ま、まあいいわ)
「…ちょうどね。はい、じゃあいいわよ。それと霊夢。腕でガードなんて本当にしないようにね。今回はそれですんだようだけど、今後はないに等しいでしょうから」
「わ、分かったわよ。それはもうしないわ」
(…お師匠様があそこまで言ったんだからしないと思うんですけどね。特に少しすねたように顔を背けた彼女の波長なら、ね。振れ幅が結構大きかったし、基本的に
「ならいいわ。それとウドンゲ、薬を渡しておいてね。頼んだわよ。あと最後に…霊華。貴方はあまり戦闘の助言をしない方がいいわね。どうやらスタイルが完璧にあっていないようだから」
「む…反論したいところだけども、そのようね。ほどほどにするわ」
ほどほど、というかスペルカードも名前を同じにしただけで内容は思いっきり違うんだよね。
霊符「夢想封印」でも、私は色とりどりの光る弾が5発くらい出て相手に飛んでいくのに対して、霊華は光って突っ込んで行きながらの陰陽玉みたいなものを相手に飛ばす。
…なんて感じでね。
というより霊華の言い方…
「霊華、反論できたらするつもりなの?私にはそう聞こえたわよ」
「あぁ、そこは気にしなくていいのよ。…とりあえず、そろそろ帰るわね。霊夢、行くわよ」
(さすがにつっこまれるとはね…。いえ、むしろ普通かしら?)
黙って頷いておくかな。
あ、でもこれは言っておくか。
「ありがとうね、永琳。治してくれて助かったわ」
半身だけ振り返って言うのもなんだろうけどね。
「いえ、当たり前のことをしたまでよ。それにお礼だったら、そこの巫女にもした方がいいわよ。連れてきてもらったの、貴方も覚えてるでしょうし」
……それもそうか。
「霊華。…その、ありがとうね。助かったわ」
(わ、私だけ顔をそらすなんて…。す、素直じゃないのかしら?そう思えばいいのよね?)
霊華に頭を撫でられ、少し会話をしてから永遠亭を出ようとして
「待って!輝夜様から伝言あったの、忘れてたの!ちょっとだけいいかしら?」
「ん…なによ。伝言って」
「え、ええと…幻想入りしたとある物を渡すってことなんだけど…その…」
うん?なんでさっきと違ってしどろもどろなんだろう?
「ねぇ、霊夢。その表情は無自覚なの?無自覚よね?」
(半目でジトーって見てるのよ。気持ち言いにくくはなるでしょうよ。…呆れてるんだかなんだか分からないってのもあるけどもね)
「とりあえず、これです。どこか月にあった物にそっくりな機能がついてるけど、貴方なら分かるだろって輝夜様が言ってましたよ。ただ疑問は…あ、これにまとめてるんで今は見えないんだけども、それにあう何かが同じ場所に落ちてたらしいから」
それで袋みたいなのを両手で持ってるのか。
なんだっけ?あれ。
ふろしきって言うんだっけ?
「なるほどね。まぁ、神社で確認してみるわ。どうもね」
博麗神社についてからふろしき?を開けてみたら、スマートフォンと充電器だった。
いや、幻想入りするようなもんじゃないでしょ、これ。
っていうかいつの間にスマートフォンになってるんだろう?
「あら、霊夢。依頼の方、終わっt……いきなりなにをするのよ」
「いえ、これで試し撮りをしただけにすぎないわ。あとなにが私にも退治しやすい、よ。苦労したのよ?」
こいつめ、と心の中で恨みながら再度パシャリ。
フラッシュがついてるから紫でも眩しいはず。
私からのささいな嫌がらせだ。
「……。ふむ、難しいものね。貴方になってから、歴代の巫女には及ばずとも多少は戦えると思っていたのだけども…。スペルカードでのみしか経験してないんじゃ、無理もない話だったわね。ま、退治できたのなら今後は期待ね♪」
こいつ…分かってるのか?
再度スマフォを紫に…
「そんなにスマートフォンで撮影してもなにもないわよ?可愛い霊夢」
「あぁ、そう。ま、いいわ。……んで、なんの用よ」
半目で睨んでやる。
いきなりスキマから出てきたってのもあるんだけどさ。
「いえ、あの妖怪退治依頼のことよ。それを伝えに来ただけよ。あとついでに霊夢の顔でも見ようかとね♪」
「あー…そういや忘れてたわね。依頼のこと。……で、最後の顔ってなによ。ほぼ永遠亭で治してもらった怪我しかないわよ?」
ほんと、この妖怪はなにを考えてるんだろうね。
優しくしたいのか、それともなんなのか…。
「ま、永遠亭の連中は元月の民だものね。あの時の貴方の怪我からして、残りは自然治癒、まで持っていけるのは造作もないはずよ」
いやいや、どんな理屈?
いくらなんでも月と幻想郷とじゃ、物事の進み具合が違うし。
幻想郷は現代より前で、月は現代より進んでる。
そんな感じだから、ありえる話なのだろうか。
でも、確かに治療されてるときになんか飲まされたな。あの時はジュースかと思ったけど、その後から嫌に体が軽い。
「へぇ…心当たりもしっかりある、と。そりゃそうよね。……それと、写真…消した方がいいわよ?真っ白な写真なんてつまらないでしょうから。じゃ、またね」
――うん?真っ白な写真?
………う、うわぁあーー!?撮った写真2枚とも全部真っ白なんだけどー?!どうなってんの、これー!
……うん、何で山なんかに来てるんだ?私。
「霊夢さん、
「あぁ…はいはい。そっちね」
確かスマートフォンで撮った写真を2枚消していたら、早苗が偶然来て依頼の報酬すら受け取らないままふろしき?にスマートフォンと入れっぱなしだった充電器を持って山に連れていかれる形で行きそうになって、魔理沙も便乗してきた…んだっけ?
うん、なんで魔理沙がよく絡んでくるんだろう?
「へぇ…お前、そんなの持ってたのか。と、それと怪我は平気なのか?」
「そ、それが私も急にスマートフォンに変わっててビックリしてるのよ。あ、怪我は平気よ。永遠亭に行ったし」
(スマートフォン?…ってそうだったな。霊夢は元外来人に近い存在だからそういうのも知ってて当たり前か。でも、どうやって手に入れたんだ?まさか、幻想入りでもしたのか?…有名なら、ありえないはずだが…)
「魔理沙さん、霊夢さん。おいていっちゃいますよー?」
「さ、誘ったのにおいていこうとするなんて酷いわよー!」
「そうだぜー。どこに行くのかも分からないから案内は最後までしてほしいんだがー?」
早苗の方に向かっていっている時、まるで生まれたての神様みたいな…なにか、霊的な物が
しばらく向かっていると河童達のところが見えた。
冬なのに色々とやってるなんて、真面目なのか?
「にとりさーん、いますかー?」
「あぁ、いるよ。…っておよ?霊夢に魔理沙じゃん。どうかしたの?」
(私は特に用とかないんだけどな。なんとなくついてきただけで)
「早苗になんか見せたいものがあるとかって聞いたんだけども、詳しくは知らないのよね。あとこれも持ってきて、とは言われたけども」
ふろしきを開けて中に入れてきたスマートフォンと充電器を見せてみた。
もちろん電気があるから使えないことはほぼないんだけどさ。
って動くのはやい!?
「ね、ねぇ!改造とか、そういうのしてもいいかな?!動作とかに問題ないようにするからさ!」
「な、なんでよ!そう言って壊されても困るのよ!?」
連絡相手がいないんだとしても、携帯電話のカメラ機能は
幽霊が見えない人にもオーブとかそういうので見せれるし!なにかあればすぐにお祓いもできる!
巫女になった私ならではだけど、幻想郷じゃすごく便利なんだよ?それ以外もあるだろうけど。
(れ、霊夢さんってもしかして河童達の腕前を知らないんですかね。…いえ、知っていたらそんなことしませんよね。巫女らしくしようとしても、空振りしていたぐらいですし。――ま、まあ、それは私や先代の博麗の巫女である霊華さんと一緒にそういうのを教えたから大丈夫みたいですけど)
「平気だって!私達ならそのぐらい、ここで出来るから!」
いや、頭だけで?!本当に大丈夫なの!?
(伊達に手先が器用だと言わないだけあるのか、すごく自信満々に言うんだな。…心配になるのも無理はないが、なんでそんなのが幻想入りしてるんだ?)
「あー、霊夢さん。大丈夫ですよ。ロープウェイを1から作ってくれるほどには腕はありますし。あ、まだ途中ですよ?」
「えっ?ロープウェイを?…あんたらが?」
「そんなに驚いたような顔をしなさんな。私は、私達はやれるほど手先が器用だからね。ほら、お前さんも分かるでしょ?なんだったら着いてきてよ!」
「わ、分かったから引っ張らないでちょうだい!?…わわっ?!」
「早苗、あれってついていった方がいいんじゃないか?半ば連れてかれてるぞ?」
「そ、そうね…。放ってはおけないし、そうしましょうか。そうと決まれば早くついてくわよー!」
な、なんか後ろからハイテンションな声が…。
私からすればそんな軽いノリじゃないんですけどねぇえ!?
その後は、にとり達
冬なのにすっごい元気だったけど、帰り道、早苗に言われたんだ。
“河童達はああいう気質ですから。慣れてください”
しかも、苦笑いで。どうしようもないんのなら、仕方ない…のかもしれない。
いや、仕方ない、だったね。人の話聞かなかったし。
―――ただつい最近幻想入りしたスマートフォン――プロフィールは受け取った際にチラッと見て名前が博麗霊夢になっていたことから私の物らしいと判断――はにとりに改造されるはめになった。
もはやどうにでもなれ。