先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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今日がバレンタインデーなので書いてみました。

あとそれなりの人に読まれててビックリしてます。
こんな稚拙な二次創作の小説に付き合ってくださりありがとうございます。

番外編は下からどうぞ。


番外編 霊夢たちの甘い甘い二日間

明日は如月の十四日。

元いた世界でいうのであればバレンタインデー。

幻想郷にチョコレートというものがなければ絶対できないだろう日。

…その日は女子にとって、ある意味戦争に近い特別な日だ。

そう、好意を向けてる男の胃袋を甘味でつかみとるっていう大事な大事なイベント。

忘れることなかれ。そういう日の女性(例外もきっといる)は燃えている…!

 

 

「…と、いうことを考えてみたんだけども。どう思う?霊華」

 

「あのね、あなたが考えてることまでさすがに分からないわよ。そういえば前回の新年を祝った宴会のあと、大丈夫だったの?」

 

 

私はゆっくりと顔を横にふった。

いやぁ…お酒が普通に飲める体質だったみたいだからつい調子のっちゃって…。

 

「いいえ、それがばっちり二日酔いになったわ。…っていうかその間、家事やってくれたじゃない。もう一度母さんって呼ぶわよ。嫌がらせとして」

 

っていって霊華のことを睨む。

なんかニコニコと笑みを浮かべてるような。気のせいじゃないよね。……よね?

 

「はいはい、そうだったわね。飲めるからって油断しすぎて二日酔いになっちゃったんだものね」

 

「言うんじゃないわよ、それを」

 

「アハハ、それはぁ悪かったわね」

 

笑いながらいっても説得力ないんだけどな。

 

「いいわ、もう。私は明日の準備として里へ買い出しに行くから」

 

半ば拗ねて獣道への方へ向かっていたら霊華がなんかついてきた。

どういうこと?

 

「に、睨まないでちょうだいな。私も私でその、えーと…ほら、外の世界でやるお祭りもどきとやらの準備をしたいのよ。気になるから」

 

巫女として仕事を全うしてた分知らないんだろう…と思いたいけど、多分幻想郷にそんな文化はないんだろうね。

そもそもあのチョコを渡すことで有名なバレンタインデーって日本独自の文化らしいし。

で、でもいい文化だと思うよ。うん!

 

 

「バレンタインデー、のことね。…分かったわよ。ほら、きて」

 

 

そういったら心なしかパッと表情が明るくなったような…。

巫女である以前に実は女性だってことなのかな?

見た感じからして高校生とか大学生っぽいけど。大人びてるし。

まあ、まずは調達だね。あるといいけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくした後、必要なものと足りなくなったものを買った私達は――台所に立っていた。

本格的なものは作れないけど、そういうのなら私も得意だしね。

 

 

「さて、まず鍋に水をはって沸かすわよ」

 

「あら、そう?分かったわ」

 

霊華がそうしてる間に私はチョコを――細かくする!

 

「なにしてるのよ、霊夢」

 

「溶けやすくしてるのよ?あ、ちょっといい?」

 

「はいはい、今回はあなたの言う通りに作るわ」

 

…もしかして、俗世的なことを知らないとか?

うん、ありえるだろうね。巫女、博麗の巫女としか呼ばれなかったほどだから。

 

さて、時間かかるだろうなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の大体昼ぐらい。

2個ほど物を置いてから森へ一度向かうことにした。

霊華に不思議がられたけど、あの妖怪たち2人分って説明したら理解してもらえた。

誰のことか分かるのかな。

本人たちにも見つけてもらえないと意味がないんだけどさ。

 

 

――コンコンコン

「魔理沙ー、いるー?入るわよー」

 

といってから入る私。

無言じゃないからセーフセーフ。

 

「いるけど、急に入るのはどうかと思うぜ」

 

「普段から神社に入り浸るあんたが言えたことかしら?」

 

「……どっちもどっちじゃない?」

 

そう話してたら後ろから入ってきた霊華につっこまれた。

ごもっともかもしれない。

 

「魔理沙。これ、はい」

 

近づいてから丸い箱を差し出す。

あ、うん。そりゃ知らないよね。

 

「ただのチョコよ。ほら、もう1個もあるから」

 

「あ、ああ。今日はなんかあるのか?」

 

「外の世界でいうバレンタインデーよ。それで2個用意したのは」

 

「私の分と…渡したい人に渡せってことか。霊華には渡さなくていいのか?」

 

「もう作って渡してあるわ。ね?」

 

「ええ、もらったわね。ケーキ、とやらもあるらしいけども」

 

お、今度は私の方を見て驚いてる。もしかしてお菓子系作れないとか思ってたのかな?

 

「意外だな…。あ、じゃあこれ、香霖に渡してもいいのか?」

 

「ええ、構わないわ。なんだったら一緒にいく?これから行くところなのよ」

 

「おっ、なら一緒させてもらうぜ」

 

いいよね?と言わんばかりに霊華の顔を見てみた。

呆れたような顔をされたけど、首を縦にふってくれたので連れていくことに。

いや、ふってなくても一緒にいくんだけどね。

 

ほら、結局行き先は同じ香霖堂だし。

 

 

 

 

 

そういうわけで、3人で香霖堂に到着。

もちろん遠慮なくずけずけと入る。魔理沙と霊華は順番に入ってきたけど。

無理もないだろうけどね、広さ的に。

 

「いらっしゃ――って珍しい人を連れてくるね、君たち」

 

「ついでに珍しい物よ、ほら」

 

そういって早速箱を差し出す。

そのついでに箱を開けて中のチョコを見せつける。

 

「…霊夢、ついでというのは酷いんじゃなくて?まあ、久しぶりね、霖之助」

 

「あぁ、久しぶりだね。それで魔理沙も連れてどうしたんだい?」

 

「外の世界ではね、如月の十四日をバレンタインデーと呼ぶの。そこにあるパーソナルコンピューターが使えたらいいんだけど……ここ、電気しかないから無理ね」

 

「ああ、それは前に言っていたね。ふむ、それだとそこにいる巫女は連れてこなくてもよかったんじゃないのかい?」

 

霖之助さんがそういうと何故か霊華がため息をついた。

うん、どうして呆れたような顔をしてるのかな?

 

「とりあえず、今は霊華って名乗ってるからそれでいいわ。…ま、私が来たのはなんとなくね。どこぞの誰かさんの真似みたいなもんだとでも思えばいいわ」

 

さりげなく酷いことを言われた気がするよ、私。

 

「そうかい。それで魔理沙。君は?」

 

「私もこれ、香霖にやるために来た。それだけだぜ」

 

そういってさっき渡した2個目の箱を差し出した。

おお、魔理沙にも恥ずかしがることがあるんだね。

 

まさか、移動中のあの『バレンタインデーは基本的に恋人にあげることが多いのよね』って教えたのが響いてるのかな?

 

 

「そうかい。まあ、受けとるよ」

 

そういって私達の分を受け取ってくれた。

いやぁ、よかったよかった。受け取りはしてくれるのね。

 

 

 

 

んで、そのあとは霊華についての話があったんだけどー…もう途中から蘊蓄(うんちく)の話が始まって魔理沙が退屈そうだった。

もちろん昔話に近い話が最初で、どんどん物への話に。

最終的には今の話やら道具の話やら。

参ったなあ。

 

 

「霊夢、あの2人も案外話すんだな」

 

「そうみたいね…魔理沙」

 

という会話が私達の交わしたその日の最後の言葉だったと思う。

 

――でも、魔理沙に料理について聞かれたのはなんでだろう?

不思議だなぁ。


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