先代巫女と行く幻想郷生活   作:篠崎零花

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今更ながら憑依霊夢の過去を詳しくしたものを番外編として投稿してみました。

彼女の一部ではありますが、今までのことにパズルのピースを入れるような感覚で読んでいただけるといいんじゃないでしょうか。
まあ、気にしなくともいいのですが。


では、今更ながらの過去話入り番外編は下からです。適当にどうぞ


番外編 下準備だけのつもりでしたby霊夢

あれからしばらくして、霊華が紅魔館へ行くらしいので暇になった私は…はい、竹林の前に来ちゃいました。

 

まだはやいけど、文月のあるイベントの準備のためっていう理由もあるんだけどね。

でもどうしたものか…。永遠亭に行くなら勘任せで行けるかもしれないけど、今回は訳が違うからなぁ。

迷子になっても困るし…。

…ううむ…。

 

 

「お?そこにいるのは霊夢か。竹林の前に突っ立ってなにしてるんだい?」

 

そういう声の主は…妹紅かな?

 

「ちょっと文月にやろうと思っていることの準備よ。まだはやいから下見なんだけども…そういうあんたはなんでここに来たの?」

 

「ああ、ちょっと輝夜の様子でも見に行こうかと思っててね。それだけさ。…なんなら手伝うよ?探すだけだけどさ」

 

……本当にお互いさ、嫌いなの?

そう思うぐらい、不思議。

まあ、いいんだけどさ。

 

「いえ、構わないわ。むしろ助かるからお願いしてもいいかしら?」

 

「別に構わないさ。ついておいで」

 

「ん、迷子になりたくないし、そうするわ」

 

あの永遠亭に異変解決に出かけた時とはわけが違うしね。

さすがに迷子になるかもしれない。それは嫌。絶対に嫌。

人に頼ってでも無事に神社(いえ)に帰るんだ。

 

 

 

 

 

「そういやそこに向かいながら聞きたいんだけど、あの時…お前、私のことを人間と言いきったじゃないか。どうしてなんだ?」

 

あぁー…だから悩んでいるような表情だったのね。

ようやく分かったよ。

 

「だってあんたは老いない、死なないんでしょう?…それで妖怪扱いなんておかしいと思うのよね」

 

はっ?とかそういう感じの表情になった。

そんなに驚くようなことかなぁ。

 

 

「いや…思いっきり火を使ったんだぞ?普通は人間以外のなにかと考えるんじゃないんかい?」

 

「え?別におかしなことはないじゃない。蓬莱の薬とやらを飲んだらしいんだから。むしろあんたは幻想郷に来るまで大変だったんじゃないの?ほら、ここは危険要素がたくさんあるけども、四季はすっごく綺麗だから……。それに、私ですら受け入れてくれるし」

 

「いや、途中おかしい気が…。まあ、いいや。…そうか。お前も慧音みたいな奴なんだな。と、いうか待てよ。お前、自分も受け入れてくれるって言わなかったか?」

 

うん?そういうことはバッチリ言ったね。

“私も受け入れてくれる”と。

 

「ええ、言ったわよ。現にそうでしょう?……だって、本当ならここじゃなくって文化の恩恵を受けられる場所にいたのだから」

 

「………?!霊夢、それって詳しく教えてもらっても大丈夫かい?無理そうなら私も聞きやしないけど。どうだい?」

 

私は黙って首を縦に振った。

少し雰囲気が暗くなってしまうけど、多分こういうタイプなら聞いてくれるだろう。

と、いうか私にも聞いてくれる相手がいい加減ほしかった頃だ。霊華や魔理沙達以外で、人に親身になってくれるのなら話そう。

記憶にある限りの“私”を。

 

 

 

「…私は元々、外の世界にいたの。この博麗霊夢、なんて名前ですらない別の名前でね。もう覚えてなんかいないけど。…それでね、学生…ああ、この幻想郷にあるあの寺子屋をもっと大きくしたような建物―――学校に通う生徒のことね。私はその生徒として生きていたの。成績は平凡、友人は良くも悪くも少なくなく、そして多くもなかったわね」

 

「なるほどね。…それで?」

 

…よかった。案内ついでに大変な役柄を押し付けてしまうようで悪いんだけど、そのまま話してしまおう。

 

 

「家族構成も忘れたわね。誰がいたとか、そういうのもすっぱり…。ただ仲はよかったような気がするわね。友人もたまに家に招いたような気もするし。……そして、優しかったことも。もちろん多分よ?だって、それすら覚えてないのだから」

 

「そうか…。他には?」

 

「家で色々なゲームをしていたこと、かしら。一部は覚えててね。よく熱中したものだわ。…もちろん、成績が落ちない範囲でよ?っと、成績ってのは分かるかしら?」

 

「いんや、寺子屋にはあんまり行ってないし、あまり分からないな」

 

まあ、それもそうか…。

 

「簡単に言えば習ったことを数字にしたりして紙に残すもの、かしら。どこがよくできて、どこがわるいとか分かりやすいのよ?……それで里にある寺子屋のような感じじゃなくってどれも難しかったような気がするわね。慧音のがなんか似てるような気がしたわ」

 

思わずクスリと笑ってしまった。思い出して、っていうのもあるんだけどね。

 

「それでね、学年はいくつかはあったわ。曖昧にしか覚えてないからこの際伏せるけども。…特段浮いてるわけでもなんでもない、普通の人間だったわね。ただゲームというこの幻想郷でいう遊戯とか弾幕ごっこのような遊びにハマっていただけの。……因みに外の世界ではそういう人をゲーマーって言うのよ。そういえばなにかカタカナの遊びでも里に伝わってないかしら。妹紅は知ってる?」

 

「ああ、それは里の奴が言っていたね。サッカーだとかなんだとかって。それのことかな?」

 

なんだ、そういうのも流れて…いや、誰だそれを教えたの。

 

「ええ、そうよ。なんで外の世界で有名なスポーツがこっちに伝わってるのか疑問でならないけども、そういうのよ。んで、本来ならプレイヤー、選手とかって言うんだけども…あんまり知らないかしら」

 

「ま、まあ…そうだね。そもそも私は人付き合いをある時までそんなにやっていなかったものだからさ、いまいち知らないこともあるんだよ」

 

あ、困ったように笑ってきた。

いや、うん、ごめんよ。

 

「と、とりあえずそういうような感じだと思えばいいわ!ええ!……こほん。それで話の方を戻すんだけども、私はとにかく平凡そのものだったわね。逆に言えばそれがどれだけ幸せだったか、今ならよく分かるわね」

 

「……そうか。でも、たまに里でお前を見かけたことがあるんだけど、元気そうだったじゃないか。こんな話をしているだけで暗い雰囲気になるような奴には見えなかったぞ?」

 

「―――………そりゃそうよ。悪いことを極力考えないようにして、前向きにとらえるようにしてたんだから。あんたも少し考えてみてちょうだい。気がついたら知らない場所で寝ていて、本来の名前とかそういうのをほとんど覚えてない状態。あげくの果てには容姿も自身の名前すら違う。思い出せる記憶だってそのほとんどが別人のもの。……それで落ち着いていられる?」

 

 

「あまり想像はできないけど…難しいだろうな。それも普通の人間だったら尚更だろう。泣いてわめいて、帰りたいとか戻りたいとか言うだろうな。…ああ、怖いとかも叫びそうだな」

 

 

「ええ、私もそうだったわ。起きたら場所は違うし、名前などのいつもは思い出せた記憶が思い出せなかったしで。不安で怖くて泣きたくて。……でも、そんなことをしたって解決なんてしないのぐらい、嫌でも分かったのよ。なんでかしらね」

 

多分、勘のせいなんだろうけど。…ううん、おかげ、かな?

どっちとも言えないね。

 

「じゃ、じゃあお前……」

 

「ええ。今でこそは親友とか母親的存在がいるからそこまで気にしてないんだけども、最初こそは怖くて不安だったわ。…たまには帰りたいとも思ったわね。でも、そう思っても表に出したら心配するでしょうし、余計に気を使わせちゃうでしょう?だから鵜呑(うの)みにしてやりすごしてきていたのよ」

 

「…それがたまりすぎた結果、ああなったっていうことか」

 

「ああ、あれは悪夢を見ていたのもあるわね。それにあの時の私は私じゃないわよ?別の誰か…みたいなんだけど、今のところ正体不明ね」

 

正体不明、というか情報の1つもないから調べようにもなんにもできないんだけどね。

 

「なるほど。どおりであんな様子だったのか。……にしてもやけに前向きだな」

 

「う、うるさいわね!外の世界でも驚かれたんだけども、私は元からこういう性格なの!それに外の世界でもたまに愚痴をこぼしたら聞いた相手に目を丸くされるぐらいには前向きなのよ!本当、自他共に認めるぐらいの!」

 

「……た、確かにさっきの話が嘘かのようなほどの明るさだな。むしろ暗い話をしていたのかってほどだ。と、いうかお前のそれって元からだったのか。凄いな…」

 

ふふん、自慢じゃないけどしおらしい姿の方が珍しいだとか私が大人しいとなにかあるとか思われてたことがあるってことだけは最近の方だけど、思い出してね。

それにこんな風にしてたら周りの方から近づいてこられるしと一石二鳥だったからね。いやあ、自分から近づくより気を使わなくって楽だったなあ。

 

「凄くなんかないわ。ただ私って本質を見失わないようにしてただけよ♪」

 

「いや、それが充分凄いと……。まあ、いい。それとこの辺の竹はどうかな。多分文月にやろうとしているなんかまでにはいい大きさになってるだろうしね。それにこの1本だけなら道しるべにもならないだろうし」

 

「1本以上はいらないわよ…。ま、ありがとうね。それで、案内してくれた上に話まで聞いてもらって悪いんだけども「文月にまた案内すればいいんだな?分かったよ。…なら私も永遠亭まで付き合ってくれないか?そのあと、輝夜の様子を見たら竹林の入口まで一緒にいくからさ」」

 

な、なんかすぐに終わらなさそうな予感がすっごくする…!

でも、様子見ならまだワンチャン…!

 

「分かったわ、ついてくわよ。…ただし、今度はどうしてこんな正格なのか聞いてもらうからね」

 

「ん?さっきまで話してたのとは違うのかい?」

 

あ、顔つきが変わった。

え?そ、そんなに聞きたいの?

 

「え、ええ…違うわよ。そうね、さっきのは私が溜めてた分。それで今から話すのはこの性格の分よ」

 

「おおっ!それなら聞きたいね。付き合わせてしまっているのに悪いね」

 

いや、むしろこの竹林から神社に帰れるだろう?って言われた方が危ないと思います。

携帯食糧(しょくりょう)になりそうなものとか水分とか持ってないからもっと危ないよ!

 

「前の異変の時とは訳が違うからむしろありがたいわね。それで、どうして前向きな性格なのかって話よね」

 

「ああ、そうだな。…それも歩きながら話してくれるかい?」

 

はいはい…。分かったよ。

まったく、出会った頃より大分おしゃべりになったもんだね。ビックリだよ。

 

 

 

「それだけは曖昧でも覚えててね。まず、前提を言うんだけども―――私は今ほど前向きな性格ではなかったわよ?でも、そこまで暗かったわけじゃないの」

 

「つまり分かりやすく言えば普通ってことだな。そうなると余計にそんな前向きになる要素がないと思うんだけど、そこはどうなんだ?」

 

いやいや、そりゃまだ話してないからね。

妹紅とはそこまで話を交わしたことないんだから、それが普通だと思うけど…。

 

「ええ、そうね。…じゃ、長くなるけど話すわよ。それは前のことだったわ…。確か、急に雨が降ってきてね。私は傘があったからよかったのだけども、帰る途中に雨宿りしてる子がいたのよ……あ、場所は忘れたから輝かないでちょうだいね?それでその子に傘を貸そうと差し出したの。そうしたらどうなったと思う?」

 

うん、首をかしげるしどうしてか考えるよね。

っていうか私がそう聞いたんだからそりゃそうか。

 

「当たり前なことを考えれば喜ばれた、かな?」

 

「そうだったらどれだけよかったことか…。……それがね、とても信じられないことに、人間じゃなかったのよ。本人は神様だのどうだのって言っていて…。もちろん最初は自称だと思ったわね。その後日に聞いた神社へ出向いてなければずっとそう思っていたんだけども、ね」

 

「え?そ、それって真面目な話か?外の世界ってまだ神様がいるのか?」

 

 

えー…。あれでいるんならもっと神様の存在を信じる人がいてもいいんじゃないの?

私だって神様は信じてなかった、とだけは覚えてるし。……曖昧だから、それだけなんだけど。

 

「いえ、いないと思うわ。信じてる人も地域によって違ったようだし。…それに今のは真面目よ。そうでなきゃこんな風に教えないわよ」

 

むむぅ…ってうなったかと思ったら黙った。

うん、本当に真面目なんだ。私だって未だにあの時のことが夢だったんじゃないかって考えるときがあるし。…考えが読まれて記憶が曖昧だからだろってつっこまれたらなんて言えばいいのか分からないんだけどね!

 

 

 

「それもそうか。それで、傘はどうしたんだい?まさか貸した相手が言った神社にいきなり現れたわけでもないんだろう?」

 

「それがビックリ。次の日にきた人によって私の傘…あっ、目印をつけてたのよ?持ち手のところに私がやっていたゲームのなにかをつけていたし。その見つけた人曰く、突然出てきた…らしいわ。信じられないけども、そんなことがあったら信じるしかないでしょう?」

 

「確かにそうだな。……そういや帰りは?」

 

「えっ?走ったわよ。ずぶ濡れになりながらね」

 

「……大変だったな」

 

やめて!?

私かてその雨宿りしていた場所からそう遠くなかったからやったようなものだし!多分!

 

「はは、お前もお前で面白いな。…っと話していたらついたな。ちょっと見てくるよ。お前はそこら辺で待っててくれないかい?」

 

「ん、そうみたいね。ええ、分かったわ。待ってるわね」

 

 

 

 

 

 

ということで舞っていたんだけど…しばらく帰れなかった。

鈴仙とも会って話をしたけど、苦労人だね。しかも若干人見知り…。頑張れ、鈴仙。

あっ!てゐ!あなたねぇー!

 

 

―――そんな感じでドタバタした1日でした。

てゐにされたイタズラによる驚かしには弾幕ごっこで仕返ししたし、いやぁー疲れた疲れた。

……ふぅ。

 

「あら、私より遅く戻ってくるなんて驚きね。竹林でちょうどいい竹を見てくるだけじゃなかったのかしら?」

 

 

「ああ、霊華なのね。…ええ、それだけならすぐ終わったんだけども、妹紅と会ってね。輝夜と会うまで付き合ったら長くなってしまって。話のせいもあるかしら」

 

「なにを話したのか、教えてくれるかしら?」

 

ん、気になるような話なんてしてないはずなのにな。

あ、いや。1つあるか。

 

「んなら、妹紅に話した私のこの性格について話すわね。実は―――」

 

 

全部話したら不思議そうな顔をされてしまった。

うん、まあ、途中から関係ないしね。ある程度私を知っている霊華ならそりゃそうなるか。

 

「その前向きな性格と神様になんの関係性があるのよ。強いて言えばあなたが神の存在を認めるようになったぐらいなら理解できたのだけども…」

 

いやいや、それだけでも分かった霊華はすごいよ。

ほめられてもいいんじゃないかな。

 

「それが名前共々…どんなやりとりをしたのか忘れてしまったのよねっ。だからどうしてなんだか分からないわ」

 

「……そんな腕を組んで自慢げに言われても……。まあ、別にいいかしら。元からそうだったし」

 

なんじゃそりゃ。

ひどくないかなぁ…。

 

「なによそれー。…ま、いいわ。今度、弾幕ごっこするんだから覚悟しててちょうだいね」

 

「…はいはい」

 

(全く…。ま、なにを話してきたのか知らないけど、清々しい顔をしているから聞かなくてもよさそうね)

 

さてと、とりあえず自室に戻りますか。

…お札でも書いてみるかな。

 

 

 

 

 

 

 

ああ、戻ってから思ったけど、あの因幡てゐ…イタズラしてきたんだよね。

もちろん弾幕でお返ししたけどさ。あと永琳にも叱られてたね。

 

「ま、しばらくは大人しくしてるといいんだけどもね」

と、思わず呟いた。

なんかあのまま大人しくしてるような子に見えなかったからね。仕方ないね。

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